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一箱古本市専門店《吉田屋遠古堂》主人のぐうたらな日々。。。。

泉沢石窟仏を見に。。。

2014-02-06 21:06:26 | 歴史/民俗/伝統芸能
国指定史跡の観音堂石仏と薬師堂石仏を見に
南相馬市小高区の泉沢石窟仏(大悲山)に行ってきました。
ここは何度か訪れており、震災後は2回目の訪問です。

観音堂石仏は震災で覆屋が倒壊していたのですが、今年度はそれを撤去し
新しい覆屋をかけるための事前調査を行っていました。
現在は覆屋がないので、明るいところで細部を観察することが可能です。



ところが、覆屋がないことで直射日光があたります。
石仏自体はかなり粗放な凝灰岩質の岩盤に彫られていますが、
その岩盤は水分を通し、中の水分が表面から蒸発します。
すると、水分に含まれる『塩』が表面で結晶化してきます。
簡単にいうと汗をかいたシャツが乾くと白く塩をふくとのと一緒です。
ところがこの場合、『塩』といってもSaltではありません。
イオン結合した化合物のことです。
炭酸カルシュウムや硫酸カルシュウムなどが一般的です。

シャツの表面で塩Saltが結晶しても、シャツの繊維が切れたり
シャツ自体がそれで直接劣化することはあまりありません。
しかし、岩の表面で塩が結晶(析出)すると、霜柱が地面を持ち上げるように
岩盤の表面が岩盤からはがれてしまうことがあります。
また、塩Saltは水をかければとけて流れますが
硫酸カルシュウムや炭酸カルシュウムは水に溶けないので
結晶は削り落とさない限り除去できません。





おそらく、これは析出してきた塩でしょう。。。
覆屋がある段階でどの程度の塩が析出していたのかは不明ですが
あまりいい状態ではありません。


もうひとつ。結晶は目に見えなくても、塩の析出がおきて
岩盤が粉状に崩壊していくことがあります。
この石仏の場合は昭和40年代の初めに表面を強化処理しています。
アクリルエマルジョンを噴霧含浸して表面を硬化させています。
ですから、硬化層の内側が粉化して崩壊しており
硬化層がめくれ上がっている部分もかなり見られます。





多分、この辺りがそうなのだと思います。
とにかく、岩盤や大地と切り離せないものの保存は厄介です。
これも、岩盤に浸透してくる水分をすべて食い止めないと、多分根本的な解決はできません。
遮水壁をつくるって、どっかの原発と一緒だ。。。


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