現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

森忠明「またね こたこたらんぷ」こんなひとはめったにいない所収

2017-10-23 10:31:21 | 作品論
 小学校一年生の夏休みに、いつくしみ保育園の時に担任だったはまなかさわこ先生にあてた森少年の長い手紙です。
 森少年が算数を個人的に教わっている「いかのせんせい」という、アフリカで先生をしていたというユニークな人物を紹介しています。
 「いかのせんせい」が好きなものを十個言うシーンが楽しいのですが、その最後で森忠明の作品らしく短調へ転調をします。
 森少年の好きなものは一番がおかあちゃんで、二番がはまなかさわこ先生です。
 おかあちゃんは今年病気になって、赤ちゃんができるところを取ってしまったのです。
 手術の時、おかあちゃんは森少年の名前を呼び続け、もう弟も妹も作ってやれなくなったことを謝ります。
 森少年は、弟も妹もいらないことをユーモラスに語りますが、その中でいつくしみ幼稚園にはもうはまなかさわこ先生がいないこともさりげなく書いています。
 最後には、「いかのせんせい」とも別れて、はまなかさわこ先生にももう手紙は書かないことが書かれています。
 大事な人たちとの別れ、弱者へのいたわり、母への愛情など、森作品の重要なモチーフがラストシーンに続けて現れてきて、彼独特の生きていくことの寂しさが、この幼年向き作品にも表れています。

こんなひとはめったにいない (幼年創作シリーズ)
クリエーター情報なし
童心社
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後路好章「赤ちゃん絵本 ー 赤ちゃんは音を食べる」いつ、何と出会うか—赤ちゃん絵本からヤングアダルト文学まで所収

2017-10-23 10:29:54 | 参考文献
 実際に赤ちゃん絵本を読みながら、その構成、展開方法を解説しています。
 特に、赤ちゃんが絵本のどこに反応するのかを、赤ちゃんの発達とからませて説明している点が優れています。
 講演録を読んだだけでも、講師が本当に赤ちゃんと絵本が好きなんだなあということが伝わってきます。
 紹介された絵本のいくつかを、実際に赤ちゃんに読み聞かせ(講師の呼び方だと読み語りや一緒読みになります)してみたくなりました。

いないいないばあ (松谷みよ子 あかちゃんの本)
クリエーター情報なし
童心社


絵本から擬音語・擬態語・ぷちぷちぽーん
クリエーター情報なし
アリス館
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