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現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

幸福なラザロ

2020-11-02 16:13:41 | 映画

 2018年のカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞したイタリア映画です。

 イタリアの閉ざされた山間のたばこ農場を背景に、搾取、差別、貧困など、多くの問題を描きつつ、そこに住む最下層の青年ラザロの無垢な魂を描いています。

 洪水で閉ざされた村人たちに小作人制度が廃止されたことを知らせずに、搾取を続ける公爵夫人と農場の管理人。

 その村人たちに差別されこき使われているラザロ(軽度の知的障害があると思われます)。

 幾層にも連なる差別の構造の中で、誰も恨まずに黙々と働きつづけるラザロの無垢な魂が描かれます。

 この搾取構造は、公爵夫人の息子の狂言誘拐事件をきっかけにして警察に摘発されて、村人たちは解放されます。

 ここまでは、実際に1980年代にイタリアであった事件をモデルにしているそうです。

 そこから、時代は現代になります。 

 解放された村人たちは幸福になったわけではなく、社会の最下層で強盗や詐欺をして生活しています。

 一方、農場に取り残されたラザロは、その時に崖から転落するのですが、そこからタイムスリップして現代に現れます。

 どうやら、彼はいったん死んで、生き返って聖人になったようです(年を取らない、寒さを感じない、食べ物が必要でない、排泄もしない、教会で演奏されていた音楽が彼について来るなどの不思議なことが次々に起こります)。

 しかし、ラストでは、彼を理解しない一般大衆に狂言銀行強盗と誤解されて袋だたきにあいます。

 この後半のファンタジーの部分は多分に宗教的なのですが、日本人の私には理解できないこと(狼との関わり、教会との関係など)部分が多かったです。

 社会の暗部を舞台に、知的障害者の無垢な魂を描いたイタリア映画というと、ネオレアリスモの代表作であるフェリーニの「道」を思い出しますが、あの映画では主人公のジェルミソーナの無垢な魂が狂暴な大男ザンパノの魂を救ったのに対して、この映画ではラザロの無垢な魂は誰も救えず、それだけ現代の絶望は深いのかもしれません。

 しかし、それにしても、ラザロを演じた新人アドリアーノ・タルディオーロの姿(特に瞳)は、まさに純粋無垢そのもので、彼がいなければこの映画は成立しなかったでしょう。

 

 

 

 

 

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ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還

2020-10-21 10:03:37 | 映画

 2003年公開の、トールキンの指輪物語実写版映画三部作の完結編です(他の作品については、それらの記事を参照してください)。

 ここでは、フロドがサムの助けを借りて、指輪を滅びの山で廃棄するまでの冒険を中心に、人間(魔法使いやエルフやドワーフやホビットや幽霊もいますが)と冥王サウロンの軍勢との最後の戦いを中心に描かれています。

 最終的には、指輪が廃棄されることによってサウロンは力を失い、ふたたび平和が訪れる大団円です。

 トールキンがこの作品に込めた世界観(剣と魔法の世界)も、メッセージ(平和をもたらしたのは魔法使いでも、人間でも、エルフでもなく、一番平凡な存在であるホビット(人間界で言えば、一般大衆の象徴でしょう)であること)も、存分に描かれていて、長年の原作の愛読者としては深い満足を得ました。

 さらに、児童文学者の立場で言えば、ホビットは子どもの象徴で、世界にとってかけがえのない存在であることを表しているとも言えると思います。

 この映画に対する欧米での評価も高く、アカデミー賞では史上最多タイの11部門にノミネートされて、すべて受賞しました。

 今回は、劇場公開版より長いエクステンド版(251分、三部作を合計すると11時間以上)で観たので、一層トールキンの世界を満喫できました。

 非常に長い物語で、登場人物も多いし、エピソードも複雑に絡み合っているので、原作を読んでいない人にはこんがらがるところも多いと思われます。

 そんな人たちには、この機会にトールキンの原作も読むことをおすすめします。

 長大な作品なので読みこなすのは大変ですが、他では得られない貴重な読書体験を味わうことができることをお約束します。

 

 

 

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ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔

2020-10-21 09:32:30 | 映画

 2002年公開の大長編映画「ロード・オブ・ザ・リング」の第二部です(第一部については、その記事を参照してください)。

 この部分では、ホビットのフロドとサム(それに道案内として指輪の虜になって怪物になってしまったゴラン)のモルドールへの旅と、ウルク・ハイに拐われたメリーとピピンの脱出と森の精エント族による白の魔法使いサルマンへの攻撃と、人間とエルフの連合軍とウルク・ハイの戦いを中心に描かれています。

 私の一番の関心は、森の精エント族(木の形をしています)がどのように描かれているかだったのですが、CGによってほぼ理想的な形で表現されていて感動しました。

 また、戦闘シーンも非常に迫力があって、観客を魅了したようです。

 前にも述べましたように、今回は223分の拡張版で見ました(劇場版は179分)ので、より原作に忠実に描かれていて満足しました。

 

 

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スパイダーマン

2020-10-15 16:11:14 | 映画

 2002年公開のアメコミを原作としたスーパーヒーロー物の映画です。

 当時としては画期的なCGの採用によって大ヒットし、今まで実写版が不可能だと思われたスーパーヒーローたちが次々に映画化されるきっかけを作りました。

 普段はさえない高校生だが実は超人的な能力を持っている主人公、マッドサイエンティストといったお約束のキャラクターたちが、画面狭しと大暴れします。

 主人公の正体を知らない憧れの女性とのなかなか実らない恋愛と、スーパーヒーローとしての活躍のギャップがこの作品の味噌ですが、あまりにもかたくなな主人公の態度がラストまで続いてイライラさせられます。

 この関係は、続編では更にエスカレートして、作品評価の上でも、興行的にも尻すぼみに終りました。

 

 

 

 

 

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フレンチ・コネクション

2020-10-13 07:54:41 | 映画

 フランス経由の麻薬密売事件を元にした、1971年のアメリカ映画です。
 アカデミー賞で、作品賞、監督賞(ウィリアム・フリードキン)、主演男優賞(ジーン・ハックマン)などの主要五部門を独占しました。
 ジーン・ハックマン演じる粗暴でタフな刑事と、ロイ・シャイダーのクールで冷静な相棒の絶妙のコンビを中心に、それまで描かれることのなかったリアルな刑事たちの姿(特に、犯罪者たちが高級フランス料理店でワインやご馳走を楽しむ姿を、極寒のニューヨークで紙コップのまずいコーヒーと冷えたピザを頬張りながら、見張るシーンが有名です)や、息もつかせぬ追跡シーン(特に、今みたいなCGではなく実写で撮った迫力満点のカーチェイスが有名です)が、当時の映画界に衝撃を与えて、多くの追随作品を生みました。


フレンチ・コネクション (字幕版)
Fernando Rey,Gene Hackman,Tony Lobianco,Roy Scheider,Marcel Bozzuffi
メーカー情報なし
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蒲田行進曲

2020-09-23 08:55:38 | 映画

 

 

 1982年公開の日本映画です。

 もともとは、つかこうへいの戯曲で、1980年に紀伊國屋ホールで初演され、紀伊国屋演劇賞を受賞しています。

 さらに、小説化もされて、直木賞を受賞しています。

 スター俳優と売れない女優の恋と、妊娠した彼女を押し付けられた大部屋俳優の悲哀を巡って、三者間の入り組んだ愛憎を、つかこうへい独特の長ゼリフで語って、笑いと涙の世界を繰り広げます。

 映画化においては、主役の安や銀ちゃんにはスター俳優の起用も検討されたようですが、1982年のつかこうへい事務所の解散公演のキャストである平田満と風間杜夫になりました。

 彼らの持つ舞台俳優としての身体性が、映画でも遺憾なく発揮されて、映画を成功に導きました。

 ただし、小夏役には、初演以来一貫して演じていた根岸季衣ではなく、スター女優の松坂慶子が演じました。

 売れない女優役は美人の彼女には似合わない感じですが、体を張った体当たり演技(ヌードシーンもあります)で、映画に華やかさを添えました。

 映画は予想以上のヒットと評価を得て、日本アカデミー賞の作品賞、監督賞(深作欣二)、主演男優賞(平田満)、助演男優賞(風間杜夫)、主演女優賞(松坂慶子)を独占しました。

 私は、紀伊國屋ホールで初演を見ているのですが、その時の配役は、銀ちゃんは加藤健一、安は柄本明と、他の小劇団の座長クラスが演じていましたが、やはりつかこうへい事務所の看板俳優である風間杜夫と平田満の方がはまっている感じです。

 また、この映画のヒットのおかげで、つかこうへい事務症解散後の二人の仕事の場が広がったことは、二人のファンだった私としては、非常に嬉しいことでした。

 

 

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パディントン

2020-09-10 09:05:28 | 映画

 マイケル・ボンドの「くまのパディントン」の実写映画です。
 パディントンのハチャメチャぶりと、ブラウン一家(ロンドンのパディントン駅でペルーから密航してきたパディントンを拾ってくれた四人家族と家政婦(映画では現代にそぐわないので親戚になっています)の温かさは、現代のロンドン風にアレンジされています(原作は1958年の作品です)が、かなり再現されています。
 しかし、原作のほのぼのとしたユーモアでは現代の観客には物足りないと考えたのか、原作にはない、かなり昔にペルーでパディントンのおばさん夫婦と出会ったイギリスの探検家や、パディントンをはく製にすることに執念を燃やす謎の美女(実は探検家の娘)などを付け加えて、ドタバタ物にしてしまいました。
 また、主人公のパディントンがリアルなクマすぎて、姿や声がディズニーやジブリのようなかわいらしさがないこともあって、日本ではあまりヒットしませんでした。 

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パディントン2

2020-09-10 09:04:46 | 映画

 児童文学の古典的な動物ファンタジーである、マイケル・ボンドの「くまのパディントン」シリーズの映画化第二弾です。
 この作品では、原作とは完全に離れて、パディントンやブラウン家といった設定だけをいかしています。
 むしろ、そのために現代にはマッチしていて、前作よりも大人も子供も家族で楽しめるコメディに仕上がっています。
 敵役も含めてラストではみんながハッピーになれるのですが、それを楽しむためにはエンドロールが始まってすぐに席を立ってはいけません。
 なお、この映画の成功には、敵役を演じたかつて「ロマンティック・コメディの帝王」と呼ばれ、典型的なダメ男俳優(私生活でも女性関係のゴシップが豊富です)のヒュー・グラントの怪演がかなり貢献しています。

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天使にラブ・ソングを…

2020-09-05 09:47:01 | 映画

1992年公開のアメリカ映画です。

 ギャングの愛人の歌手が殺人現場を目撃し、警察によって修道院に匿われることになったことから巻き起こるドタバタ・コメディです。

 ストーリー自体は他愛のないものですが、主人公が指導した修道女たちの合唱シーンが素晴らしく、全世界、特に本国アメリカで大ヒットしました。

 主演のウーピー・ゴールドバーグは、この作品のヒットで全米の人気スターの地位を不動のものにしました。

 

 

 

 

 

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となりのトトロ

2020-08-30 09:47:42 | 映画

1988年公開の、言わずとしれたジブリのヒット作品です。

しかし、公開当時は、中編二本(同時上映は「火垂るの墓」)同時上映で、どちらも娯楽性も乏しいこともあって、興行的には不振だったようです。

 しかし、キネマ旬報の一位を始めとして各種の映画賞を受賞したため評価が定まり、さらにテレビで再三ノーカット放送(上映時間が88分なので、通常の放送枠で可能です)されて毎回高視聴率を獲得して、ジブリの年少者向けアニメの決定版になりました。

 この作品を評するのに、昭和三十年代前半の田園地帯(埼玉県所沢市周辺だと言われています)を舞台に、日本の原風景を描いたとよく言われます。

 たしかに、当時は高度成長時代が始まった頃で、日本人の大半が農民でした。

 一方で、作品が公開された1988年はバブル経済最盛期です。

 このバブル景気を当時支えていた四十代が、この映画のターゲットの観客である子どもたちの親の世代にあたるわけで、彼らの原風景である昭和三十年代前半の田園地帯を、自分の子どもたちと共有する働きをしたかもしれません。

 それから三十年がたち、彼らの多くは七十代になりました。

 私の住んでいる地域は、この映画が公開された頃の新興住宅地なので、ちょうどこの世代の人たち(多くは地方出身者)がたくさん住んでいます。

 会社などをリタイヤした彼らの多くは、近隣に畑や田んぼを借りて、いそいそと農作業に励んでいます。

 一方で、児童文学的な観点で言えば、この映画はすべての「大人」たちの原風景である「子ども」を、鮮やかに描き出しているとも言えます。

 残念ながら男の子の描き方は類型的なのですが、さつきもめいも、典型的なこの時期の少女と幼女を見事に描き出していると言えるでしょう。

 もちろん、トトロを始めとして、マックロクロスケやねこバスなどのキャラクターも、非常に魅力的なのですが。

 

 

 

 

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NANA

2020-08-12 09:16:37 | 映画
 2005年公開の少女漫画の実写版映画化です。
 漫画の実写版というと、キャラクターのイメージが狂って興ざめすることが多いのですが、この作品の場合は、主演の宮崎あおいや中島美嘉だけでなく、他の登場人物も原作以上にキャラが立っていて、そのおかげもあって大ヒットしました。
 また、作中での二つバンド、ブラストとトラネスの演奏シーンもすごくかっこよく、中島美嘉が歌った「グラマラス・スカイ」も、伊藤由奈の「エンドレス・ストーリー」も大ヒットしました。
 ストーリー自体は他愛のないものですが、音楽映画としては成功しています。




 
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ハドソン川の奇跡

2020-08-06 17:01:50 | 映画
 2009年に起こった、実際の飛行機事故を題材にした映画です。
 鳥の群れと衝突してエンジンをふたつともに破壊されたものの、機長の冷静な操縦でハドソン川へ不時着水して、奇跡的に乗客全員が生還します。
 お話としては、機長の判断が間違いで、離陸した空港や近隣の他の飛行場へ戻れたのではないかとの疑いをかけられて、機長が追い詰められていくところが中心です。
 最後には、疑いが晴れてハッピーエンドになるのですが、それは史実として知っていたのであまり重要ではありません。
 主演のトム・ハンクス(実際の機長に似せたふけメイクが素晴らしいです)を除いてはあまり有名な俳優は出ていないのですが、全員が重厚な演技で、それを監督のクリント・イーストウッドが円熟の演出でいかしています。
 飛行機の不時着水や乗客の救出シーンは、CGや実写で見事に再現されていました。
 難を言えば、作品の上映時間が短く、ややあっけない印象を受けた点です。
 最近の日本の映画と違って、一人のイケメンも美人女優が出なくても、観客を満足させる映画が作れることを証明しています。

ハドソン川の奇跡
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サブウェイ123激突

2020-07-19 17:44:24 | 映画
 2009年公開のアメリカ映画です。
 アメリカ人はこのストーリーがよっぽど好きなのか、原作の「サブウェイ・パニック」の三度目の映画化です。
 1000万ドルの身代金目当て(実際はかげで金に投資していて、事件による高騰でさらに一桁大きな儲けを狙っています)の地下鉄ジャックのストーリーなので、まあよくある話なのですが、映画の中の時間経過と、観客の時間経過が一緒なので、スリルを高めることに成功しています。
 さらに、ひょんなことから犯人との交渉役、さらには身代金の運び役になった男(賄賂を受け取って降格されている)や犯人(市長に不正を暴かれて、投資会社の社長から、服役者に失脚させられている)や市長(不倫のスキャンダルに巻き込まれている)のドラマも描いていて、作品の奥行きを出しています。
 主役のデンゼル・ワシントンと犯人役のジョン・トラボルタが、さすがの演技を見せています。




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荒野のストレンジャー

2020-07-19 13:38:52 | 映画
 1973年公開のアメリカ映画です。
 クリント・イーストウッドが、監督・主演した西部劇です。
 過去に保安官を見殺しにした町の住人たちが、その犯人たちが出獄して復讐に戻ってくるのを恐れています。
 彼らは、クリント・イーストウッド演ずる凄腕のガンマンを用心棒に雇いますが、彼は犯人たちを皆殺しにするだけでなく、町民たちもひどい目に合わせます。
 最後まで主人公の正体はわからないのですが、殺された保安官との関係はほのめかされます(保安官の亡霊?)。
 全体に、ストーリーも、人物造形も、町のセットの作りも、かなり雑で、主人公の超人的なかっこよさばかりが目立ちます。
 この時代のクリント・イーストウッドは、俳優としての人気はあったものの、監督としてはまだまだだったのでしょう。
 黒澤明や、彼が主演した西部劇の監督たちの影響が感じられて、そういった意味では興味深いです。


 
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ハスラー2

2020-07-14 11:22:06 | 映画
 1986年公開の、アメリカのビリヤード映画です。
 1961年公開の「ハスラー」の25年後の続編です。
 前作で、伝説のハスラーに挑んだ若き天才プレーヤー役を演じたポール・ニューマンが、現役を引退して(やり手の酒のセールスマンになっています)、今度はトム・クルーズ(「トップ・ガン」で売り出したばかりです)演じる若き天才プレーヤーのマネージャーになって、金儲けを狙います。
 わがままな若者(とその恋人)とぶつかりあっている間に、ビリヤードへの情熱を取り戻していって現役に復帰するというのは、よくあるストーリーですが、トーナメントでの二人の対決にひと工夫(準々決勝であたった二人の試合はべテランが勝つのですが、それは掛け金を儲けるるために若者が仕組んだ一人八百長だったのです。それを知ったベテランは準決勝を棄権して、プライベートな真剣勝負を若者に挑むところで映画が終わります。これが本当のカムバックだということがわかる鮮やかなラストです)がされています。
 この映画の渋い演技で、ポール・ニューマンは、何度もノミネートされて逃してきたアカデミー主演男優賞を獲得しました。
 ちなみに、この映画をきっかけにして、日本でもプールバーなどのビリヤードができる場所があちこちにできて、私も久しぶりにプレイするようになりました。
 大半は、ポケットとかプールとか呼ばれるボード上の六ケ所に穴が空いたビリヤード台で、私が学生時代にやっていた俗に四つ玉と言われる赤白四個のボールを使うキャロム・ビリヤードの台は少なかったです。
 映画では9つのボールを使うナインボールというゲームでしたが、私がやっていたのは15個使うゲーム(エイトボール?)でした。




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