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カブレラ博士との対話・・イカの線刻石の研究史(4)

2016-05-21 | インカ・ナスカ・古代アンデス



次に著者たちは、最も精力的にイカの石の収集・研究を行っているカブレラ博士のもとを訪ねました。

博士は、前述の浅川嘉富氏がペルーを訪れた際にはすでに他界されていましたので、博士の直の言葉としては貴重なものだと思います。


(浅川氏の本を次にご紹介しようと思っています)

リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。

            *****


         (引用ここから)


カブレラ博士は語った。

「これらの石を長年研究してきた結果、謎めいた文様の意味が次第に明らかになってきました。

私は初めから、芸術作品に対するような感傷的な態度では石の謎を解くことはできないと感じていました。

石を見ているうちに、私はこれらはある目的のために作られたのではないかと考え始めました。

なにかのメッセージを伝えるためではないのかと。

私はその考えから逃れられなくなりました。

石に刻まれている絵は、本当は「文字」なのではないか?

我々が抱いている文字のイメージとは違う形態の文字ではないのか?という疑念が頭をもたげてきました。

石に刻まれた絵は様々な事物や事実や特性や行動や出来事を象徴的にあらわしている「文字」なのではないかと。

私はこの文字体系の解明に全力を尽くしてきました。

そしてイカの石は図書館のようなものだという結論に達しました。

石のメッセージを残らずくみ取って解明するため、私はできるだけ多くの石を収集し、そのコレクションは「石の図書館」と名付けました。

線刻文様は一つ一つみんな違っていました。

夢中になりましたよ。

まるで一冊の本の1ページ1ページ、図書館の本の一冊一冊を集めていくような感じでした。


イカの石は、内容によっていくつかに分類できるんです。

すべてとは言わないまでも、多くの文明の文字は象形文字から発達してきました。

たとえば古代エジプトやマヤの文字は純粋な絵文字です。

漢字も一種の象形文字といえます。エジプトやマヤのものと比べるとずっと抽象化されてはいますが。

これらの文明はインカ文明やプレインカ文明より古いとされてきました。

インカ文明もプレ・インカ文明も文字を持たなかったと言われていますが、
だからこそ私は、線刻石の文様は文字の原初の形、つまり象形文字として、象徴化される以前の段階を示しているのではないかと考えたのです。

そのような段階の文字は、インカ文明やプレ・インカ文明以前に書かれたとしか考えられないと。



この原始的な文字は特定の意味を表すシンボルの組み合わせによってできているものと思われます。

新しい石をコレクションに加え、テーマ別に分類するたびに、複雑な全体的内容が次第に明らかになってきました。

イカの石はテーマ別に天文学、植物学、動物学、人類学、輸送システム、儀式、狩猟、漁労などに分類できます。


また、イカの石に描かれた人物像のプロポーションは現代人類のそれとは異なっています。

つまり現代人類であるインカ人やプレ・インカ人とも異なっているわけです。

ここのところを見落としてはなりません。

私は始め神話に登場する想像上の生き物かと思ったのですが、古生物学の文献にあたってみると、石に描かれた動物たちが、絶滅した古生物であることがわかったのです。

5本のひずめを持つ馬やラマ、ナマケモノの祖先メガテリウム、頭と首はキリンで体はラクダようなアルティカメルス、巨大な鹿のようなメガセロス、マンモス、巨大な肉食走禽ディアトリマスなどが確認されました。


ペルー人考古学者が1920年に発見したティワワナコ文化の影響の見られる土器にも5本のひずめをもつラマが描かれていました。

5本のヒズメを持つラマは、4000万年前に絶滅しています。

ごぞんじのとおり現在のラマはぐうてい類です。

当時5本指のラマは古代人の空想による擬人化の表現なのだろうと説明されました。

5本のひずめをもつラマと人類が共存していたはずがない。

しかし数年後、同じ地層から5本指のラマの化石が発見されました。

これが発見された以上は、古生物学者も考古学者も、少なくとも人類と5本指のラマの共存を認めざるを得なかったのですが、この事実がもつ意味はその後も無視され続けたのです。


私にとってこの事実が持つ意味は明らかでした。

つまりイカの石はインカやプレ・インカの所産ではないということです。

イカの石を彫った人類は、現在の定説が設定している人類誕生の時代をはるかにさかのぼる古代の昔に存在していたにちがいないのです。

イカの石を制作した人類の正確な年代は、長い間特定できませんでした。

しかしある時、どう見ても恐竜が描かれているとしか思えない石がいくつか発掘されました。

まず明らかにステゴザウルスと思われる動物が描かれている石が発見されました。

これに続いてティラノサウルス、プロントサウルス、トリケラトプス、ランベオサウルスなど恐竜を描いた石が続々と発見されました。


定説によれば恐竜はホモサピエンスが登場するはるか以前に絶滅したとされています。

しかしそれならば、なぜ恐竜と人間がいっしょに描かれているのでしょう?

恐竜と人間を並べて描いた石が何十個となく発見されています。

何億年も昔に、すでに人類が誕生していたということでしょうか?

ホモサピエンスの誕生は4万年から3・5万年前でありどんなことがあっても100万年以上前ということはありえないというのが学界の常識ですが。


イカの石に科学的な説明を与えるのは至難の業でした。

空想だけであれこれ言ってみてもはじまりません。

イカの石には人間と中生代の恐竜がいっしょに描かれています。

そこに描かれた動物たちは、絶滅した古生物に驚くほどよく似ています。

描かれているのは想像上の動物かもしれない、見たこともない動物を勝手に空想して描いたものかもしれない。

しかし、絶滅した太古の生物の姿をはたして空想だけで正しく描き出せるでしょうか?

そんなことはとうていありえません」。


 
         (引用ここまで)

写真と解説文



イカの石の中でも最も謎めいた石の一つ。3億年前に生息していた原始的な魚アグナトゥスが。




これはどう見てもティラノサウルスである。ティラノサウルスは白亜紀最大の肉食恐竜で、体長は14メートルもあった。




重さ約200キロの石に、1億5000万年前に生息していたステゴザウルスの成長過程が描かれている。




中央の石に、ラマの体にキリンの首をもった古生物アルティカメルス(約4000年前に絶滅)が描かれている。




南米の馬はおよそ9万年前に絶滅した。この石は明らかにそれよりも古い時代に彫られたのだ。


            *****


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1 コメント

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Unknown (〇〇 某)
2021-04-15 11:20:36
ノアの洪水が、BC 2370年で、ニムロデの反逆で地が文字通り分けられたのが、100年内で、ユカタン半島に巨大隕石の落下から大陸放散が本格化し、地球の質量も増加しました。楽に地球を隅々迄、行き来出来無くなります。360日だった1年が、365日となり地軸の傾きでスピードアップし、1日25時間が24時間に、地軸の傾きで偏西風も生じ渡りが始まる等、地球史上の大転換と為りました。記録して措きたい当時の人々が偲ばれます。
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