12月8日
「情けないんよ」が口癖になった母の 忘れる能力は 発揮される機会が多く
施設に提出する書類に「15時で早退させてください」とメモして
デイケアに母を迎えに行った。
小さい頃から病院と施設で暮らしたせいもあって
私は母を待つことが圧倒的に多かった。
お迎えが遅れると、不安になって泣いた。怒って訴えた。
だんだん、母が私の迎えを待つことが増えて
いつまでも、母の子供でいたい私は切なく感じる日もあるけれど
私を二十歳まで育てたら「母」の務めは終わって良い。
83歳の女性に迎えに来て欲しいなんて、普通は考えない。
二人のうち迎えに行ける方が行けばよい。
2つの病院を掛け持ちして、2つの薬局で薬をもらったので、一安心。
「夕飯はご馳走してあげるから、何でも好きなものを食べにゆこう」と母がねぎらってくれるので
「寒いから、おうどんが食べたいなあ!」
「いいよ」
ちょっと奮発して蟹のてんぷらも乗ってる北斗うどんに決めた
「美味しい~」と盛り上がる。
デイケアの話に花を咲かす。
「今日はおかあちゃんのおごりだったね、馳走様でした、どうもありがとう」
とお礼を述べて、請求書と現金を渡すと、
「どういたしまして。先に払いよるよ」と席を立ち、一人で支払っている。
母の後姿を眺めながら 自信に満ちた表情の明るさを嬉しく想う。