God is in the details ~神は細部に宿る~

一箱古本市専門店《吉田屋遠古堂》主人のぐうたらな日々。。。。

私的歌舞伎論 勢い余って三夜連続  第三夜

2005-01-07 21:09:03 | 歴史/民俗/伝統芸能
いまさらであるが、私は歌舞伎が好きである。歌舞伎座でみる歌舞伎がとっても好きである。そういうと、歌舞伎に興味のない人たちは決まってこういうだろう。「歌舞伎って何喋ってるかわからないし、難しい」。

 では聞こう、たとえば外国語のロックを聞くとき、そのすべてを理解していますか?

 仮に言葉がわからなくとも台詞の調子や所作の美しさを気持ちいいと感じることはさほど難しくない、と思う。ようするにリズムに乗ってアクションをきめると言い換えれば済むだけのこと。リズムが合わない、アクションがかっこうわるい、だから好きじゃない、というなら、それは仕方のないことだが。
 実際のところ、歌舞伎でも一部の言い回しや言葉尻をのぞいて、地の部分の言葉はほとんど今の言葉とかわらない。普通に日本で生活している人なら、外国映画の字幕を見るよりも、遙かにきめ細かい表情を読み取る事ができるのである。芝居が主である以上、義太夫なんかはBGMなので、唄っていることがわからなくてもまったくかまわない。結構テンポも良く、メリハリがきいていて聞き流していても心地いいし、もちろん、わかればさらに面白い。

 そして、一番大切なのは歌舞伎座でみること。テレビでみてたら私だって飽きる!たとえレッドツェッペリンのコンサートだったとしても、テレビで見てるだけではよほど好きな人じゃなきゃ飽きてしまうだろう。生ライブにかなうもの無し、である。
 私はなかなか歌舞伎座まで足を運ぶ機会がないので地方公演にも行くけれど、地方公演と歌舞伎座公演はまったく別のものだと思う。演目が同じでも、歌舞伎座公演と地方のそれとではアメリカ大リーグのオールスター戦と日本プロ野球のイースタンリーグくらいの差があるのではないだろうか?地方のそれは2~3人の看板役者で持っているし、それとて歌舞伎座で主役をはれるほどの人でない場合もある。一方歌舞伎座では人間国宝(!)が2人同時に舞台に上がることだって珍しくない。脇を固めるのはいずれも一人で看板を出せちゃうぐらいの人たちである。もちろんお囃子も各々それに釣り合う人たちがつとめるのは言うまでもない。開幕時の三味線のつま弾きからして響きが違うのだ。

 通常歌舞伎座では昼の部と夜の部それぞれに演目が3つ用意されている。場合によっては昼夜通しの演目だったり、昼・午後・夜の三部だったりすることもあるけど、おおむね昼夜二部の各三幕構成が標準のようだ。さて、お値段のほうだが、一等席二等席は一万~一万五千円(時価)で、三階のA席B席が5000~8000円くらいである。高い!?でも4階には幕見席というものがあり、それぞれ一幕毎に当日券が売り出される。一幕800~1200円くらいで、昼の部だと11時から16時30分まで(途中休憩が2~3回合わせて一時間半くらい)、3幕分4000円でおつりが来る。通してみても映画2回分とあんまりかわらない金額なのである。もちろん4階席は舞台からはかなり遠いし花道は見えないけど、それでも表情や指の動きはほぼ見える。むしろ双眼鏡なんか使わないで、役者の全身、舞台の全体を見渡すほうが面白い。

 さて、一度くらいは見てみてもいいな、なんて思いました?私は見たくなりました(笑)一月の板東三津五郎「鳴神」は超おすすめです!!!でも、勘三郎の襲名披露公演は混むと思うので、当日券をゲットしたかったら、平日でもかなり早くから列ばないと駄目かも。海老蔵の襲名披露公演の時は平日でも昼の部の当日券に発売の二時間以上前から列んでたっけ・・・