God is in the details ~神は細部に宿る~

一箱古本市専門店《吉田屋遠古堂》主人のぐうたらな日々。。。。

死ねば、お山さ行ぐ

2005-07-22 21:56:22 | 歴史/民俗/伝統芸能
 「お山」とは恐山のこと。ちょうど今恐山では夏の大祭が終わったばかり。
 恐山というと、霊だのたたりだの、みんな怖がる。お地蔵さんが並んでいて、その周りにはカラカラとまわる紅い風車と、頼りなげに揺れるろうそく。う~ん、そのイメージも決してはずれてはいない。そして、恐山に行ったら憑かれた話やら、その帰り道で事故にあった話やら、枚挙にいとまがないほどだ。これも決してはずれではない(かもしれない)。でもね、前にも書いたけど清浄で神聖な空間でないと霊地にはならないし、霊地だったら不成仏霊やらなんやらがいるはずないし。

 さて、本州最果ての半島にたどり着くと、ひたすら山道を登り続けることしばし。けっして凄い山奥なのではないが下北自体が辺鄙な(失礼)ところなので結構山奥のように感じる。徒歩でのぼっていた頃の苦労はいかばかりかと偲ばれる。そして、突然目の前が開けると同時に目に飛び込んでくるのは、


真っ白な砂浜と、エメラルドグリーンの湖!!写真は曇天だったので、あんまりきれいに写っていないけど(w)そして、そのほとりにはお・ん・せ・ん!!温泉まであるのである。まるで南紀白浜だ。山深い森の中で道を失った若者の目の前に、突然南紀白浜が現れたら、そりゃぁこの世ならぬ「極楽」だと思ってしまうだろうね。またここに来たい、死んだらこういうとこに行きたい、ってね。

 で、恐山についての考察はまた、明日のこころだぁ~ ということで、今回は恐山の宿坊のおうわさ。恐山は「恐山菩提寺」という寺である。地蔵菩薩がご本尊。そして、境内にはおんせんが3カ所ある。こんな感じ。

男湯と女湯は山門をくぐってすぐの、参道沿いにある。かつてはここで身を清めてから参詣したのだそうだ。あと一カ所は混浴で、少しわかりにくい裏のほうにある。3カ所とも白濁した少し硫黄臭いお湯をたたえた、湯船も木造の古びた湯屋で、つげ義春を彷彿とさせる。ちなみに宿坊のほうは泳げるくらい広い。

 さて、かつては境内の片隅に粗末な、こちらもつげ義春的な宿坊があったのだが、数年前に新しい宿坊が大々的にオープンした。玄関を入ると、黒い壁がいやでも目につく。


およよっ!集団納骨堂か!?いやいや、ただの下駄箱!玄関からしてものものしい。ものものしい玄関はこう。



これじゃまるでメモリアルホールだ。

でも、そこをすぎればカウンターも




ロビーも



割と普通の旅館風。ちなみにお値段も、普通の旅館並み(w)宿泊といわずに参籠という。食事は精進料理で、簡単なお勤めのあとでいただく。わりと美味しかった。夜10時から翌朝5時ぐらいまでは外出不可。当然のことながら、テレビを始め何の娯楽施設も無いけれど、飲酒可、持ち込み可です。

 翌朝は本堂でイタコさんとならんで朝のお勤め。前夜に申し込んでおけば、このあと優先的にイタコさんにまみえることが出来るそうです。

 恐山はとてもいいところ。また行きたい。でも・・・帰り道事故にこそあわなかったけど、車のトラブルで下北から家に帰るまで通常の倍の12時間(途中1時間の仮眠を含む)もかかってしまった。高速道路を走ってたのに。たたりか!?