読書日記☆こんな本読んでます

2004年1月からの記録です。
この頃積ん読が多くっていけません....

勘三郎伝説

2013-11-21 | 歌舞伎
勘三郎伝説
関 容子
文藝春秋
『「銀の薔薇を百本贈るよ」――約束は太地喜和子の通夜で果たされた。
「役者の仕事って水の上に指で字を書くようなもの。書いたそばから空しく消えてしまう」――。芝居の世界に身を捧げ五十七歳で早世した稀代の名優・十八代中村勘三郎。初舞台から見守り、親交を結んできた著者だけが知る初恋の真実、芝居への情熱、豊かな人間関係……。人を愛し、芝居を愛したその生涯を豊富なエピソードを散りばめながら描く。

第一章 初恋の人に銀の薔薇を――「どこにいても毎日会おう」北海道でも九州でも
第二章 勘三郎スピリットと仁左衛門――実の兄とも慕った松嶋屋との友情
第三章 超多忙な天才子役――学校、芝居、テレビ、ラジオ、映画に稽古の毎日
第四章 中村屋極付『連獅子』誕生秘話――先代と。息子たちと。しかし果たせなかった「孫獅子」との共演
第五章 命あってのもの――「子どもたちを頼むよな」姉・波乃久里子に託した日
第六章 二十二歳下でも海老蔵は友だち――アリゾナの別荘に、稽古に押しかけた弟分
第七章「わたしの若い友人」と書く作家――相次いで逝くことになる丸谷才一から学んだこと
第八章 新しい世界への挑戦――井上ひさしに執筆を頼んでいた「大悪人」の役とは?
第九章 夢の地図――琴平、赤穂から英語のせりふに挑んだニューヨークまで
第十章 勘三郎の出会った人々――ピエール・カルダン/ロバート・デ・ニーロ/宮沢りえ/杉村春子/勝新太郎/三木のり平/古今亭志ん朝
第十一章 思い出走馬灯――愛らしかった『娘道成寺』から幻と消えた『助六』計画まで 』


申し訳ないが、関さんも老いたなという印象。
『中村勘三郎楽屋ばなし』等のころは真摯で、謙虚だったのだけどなぁ。
これまでの本で使わなかったエピソードをつなぎ合わせただけ。

好江さんも近々本を出されるようですね。
うーーん。

私自身は決して勘三郎さんの大ファンではなかったが、今の歌舞伎界になくてはならない人だったのは確か。
喪失感はまだ癒せていない。
若手の奮起を望む。

太地喜和子さんは決して初恋の相手じゃないと思うけどね。
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歌舞伎のいま どの芝居をどの役者で見るか

2013-05-12 | 歌舞伎
歌舞伎のいま どの芝居をどの役者で見るか
大西 匡輔
真珠書院
『歌舞伎は役者で見る芝居である。役者と芝居がマッチしてこそ「歌舞伎の醍醐味」が味わえる。役者と芝居の「美味しい」ところを鷲掴みにした歌舞伎ガイド。あと一歩、歌舞伎の世界にハマりたい人たちへ贈る格好の道案内となる一冊。』


著者の大西匡輔さんは高校の国語の先生だった方で、言ってみれば歌舞伎の世界には素人。
素人=歌舞伎の世界には縁のない人が歌舞伎とは縁のない出版社で出したからこそ、ズバズバ言ってしまえるのだなぁとほほえましく思ってしまう(自費出版なのかと思った)
ん?と思うことも散見するが、個人の意見ですもの、拝聴しよう。
勘三郎丈、団十郎丈亡きあとを論じているのは近松ばりの速攻と言えようか。
特に上方で歌舞伎を見始めた人には面白く読めると思う。
進之介は…ムリだと思うけれどね。
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染五郎の超訳的歌舞伎

2013-04-28 | 歌舞伎
染五郎の超訳的歌舞伎
市川 染五郎
小学館
『歌舞伎舞台は役者次第!その役者が舞台の息づかいそのままに書き下ろす、前代未聞の歌舞伎解説。「舞台メイキング+あらすじ+役者の頭の中」が25演目勢ぞろい。四代目市川猿之助との対談「これからの歌舞伎を“超訳する”」収録。』


ポピュラーな演目からレアな演目まで、不惑に達した染五郎が語っています。
なかなかに興味深い。
私があれはちょっと・・と思う舞台も肯定的に捉えられるところが舞台人には欠かせない素質なのだろうな。
新感線、見とけばよかったかな。
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歌舞伎のぐるりノート

2013-04-26 | 歌舞伎
歌舞伎のぐるりノート (ちくま新書)
中野 翠
筑摩書房
『素敵にグロテスクであり、しつこく、あくどく、面白い。あやしくて大胆不敵だけど、トロンとした雰囲気がある…歌舞伎は、“劇的なるもの”が凝縮された世界である。ある一瞬、他の演劇では味わえない独特の感興を与えてくる。その感興を簡単に一言で言うなら、ザワザワと血が騒ぐ。「劇的なるもの」への憧れ、飢え、自分のDNAの中にひそんでいるものがカッと目覚めさせられるのだ―その「劇的なるもの」を、著者は歌舞伎のみならず、歌舞伎の周辺にも数々見出す。通になるための本ではなく、「歌舞伎的なもの」を求めて、著者が歌舞伎とその周辺をめぐるコラム集。 』


中野翠さんのお気楽な歌舞伎周辺のエッセイ集で、こんなん新書で出していいのんって感じだけど、うんうん、わかるわかるという面白さですいすい読めた。
中野さんがお描きのイラストが達者で、またそっくりで楽しい。

私は(ナマの)歌右衛門さんに間に合わなかったのだが、誰の評より頷けたのがうれしかった。

このところ歌舞伎鑑賞にはご無沙汰だが(直近は故勘三郎さんの長兵衛)、また行ってみるか~と思わせたが、中野さんは新歌舞伎座には行かれたのかしら。

ぜんぜん歌舞伎とは関係ないが、高校の古文で『曽根崎心中』を読んだと書かれているのだけど、教科書?? 心中ものを高校生に読ませるって・・・ビックリ。





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舞台の神に愛される男たち

2012-08-14 | 歌舞伎
舞台の神に愛される男たち
関 容子
講談社
『当代随一のインタビューの名手が、舞台を華やかに彩る13人の名手の肉声に迫る。
生の証言がそのまま戦後舞台史ともなる究極の一冊!

●柄本明 「見せ物」の醍醐味を知る男 
●笹野高史 軽演劇の香りをまとった「うまい」役者
●すまけい カリカチュアの自由人
●平幹二朗 仮面の名優
●山崎努 演じる哲学者
●加藤武 江戸者の武骨と愛嬌
●笈田ヨシ 漂泊の吟遊詩人
●加藤健一 永遠の演劇青年
●坂東三津五郎 歌舞伎DNAへの挑戦者
●白井晃 才能の化学反応を生むコンダクター
●奥田瑛二 美性と魔性のデカダンス
●山田太一 異界への案内人
●横内謙介 扉を開く劇薬売人  』


実際にナマの舞台で拝見した方は少ないけれど、関容子さんのインタビューだもの、必読!
そうそうと頷いたり、へぇと驚いたり…実際の舞台が観たくなって仕方がない。
あちこちアンテナを広げておかなければね。


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団十郎と『勧進帳』

2012-06-13 | 歌舞伎
団十郎と『勧進帳』
小坂井 澄
講談社
『七代目がつくり、八代目が助け、九代目が完成した歌舞伎きっての人気狂言『勧進帳』成立の謎。能の『安宅』に材をとり、人間愛あふれる内容、簡潔ですがすがしい舞台をつくりあげるまでの人間ドラマ。歴史ノンフィクション。 』


必ず勧進帳の読み上げのあたりで寝てしまう『勧進帳』ではあるけれど、本書、七代目がつくり、八代目が助け、九代目が完成した様子を当時の世相なども加えてドキュメントタッチで描いていて面白かった。
次は起きていられるかな(ムリかな(笑))


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「菅原伝授手習鑑」精読

2012-06-08 | 歌舞伎
「菅原伝授手習鑑」精読――歌舞伎と天皇 (岩波現代文庫)
クリエーター情報なし
岩波書店
『日本人の精神構造を強く規定する天皇。本書は歌舞伎の名作「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」を題材に、作品に描かれた天皇像から日本人の心性を探る。実のわが子を主君の若君の身替わりに供するという異常性、天神伝説、牛飼舎人などの設定の意味を多方面から読み解き、天皇と歌舞伎という聖俗の対極をつなぐものを明示する。岩波現代文庫オリジナル版 』


現在「菅原伝授手習鑑」の全幕を上演されるということはほとんどないわけで、「車引き」、「賀の祝」がたまに、「寺子屋」はよく観るというところか。
「菅原伝授手習鑑」の題名の意味すらも考えたことがなかったので、全幕のストーリーを詳細に知ることができてよかった。

が、「寺子屋」での松王丸があまりに立派ないでたちなせいもあるが、松王丸=八瀬童子だったと言われても俄かには肯けない。
ましてや「天皇」に結び付けられても…。
この物語の精神性は武士のものなのではないか?

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坂東三津五郎 踊りの愉しみ

2012-03-31 | 歌舞伎
坂東三津五郎 踊りの愉しみ
クリエーター情報なし
岩波書店
『踊りをもっと愉しんでいただきたい―そんな思いを込め、踊りの名手・十代目坂東三津五郎が、魅力あふれる舞踊の世界へご案内いたします。日本舞踊の本質や心得、身体の使い方や振りなどの知識から、三津五郎代々の藝、稽古の思い出まで、明晰な語り口で説き明かします。坂東家の藝である『道成寺』『六歌仙容彩』『山帰り』『三社祭』『棒しばり』などは演目ごとに解説。 』


踊りはたいてい眠くなるのだけれど、三津五郎さんの踊りだけは何を言っているのかがよくわかって楽しめている。
その根幹を語っているのが本書。
説得力のある踊りの秘密が伺えます。



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上方のをんな

2012-03-29 | 歌舞伎
上方のをんな: 女方の歌舞伎譚
片岡 秀太郎
アールズ出版
『心眼といわれた十三代目片岡仁左衛門の次男、片岡秀太郎。ほとんどの歌舞伎役者が東京に居を構えている中、上方の空気に触れ、そこで寝起きするからこそ、本物の上方らしさが自然と身につくものと、頑なに上方にこだわり続け、上方歌舞伎の頭脳といわれるほどの研究家でもある。古稀を迎えた今年、六十余年となる役者人生を振り返り、数々の名優たちとの芸談、さまざまな演目、役のしどころ、見どころなどを語る。
名優の誉れ高い十三代目片岡仁左衛門の次男に生まれ、上方に生き、上方らしさに徹底的にこだわり続ける役者、片岡秀太郎が初めて語る女方の真髄! 』


雀右衛門さんの訃報を知り、思い出して積読になっていた本書を。
「上方のをんな」ということで、上方の演目の女形の要諦を的確に表現されて面白く読めた。
かわいらしい娘役もほんとうに違和感なく演じられるのはさすがというほかはない。
立ち役も女形も演じられるのが上方の役者。
愛之助さんにもたまには女形も演ってほしいと思うのだが。

批判めいたことはおっしゃっていないのだが、無視していらっしゃることがあることに否応なく気づいてしまう。
無視が批判ということになるのだろうな。

このところ歌舞伎には足が遠のいているのだが、久しぶりに行ってみるかなぁ。


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歌舞伎の愉しみ方

2008-11-30 | 歌舞伎
歌舞伎の愉しみ方 (岩波新書)
山川 静夫
岩波書店

このアイテムの詳細を見る
『歌舞伎は観客も立派な構成要素、感じるままに観ればいいのです。ただ、今の世の中、ちょっとした手助けで、愉しみ方はずっと深くなるはずですよ―一人の観客として歌舞伎を愛して半世紀、当代の見巧者が、知っておけばさらに愉しめる「約束事」の数々から名優・名舞台の息づかいまで、練達の筆で丁寧に紹介する。格好の入門書。 』

山川静夫さん(元NHKアナウンサー)の歌舞伎の本。
今さら感があるけれど、面白く読んだ。

あとがきの山川さんの言葉
『「歌舞伎通」と俗に言われるような人が・・・(中略)・・・自分だけがその道を知り尽くしていると信じこみ、高所から見おろしていては、文化は決して育ちません。大切なのは「わかりやすさ」と「やさしさ」です。』
これを忘れているというより一顧だにしない"歌舞伎通"がどんなに世の中にあふれていることか、どれだけいじめられたことか・・・。

自分なりの感性で見ることが文化なのだと思う。

もっと多くの日本人にホンモノの歌舞伎をとりあえず観て欲しい。
日本に居てホンモノを観ることができるのは、やはり日本の伝統芸能だと思うから。
最初からホンモノを見ないと感性は養われない。

しかしながら、歌舞伎には、長い時間をかけて築きあげられてきた舞台の上の約束事がいろいろとあるのは事実である。
その約束事がわかっていればもっと楽に愉しく観ることができるだろう。
本書がその助けになることは間違いない。
山川さんはわかりやすく、そしてやさしい。

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