数年前、浅川嘉富氏の「恐竜と共に滅びた文明・・世界初公開・15000年前に掘られた石・イカ線刻石が語る」という本を読みました。
面白かったのですが、ちょっとセンセーショナルで、ほんとうかなあ、という気持ちもあったので本棚に入れたままにしていました。
先日図書館でふと「模様石に秘められた謎」という別の翻訳本をみつけました。
同じくペルーの石に掘られた線刻画について書かれていました。
浅川氏はペルーに旅立つ日の朝、知人からこの本を郵送で受け取ったのだそうです。
そして飛行機の中でその本を読んだ後、本物の線刻石を見たということでした。
南米の古代文明という大きな問題にもう一度立ち向かってみようかという気持ちになりました。
まずは、多少冗長ではありますが、コルネリア・ペラトゥ、ベルナント・ロイディンガー共著の「模様石に秘められた謎」をご紹介します。
リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。
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(引用ここから)
「イカの石の研究史」(1)・・1961年にはじまる
ペルー・アンデス山脈のふもとのオクカヘ砂漠には、パンパとよばれる果てしない平原が広がる。
この地に立つと時間の流れの外にいるかのような気持ちに襲われるが、それもあながち錯覚とばかりは言え
ない。
オクカヘ砂漠のいたるところに転がっている岩は、おそらく地球最古の岩なのである。
ほこりっぽい道路が、点在するオアシスを結んでいる。
ほとんど一年中干上がっているが、川もあるにはある。
インカ文明やプレインカ(前インカ文明)の担い手の末裔である住人たちは、干上がった川のほとりのやせた土地から上がるわずかな農作物でかつかつの生活を送っている。
しかし考古学者にとっては、この地域一帯はまさに宝の山である。
このあたりには海岸からアンデスのふもとにいたるまで、インカ時代やそれよりも古い時代の墓が無数にあるのである。
イカはこの荒涼とした砂漠地帯の真ん中に位置するオアシスの都市である。
400年ほど前に建設されたイカは、現在でもにぎやかで豊かな都市である。
ここイカにスペイン系ペルー人の外科医カブレラ博士は住んでいる。
アマチュア考古学者である彼は、この地域の歴史を徹底的に研究してきた。
首都リマの大学教授たちより徹底的にかつシステマチックに研究してきたといえるかもしれない。
博士は「人類史の定説を根底からくつがえしかねない衝撃的な遺物を発見した」という。
それを見れば太古の昔に我々とは別種の人類が地球上に存在したと考えざるを得なくなる、と言うのである。
紀元前4万年から1万年ごろ、アメリカ大陸とアジア大陸は陸続きだった。
人類はこの頃、マンモスやマストドンを追って陸続きだったベーリング海峡を越えて初めてアメリカ大陸へ渡り、その後次第に南米に下っていった、というのが現在にいたるまでの定説となっている。
ペルーに人類が到着したのは、最も早くても20000年前のことであると。
そしてペルーの地に文明が生まれたのは比較的遅く、およそ3000年前のことだったと言われてきた。
谷間や海岸沿いにさまざまな文化が生まれ、その中からプレインカのさまざまな大国が誕生した。
わずかな期間で滅んだ王国もあれば、長期間栄えた王国もあった。
インカ文明およびプレインカ文明は古代ペルー文明とか先コロンブス文明、あるいはプレヒスパニック文明とも呼ばれている。
これらはペルーの古典文化として広く知られている。
しかし、この確固たる定説がアマチュア考古学者の発見によって、今や崩壊の危機にひんしているのである。
それは1961年のことだった。
いつもは一年中ほとんど干上がっているイカ川が思いがけず氾濫し、あたり一帯水浸しになった。
アンデス地方では数十年ぶりの大洪水だった。
突然大奔流となったイカ川は、砂漠の砂を海へと押し流した。
それとともに深い地層からさまざまな石が洗い出されてきた。
その中に、不思議な絵が刻まれた石がいくつか混じっていた。
突然出現したこれらの石は、明らかに未知の文化に属していた。
そこに刻まれた絵には南米では存在が知られていない動植物が含まれていた。
しかもそれらは人類が誕生するはるか以前に栄えていた動植物だったことが判明したのである。
石に刻まれた主なモチーフには、次のようなものがある。
○未知の地域の地図、および星座図のようなもの
○工学的機器、望遠鏡、拡大鏡
○先史時代に絶滅した動物、それらの成長の様子を示した図、高度な外科手術を現した図
(中には心臓、腎臓、肝臓、脳移植など極端に複雑な手術の図もある)
○輸送機械
○様々な楽器
○儀式、宗教、スポーツ、性的行動、社会的活動を描いた図
○格闘シーン等を描いた図、その他何をしているところが分からない図もある
このような石が、砂が洗い流されたイカ川の岸辺に忽然と姿を現したのである。
石は半ば砂に埋まった状態で岸辺に散らばっていたところを、インディオの農民たちに偶然発見された。
彼らは、かつて高度な文明が栄えたこの地方で食うや食わずの生活を送っている。
農民たちは考古学者にとって悪夢のような存在である。
ずいぶん以前から彼らは、考古学者を相手にして貴重な石を掘り出し、好事家に売り飛ばしては生活の足しにしてきた。
こうした遺物がしかるべき研究者の手に渡ることはめったにない。ペルーではこうした盗掘者はワケーロと呼ばれている。
農民たちは、黄金や宝石やワカ(聖なる貴重なもの)を探して、古い墓など考古学上貴重な場所を暴き、破壊してしまう。
彼らは家族ぐるみ部族ぐるみで盗掘を行っている。
金銭的価値無しとみなされたものは埋め戻されてしまう。
こうして無数の貴重な遺物が研究者の手に触れることなく地中に葬り去れて、朽ち果ててしまう。
農民たちは盗掘品を外国人だけでなく裕福なペルー人にも売りさばいている。
大農園の所有者や金持ちならほとんど誰も、こうした品々をコレクションとして所持している。
懲役刑という厳しい罰則付きの禁止令が出ているにも関わらず、盗掘品の違法な取引は一向におとろえる気配がない。
盗掘を行っている農民たちに腹を立ててみてもしかたがない。
何か月かの家族を養えるだけの金になるのだから。
それに出土品の学術的価値など彼らには知る理由もないのだから。
1966年、カブレラ博士は無料で治療をしてやった農民から、重石にでもどうぞと小さな石を贈られた。
石には奇妙な鳥の絵が彫り込まれていた。
ある日、博士はふと石に彫り込まれた鳥が神話にでてくる動物に似ているように感じた。
それが気になって詳しく調べてみようと思い立った博士は、手に入る限りの資料と石を突き合わせてみた。
出てきた結果に、博士は困惑してしまった。
石に彫り込まれた絵に唯一似ている鳥が、1億4000万年から8000万年前に生息していた翼竜の復元図だったからである。
生きた翼竜をその目で見た人間がいたはずはない。
そんなことは常識だ。
しかしいったい誰がジュラ紀から白亜紀にかけて生息していた翼竜を、これほど正確に描くことができたのだろう?
この絵を彫り込んだ人間は、どこから翼竜の知識を得たのだろうか?
調査の結果に戸惑った博士は、石が後世の偽造品である可能性も捨てきれないと、石の出どころを突き止めることにした。
この調査が、イカの石・・今までその存在すら忘れ去られた太古の人類が残した「石の図書館」の発見・・という快挙につながったのである。
博士は診察室を私設博物館に改造し、これまでに収集した11000個の石を保管している。
石の大きさはまちまちで、200キロもある堂々たるものから、ごく小さめな目立たないものまである。
イカの石の発見者は、博士だけではなかった。
考古学者ヘルマン・ブーゼが1965年に発表した「ペルー入門」によれば、同種の石をかなり収集した人もいる。
しかし彼らはすでに故人となっていて、個人の所有物ということで公開されていない。
1966年リマの日刊紙に「オクカヘ砂漠の謎の石」と題する記事が掲載された。
記事を書いたのは当時ペルー工科大学学長だったアレハンドロ・ペシアだった。
この記事にも石に描かれた謎の絵、なかでも、「未知の種類の鳥と植物と星の絵」のことは詳しく述べられている。
特に星の絵はプレインカの絵画には見られないモチーフであるといえる。
「先コロンブス文明の魔法の石」は博物館目録に登録はされたが、しばらく後、忘れ去られてしまった。
最初に新聞記事のきっかけとなった石が発見されたのは1966年のことだった。
それからまもなく考古学者が同種の石を発見した。
彼は100個ほどの石を収集し、その分析をペルー工科大学工業研究所に依頼した。
同研究所の著名な教授が責任者となって作成された鑑定書はセンセーションを巻き起こした。
石の表面と線刻部分をおおっている酸化層を分析した結果、絵が刻まれたのは「1万2000年以上前である」と判明したからである。
この鑑定結果の鑑定書のオリジナルは今もペルー工科大学で閲覧することができる。
もちろん考古学界はこの鑑定結果に大いに驚いた。
イカの石の最低年代とされた1万2000年前といえば、従来の学説によれば人類がアジアからアメリカ大陸にわたってきたばかりの時代ではないか?
リマ大学学長でさえ、鑑定結果には驚かされたと認めた。
誰一人として、これほど古い年代を予測してはいなかったのである。
(引用ここまで)
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