のだめカンタービレ #18 (18) 価格:¥ 410(税込) 発売日:2007-06-13 |
いよいよ佳境って感じなのか。のだめも千秋も音楽家としてそれなりの成果を発揮し周りから認められる存在となってきた。しかし、それは同時に自分の音楽への追求に追われ、お互いの距離は開いていくこととなった。
島田ひろかず「りてーくぐらふぃてぃ」というコミックの中で次のような台詞がある。
「私達なんかはさ絵って『顔』のようなもんでしょ
で つい
絵の上手下手でその人に好意的になったり見下したりする態度とっちゃうの
――そういうのイヤだなって思っても生活の第一に絵があるとついやっちゃうのよね
実際友美ちゃんやみほちゃんも絵が上手いからつきあってられる部分あるもの
そんな利己的な感情だんなに対してまでも持ちたくないもんね」
これはアニメーターが主人公のマンガで、発言主はその友人の同人漫画家だ。
千秋にとってのだめの存在は音楽抜きにありえないものだ。のだめにとっての千秋はそこまで明確に描かれてはいないが。本人の自覚はともかく、千秋がここまで来れたのは紛れもなくのだめのお陰だが、それでもなお千秋はのだめでなくヴィエラを選んだ。この選択は、これまで千秋を描き続けてきた結果としての当然の帰結だ。千秋は自らの夢や希望、音楽を最優先する。良いとか悪いとかではなく、人は常に決断を迫られ、時にそれは何かを失わせることとなるが、その人がそれまで積み上げてきた選択の方向性がぶれなければ傑出した人物として評価されることとなるだろう。千秋の父のように。もちろん評価の基準が異なればその評価もおのずと異なるわけだが。
千秋にとってのだめが「天使」であることは間違いない。おそらく読者の望むように二人にハッピーエンドが待ち受けていると信じていても、今は二人にとっての試練であることは確かだ。「ずっと音楽でつながってる」そのテーマが未来をどう織り成していくのか。のだめの大きさが目立つ中で、千秋がどう変わっていくのかが興味深い。