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現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

宮内悠介「象を飛ばした王子」盤上の夜所収

2016-11-12 09:07:45 | 参考文献
 古代インド将棋であるチャトランガの話です。
 チャトランガは、西に伝わってチェスに、東に伝わって日本の将棋になったと言われるこの種のゲームの源です。
 戦争好きの王に戦争をやめさせるため、高僧が王に献上したのがチャトランガの始まりであるという説に着想を得て、ブッダの息子であるラーフラがチャトランガを考え出したことを匂わせてお話は終わるのですが、これは宮内がいろいろな文献をもとに考えた完全なフィクションです。
 作中に述べられているように、チャトランガの起源には諸説があり、また古代インド将棋にはチャトランガ以外にもいろいろなものがあったと言われています。
 この作品は、チャトランガというゲームよりも、古代インドの王子の苦悩が描かれているのですが、そのメンタリティは現代の日本人と変わらず物足りませんでした。
 宮内作品の特長であるゲームに対するマニアックな追求をもっと前面に出した方が、他の作家との差別化が図られるのではないでしょうか。

盤上の夜 (創元日本SF叢書)
クリエーター情報なし
東京創元社

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