読書日記☆こんな本読んでます

2004年1月からの記録です。
この頃積ん読が多くっていけません....

壺中の回廊

2013-06-29 | 時代小説
壺中の回廊
松井 今朝子
集英社
『昭和五年、東京。「忠臣蔵」の舞台で事件は起きる。容疑者は役者、裏方、観客すべて。だが、「嘘をつくのが商売」の役者たちを相手に捜査は難航。築地署は江戸狂言作者の末裔・桜木治郎に捜査協力を要請した。激動の時代を背景にした渾身の長編歌舞伎バックステージ・ミステリー。 』


昭和五年、東京。微妙な年代の世相。
舞台は歌舞伎の舞台裏。
著者にとっては自家薬籠中のと言っていいはずなのだが、詳しすぎるのものも難かなぁと思う。
社会情勢を描くのに一所懸命過ぎて、主題が呆けた。

現実は壺中の回廊かもしれないけれど、どこかに救いがなければ小説を読む値打ちはないんじゃない?


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数えからくり―女錠前師緋名

2013-06-29 | 時代小説
数えからくり―女錠前師緋名
田牧 大和
新潮社
『損な性分、百も承知。けれど、泣いてる誰かがいる限り、放っておくことできやせぬ――。

大店の娘殺し、神隠しの因縁、座敷牢に響く数え唄、血まみれの手。因果の糸を辿った先には、開けてはならぬ扉がひとつ。人の心の奥底の、〈悪〉を封ずる錠前付の――。緋名には解けないからくりなど、ないはずだったが――。誰かが嘘をついているのか? 時代小説界の俊英、大ブレイク作誕生! この才能に、瞠目せよ!』


『緋色からくり』の続。
なぜか読み残していたことに気づいて(遅い)

あまり続を書かない田牧さんにしては上手い作品だと思う。
ラスト、これでいいのかどうか。
蛇足だったんじゃないかと私も思う。


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竜の雨降る探偵社

2013-06-28 | 国内ミステリー
竜の雨降る探偵社
三木 笙子
PHP研究所
『「探偵というのは、品のない商売だね。人が隠したがっていることをわざわざ暴き立てるんだから」
「雨天のみ営業」――昭和30年代、新宿。珈琲店の二階で探偵業を営む美しき青年と、その幼馴染の友人。
二人が真実に辿り着くとき、哀しき人の心に慈雨が降る。
昭和30年代の新宿、珈琲店の二階に住むその美しき青年・水上櫂(みなかみ・かい)が開いた探偵社は、「雨の日だけ営業する」そう噂されていた――。
櫂のもとに、大家で幼馴染の和田慎吾(わだ・しんご)が「最近、自分の店子の会社で、郵便物の間違いが多くて、応対する受付の女性が困っている」と訪れる。
慎吾が櫂に相談した三日後、その女性は失踪して……(表題作)。
◎友人の死を悼む女性の真意を見抜く「沈澄池のほとり」、◎破格の条件が用意された学生カメラマン採用試験の謎に迫る「好条件の求人」など四作品を収録した連作短篇集。
<帝都探偵絵図>で注目の著者が描く昭和探偵物語。 』


水上探偵社の水上櫂とその大家で幼馴染の和田慎吾、その二人の謎を通奏低音に物語は静かに進行する。
<帝都探偵絵図>の有村礼の老後もちらりと登場して、サービスも忘れない。
この物語も決して嫌いではないけれど、<帝都探偵絵図>の方が好きかな。
続きが出れば読むかもしれないけれど。


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王朝序曲―誰か言う「千家花ならぬはなし」と 〈上〉・〈下〉

2013-06-28 | 海外ミステリー
王朝序曲―誰か言う「千家花ならぬはなし」と〈上〉 (角川文庫)
永井 路子
角川書店
『長岡京への遷都、蝦夷出兵と大胆な政治を押し進める帝王桓武。しかし、蝦夷攻略は失敗、相次ぐ妃の死、大水害に見舞われ、かつて自らが宮廷から追放した早良親王らの怨霊に惑わされ、再び遷都を決意した。亡き母親への憧憬拭いがたい安殿は、後宮入りした娘の母・藤原薬子の身体にのめり込み、その関係を咎める桓武帝と相剋を深める。平安遷都七九四年、官等をめざして縺れあう藤原真夏、冬嗣兄弟の愛憎、皇太子・安殿との骨肉の相剋に命をすりへらしていく帝王桓武を描く、長編歴史大河小説の大作。 』

王朝序曲―誰か言う「千家花ならぬはなし」と〈下〉 (角川文庫)
永井 路子
角川書店
『六十の齢に達し、病床の身にあった桓武帝は、いよいよ安殿に譲位した。平城帝が誕生し、ひとつの時代が終りを告げた。新帝は、一度は遠ざけられた藤原薬子を近任させ、薬子は宮廷での権力を強めた。出世に背を向けた冬嗣は、鷹揚な皇子・賀美能に仕えるが、計らずも平城は、賀美能を皇太子に指名し、冬嗣もまた、政治抗争の中央へ引き出されていく…。桓武から平城、そして嵯峨へ。権力と愛欲の葛藤がくりかえされ、平和がくる。野望と挫折、長編歴史大河小説の力作。 』


藤原北家の栄華の祖・冬嗣の目を通して、桓武・平城・嵯峨の時代を描く。
小説と言うか解説と言うか微妙なところだけれど、永井路子さんの史観による当時の様子が興味深かった。
このあたりの歴史認識がせいぜい「鳴くよ うぐいす 平安京」のレベルだったがゆえに、特に。


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移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活

2013-06-27 | その他
移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活
高野 秀行
講談社
『「おとなの週末」の人気連載を単行本化。年明けにクリスマスを祝うロシア人、カレーライスもラーメンも食べられないけれど、寿司は大好きというムスリム(イスラム教徒)の人々、屋台街のような中華学校の「園遊会」、レストランの賄いもワインとチーズ付きのフランス人……。知られざるご近所さんの食卓に突撃。日本初の”ごはん”文化比較論的ルポ。 』


期待は裏切られない。
外地に移民した日本人が思いもかけない形で日本食を維持している様子をTVで見たことがあったが、日本の中でも同様の作業が行われているのは当たり前のことだと言えるのだろうが、気づきにくいことだった。

食事の向こうには文化が見える。
そしてそれぞれの矜持も。

日本食は簡単だから日本食も作るという発言が散見し、認識を新たにした。この場合の日本食は料亭の日本食は意味しないのだろうが。

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縄文人に学ぶ

2013-06-24 | その他
縄文人に学ぶ (新潮新書)
上田 篤
新潮社
『縄文を知らずして日本人を名乗るなかれ。私たちが旬の味覚を楽しむのも、南向きの部屋を好むのも、鍋料理が恋しくなるのも、主婦が家計を預かるのも、玄関で靴を脱ぐのも、家々に神棚や仏壇を祀るのも、みなルーツは縄文にあった!驚くほど「豊か」で平和なこの時代には、持続可能な社会のモデルがある。建築学者でありながら、縄文研究を三十年来のライフワークとしてきた著者が熱く語る「縄文からみた日本論」。 』


上田先生は町屋研究しか知らなかったのだが、町屋研究と共に鎮守の森も気にしつつ、縄文研究もされていたとは…。
記紀の記述に縄文文化が表れているという知見は目からウロコ。
縄文文化は決して縄文時代のみにあるのではなく、現代まで色濃く生き続けているという指摘は頷ける。
面白かった。






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コン・ティキ号探検記

2013-06-23 | その他
コン・ティキ号探検記 (河出文庫)
トール・ヘイエルダール
河出書房新社
『古代ペルーの人々は太平洋をバルサ材の筏で渡り、ポリネシア人の祖先となったのではないか?その仮説をみずから実証すべく、古代の筏を複製したコン・ティキ号に乗り、五人の仲間とともに太平洋横断の航海に挑む―奇抜な着想と貴重な体験、ユーモラスな筆致で世界的なベストセラーとなった大冒険記。 』


大昔、たぶん子ども向けの『コン・ティキ号漂流記』(漂流記だったような気がするのだけど、十五少年漂流記とごっちゃにしているのかもしれない)を読んだことがある。
なぜかしら再刊されているのだけれど、映画化されているのね。

改めて読んで、著者トール・ヘイエルダールのユーモラスな筆致に騙されそうだけれど、クレージーと言うしかないような冒険には驚く。
一人も欠けずに成功してほんとうによかった!

ポリネシア人の祖・コン・ティキがペルーから渡ったのは分かったのだけど、その白い肌の赤い髪の背の高い民族は誰?
そして、トール・ヘイエルダールの奥さんはこの冒険の間どうしていたのかしら?

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セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎

2013-06-23 | 国内ミステリー
セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎
天祢 涼
講談社
『急逝した父のあとをうけ、国会議員になった漆原翔太郎。初登院早々に飛び出した問題発言や問題行動で、支持率急落、早くも次の総選挙は赤信号!?危機的状況に頭を痛める秘書・雲井進のもとに舞い込んだのは、マンションの建設反対運動。支持率アップのため翔太郎をけしかける雲井だったが、唖然とする行動に出られてしまい……? おバカな議員と堅物秘書の凸凹コンビが挑む、謎解きとユーモアに溢れた五つのミステリー! 』


タイトルとキャラ設定が面白そうだったのだが、2世議員・翔太郎も第一秘書・雲井も好きにはなれず、設定が空回りした印象。

風刺をきかせてくれるとおもしろかったのだが、こんなやつが議員をやっていると思うと不愉快にならない方がおかしい。
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名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ

2013-06-21 | 国内ミステリー
名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ
吉永南央
文藝春秋
『北関東のとある地方都市の一角、観音さまが見下ろす街、紅雲町で、コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営む気丈なおばあさん、杉浦草。人々を温かく見守り続ける彼女は、無料のコーヒーを目当てに訪れる常連たちとの会話がきっかけで、街で起きた小さな事件の存在に気づいていく人気シリーズ第三弾。今回は、お草さんが、コーヒーを仕入れるミトモ珈琲商会が、紅雲町のある街に出店を計画。ミトモでは、二代目の若手女性社長・令が紅雲町をリサーチしていた。珈琲豆の仕入れに不安を感じたお草さんは、懇意であるミトモ初代社長に相談へ行くが、社長になった娘の令と、彼女をサポートする井(い)との対応で、逆に三友から相談されてしまう(「長月、ひと雨ごとに」)。紅雲町の青果店に持ち上がった産地偽装問題を記事にしようと、意欲に燃えている新聞記者の萩尾。だが、事件の背景には、意外な事情があった。萩尾の元の雇い主で、お草さんのコーヒーの師匠であるレストラン「ポンヌフアン」であるバクサンこと寺田博三は、正義感が先行し、ややあぶなかったしい萩尾を心配して、青果店と同じ町に住むお草にお目付け役を依頼する(「霜月の虹」)。お草は、この事件を通して、草の友人である由紀乃のいとこのかつての夫で、萩尾の民俗学の師匠である勅使河原先生と、その娘の美容師・ミナホとも関わることになる。草から見る、萩尾とミナホの関係は、どこかギクシャクとした不思議な関係だった。そんななか、勅使河原先生に論文盗用の疑惑が持ちあがる。そして、論文盗用疑惑をきっかけに、三人の止まっていた時が動き出そうとしていた……。「萩を揺らす雨」でブレイクした著者が、お草さんと彼女をとりまく街の人々の生活を通して、四季を描きつつ、お草さんならではの機転と、ささやかな気配り、そして豊富な人生経験から、小さなトラブルを解決していく滋味あふれる短編連作小説集。 』


お草さんも「小蔵屋」も好きなのだけれど、(唐突だが)萩尾くんとミナホさんは合わないと思う。東京と愛知に分かれて自然にフェードアウトしてくれるとありがたいのだが。

やはりコージーでもおばあさんを主人公にする方が、長く生きていた経験などを映しこむことができて物語が深くなっていいと思う。
もちろんそれには作家がどのようにおばあさんを造形できるのかに掛かってくるわけだけれど。



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軍神の血脈 ー楠木正成秘伝ー

2013-06-17 | 国内ミステリー
軍神の血脈 ー楠木正成秘伝ー
高田崇史
講談社
『南朝に殉じ命を落とした勇将・楠木正成。太平洋戦争中、彼はその生き様から軍神として崇められた。―そして現代。特攻隊の生き残りで歴史研究家の修吉は、正成の死に纏わる恐るべき真実を発見する。だが直後、何者かに毒を射たれ、瀕死の重体に。背後に見え隠れする秘密結社“南木の会”…。修吉の孫・瑠璃は高校の同級生で作家の京一郎とともに、祖父の命を助けるため、正成の秘密を追う。南北朝時代から現代、そして東京の史跡と愛媛県を繋ぎ、葬られた歴史の真実が、明らかとなる。 』


あまりにタイムリミットが短過ぎるのと、いくらなんでも都合のよい展開の殺人(未遂)事件、腰砕けの秘密結社ではサスペンスも盛り上がらない。
軍靴の足音が聞こえてくる昨今、書いておきたかったと思ったのかもしれないが、いかんせん楠木正成はあまりにマイナーな存在。
丁寧に説明してもらっても、読み終わって「あ、そう」という感覚しか持てない。
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