3月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3367ページ
ナイス数:83ナイス
傷痕読んでいる時は女性視点の章のほうが著者らしいなあと感じたけれど、読み終わってみると全体を通したまとまりは感じられた。「人というのは、自分を基準にして物事を判断するものよ」という当たり前の言葉を照らし出す構成だった。強く心を揺さぶるというよりも、じわっと染み入るようなタイプの作品。MJがテーマなのにw(☆☆☆☆☆)
読了日:03月01日 著者:
桜庭 一樹
女神のタクト劇団とオーケストラの違いはあれど、有川浩『シアター!』に近い感じ。ピンチに陥った楽団を主人公がサポートしていく過程は悪くない。前作よりも肩の力が抜けた感じなのも良かった。ただ、問題は音楽の描写。描写自体が悪いわけではないが、文章で音楽を伝えることの限界が感じられる。『のだめカンタービレ』のようにコミックでは音楽を伝える手法が確立しているが、小説では・・・。もっと詩的ならとも思うが、この作家の持ち味とも違うし・・・。(☆☆☆☆)
読了日:03月02日 著者:
塩田 武士
Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)最後まで読み通せるほどには面白い。円城塔は初めて読んだが、次の作品を手に取りたくなる程度には面白い。だが、その面白さを語るのは難しく、エンターテイメントとして評価できるかと言えばできないよねと言うしかない。読み方は自由で、読み手の数だけ解釈があるような作品。私の解釈は「ハルヒ?」なのだけどw(☆☆)
読了日:03月10日 著者:
円城 塔
異端者達に捧ぐ鎮魂歌―スクラップド・プリンセス〈3〉 (富士見ファンタジア文庫)完成度の高さを誇る巻。戦闘描写こそ物足りなさを感じたが、世界観の展開が素晴らしかった。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:03月12日 著者:
榊 一郎
英語の質問箱―そこが知りたい100のQ&A (中公新書)もう少し文化的背景に踏み込んだ解説を読みたいと感じるところもあったけれど、気軽に読むにはこのくらいが丁度いいのかも。電子書籍で、英文の部分を発声してくれると良さそうに感じるけれど、コスト的に難しいかな。(☆☆☆)
読了日:03月13日 著者:
里中 哲彦
半熟騎士の行進曲―スクラップド・プリンセス〈4〉 (富士見ファンタジア文庫)サービス的にも展開的にも詰め込みすぎとまで思える巻。新規キャラも多数登場。それでも真骨頂はラクウェルだったりするけど。(☆☆☆☆)
読了日:03月14日 著者:
榊 一郎
瞬間操作! 高速キーボード術 (ブルーバックス)Windows使って15年になるけど、ショートカットは全然使いこなせてない。最近特にマウスの作業効率の悪さに辟易していただけに非常に興味深く読むことができた。ただ実際に使えるまでには道は遠い。少しずつ作業の効率化を図っていくしかないね。(☆☆☆)
読了日:03月15日 著者:
リブロワークス
科学の栞 世界とつながる本棚 (朝日新書)そそられる本が多数。新書くらいならいいけど、翻訳もののハードカバーなんて読むのにどれくらいかかるかと思うとなかなか手が出せないけど。瀬名秀明はいつか読もうと思っている作家だけれど、小説ではなく書評が最初となってしまった。書評やエッセイで語られる内容には相容れないところもある。でも、だからこそ今度はちゃんと小説を読もうと思う。(☆☆☆☆)
読了日:03月16日 著者:
瀬名 秀明
ガンパレード・マーチ2K(にせん) 新大陸編〈1〉 (電撃文庫)舞台はアメリカ。思えば遠くに来たものだ(笑)。原理主義者の牧師がいい味出してるね。日本じゃプロパガンダは小銭稼ぎか自己顕示欲って感じだけど、あっちじゃ扇動は金になるからねえ。(☆☆☆☆)
読了日:03月20日 著者:
榊 涼介,ソニーコンピュータエンタテインメント,SCE=
真夏の方程式「忘れないでほしい。君は一人ぼっちじゃない」という言葉に、科学をテーマとしたこのシリーズの志を感じた。科学は本来、先人が遺したものにわずかでも積み上げるために競い合い助け合いながら究めていくもの。そんな「繋がっている」感覚は『数学ガール』などでも描かれていたけど、この作品でも強く心を動かされた。最近の東野圭吾は本当に「情」と「理」のバランスが素晴らしい。(☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:03月27日 著者:
東野 圭吾
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)『はがない』や「物語」シリーズと比べるとヒロインたちは記号的に感じられてあまり惹かれなかったが、主人公の造型は悪くない感じ。まだストーリー性に引きずられている印象があり、そこが吹っ切れたらもう少し楽しく読めそうなのだけどどうだろうか。(☆☆☆)
読了日:03月29日 著者:
渡 航2012年3月の読書メーターまとめ詳細読書メーター
桜庭一樹は「空気」を描くのが上手い。『傷痕』は一見イロモノ的な作品だけど、時代の空気を鮮やかに描いてみせている。構成の巧さも相変わらず素晴らしい。ただ著者と同年代でないと伝わらない部分もありそうな気はするが。
『女神のタクト』はコメントにも書いたように『シアター!』のオーケストラ版といった感じ。そのためどうしても『のだめカンタービレ』と比較してしまう。
コミックで音を見せる技術は『To-y』以降非常に進化して、『BECK』など完成の域に達していると思っている。一方、文章での音楽表現はどうしても薀蓄っぽくなりがちだ。詩的な表現もありだが、なかなか伝わりにくい。この作品だけの問題ではなく、小説における音楽表現はどうしても難があると言わざるを得ないと感じる。
以前から読もうと思っていたが、芥川賞受賞を契機に『Self‐Reference ENGINE』に手を出した。星二つという評価はエンターテイメントとしてのもの。一貫してエンターテイメントとして評価を付けていると言い切れはしないが、志としてはそういう基準なのであえてこの評価とした。
楽しめる人だけ楽しめばいい作品だし、楽しめたからエライってわけでもないしね。
「俺ガイル」に東野圭吾は昔のほうが良かったみたいなネタが出てきたけど、私にとっては最近の作品の方が遥かに面白いと感じるものになっている。肩の力も抜けているし、無駄なものがどんどんとそぎ落とされたような感覚。まあ『新参者』の完成度の高さと比べてしまうといろいろと粗も見えなくはないけど。
3月が終わって30冊となんとか1ヶ月10冊をキープ。ほんとは4ヶ月で50冊くらいのペースで読みたいのだけど。無理せず最低10冊を目標に4月も読むとしよう。
2012年2月に読んだ本
2012年1月に読んだ本
2011年に読んだ本
2012年3月に読んだコミック
『キルミーベイベー』4巻(カヅホ)
『百姓貴族』2巻(荒川 弘)
『鬼灯の冷徹』1-4巻(江口 夏実)
『レーカン!』1-2巻(瀬田 ヒナコ)
『外天楼』(石黒 正数)
『ゆずりは!』(佐藤 両々)
『ダイヤのA』30巻(寺嶋 裕二)
『高杉さん家のおべんとう』1-4巻(柳原 望)
『ヒャッコ』1-6巻(カトウ ハルアキ)
『僕らはみんな河合荘』2巻(宮原 るり)
『みそララ』1-3巻(宮原 るり)
『ちゃんと描いてますからっ!』1-2巻(星里 もちる)
『ひきょたん!!』1-3巻(久遠 まこと)
『マンけん。』1巻(加瀬 大輝)
『たまゆら』(momo)
『咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A』1巻(五十嵐 あぐり )
『空の下屋根の中』1巻(双見 酔)
『咲Saki』9巻(小林 立)
『咲日和』1巻(木吉 紗)
『九十九神いりませんか?』(高遠 のね)
『もやしもん』11巻(石川 雅之)
38冊。かなりばらけた感じ。新規にも結構手を出せているし、当たりも多かった。
「このマンガがすごい!2012」で知った『鬼灯の冷徹』は大当たりという感じではないが、ついつい読んでしまうタイプの作品。
『外天楼』については
記事に書いた。
『高杉さん家のおべんとう』は突然一緒に暮らすことになった30代独身男と女子中学生との家族の話。いとこ同士だが初対面で、お互いの距離感を「おべんとう」作りが縮めていく。柳原望は白泉社時代から読みたいと思いつつ読む機会のなかった作家。味わいある作風で非常に面白い。
宮原るりはストーリーものである『僕らはみんな河合荘』も面白いが、四コマでの『恋愛ラボ』なども魅力的。小説でもコミックでもついつい手を出すのは女性作家のものが多いなあと改めて実感。
男性作家では久しぶりに読んだ星里もちるが良かった。「少年キャプテン」誌上でのデビューの頃から好きだったが、小学館に移っての『りびんぐゲーム』が印象的だった。ただそれ以降読まなくなり、『ちゃんと描いてますからっ!』はおよそ20年ぶりとなる(笑)。