大浪花諸人往来―耳なし源蔵召捕記事 (1978年) | |
有明 夏夫 | |
角川書店 |
「陸(おか)蒸気が走り、人力車が駆け回る。社会がどんどん変わる一方で、昔からの浪花(なにわ)気質はしっかり残っている。そんな明治初期の大阪で、こてこての浪花っ子の源蔵が、元気一杯に活躍するのだ。そこにシリーズの最大の魅力がある」
西郷はんの写真
天神祭の夜
尻無川の黄金騒動
大浪花別嬪番付
鯛を捜せ
人間の皮を剥ぐ男 』
『鍋奉行犯科帳』の解説で有栖川有栖さんが、大坂が舞台の捕物帳のほぼ唯一の先達と書かれていたので、読んでみた。
「海坊主の親方」こと赤岩源蔵が、手下の「イラチの安(やす)」と共に、明治開化期の大阪市中で起きる事件を見事解決するのだが、解決編は海苔問屋の隠居が書いた新聞記事で要約されるというのが新味で面白かった。
なるほど、お決まりの印籠場面など要らないのだよね。