一の富―並木拍子郎種取帳角川春樹事務所Amazonで詳細を見る |
『「ちと、面白いことがござりました」―人気狂言作者・並木五瓶の弟子・拍子郎は、“町のうわさ”を集め、師匠のうちに報告にくるのが日課だ。大店の不義密通事件、出合茶屋の幽霊騒動、金貸し老婆の首括り事件…拍子郎は、遭遇する事件の真相を、五瓶とその妻の小でん、料理茶屋のおあさ、拍子郎の兄で北町奉行所に勤めている惣一郎などを巻き込んで、次々と明らかにしていく―。江戸の四季と人の心の機微が織りなす、粋でいなせな捕物帳の傑作シリーズ第一弾。』
「仲蔵狂乱」「東洲しゃらくさし」の松井今朝子が「東洲しゃらくさし」の登場人物で狂言作者の並木五兵衛(ここでは五瓶)を安楽椅子探偵に書いた捕り物帳。「剣客商売」を髣髴とさせるほのぼのさ加減が心地いい。たぶん陸奥三部作の後だからもあるんだろうなぁ。
短編集なので、なんとも物足りないといえば物足りないのだけど、歌舞伎の世界のトリビアがそれを補ってくれる。
「阿吽」「出合茶屋」「烏金」「急用札の男」「一の富」の五編