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アニメ感想:ハヤテのごとく!! 第13話「FEELING OF FREEDOM」

2009年06月28日 13時12分24秒 | 2009春アニメ
放送時間や制作スタッフが変わったせいか、1期と2期では大きく印象の変わった『ハヤテのごとく!』。1期はパロディやギャグがメインだったのに対して、2期はラヴコメメインとなっている。

1期は同時期に『さよなら絶望先生』や『らき☆すた』といった、より尖がった作品があったせいでパロディやギャグとしては及第点といった印象だった。それでも1年にわたり、その質をキープし続けた点は評価できる。ギャグが前面に押し出されていたので、キャラクターの恋愛要素はほぼ記号的なもので、内面描写も形式的だったが、それがかえってキャラクターの良さを引き出していた面もあった。

2期は一転してラヴコメ要素が強く打ち出された。1話からこの13話までの1クールは、実質的に桂ひなぎくをヒロインにその内面やはやてとの関係を描いていた。「綾崎くん」から「ハヤテくん」に呼び方が戻るまでを描くのに13話を要したわけで、これは完全にラヴコメの作り方だ。
パロディやギャグがなくなったわけではないが、1期に比べるとかなり減少した。キャラクター間の構図も微妙に変化し、特にハヤテは1期に比べると「ヘタレ」な印象を受ける。ハーレム系の主人公っぽくなってきたとも言えるだろう。

理想のヒロイン像があって、それは自分の力だけで世界を切り開く少女というもの。”男らしい”女の子、”男前”な女の子、バトルヒロインなど形容する言葉を思い浮かべたがどれも物足りなく感じられる。その代表格である、『高機動幻想ガンパレード・マーチ』の芝村舞は、”ヒーロー”と公式から称された。
最近、といっても2年前になるが、このヒロイン像を受け継ぐキャラクターと出会った。それが『グリムグリモア』のリレ・ブラウ。どちらも、世界の危機を自らの才覚で乗り越えようという存在だ。
こうしたキャラクターが量産されないのには訳がある。物語になりにくいからだ。それでもそれが男性の場合なら成立させる様々な手法が確立しているが、女性の場合いまだ手探りの状態と言えるだろう。

女性向けの作品の場合、どうしても男性との恋愛要素が加わるため、そこまでの強さが求められない。例えば、『花咲ける青少年』の花鹿は魅力的なキャラクターだが、周囲の男性に守られている側面も強い。そこで自立してしまっては読者の共感を得られにくくなってしまうだろう。
男性向けの場合も主人公との恋愛によってその立ち位置が変わってしまうことが少なくない。『Fate/stay night』のセイバーや遠坂凛も主人公と関わる中で弱さや甘さが強まっていく。そうした弱さや甘さは時としてキャラクターの魅力となるため、このような描かれ方が多用される傾向にある。
バトルヒロインを主人公として扱った作品は数多いが、苦悩や葛藤をストーリーの中心に据えることが多く、”強さ”を維持したものはほとんど見当たらない。『攻殻機動隊』の草薙素子や、ギリギリという感じもするが『スレイヤーズ』のリナ・インバースが思い当たるくらいか。

桂ひなぎくは、特に1期では記号性が強かったがゆえに”強い”ヒロインとして成立した。メインのヒロインではないこともあって、物語性を背負い込むこともなく、いい立ち位置を作り出していた。かっこよく描いていればいい存在だったし、ハヤテとの距離感も絶妙だった。
2期になり、身体性が強まり、内面がどんどんと描かれていった。”弱さ”が表現され、悩んだり、戸惑ったり、恐れたりする様があらわになった。それでも、今はまだ”強い”ヒロインの印象が勝っているように思える。それはこれまで培った残像かもしれないが。ハヤテのためにひなぎくらしさが失われる行動を取った時が幻想の終わりだろう。できることならば、この幻想を最後まで保ってほしい。

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