『「探偵というのは、品のない商売だね。人が隠したがっていることをわざわざ暴き立てるんだから」
「雨天のみ営業」――昭和30年代、新宿。珈琲店の二階で探偵業を営む美しき青年と、その幼馴染の友人。
二人が真実に辿り着くとき、哀しき人の心に慈雨が降る。
昭和30年代の新宿、珈琲店の二階に住むその美しき青年・水上櫂(みなかみ・かい)が開いた探偵社は、「雨の日だけ営業する」そう噂されていた――。
櫂のもとに、大家で幼馴染の和田慎吾(わだ・しんご)が「最近、自分の店子の会社で、郵便物の間違いが多くて、応対する受付の女性が困っている」と訪れる。
慎吾が櫂に相談した三日後、その女性は失踪して……(表題作)。
◎友人の死を悼む女性の真意を見抜く「沈澄池のほとり」、◎破格の条件が用意された学生カメラマン採用試験の謎に迫る「好条件の求人」など四作品を収録した連作短篇集。
<帝都探偵絵図>で注目の著者が描く昭和探偵物語。 』
水上探偵社の水上櫂とその大家で幼馴染の和田慎吾、その二人の謎を通奏低音に物語は静かに進行する。
<帝都探偵絵図>の有村礼の老後もちらりと登場して、サービスも忘れない。
この物語も決して嫌いではないけれど、<帝都探偵絵図>の方が好きかな。
続きが出れば読むかもしれないけれど。