奇想庵@goo

Sports, Games, News and Entertainments

『グリムグリモアザ・コンプリートガイド』インプレッション

2007年06月12日 16時16分31秒 | アニメ・コミック・ゲーム
グリムグリモアザ・コンプリートガイド
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2007-06-08


メディアワークスから発売された攻略本。「ザ・コンプリートガイド」と銘打たれてはいるものの、第一印象は”薄い”だった。
サイズは通常の攻略本よりも大きいサイズ。縦は電撃PlayStationと同じで、横が2cmほど短くなっている。ページ数はわずか96ページ。

内容を見ていこう。
まずはキャラクター紹介が12ページ。基本は一人1ページ。紹介文は短く、主にイラストメインの作り。ちなみに紹介文はネタバレしている。

次いでシステム&テクニックが12ページ。基本的な事柄の説明が主。なお、スコアの計算式が載っているが、スコア表示画面の数字を使うと計算が合わない。検証の必要がありそうだ。

魔法データは18ページ。各魔法陣のデータ、シンボルや使い魔のデータ、それらを一覧表にしたものという構成。シンボル、使い魔には視界、召喚に必要な時間、移動速度、攻撃等を行った時の硬直時間などが数値として書かれている。これらはクルル人形館さんのグリムグリモア攻略サイトでかなり詳細な検証が行われているので目新しい情報とは言えないが、有益な情報だろう。(ただし、RTSとしてそこまでの緻密さは要求されないゲームではあるが)
一方で、カロンに乗せることができない使い魔が記されてないなど、必要十分な情報量とは言いがたい。特に説明部分が乏しい印象が強い。

戦闘パートデータは32ページ。シナリオ編は、最初の4つの戦闘パート(実質チュートリアル)を除き、1ページに2つずつマップ付きで掲載している(最後のもののみ1ページ使っている)。マップ以外ではグリモアの制限と敵の構成などがざっとだが記されている。その分、戦術的な要素は短い内容となっている。また、マップはシンボルの位置は書いているがシンボルの種類は記載が無い。
フリートライも基本的な構成は同様だ。ただ難関トライアルステージ攻略として、07「恥ずかしがり屋のドラゴン」、10「エルフプロブレム」、11「インビシブル」、24「カゴノトリ」の4つを2ページで解説している。これでも文章量は少ないのでどの程度参考になるかは微妙だ。また慣れないとかなり難しい05「精霊と幽霊のワルツ」がないのもどうかと思うが。
最後に3ページを要し、ストーリーガイドとしてそれぞれの日ごとの物語を説明している。

最後の19ページがイラストギャラリー。神谷盛治氏、前納浩一氏、シガタケ氏のイラスト及びラフスケッチが掲載されている。本書の価値はほぼここにあると言っても過言ではないだろう。ただ本当にイラストのみなので、設定などは全く触れていない。

正直この価格に見合う内容ではない。
まず攻略に関しては、もともとスイートやイージーでプレイしても大きなデメリットがないため(ハードモードを出すためにノーマルクリアが必要なだけ)、ストーリーを追うことを求めるならRTSが苦手でもそう苦労することはない。だが、ノーマルやハードでやり込んでいこうというには、この本はあまり参考になる部分がない。先に挙げた攻略サイトや手前味噌だが私のファンサイトの方がノーマルやハードでのプレイには役立つと思う。
一方、期待していた設定資料的な要素はほぼ皆無で、イラストのみが売りと言える状況だ。それもこの本独自のものはほとんどなかったりするが。それでもファンなら価格に釣り合わないまでも一見の価値はあると言えるだろう。

「ザ・コンプリートガイド」と謳うならもう少し内容を充実して欲しかったのは確かだ。特にゲームの肝であるRTSの楽しみ方や、「縛り」プレイなどの面白さを伝えて欲しかった。攻略本の作り手の熱意が見えなかったのが残念だ。

追記:
攻略本の話題ではなく、またこのゲームに限った話でもないが、ゲームは特に新発売の時だけ宣伝に力を入れ、発売後はほとんど取り上げないようなやり方をしている。これはゲームメイカーが作ることが全てといった感じの商売の仕方をしているからだ。ネットゲームは特にだが、オフラインのゲームでももっとサービス業的な売り方を考えてもいいだろうにと思う。
例えばこのグリムグリモアの場合、続編ではないので知名度が低く、しかもRTSという日本ではあまり知られていないジャンルで売り上げもそう多くはなかった。ゲーム雑誌である程度は取り上げられたが、それがこのゲームの魅力を伝えられているかと言うと心許ない印象だ。
「高機動幻想ガンパレード・マーチ」の成功を見てきたからこそ歯がゆく感じるのかもだが、ガンパレのようにやらなくとももう少し発売後にプレイヤーに遊び方の提案みたいな形を提示してくれればもっと盛り上がった可能性もあったのではないか。出来のいいゲームだからこそそんな風に感じてしまう。
インターネットという利便なツールがあるのだから、それを生かして欲しい。まあ企業とプレイヤー間のコミュニケーションの取り方はなかなか難しいのも事実だけどね。