長崎で、原爆に被爆なさり、夫人を亡くされ、ご自分も被爆により43才で世を去られた長崎医大の医師、
永井隆さんが、二児に残された遺言です。
63年の時をこえて、肉声が伝わってくるように思います。
***
いとし子よ。
あの日イチビの実を皿に盛って、母の姿を待ちわびていた誠一(まこと)よ、かやのよ、
お母さんはロザリオの鎖ひとつをこの世にとどめて、ついにこの世から姿を消してしまった。
そなたたちの寄りすがりたい母を奪い去ったものはなんであるか。
原子爆弾。いいえ、それは原子の塊である。
そなたたちの母を殺すために原子が浦上にやってきたわけではない。
そなたたちの母を、あの優しかった母を殺したのは、戦争である。
戦争が長引くうちには、はじめ戦争をやりだしたときの名分なんかどこかに消えてしまい、
戦争がすんだころには、勝った方も、負けた方も、何の目的でこんな大騒ぎをしたのか、わからぬことさえある。
そして生き残った人々はむごたらしい戦場の跡を眺め、口を揃えて「戦争はもうこりごりだ。
これきり戦争を永久にやめることにしよう」
・・そう叫んでおきながら、何年かたつうちに、いつしか心が変わり、何となくもやもやと
戦争がしたくなってくるのである。
私たち日本国民は憲法において戦争をしないことに決めた。
我が子よ。憲法で決めるだけならどんなことでも決められる。
憲法はその条文通りに実行しなければならぬから、日本人としてなかなか難しいところがあるのだ。
どんなに難しくても、これは良い憲法だから、実行せねばならぬ。
自分が実行するだけでなく、これを破ろうとする力を防がねばならぬ。
これこそ戦争の惨禍に目覚めた本当の日本人の声なのだよ。
しかし理屈はなんとでも付き、世論はどちらへもなびくものである。
日本をめぐる国際情勢次第では、日本人の中から、「憲法を改めて戦争放棄の条項を削れ」と叫ぶ声が出ないとも限らない。
そしてその叫びにいかにももっともらしい理屈をつけて、世論を日本の再武装に引き付けるかもしれない。
もしも日本が再武装するような時代になったら、その時こそ、誠一よ、かやのよ。
たとえ最後の二人となっても、どんなののしりや暴力を受けても、きっぱりと戦争絶対反対を叫び続け、
叫び通しておくれ。
敵が攻めだした時、武器が無かったら、みすみす皆殺しされてしまうではないか、と言う人が多いだろう。
しかし、武器を持っているほうが果たして生き残るだろうか。
武器を持たぬ無抵抗の者の方が生き残るだろうか。
オオカミは鋭い牙を持っている。
それだから人間に滅ぼされてしまった。
ところが鳩は何一つ武器を持っていない。
そして今に至るまで人間に愛されて、たくさん残って空を飛んでいる。
愛で身を固め、愛で国を固め、愛で人類が手を握ってこそ、
平和で美しい世界が生まれてくるのだよ。
***
永井隆記念館HP
http://park10.wakwak.com/~cdc/nagasaki/nyokodou/
永井隆さんが、二児に残された遺言です。
63年の時をこえて、肉声が伝わってくるように思います。
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いとし子よ。
あの日イチビの実を皿に盛って、母の姿を待ちわびていた誠一(まこと)よ、かやのよ、
お母さんはロザリオの鎖ひとつをこの世にとどめて、ついにこの世から姿を消してしまった。
そなたたちの寄りすがりたい母を奪い去ったものはなんであるか。
原子爆弾。いいえ、それは原子の塊である。
そなたたちの母を殺すために原子が浦上にやってきたわけではない。
そなたたちの母を、あの優しかった母を殺したのは、戦争である。
戦争が長引くうちには、はじめ戦争をやりだしたときの名分なんかどこかに消えてしまい、
戦争がすんだころには、勝った方も、負けた方も、何の目的でこんな大騒ぎをしたのか、わからぬことさえある。
そして生き残った人々はむごたらしい戦場の跡を眺め、口を揃えて「戦争はもうこりごりだ。
これきり戦争を永久にやめることにしよう」
・・そう叫んでおきながら、何年かたつうちに、いつしか心が変わり、何となくもやもやと
戦争がしたくなってくるのである。
私たち日本国民は憲法において戦争をしないことに決めた。
我が子よ。憲法で決めるだけならどんなことでも決められる。
憲法はその条文通りに実行しなければならぬから、日本人としてなかなか難しいところがあるのだ。
どんなに難しくても、これは良い憲法だから、実行せねばならぬ。
自分が実行するだけでなく、これを破ろうとする力を防がねばならぬ。
これこそ戦争の惨禍に目覚めた本当の日本人の声なのだよ。
しかし理屈はなんとでも付き、世論はどちらへもなびくものである。
日本をめぐる国際情勢次第では、日本人の中から、「憲法を改めて戦争放棄の条項を削れ」と叫ぶ声が出ないとも限らない。
そしてその叫びにいかにももっともらしい理屈をつけて、世論を日本の再武装に引き付けるかもしれない。
もしも日本が再武装するような時代になったら、その時こそ、誠一よ、かやのよ。
たとえ最後の二人となっても、どんなののしりや暴力を受けても、きっぱりと戦争絶対反対を叫び続け、
叫び通しておくれ。
敵が攻めだした時、武器が無かったら、みすみす皆殺しされてしまうではないか、と言う人が多いだろう。
しかし、武器を持っているほうが果たして生き残るだろうか。
武器を持たぬ無抵抗の者の方が生き残るだろうか。
オオカミは鋭い牙を持っている。
それだから人間に滅ぼされてしまった。
ところが鳩は何一つ武器を持っていない。
そして今に至るまで人間に愛されて、たくさん残って空を飛んでいる。
愛で身を固め、愛で国を固め、愛で人類が手を握ってこそ、
平和で美しい世界が生まれてくるのだよ。
***
永井隆記念館HP
http://park10.wakwak.com/~cdc/nagasaki/nyokodou/
真実にハッキリ結び付くことができました。
この一文が心にすごく残りました。
いい記事を掲載していただき感謝いたします。
コメント、どうもありがとうございます。
これは、わたしは、元沖縄県知事の太田昌秀氏の講演のテープ起こしをしていて、太田氏の肉声で聴きました。
多くの方々に読んでいただけて、よかったと思っております。
コメント、ありがとうございます。
わたしも、この一文、大好きなんです。
心が震えますね!
アベさんがアホなこと言い出さなければこのアクセス数はなかったでしょうね
60年近く前に見事に今の日本を言い当てていた永井隆博士もえらいけど、2008年にブログで紹介したveeraさんもすごい
転載させていただきました
コメント、どうもありがとうございます。
また、貴ブログへの転載も、ありがとうございます。
私は、何かを言うよりも、媒体(メディア)でありたいと願っておりますので、この度のようなことは、とても嬉しく思っております。
できる限りよい資料を提供させていただくことに、今後とも、尽力する所存でございます。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
鶏は大変です。
人に改良を加えられ自由に空を飛べなくさせられて、
♀として生まれたなら、
その生涯を人に食べさせる為に卵を提供し続け、
♂として生まれたなら人へ我が身を食肉として提供する為に、
生後半年と云う短い生涯を閉じさせられてしまいます。
幾ら鶏が人へ愛を以って接しても、
状況を変えるのは困難かと思います(~_~;)
コメント、ありがとうございます。
ほんとうに、鶏にとっては、人間は大迷惑な存在ですね。
人間は、なんと罪深い存在なのでしょうか。。
そう思うと、悲しくなりますね。。
普段から歌を歌うことが多いのですが。
終戦記念日に、長崎の鐘を歌い、
その折に、この遺言を、皆さんに聞いてもらいました。
みなさん、し~んとして聞いてくださいました。
こちらで、知ることができて、有難かったです。
ブログに、こちらをリンクさせて頂いております。事後になってしまいましたが、よろしくお願いします。
コメント、ありがとうございます。
お返事がおそくなりまして、大変失礼いたしました。
グループホームにお勤めされていらっしゃるのですね?
大変なお仕事だと思い、感服いたします。
そのお年寄りのみなさまに、この遺言を朗読なさったのですね。
戦争経験者のみなさまにとって、どれだけ心にしみることばだったことでしょう。
ご紹介をすることができて、とてもうれしく思います。
また、totyさまのブログにもリンクを張ってくださったとのこと、どうもありがとうございます。
多くの方に広まって、愛で手を結ぶ世界が実現するといいですね。
今後ともよろしくお願いいたします。