現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

色川武大「四人」離婚所収

2017-03-03 18:51:03 | 参考文献
 離婚(その記事を参照してください)の後日談です。
 離婚したフリーライターの主人公の元妻は、一人での生活に耐えきれずによりを戻そうとしています。
 しかし、主人公はまだ目鼻がつかないでいる新しい仕事に取り組んでいるところで、彼女を相手にしません。
 しかも、その仕事は、助手をかってでた外国人女性と二人で、世界のあちこちを巡ってその体験をもとに文章にしようというのです。
 女性の日本人の夫も含めた四人の不思議な男女関係を、独特の醒めた視線で描いています。
 結婚制度や性的なものに縛られない男女の関係は、誰しもが夢見るものですが、一種の緊張感もはらんでいます。
 この作品では、元妻に加えて助手の外国人女性も魅力的に書かれています。
 作者といえば、どちらかと言えばギャンブルを中心として男の世界をよく書くのですが、女性を描かせても一級の腕前です。

離婚 (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋
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色川武大「空襲のあと」怪しい来客簿所収

2017-03-03 18:50:23 | 参考文献
 泉鏡花賞を受賞した短編集の巻頭編です。
 戦中戦後の東京において、多くの人々の死と生を、冷徹な目でとらえて、独特の乾いた文章で描いています。
 児童文学の作品は、作品にもよりますが、だいたいは温かみがある感情のこもったウェットな文章で書かれています。
 そういった作品ばかり読んでいると、こうしたドライな大人向きの文章を読みたくなります。

怪しい来客簿 (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋
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