奇想庵@goo

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アニメ感想:ひだまりスケッチ×365

2008年09月28日 22時09分10秒 | 2008夏アニメ
ストーリー性を排除した結果、1年間の出来事の順番をランダムに描くというまさに「空気系」の代表という作品。その第2期シリーズが完結した。とはいえ、エピソードの羅列とも言える作りだけに「完結」というよりも単に「放送終了」に過ぎない。

物語性がないため、視聴者が作品世界に没入するには時間が掛かる。第1期はそのために時間が費やされた面もあった。この第2期は第1期の前提があるため、かなり思い切った演出が見られた。作画面も1期の反省から出来がよかった。また第2期はすべて脚本を女性が担当し、1期に感じた違和感を払拭した(以前「性別と性差」で触れた点)。

ラストでキャラクターたちが歌ったのが第1期のオープニング『スケッチスイッチ』だった。作品にマッチした非常に素敵な曲だ。締めくくりに相応しい演出だった。


アニメ感想:恋姫†無双

2008年09月28日 21時46分25秒 | 2008夏アニメ
『一騎当千』同様三国志のキャラクターを女性化している作品。原作は18禁PCゲーム。

全12話だが、10話までと最後の2話では作品の作りが異なっている。本来主人公となる男性プレイヤーのキャラクターが存在しているのだが、アニメではその存在が登場しない。「君は『あずまんが大王』を読むことができるか? 」の記事で書いたように、本来ハーレム系となる構造から男性主人公の存在を消去することで「萌え」系作品へと転換する手法が存在するが、まさにそれを行っている。
10話までは大雑把なストーリーはあるものの、事実上物語性はなく、あくまでもキャラクターのエピソードで成り立っている。三国志を下敷きにしているので、人間関係はほとんど描かなくても視聴者に理解してもらえるメリットがある。そのため「空気系」よりも多くのキャラクターを登場させることができ、独特のノリを生み出すことに成功した。
一方、最後の2話では男性キャラクターとして劉備が登場する。劉備と関羽の恋愛要素を絡め、一気に物語性が強くなる。これによりそれまでの雰囲気は壊れてしまった。だが、これは意図的な仕掛けでもあった。「アニメ感想:舞-乙HiME Zwei 」で述べたように、キャラクターの見せ場を作るにはその背景となる物語性が必要だった。最終回の盛り上がりのためにあえて物語性を追加したのだ。それが完全に成功と言えるかどうかは微妙だ。だが、試みとしてはユニークに感じられた。

作品自体はかなりベタなものだが、こうした作り手の意図が見えた点で楽しめる作品だった。


アニメ感想:スレイヤーズREVOLUTION

2008年09月26日 19時08分30秒 | 2008夏アニメ
最近流行の変則2クール制。その前期が完結した。
テレビシリーズとしては11年ぶりの第4期にあたる。もともとテレビシリーズの作画はいい方ではなかったが、今作もそんな感じだ。
作画の問題から、演出面でもかなり辛いものとなっている。見せ場である戦闘シーンの動きの悪さは顕著だった。
だが、作画や演出の悪さ以上に酷かったのがシナリオだ。

シナリオにツッコミを入れるのは大人気ないとも思うが、ストーリーの根幹部分なだけにあえて書こう。
今回の話の原点は、タフォーラシアの国に当時治療法が見つかっていなかった伝染病が蔓延したことにある。その時周辺の国々が助けてくれなかったことに腹を立て、魔獣ザナッファーによって復讐するという筋書きだ。
……ただの逆恨みじゃん。
そもそも他国が助ける義務はないでしょ。それでも他国は援助物資を送っている。ルヴィガナルド王国のジョコンダに横領されて届かなかったとはいえ。そのジョコンダに復讐するのはまあ分かるが、他の国は関係ないっしょ。ザナッファーを蘇らせたデュクリスに、素粒子ほども同情できないため、盛り上がらないこと甚だしい展開となった。
更にラストで、断罪するように迫るデュクリスにタフォーラシアの王子ポコタが何も出来ず。ザナッファーに襲われて死んでいった人々っていったい……。

スレイヤーズという作品は確かにキャラクター主導だし、世界観もありがちなファンタジーではあるが、それでもしっかり描くべきところは描いていた。その原作をベースにしたテレビシリーズ1作目2作目はそれなりに面白かった。
それがオリジナルとなった第3期でかなり出来が悪くなり、久しぶりの復活となった今作は、厳しく言えばスレイヤーズという名を貶める作品となっている。

はっきり言って、スレイヤーズでなければ見るに耐えない出来だ。お馴染みのキャラクターたちの見せ場さえ作ってあげれば、シナリオなんてどうでもいい作品なのに、それさえ失敗している。
後期もこんな質であれば、やらない方がましだろう。


アニメ感想:西洋骨董洋菓子店~アンティーク~

2008年09月26日 19時03分38秒 | 2008夏アニメ
例えば。
声優のキャスティングが気になった。橘や小野は良かったが、エイジ役の宮野真守は繊細さが強くてやんちゃなエイジの雰囲気と合っていなかった。また逆に、繊細さの感じられる芥川の声を若本規夫が演じているのも違和感を覚えた。
構成も良かったとは思えない。橘の過去について早い段階で語られてしまい、ストーリー全体に重さが残ってしまった。もっと軽妙な部分を押し出して描いた方がこの作品らしくて良かったと思う。

しかし。
そんな批評をする以前に、作画崩壊によってアニメとして成立していなかった。
背景やものがきちんと描かれていただけに、キャラクターの描写の崩れがより目に付いた。比較的作画が安定しているフジテレビのノイタミナ枠だっただけに、本当に残念だ。4人のキャラクターを横に並べて会話させるといった酷い演出をせざるを得なかったりと、作画の悪さが他の要素まで足を引っ張り続けた。
美麗さまでは求めないが、アニメは絵の力が必要だと改めて認識した作品となった。


アニメ感想:一騎当千Great Guardians

2008年08月29日 18時38分06秒 | 2008夏アニメ
一騎当千Great Guardians 第壱巻一騎当千Great Guardians 第壱巻
価格:¥ 5,775(税込)
発売日:2008-09-25


『一騎当千』第三期シリーズ。

「バカアニメ」の系列に連なる作品。
第二期は、主人公が事実上関羽だったこと、ドラゴンボールのカメハメ波のような気の攻撃の応酬になってしまったことなど、イマイチ乗り切れないところもあったが、この第三期は再び孫策伯符メインとなり、話のテンポも悪くなかった。まあバトルに関しては”操り”系が目立つものとなってしまったが……。

ストーリーうんぬんを語っても仕方ないが、ややラストのカタルシスには欠けるところがあったのは残念。呂布対呂蒙の戦いは良かったが、できれば呂布と伯符が共に戦うシーンを見てみたかった。

キャラクターはアニメオリジナルとなる、孫権仲謀や左慈元放が可愛かったので無問題(笑)。これまでの一騎当千にいないタイプだったしね。

曹操が復活し、第四期もありそうな雰囲気。ノーテンキにバトルとお色気を楽しめるのがこの作品の魅力なのだから、それさえ忘れなければ期待したいところだ。

それにしても、『恋姫無双』といい、内容はたいしたことないのについつい見てしまう魔力があるのが三国志。一騎当千や恋姫無双のキャラクターの、コーエーの三國志をやってみたいのは私だけだろうか(苦笑。


アニメ感想:薬師寺涼子の怪奇事件簿 第1話「銀座クライムタワー(前編)」

2008年07月08日 20時25分29秒 | 2008夏アニメ
これまた何故に今頃という作品だ。初出が1996年だから12年目にしてのアニメ化となる。
田中芳樹原作といえば名作の『銀河英雄伝説』や『創竜伝』『アルスラーン戦記』といったところがアニメ化されているが、これらのどれともまた違う作風の作品と言えるだろう。

唯我独尊、傍若無人な警視薬師寺涼子を描くのがこのシリーズの見所となる。マンガ的な設定だが、それを引き込むように見せるのはさすが作家の力量だろう。過去に原作を読んだときの印象は筒井康隆の『富豪刑事』を連想したが、現代的アレンジとしてなかなかユニークに仕上がっている感じだ。

さて、その第1話だが、いきなり過去の事件の話などが出て少し視聴者(このシリーズのファンなら分かるのかもしれないが)は置いてきぼり感が漂う。キャラクターや世界観の提示としてはよく練られた第1話だったが、タイトルにもある通り前編なので本番はこれからといった感じだ。
アニメとしての出来は、辛口にコメントすればアニメである必要があるのかと思うほど絵の比重の低い作品と言えるだろう。紙芝居的って訳じゃないが、基本的に言葉で何でも説明しており、絵や動きで何かを見せるという部分が乏しかった。まあ薬師寺涼子らしさは表現していたけれども。
ただだからといって見る価値がないというわけではない。言葉の質に関しては最近のアニメの中ではかなりちゃんとしている。最近のキャラクター重視のアニメの中では薬師寺涼子の存在はそれほど強烈なインパクトを残すものではないが、言葉の使い方には興味を惹かれた。今後それが更に作品の魅力として成り立つほどの存在になり得るかどうかは分からないが。作品の評価はもう少し様子を見たいところだ。


アニメ感想:鉄腕バーディーDECODE 第1話「ONE PLUS ONE」

2008年07月06日 16時37分21秒 | 2008夏アニメ
初代「鉄腕バーディー」をほぼリアルタイムで読んでいた。それから数えると3つ目の「鉄腕バーディー」と言えるだろう。

サンデー増刊版は、正統派の少年向けSFアクションとして単純に楽しめる内容。ヤングサンデー版は、作家自身の変化もあって、設定や構成が巧みになった分、SFアクションとしての爽快感が減じてつかみ所のない印象になってしまった。
そして、今回のTVアニメ版。バーディーが有田しおんというアイドルとして活動しているなどかなり設定が変更されている。バーディーの好敵手ゴメスは登場するが、敵の親玉はレビではない(1話でゴメスが名前を出したので存在すれど出番なしになりそう)。新キャラも何人か重要な役で登場し、これまでのコミック版とは違ったバーディーになりそうだ。

1話の内容としては、話の運び自体はまあフツー。キャラデザは大きく変わっているが、そんなに悪くはない。印象的なのは、顔の表情。意図的にかなり大きく変化するようになっている。特にバーディーは。他のアニメを見慣れていると違和感を覚えるほど。ただ明らかに狙ってのことなので、この効果が今後どのように発揮されるか興味深い。
また、有田しおん時のバーディーの喋り方は非常にクセの強いものとなっている。これも狙っているわけだが、インパクトという意味ではそれなりの結果を残していると言えよう。


アニメ感想:スレイヤーズREVOLUTION 第1話「Amazimg 驚愕のドラグスレイブ!?」

2008年07月03日 11時32分16秒 | 2008夏アニメ
11年ぶりだというのに、懐かしさよりもつい先週も見ていたような馴染みな感じが漂ってきた。良くも悪くもお馴染みの世界観。お馴染みのキャラクター。キャラクターの掛け合いは息もぴったりで何も言うことはない。

原作「スレイヤーズ!」の刊行が1990年。第1回ファンタジア長編小説大賞の準入選である(大賞は該当作なし)。剣と魔法の世界の王道ファンタジーではあるが、抜群のキャラクターを生み出したことが成功の原因だ。
アニメは1995年に第1期がスタート。声優林原めぐみのはまり役となった。2クール放映し、2クール間を開けて再び続編という形で3作作られた。その他OVAや劇場版など数々の展開を見せた。

原作に比べ、アニメはギャグ主体のノリ重視。原作はギャグメインの外伝にあたる「すぺしゃる」もあるが、本編は比較的シリアスも目立つ。そして15巻で完結している。

このシリーズで興味深いところに魔法の描き方がある(特に小説版)。魔法の法則性についてきちんと設定しており、例えば魔竜王ガーヴが滅ぼされた後は彼の力を借りた魔法が使えなくなるなどがあった。断片的にではあるが、魔法の設定については様々な機会で述べられており、魔法好きには魅力的なシリーズだった。

さて、前振りが長くなったが、REVOLUTIONの感想は……。とりあえず導入部なので、特になし。本編とも「すぺしゃる」とも違うTVアニメ版独特の雰囲気は1話では変わりなかった。これから話がどう展開するのか楽しみだ。


アニメ感想:ウルトラヴァイオレット:Code044 第1話「旅立ち…」

2008年07月03日 11時30分55秒 | 2008夏アニメ
アニマックス開局10周年記念作品と銘打たれた作品。6月のアニメギガでは、出崎統監督が熱意を語っていたが。

コード044と呼ばれる少女が主人公。19歳だが余命はわずか。政府によって生み出されたクローンであり、特殊工作のために遺伝子を操作し、それにより驚異的な運動能力を得るが数年の命となってしまう。彼女の仕事は政府の命による暗殺だ。

あまり詳しくはないが『GUNSLINGER GIRL』や『あずみ』『クレイモア』が思い浮かぶ。劇画的な描写からは『コブラ』あたりも連想するが、第1話からはエンターテイメント的な爽快感は得られない。
彼女自身のモノローグが異常に多いのが特徴だ。親兄弟はもちろん友達や仲間と呼べる者がいないことを強く感じさせる演出とも言えるだろう。その意味では『装甲騎兵ボトムズ』の初期も思い浮かぶ。

1話を見た限りでは、彼女の置かれている状況が苛酷過ぎて簡単には感情移入できない。モノローグの多用も作品世界に入っていきにくくしている。全体に斬新さや独創性も感じない。その意味では、早く物語を展開させないと視聴者が付いてこなくなりそうだ。


アニメ感想:テレパシー少女 蘭 第1話「蘭、テレパシー!~ねらわれた街~」第2話「蘭、走る!~ねらわ

2008年07月03日 11時28分57秒 | 2008夏アニメ
『電脳コイル』はSFだった。『テレパシー少女 蘭』はSF的だ。
SF的アニメはごまんとある。SF設定自体が物語の核心に関わるような作品はほとんどない。それは別に悪いことではない。ただ同じ枠での後番組ということでつい同じ目線で見てしまいがちになるが、本質的にかなりの差があることは事実だろう。

日本のジュブナイルSFに『ねらわれた学園』『なぞの転校生』という名作があるが、この作品はこれらのタイトルを髣髴とさせる。ただテイストはかなり異なるけれども。

活発な少女磯崎蘭は、転校生名波翠との出会いをきっかけに超能力の力に目覚める。最初はテレパシーだけかと思いきや、他の超能力もガンガン使ってびっくり。全体に悪い意味でのマンガ的。対象年齢が低いのか、リアリティに乏しく、人物造型も薄っぺら。
幼馴染みで彼氏のような存在の留衣は、美少年だし、常に蘭の頼りになるしでちょっとなんだかなと感じてしまう。翠の攻撃的な姿もいかにもって感じに映る。

正直かなり微妙。大傑作の『電脳コイル』と比べるのは酷としてももう少し楽しめる作品になるかと思っていたのだが。『アリソンとリリア』といい今年はNHKのアニメが期待はずれの一年になってしまいそうだ。