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現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

アメリ

2020-07-11 10:32:03 | 映画
 2001年にフランスで公開され、大ヒットした映画です。
 日本でも単館上映から始まって、最終的にはかなりヒットしました。
 私は、単館上映時代に、横浜の切符売り場の横のドアを開けるとそこが直接上映室というような、小さなスクリーンで見ましたが、それでも十分に楽しめました。
 最終的には、大団円的なハッピーエンディングストーリーなのですが、随所にブラックユーモアやジョークが仕掛けられていて、登場人物も主人公のアメリも含めて全員が曲者揃いなので飽きさせません。
 随所にパリらしいおしゃれな風物が映し出されて、映像的にも非常に凝った作りになっています。
 こういうのをエスプリのきいた作品とでもいうのでしょうか、ハリウッド映画にはないフランス映画独特の魅力です。






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マネーモンスター

2020-07-10 21:30:16 | 映画
 株の暴落で損した男が、その株を薦めたテレビの投資バラエティ番組のMCを人質にとって、スタジオに立てこもる話です。
 金儲け万能の今のアメリカを風刺している部分はありますが、それほどシリアスではなくエンターテインメントに徹しています。
 立てこもり事件が生放送の最中に起こり、それがそのまま実況中継されるところがお話のミソで、荒唐無稽な設定、悪役やいい役がデフォルメされていて分かりやすい、ご都合主義のストーリー展開など、エンターテインメント映画の王道を、娯楽映画の標準である100分以内(この映画は99分)にテンポよくまとめています。
 それにしても、「タクシードライバー」の少女娼婦役を1976年に13歳で演じて、天才子役として脚光を浴びたジョディ・フォスターが、こんなプロっぽい商業映画の監督になるとは、隔世の感がします。

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フリーソロ

2020-07-05 14:38:28 | 映画
2018年公開のアメリカのドキュメンタリー映画で、アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞しています。
 ロッククライマーのアレックス・オノルドが、2017年にヨセミテ公園のエル・キャピタンという大岩壁を、フリーソロ(単独で一切の道具を使わずに岩壁を登ります)で登攀した時の記録映画です。
 大岩壁のフリーソロの失敗は死を意味します。
 実際に、アレックスの多くの先輩たちは、登攀失敗で命を落としています。
 実際の登攀の様子ももちろん素晴らしいのですが、それは4時間近くの実際の登攀を10分ほどにまとめているだけで、この挑戦に至るアレックスの人生、家族、恋人などをたんねんに描いています。
 特に、恋人との関係に時間を割いていて、それが回り道のようで実際は最後の成功につながったのだと思えたのが感動的でした。
 生活をフリー・クライミングだけに絞り込んでストイックに生きてきた(バンの中に寝泊まりして生活費も切り詰めています)アレックスは、恋人ができたとたん、彼女のミスもあって連続して大怪我を負います。
 彼女と別れてまた文字通りソロになるのかと思ったら、むしろ彼女のために家を持って家庭的な環境を整えるのでした。
 そして、そうしたことも糧にして、精神的に一回り大きくなって(失うものができたからでしょう)最後の成功につなげます。
 映画でははっきり示されていませんが、アレックスの両親は二人ともかなり個性的な人のようなので、子どものころの心の空白を埋めるようにしてフリー・クライミングに打ち込んでいた彼が、初めて愛する対象(本当に平凡な普通の女の子なのですが、長所ばかりでなくその欠点までもが彼にとってはクライミングと同様に心の空白を埋めるものだったのでしょう)を得たことが、彼を絶対に成功できると確信するまでは辛抱する気持ちを養ったのでしょう。
 この映画では、クライミングシーンや人間ドラマもいいのですが、ヨセミテ公園の素晴らしい風景(エル・キャピタンだけでなく、ハーフドームやヨセミテ滝など)が魅力的で、見た人は絶対に行きたくなります。
 私が行ったのはもう四十年近くも前になりますが、グレイシャー・ポイントから眺めたエル・キャピタンやハーフドームの景色や、無謀にも革靴で途中まで登ったヨセミテ滝の飛沫や、素晴らしいホテル・アワニー(今は名前が変わったみたいですね)が懐かしいです。


 

 
 
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トレインスポッティング

2020-06-13 20:43:05 | 映画
 1996年制作のイギリス映画です。
 スコットランドの地方都市を舞台に、ヘロイン中毒の若者と、彼以上にいかれた仲間たちを、斬新な映像と音楽で描いた作品です。
 全編を通して、麻薬中毒、アルコール中毒、窃盗、セックス、喧嘩、麻薬取り引き、薬物中毒死、ネグレクトによる赤ん坊の死など、ショッキングなシーンの連続なのですが、深刻ぶらずにユーモラスに描いているので、客観的には悲惨極まりない状況なのですが、最後まで興味深く見ることができます。
 主人公は何度か麻薬を止めようとしますが、禁断症状だけでなく、仲間との腐れ縁のために、なかなか抜け出せません。
 ラストシーンで、とうとう仲間を裏切る(麻薬取り引きのお金を持ち逃げする)ことによって、麻薬生活を断ち切ろうとしますが、はたしてうまくいくでしょうか(2017年に続編が作られたのですが、未見のためコメントできません)。
 「シング・ストリート」(その記事を参照してください)は1980年代のアイルランドの不況下の状況を描いていましたが、この映画では90年代のイングランドに抑圧されているという認識を常に持つスコットランドの閉塞感がよく現されています。
 ふたつの映画の主人公たちに共通するのは、閉塞した状況を打開するためには、皮肉にも彼らを抑圧しているイングランドの首都ロンドンへ向かうことでした。
 現代の日本でも、地方の閉塞感は年々ひどくなっていて、そこに住む若い世代の人々もまた、その状況を打破するためには東京に向かわざるを得ません。
 そうした人たちを、映画でも文学でも、もっともっと描かなければならないでしょう。

トレインスポッティング(字幕版)
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ローマの休日

2020-06-13 09:07:28 | 映画
 1953年公開のアメリカ映画です。
 オードリー・ヘップバーンのデビュー作で、まさに彼女の魅力をアピールするための映画と言っても過言ではありません。
 一流の監督(ウィリアム・ワイラー)、一流の相手役(グレゴリー・ペック)、ローマでのロケーションと、彼女を売り出すためのお膳立ては全て整えられて、思惑通り(あるいは以上)に世界中で大ヒットして、映画史に残る名画として今でも度々テレビで放送されています。
 ヨーロッパのどこかの国の王女様が公務に嫌気が差して大使館を抜け出して、一日だけの文字通りの「ローマの休日」を楽しむという、まさに大人のおとぎ話です。
 相手役の新聞記者は、最初はスクープ目当て(5000ドル、今のお金の価値で言えば500万円ぐらいか)で近づいたのですが、彼女の美しさ(ヘアスタイルをロングにしてもショートにしても抜群にきれい)と無邪気な可愛らしさに惹かれて、記事にすることを辞めます。
 この映画のもう一つの特長が、ローマの観光名所(コロッセオ、スペイン階段、トレビの泉、真実の口など)案内になっていることです。
 公開されてから、すでに70年近くがたっていますが、今でも世界中からこれらの場所は観光客で溢れています。
 スペイン階段ではオードリーのようにアイスを食べて、真実の口(三越ローマにはレプリカもあります)では、グレゴリー・ペックがやったように手を食べられてしまったふりをします。
 それにしても、この映画のオードリー・ヘップバーンのなんと魅力的なこと。
 白黒映画なのに、文字通り輝いて見えます。


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恋人たちの予感

2020-06-10 09:54:04 | 映画
 1989年公開のアメリカのロマンチック・コメディです。
 原題(When Harry Met Sally...)どおりに、ほとんど全編が、主役の男女を演じるビリー・クリスタルとメグ・ライアンの会話だけで構成されている映画です。
 ストーリーは、学生時代に互いに不快感を持って出会った二人が、12年以上もの長い紆余曲折を経て結ばれる他愛のないものですが、二人の会話がしゃれていて飽きさせません。
 1970年代後半から1980年代後半にかけての、アメリカの若い知識層の風俗や考え方を二人に凝縮して、うまく表現しています。
 こういった映画を成り立たせているのは、ビリー・クリスタルの知的な曲者ぶりと、メグ・ライアンの小生意気と無邪気が同居したような不思議な魅力のおかげでしょう。
 

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ランペイジ 巨獣大乱闘

2020-06-04 09:23:23 | 映画
 2018年公開のアメリカの怪獣映画です。
 遺伝子操作で巨大化したゴリラ、オオカミ、ワニ(実際はいろいろな動物が合体した怪獣)が、シカゴの高層ビル群で大暴れします。
 怪獣によるビル街の派手な破壊シーンの予告編やCMで話題になりましたが、本編はそれ以上でもそれ以下でもありません。
 アーケードゲームを元に作られたせいか、人間ドラマは完全にいい加減なB級(C級?)映画です。
 こうした予告編がすごくいいのに本編はさっぱりという映画はよくあって、有名なのは「フットルース」でしょう。
 この映画からは、全米ナンバーワンのヒット曲が何曲も出て、それらのPVもすべてすごくかっこいいのですが、本編はそれらに遠く及ばないできでした。
 なお、「ランペイジ」の主役は、「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」(その記事を参照してください)でも活躍した、プロレスラーのザ・ロックだった俳優が演じています。
 どうやら、「気は優しくて力持ち」なマッチョとして、ハリウッドで確固たる地位を確立しているようです。

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椿三十郎

2020-06-01 15:43:55 | 映画
 1962年公開の黒澤明監督の時代劇映画です。
 前年の「用心棒」(その記事を参照してください)と同じ、三船俊郎演じる凄腕の浪人を主役にした続編です。
 黒沢作品の中ではもっとも娯楽的な映画で、お家騒動を糾弾する九人の若侍たち(加山雄三、田中邦衞、平田昭彦など)は当時の軽佻浮薄な若者そのもの(いつの時代も若者たちは年長者にそのように思われるのです)の様子ですし、悪人たちのに囚われた城代家老の奥方(当時の大女優、入江たか子)と娘(当時の若手美人女優、団令子)は信じられないほど浮世離れしていて、彼らや彼女たちが椿三十郎を困らせる様子がユーモアたっぷりに描かれています。
 主人公が三十人斬りをする有名なシーンも、まるで見事な演舞のようで血が一滴もでない健全さです。
 しかし、一転して、ラストで主人公が敵役の仲代達矢と、居合いで一騎討ちするシーンでは、ポンプを使った有名な大出血シーン(模倣作が続出しました)で、この作品が単なるユーモラスな娯楽作ではない苦い後味を残しています。

椿三十郎
黒澤明,菊島隆三,菊島隆三,小国英雄,田中友幸
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L.A.コンフィデンシャル

2020-05-31 10:34:41 | 映画
1997年公開のアメリカ映画です。
 ロサンゼルス警察の組織絡みでの巨大な不正に、三人の違うタイプの刑事が挑戦する姿を描いています。
 この映画の最大の魅力は、三人の刑事のキャラが非常にたっていて、それがストーリーとよく絡んでいることです。
 ケヴィン・スペーイシーが演じるのは、ハリウッドでの刑事物ドラマの監修を生きがいにしている派手好みのスター刑事です。
 ラッセル・クロウが演じるのは、捜査のためなら暴力も辞さないたたき上げの刑事です。
 ガイ・ピアースが演じるのは、上昇志向の強い知性派の刑事です。
 こうした三人が、時には協力して、また時には敵対して、彼らの上司が牛耳っている巨大な不正に挑んでいきます。 
 公開時の評判は上々で、アカデミー賞にも9部門でノミネートされましたが、不運にも史上最多の11部門で受賞した「タイタニック」のあおりを食って、助演女優賞(キム・ベイジンガー)と脚色賞だけの受賞にとどまりました。


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チャップリンの殺人狂時代

2020-05-29 09:50:38 | 映画
 1947年のアメリカ映画です。
 1920年代にフランスに実在した殺人鬼をモデルにした映画化ということで、「市民ケーン」や「第三の男」で有名なオーソン・ウェルズの原案となっていますが、実質的には他の殺人鬼などの要素や独特のユーモアが加味された、チャップリンのオリジナルの作品です。
 最終的には15人も殺した罪で犯人は死刑になるのですが、映画中での殺人は2件だけで、家族への愛情や身寄りのない女性を助けたりと、犯人の人間的な部分を描くのに多くの時間を割いています。
 描かれた殺人も失敗の連続でユーモラスに描かれていて、残酷なシーンは全くありません。
 犯人は、30年以上働いていた銀行を不況で首になって、家族(体の不自由な妻と幼い息子)の生活を守るために、結婚詐欺と殺人を繰り返すようになります。
 1929年の世界大恐慌前後の騒然とした世情や、その後のナチスなどのファシズムの台頭を背景に、生きるために連続殺人を犯した男の悲喜劇を描いています。
 死刑執行直前に、犯人が吐く「一人を殺すと殺人者になるが、百万人を殺すと英雄になる」という有名なセリフは、家族の生活のために殺人を行った犯人と、国のためと称して戦争を起こした独裁者たちとどこが違うのかという、戦争への批判が込められています。
 この映画でのチャップリンは、チャーリー・チャップリンのチョビ髭にドタ靴のスタイルやスラップスティックな動きは捨てて、チャールズ・チャップリンとしてペーソスのある人情喜劇役者に徹しています。
 なお、この映画は、公開当時にアメリカの「赤狩り」にチャップリンが巻き込まれていたこともあって、アメリカでは興行的には大失敗(その他の国では評価されていました)で、本国で評価されるのはベトナム戦争が激化して平和運動が活発になった1960年代になってからでした。



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若草物語

2020-05-23 10:19:49 | 映画
 1949年公開のアメリカ映画です。
 児童文学の古典であるルイーザ・メイ・オルコットの原作の二度目の映画化です。
 日本で知られている「若草物語」は四姉妹の少女時代を描いたLittle Womenですが、この映画ではその続編部分(ジョーの作家修行、メグの結婚出産、ベスの死、エイミーとローリーの結婚などで、ジョーが今は亡きベスについて書いた本が出版されるまで)も含めて作られているので、私のような原作のファンは、かなり駆け足のような印象を受けます。
 しかし、優しく美人な長女メグ、男勝りで活発な次女ジョー、病弱で内気な三女ベス(映画では末っ子に変えてあります)、可愛くわがままな末っ子エイミー(映画では三女に変えてあります)の個性は、女優たちがはまり役なことも含めて、よく描かれています。
 原作もそうですが、映画でも原作者の分身であるジョーが主役で、この映画ではジューン・アリソンが演じていますが、エイミーは若い頃の世紀の美人女優エリザベス・テイラーが演じているので、やはり圧倒的に美しく華やかで、主役もかなり食われています。 


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チャップリンの黄金狂時代

2020-05-18 10:33:30 | 映画
 1925年公開のアメリカ映画です。
 当時アラスカで起こったゴールドラッシュに狂奔する人々を、痛烈に風刺しています。
 ストーリー自体は、最後に黄金を得て億万長者(死後ですね)になり、美女とも結ばれるハッピーエンドですが、それよりも特撮技術もそれほど発達していない時代に、観客を随所でハラハラさせる映像表現の方が魅力的です。
 特に、吹雪で山小屋に閉じ込められ、飢えて靴を食べるシーンが有名です。
 靴紐はスパゲッティのように巻いて食べ、靴に打たれていた釘は鶏の骨のようにしゃぶりながら、靴底をステーキのようにして食べる様子は、まさしく至芸です。
 また、短いシーンですが、二個のロールパンにフォークを刺して、まるで二本の足のようにして即興のダンスを演じてみせるシーンも、すごく動きが自然で可愛らしいです。
 オリジナルは無声映画ですが、私が見たのは、チャップリン自身が音楽とナレーションを付けた、1942年のバージョンのようです。


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モダン・タイムス

2020-05-18 10:17:03 | 映画
 1936年のチャップリン映画です。
 この映画は、世界恐慌後のアメリカにおける、非人道的なオートメーション社会(ここでは工場ですが、ご存知のように、現在ではオフィスや家庭にも広がっています。今流行のテレワークも、三十年前からそれをやっていた外資系の会社員としての経験から言うと、日本の住宅事情では会社と家庭の境目が曖昧になって、二十四時間精神的に会社に縛られる非人道的なものです)、格差社会や家庭崩壊(これらも今の日本にあてはまります)、組合への弾圧など、社会批判で有名ですが、今回見直してみると、やはりチャップリンらしい身体表現の素晴らしさに惹かれます。
 有名な目隠しで危険な場所で滑るローラースケートやいろいろなダンス、それにスラップスティック・コメディ特有の動きなど、どれをとっても一級品です。
 また、この映画は、チャップリンとしては無声映画からトーキーへの過渡期にあたるので、彼のセリフは一つもありませんが、有名な即興歌の「ティティナ」で美声(チャップリンは声が良かったので、同じ無声映画時代の大スターのキートンと違って、トーキーになってからも生き残れたと言われています)を聴かせてくれます。


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シンドラーのリスト

2020-05-16 10:32:11 | 映画
 1993年に公開されたアメリカ映画です。
 監督のスティーブン・スピルバーグが、念願のアカデミー作品賞と監督賞を受賞しました(他に五部門でも受賞)。
 第二次世界大戦において、アウシュビッツで虐殺される運命だった1100人ものユダヤ人の命を救った、オスカー・シンドラーの実話に基づいています。
 この映画の特に優れている点は、主人公のシンドラーを初めから聖人君子として描かずに、派手好きで好色な俗物が金儲けのためにユダヤ人を自分の工場の労働力(ユダヤ人だと安く使えるため)として利用したとして描いていることでしょう。
 それが、過酷なユダヤ人弾圧(かなり残酷なシーンが頻出します)を目撃して、その過程で彼がユダヤ人に同情するようになる過程を丁寧に描いて、ホロコーストの恐ろしさを糾弾するとともに最後の救出シーンを感動的に演出することに成功しています。
 ただ、終戦後のシンドラーは、あまりにユダヤ人目線で神格化されすぎていて、こうした問題を客観的にしか見られない日本人からすると、ややできすぎなような気もします。
 もっとも、スピルバーグはユダヤ系アメリカ人なので、ラストの描き方(シンドラーに救われたユダヤ人の生存者たちが子どもや孫たちと伴にシンドラーの墓を詣でて、彼らが現在は6000人以上になっていることを告げる)は譲れなかったのかも知れません。
 難役のシンドラーを演じたリーアム・ニーソンと、実質的に工場を差配してシンドラーのユダヤ人観を変えるきっかけを作った役のベン・キングズレー(「ガンジー」(その記事を参照してください)でアカデミー主演男優賞を受賞)の演技も見事でした。






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明日に向かって撃て!

2020-05-15 11:06:50 | 映画
 1969年に公開されたアメリカン・ニュー・シネマを代表するポップな西部劇です。
 アカデミー作曲賞を受賞したバート・バカラックの音楽との融合が素晴らしく、アカデミー主題歌賞を受賞した「雨にぬれても」は大ヒットしました。
 ボリビア軍の大軍が待ち受けているとも知らずに、主人公の二人組が次に銀行強盗をやる場所は英語の通じるオーストラリアにしようと楽天的に相談しながら隠れていた建物を飛び出したラストシーンは、あまりにも有名です。
 銀行や鉄道を襲う強盗団を描きながら、どこかユーモラスなタッチがこの作品の魅力でしょう。
 特に、主役のポール・ニューマンとロバート・レッドフォードと、相手役のキャサリン・ロスが演じた男性二人と女性一人のおしゃれな関係は、初めて見た高校生の時にはすごくカッコ良く見えました。
 ポール・ニューマンは、「ハスラー」などですでに大スターでしたが、この映画は彼の持ち込み企画です。
 キャサリン・ロスは、「卒業」にも主演していましたので、短い期間でしたが、日本でも大人気でした。
 当時無名だったロバート・レッドフォードは、一躍ハリウッドを代表する大スターになり、「スティング」では、ポール・ニューマンと再びタッグを組みます。

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