ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

食品偽装はもういいよ

2013年11月06日 10時14分16秒 | 雑記
今日の新聞をみると、また食品偽装の話が一面トップを飾っていた。私がとっているのは朝日新聞なので、その偽装の中身を簡単に紹介すると、高島屋の惣菜店が「車海老のテリーヌ」と表示して、その実、ブラックタイガーを使うなどしていたらしい。

こんなどうでもいいニュースを、よく一面トップで扱えるなと正直あきれ返る思いだ。

腐った肉ミンチを混入させていたとか、廃棄すべき食材を再利用していたとか、消費者の安全に関わるような不正だったら大きく追及するのも分かるけど、車海老がブラックタイガーって……。一面トップで扱うような話なのだろか。社会面の端っこに載せておけばいいような程度のことだと思うのだが。

こんなのもある。喫茶店「ル カフェ ドゥ ジュエル・ロブション」で紙容器入りの100%フルーツジュースを、搾りたてを意味する「フレッシュ」と表示していた。

これってもはや偽装ではなくて、日本語の表現上の解釈の問題だろう。フレッシュという英語の意味を厳密に理解していなかったというだけなのに、いちいちたたくような話なのか?

こういう重箱の隅をつつくような不正をあげつらっても、社会が息苦しくなって閉塞的な雰囲気が増すだけだ。ちょっと規範から外れただけで徹底的にたたくという構造は、ネット世論と似たり寄ったりである。私も記者の経験があるからわかるが、細かな不正でも追求すると自分たちが正義の執行者になったような気がして気持ちがいいのである。だがそれが社会にとっては一番有害だったりする。

こんなどうでもいいことより、秘密保護法案という最悪の法律が成立しそうになっているのだから、連日一面でこれを議論するぐらいのことをやってほしいもんだ。

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