盆踊りについてまだまだ考察中なのですが、お彼岸の頃にまた続けたいと思います。
ところで、「お彼岸」という言葉もまた不思議な言葉で、「ひがん」とは、仏教用語としての悟りの境地を意味する「彼方の岸」という言葉であると同時に、「ひ・日・霊・火・陽」という音の言霊も、内に秘めているように思います。
古代日本と朝鮮半島の関わりについて調べていて、
千田稔氏の「伊勢神宮――東アジアのアマテラス」という興味深い本をみつけましたので、ご紹介させていただきます。
リンクは張っておりませんが、アマゾンなどからご購入になれます。
筆者は次のように問いを立てます。
*****
(引用ここから)
伊勢神宮について考えようとすると、祭神・皇祖神である「アマテラス」がどのようにして誕生したのかという疑問につきあたる。
ある日突然「アマテラス大神」が生まれたと想像するのは難しい。
「アマテラス大神」の原型となる神の信仰があり、やがて王権の中に採り入れられ、王権の祖神となっていくプロセスがあったにちがいない。
(引用ここまで)
*****
そこで、「天照」という言葉はどのように発生し、またどのように用いられるようになったのか、ということが考えられています。
*****
(引用ここから)
「アマテラス」に助詞の「ヲ」を補うと、「アマ」を「テラス」となる。
「アマ」は天空のことであるが、「テラス」は照るという動詞の尊敬語的表現である。
だから現代の口調で言うと、「照らしておられる」となる。
その主語は「太陽神」あるいは「日の神」である。
つまり「天空を照らしておられる太陽神」ということになる。
ところで「アマテラス」のように尊敬語的表現で呼ばれないが、「アマテル」という名をもつ神社がいくつかある。
(神社の名称と祀神が列記されているのですが、中略)
「アマテル」系の神社が太陽神をまつることは認めてよく、さらに「火明命(ホアカリノミコト)」という神の名前が重ねて出てくる。
また、対馬の「阿麻低留(アマテル)神社」だけが、「天照」ではなく、仮名文字表記になっている。
これは、「アマテル」という本来の音だけが今日まで伝えられたということで、「アマテル」系の信仰の源流がこのあたり、対馬あたりに求め得るという仮説が成り立つ。
神話学的には、もともとあった「アマテル神」が、その格が上げられて、皇祖神である「アマテラス」の神となったと考えられる。
「日本書紀」に次のような記載がある。
・・・・・
ある時、日の神が、朝鮮半島南部の加耶(加羅=カラ)地方に遣わされた人に、のりうつって、
「民の地を日の神に奉れ」とのたまったので、対馬県主の先祖である人物が「対馬」の土地を奉り、「日の神」のほこらに仕えた。
また、月の神がのりうつって、
「民の地を月神に奉れ、」とのたまったので、山背国の地に月神を奉り、「壱岐」県主の先祖である人物が「月神」のほこらに仕えた。
・・・・・
つまり「日の神」は対馬に、「月の神」は壱岐に、それぞれ原型、あるいは典型があるとされていた、と「日本書紀」の記事を解釈することができる。
日の神「アマテル」信仰の源流は対馬である、という仮説を設定するならば、対馬の日神信仰に注目しなければならない。
そこで次に対馬の日神信仰である「天道信仰」についてふれてみたい。
(引用ここまで・続く)
*****
wikipedia「天火明命」より
天火明命(アメノホアカリ)は、日本神話に登場する神のことである。
一般的には火明命と呼ばれることが多い。
尾張氏(尾張連)、海部氏など多くの氏族の祖神であり、海部氏系図にも始祖としてその名が記されている。
名前の「天照国照」「火明」からわかるように太陽の光や熱を神格化した神である。
また、『古事記伝』では「ホアカリ」は「穂赤熟」で、稲穂が熟して赤らむ意味としており、天皇に繋る他の神と同様、稲に関係のある名前でもあり、太陽神、農業神として信仰されている。
このようなことから天穂日命の系譜、つまり天津神系の出雲神を源流としていることが伺える。
wikipedia「天孫族」より
『新撰姓氏録』では、天火明命の子孫を「天孫族」としている。
また全国の天照御魂神社は天火明命を祀るところが多い。
天孫族(てんそんぞく)は、記紀に登場し、日本神話に語り継がれる、ヤマト王権をつくったとする古代勢力の総称。
「新撰姓氏録」では、天火明命の子孫を『天孫』と定義している。
天皇家や物部氏、隼人はその子孫にあたるとしている。
高天原より葦原中国平定のため九州地方に降臨し、中国地方を経て近畿地方まで東征し、
西日本各地の豪族を従え大王(天皇)を中心とするヤマト王権(倭国)を樹立させ、
中部・関東地方まで勢力を拡大させ、
のちの日本へと発展していったとしている。
wikipedia「月読」より
『記紀』においては、伊弉諾尊(伊邪那伎命・いざなぎ)によって生み出されたとされる。
月を神格化した、夜を統べる神であると考えられているが、異説もある。
天照大神(天照大御神・あまてらす)の弟神にあたり、素戔嗚尊(建速須佐之男命・たてはやすさのを)の兄神にあたる。
wiwkipedia「天照大神」より
アマテラスとスサノオの関係について・周辺神話との合一性
イヌイットの神話には、「弟が姉を犯し、姉は恥じ入って天へ逃げるが、弟が姉を追う。
そして姉は太陽に、弟は月になった」という説話が形を変えて広く分布している。
月に残る痘痕は、怒った姉が投げつけた炭火の跡とも切り取った乳房の跡ともされる。
またシベリアのナナイ族の神話では、
「父が月で、母が太陽だったが、やがて二人とも老いたので、息子と娘に仕事をまかせることになった。どちらも太陽になりたがったが、最終的に娘が太陽に、息子が月になった」という説話が残る。
また中国南方や台湾、東南アジアにも同じく太陽を女とし月を男とする神話が広く残る。
これらは共通して日月別離神話となっており、アジアに留まらず世界各地で同様の言い伝えが残されている。
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スサノオ 8件
天照大神 4件
日本海 7件
日本書紀 15件
などあります。(重複しています)
ところで、「お彼岸」という言葉もまた不思議な言葉で、「ひがん」とは、仏教用語としての悟りの境地を意味する「彼方の岸」という言葉であると同時に、「ひ・日・霊・火・陽」という音の言霊も、内に秘めているように思います。
古代日本と朝鮮半島の関わりについて調べていて、
千田稔氏の「伊勢神宮――東アジアのアマテラス」という興味深い本をみつけましたので、ご紹介させていただきます。
リンクは張っておりませんが、アマゾンなどからご購入になれます。
筆者は次のように問いを立てます。
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(引用ここから)
伊勢神宮について考えようとすると、祭神・皇祖神である「アマテラス」がどのようにして誕生したのかという疑問につきあたる。
ある日突然「アマテラス大神」が生まれたと想像するのは難しい。
「アマテラス大神」の原型となる神の信仰があり、やがて王権の中に採り入れられ、王権の祖神となっていくプロセスがあったにちがいない。
(引用ここまで)
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そこで、「天照」という言葉はどのように発生し、またどのように用いられるようになったのか、ということが考えられています。
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(引用ここから)
「アマテラス」に助詞の「ヲ」を補うと、「アマ」を「テラス」となる。
「アマ」は天空のことであるが、「テラス」は照るという動詞の尊敬語的表現である。
だから現代の口調で言うと、「照らしておられる」となる。
その主語は「太陽神」あるいは「日の神」である。
つまり「天空を照らしておられる太陽神」ということになる。
ところで「アマテラス」のように尊敬語的表現で呼ばれないが、「アマテル」という名をもつ神社がいくつかある。
(神社の名称と祀神が列記されているのですが、中略)
「アマテル」系の神社が太陽神をまつることは認めてよく、さらに「火明命(ホアカリノミコト)」という神の名前が重ねて出てくる。
また、対馬の「阿麻低留(アマテル)神社」だけが、「天照」ではなく、仮名文字表記になっている。
これは、「アマテル」という本来の音だけが今日まで伝えられたということで、「アマテル」系の信仰の源流がこのあたり、対馬あたりに求め得るという仮説が成り立つ。
神話学的には、もともとあった「アマテル神」が、その格が上げられて、皇祖神である「アマテラス」の神となったと考えられる。
「日本書紀」に次のような記載がある。
・・・・・
ある時、日の神が、朝鮮半島南部の加耶(加羅=カラ)地方に遣わされた人に、のりうつって、
「民の地を日の神に奉れ」とのたまったので、対馬県主の先祖である人物が「対馬」の土地を奉り、「日の神」のほこらに仕えた。
また、月の神がのりうつって、
「民の地を月神に奉れ、」とのたまったので、山背国の地に月神を奉り、「壱岐」県主の先祖である人物が「月神」のほこらに仕えた。
・・・・・
つまり「日の神」は対馬に、「月の神」は壱岐に、それぞれ原型、あるいは典型があるとされていた、と「日本書紀」の記事を解釈することができる。
日の神「アマテル」信仰の源流は対馬である、という仮説を設定するならば、対馬の日神信仰に注目しなければならない。
そこで次に対馬の日神信仰である「天道信仰」についてふれてみたい。
(引用ここまで・続く)
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天火明命(アメノホアカリ)は、日本神話に登場する神のことである。
一般的には火明命と呼ばれることが多い。
尾張氏(尾張連)、海部氏など多くの氏族の祖神であり、海部氏系図にも始祖としてその名が記されている。
名前の「天照国照」「火明」からわかるように太陽の光や熱を神格化した神である。
また、『古事記伝』では「ホアカリ」は「穂赤熟」で、稲穂が熟して赤らむ意味としており、天皇に繋る他の神と同様、稲に関係のある名前でもあり、太陽神、農業神として信仰されている。
このようなことから天穂日命の系譜、つまり天津神系の出雲神を源流としていることが伺える。
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『新撰姓氏録』では、天火明命の子孫を「天孫族」としている。
また全国の天照御魂神社は天火明命を祀るところが多い。
天孫族(てんそんぞく)は、記紀に登場し、日本神話に語り継がれる、ヤマト王権をつくったとする古代勢力の総称。
「新撰姓氏録」では、天火明命の子孫を『天孫』と定義している。
天皇家や物部氏、隼人はその子孫にあたるとしている。
高天原より葦原中国平定のため九州地方に降臨し、中国地方を経て近畿地方まで東征し、
西日本各地の豪族を従え大王(天皇)を中心とするヤマト王権(倭国)を樹立させ、
中部・関東地方まで勢力を拡大させ、
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『記紀』においては、伊弉諾尊(伊邪那伎命・いざなぎ)によって生み出されたとされる。
月を神格化した、夜を統べる神であると考えられているが、異説もある。
天照大神(天照大御神・あまてらす)の弟神にあたり、素戔嗚尊(建速須佐之男命・たてはやすさのを)の兄神にあたる。
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アマテラスとスサノオの関係について・周辺神話との合一性
イヌイットの神話には、「弟が姉を犯し、姉は恥じ入って天へ逃げるが、弟が姉を追う。
そして姉は太陽に、弟は月になった」という説話が形を変えて広く分布している。
月に残る痘痕は、怒った姉が投げつけた炭火の跡とも切り取った乳房の跡ともされる。
またシベリアのナナイ族の神話では、
「父が月で、母が太陽だったが、やがて二人とも老いたので、息子と娘に仕事をまかせることになった。どちらも太陽になりたがったが、最終的に娘が太陽に、息子が月になった」という説話が残る。
また中国南方や台湾、東南アジアにも同じく太陽を女とし月を男とする神話が広く残る。
これらは共通して日月別離神話となっており、アジアに留まらず世界各地で同様の言い伝えが残されている。
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