読書日記☆こんな本読んでます

2004年1月からの記録です。
この頃積ん読が多くっていけません....

鴨川ホルモー

2007-09-28 |  万城目学
鴨川ホルモー
万城目 学
産業編集センター

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『このごろ都にはやるもの、勧誘、貧乏、一目ぼれ。葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。このごろ都にはやるもの、協定、合戦、片思い。祇園祭の宵山に、待ち構えるは、いざ「ホルモー」。「ホルモン」ではない、是れ「ホルモー」。戦いのときは訪れて、大路小路にときの声。恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。京都の街に巻き起こる、疾風怒涛の狂乱絵巻。都大路に鳴り響く、伝説誕生のファンファーレ。前代未聞の娯楽大作、碁盤の目をした夢芝居。「鴨川ホルモー」ここにあり!!第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。』

↓「鹿男あをによし」の作家の処女作。
鹿男あをによし」が気に入ったので読んでみた。

この作家さんはハマる人はハマる、ハマらない人はハマらない、きっちり分かれるだろうなぁ。
私は前者。
荒唐無稽な思い付きを、よくもまあ理路整然とまとめあげたものだと感心。
SF(サイエンスフィクション)という言葉があるけれど、HF(ヒストリーフィクション)という言葉を進呈したい。

確かに京都に土地鑑のない人、陰陽寮などの知識のない人には読みにくいかもしれない。
そういう人がどういう感想を持つのか、息子で試してみようと思うのだけれど、親の勧める本にはとりあえず拒否反応を示す・・・。

次作は大阪が舞台だそう。
どんなHFを読ませてくれるか楽しみ♪

この後日談も読みたいな。ネタに困ったらシリーズ化してください。
映画化もいいかも(できれば「鹿男あをによし」から先に)


【追記】
ネタに困ったわけでもないでしょうけれど、やっぱり後日談がありました!
「ホルモー六景 其ノ一 鴨川(小)ホルモー」07年3月野性時代
「同 其ノ二 ローマ風の休日」07年4月野性時代。
「同 其ノ三 もっちゃん」07年5月野性時代。
「同 其ノ四 同志社大学黄竜陣」07年6月野性時代。
「同 其ノ五 丸の内サミット」07年7月野性時代。
「同 其ノ六 長持の恋」07年8月野性時代。

図書館にでも行って読んできましょうかね。
そのうちまとめて出版してくれるかな。
短編集になっちゃうのが物足りないけど。

「鹿男あをによし」、直木賞候補になっていたんですね。
まだ2作目で松井今朝子さんの向こうを張るとはすごい!


【追記その2】07/11/25
「ホルモー六景」本になりました → LINK
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鹿男あをによし

2007-09-19 |  万城目学
鹿男あをによし
万城目 学
幻冬舎

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『 「さあ、神無月だ――出番だよ、先生」;神経衰弱と断じられ、大学の研究室を追われた28歳の「おれ」。失意の彼は、教授の勧めに従って2学期限定で奈良の女子高に赴任する。ほんの気休め、のはずだった。英気を養って研究室に戻る、はずだった。あいつが、渋みをきかせた中年男の声で話しかけてくるまでは……。;慣れない土地柄、生意気な女子高生、得体の知れない同僚、さらに鹿…そう、鹿がとんでもないことをしてくれたおかげで、「おれ」の奈良ライフは気も狂わんばかりに波瀾に満ちた日々になってしまった!;「壮大な構想、緻密な構成、躍動するディテール、ちりばめられたユーモア…。これが二作目なんて信じられない。この作家は、いずれ直木賞を獲るだろう」と"本読みの達人"金原瑞人氏が絶賛した、渾身の書き下ろし長編。 』

ここは奈良である。たぶんご当地モノだからなんだろう、この「鹿男あをによし」がどこの書店でも平積みにしてある。元来へそ曲がりであるし、こういうのは羊頭を掲げて狗肉を売る例が多いのが経験則であるからして、どうも読む気がしなかったのだけど・・・ま、ついに(と言うべきなんだろうなぁ)読んだ。

面白い、素直に。

どこが、と言えばいいのだろう。
"軽い"のに"深い"からかな。
金原瑞人氏曰くの「壮大な構想、緻密な構成、躍動するディテール、ちりばめられたユーモア…」である。

あんまり詳しく書いてもネタばらしになるだけで申し訳ないので、とりあえず
ま、読んで見てくださいな。
ソンはしません。
特に奈良に在住、あるいは土地勘のある方にはより一層楽しんでいただけるのではないかな。
ちなみにこの「奈良の女子高」のモデルは実在しません。残念。



・朝日新聞 著者に会いたい「鹿男あをによし 万城目学さん」 → LINK


著者の万城目学さん、大阪府出身とかいてあるだけで出身高校は書いてないんですけど、とある高校ではないかと勝手に推察しています。
その高校には姉妹校との三○○交歓会という体育大会が存在する(あるいは存在した)・・・(現況は知らない)
ま、そんなものを行っている所は多々あるのかもしれませんが


【追記】
本書に鹿にポッキーを食べさせる(しかも実に喜んで食べる)シーンが頻出するんですけど、奈良の鹿愛護会は真似されると困るので「与えないで」という注意書きを挿入することを求めたそうです。
  掘り出しニュース:奈良公園のシカにポッキーは× → 毎日jp
大きな声ではいえませんけど、著者は実際に食べさせたことがあるに違いない・・・
ま、"食べられた"が正解かもしれませんが・・・。彼らは鹿せんべいより美味しいものをよくわかっている・・・

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天平冥所図会

2007-09-17 | 時代小説
天平冥所図会
山之口 洋
文芸春秋

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『青丹よし奈良の都は~と万葉集に歌われた華やかなりし天平時代。権謀術数を巡らすのは重役でも、下っ端役人とはいえ否応なくその争いに巻き込まれ、上手く立ち回らねば無実の罪を着せられ、職を追われ、下手すれば命さえ狙われる。大仏建立に絡む行方不明事件をきっかけに親しくなったちょっと歳の離れた葛木連戸主(かつらぎのむらじへぬし)と和気広虫カップル。この二人がやがて夫婦となって、時に怨霊の力も借りつつ、権力悪に立ち向かう! 史実をもとに花開く、会心の天平ファンタジー絵巻登場。』

朝日新聞の書評欄で見かけ、ちょうど今お気に入りの時代なもので(ex.風の陣)、Amazonに見に行ったら在庫がなく、3~5週間後に配送ときた。こういうときにムキになるのが悪いクセ・・・。セブンアンドワイで見つけて早速購入。

大仏建立、正倉院の成立、恵美押勝の乱、宇佐八幡宮における神託事件(道鏡の失脚)がテーマの4つの短編集。
この時代を葛木連戸主(かつらぎのむらじへぬし)=下級官吏の視点から見るのが非常にユニークで面白かった。
いいところに目をつけたと思う。超有名人ではないけれど、ちゃんと歴史に名を残しているカップルなのである。(広虫の弟はあの和気清麻呂)
独自に資料を読み解かれたのだろうと思う。
どこまでが事実でどこからが虚構なのかはっきりしない点はあるが、同じ資料を読んでこういう風に読み取ることもできるんだと面白く思う。

正倉院の御物には毎年お目にかかるけれど、光明皇后の思いつきだけで短期間にあの膨大なものたちを整理し、目録を作らなければならなかった当時の公務員のみなさんがどんなにたいへんだったか、なんてこと今まで考えたこともなかった。

重厚なヒーローもいいけれど、同じ時代をこんな風に軽妙に描いているのを読むのも楽しい。
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火怨〈上〉〈下〉―北の燿星アテルイ 《再読》 

2007-09-06 |  高橋克彦
火怨〈上〉―北の燿星アテルイ

講談社

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火怨〈下〉―北の燿星アテルイ

講談社

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『辺境と蔑まれ、それゆえに朝廷の興味から遠ざけられ、平和に暮らしていた陸奥の民。八世紀、黄金を求めて支配せんとする朝廷の大軍に、蝦夷の若きリーダー・阿弓流為は遊撃戦を開始した。北の将たちの熱い思いと民の希望を担って。古代東北の英雄の生涯を空前のスケールで描く、吉川英治文学賞受賞の傑作。』


風の陣」を読んでいてどうしても読みたくなったので再読。
一昨年読んだので細部はすっかり忘却。
これはやはりアテルイというヒーローのキャラが立っていて・・・いい!
涙ぽろぽろ・・・。

本書は「風の陣 [立志篇]」の30年後を描く。若い物部天鈴や鮮麻呂、坂上田村麻呂が立派な大人。丸子(道嶋)嶋足はもう亡くなっている。嶋足、アテルイの中では裏切り者の評価でちょっとさびしい。
「風の陣」はこの間を全部埋めることになるのだろうなぁ。
[風雲篇]、やっぱり読もうかな。


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新聞錦絵の世界

2007-09-03 |  高橋克彦
新聞錦絵の世界
高橋 克彦
角川書店

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『明治7年7月、文明開化盛りし頃。日本で初めて発行された“新聞”の大成功をうけ、新聞錦絵は発売された。この“錦絵付きニュース”は、当時多かった文字の読めない人々にも記事が理解でき、増刷に増刷を重ねたのである。これは、一般大衆に新聞というものの興味を促し、新聞普及に大きな功績を残した。しかし、三面記事的な要素の強い新聞錦絵はやがて衰退し、明治12,3年にはほとんど姿を消すことになった―。だが、新聞錦絵は今なお生きている。リポーターが事件を追うワイド・ショーや写真で事件を伝える写真週刊誌のなかに…。本書は明治人のナマの生活を映し出す極彩レポートである。』

高橋自身のコレクションだそうである。
浮世絵研究家ならではと言えそうであるが、わたくし浮世絵研究家ではない。
美しい浮世絵は好きだけれど、浮世絵はたまたま美しいものもあるけれど、本来美しさを追求するために存在したわけではないと言う主張には、そうなのかと思うだけで与する気持ちにはなれない。
で、この新聞錦絵の世界、ずいぶんとグロテスク。なまじ写真より怖い=好きになれない。

完四郎広目手控」で瓦版の文を書いている仮名垣魯文がやがては東京日日新聞の創始者になり、絵を描いている浮世絵師・一恵斎芳幾がこの錦絵を描いている(その後、新聞の経営の方が面白くなって絵は描かなくなるらしい)
広目手控は物語りが進んで行ってこの新聞錦絵の世界も通り越していくのだろうなぁ。
フィクションの殻の下にノンフィクションあり。
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京伝怪異帖〈巻の下〉

2007-09-02 |  高橋克彦
京伝怪異帖〈巻の下〉 (講談社文庫)
高橋 克彦
講談社

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『いまや稀代の人気戯作者・山東京伝となった伝蔵。吉原の馴染みの遊女・菊園と所帯をもったが、恋女房の様子がおかしい。蔵の中で眠りこけたり「墓参りに行く」と叫んだり。悪霊の仕業か物の怪の導きか…。若き日の鶴屋南北、大版元・蔦屋重三郎など、多彩な人物がからみ織りなされる江戸の怪奇事件簿。』

〈巻の上〉は先日読んだ。

山東京伝になじみがないせいなのだろうか。淡々と物語りは進んでいくのだが、盛り上がりもなく、意外性もなく・・・ただそれだけという感じ。
淡々と物語るということだけでもすごいと思うべきなのだろうか。

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いじん幽霊―完四郎広目手控

2007-09-01 |  高橋克彦
いじん幽霊―完四郎広目手控 (集英社文庫)
高橋 克彦
集英社

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『江戸時代の広告代理店、広目屋「藤由」の香冶完四郎がおなじみ仮名垣魯文とともに、攘夷の暗雲垂れ篭める横浜へ。万国の人間が集う開港まもないこの地で起こる、不可思議な幽霊騒動や殺人事件。日本を食い物にしたいいじんの仕業か、それとも攘夷派の企みか。それぞれの文化がぎこちなく交じり合い、思惑がからみ合って起こる難事件のトリックを、見事な推理と剣さばきで、完四郎が解き明かす。』

完四郎広目手控」 「天狗殺し―完四郎広目手控」に続く第3巻。
1巻ごとに舞台が変わるところが面白い。
幕末の横浜、こんな様子だったのかもしれない。

本書の末尾でアメリカに行くことが匂わされているけれど、次はアメリカ帰り「完四郎広目手控文明怪化」になるらしい。今月出版されたばかりのハードカバー。また悩むなぁ。


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