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白夜の炎

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110年前の行商組織に両班・日本商人まで加入/朝鮮日報より

2016-01-24 15:22:42 | 歴史
「 20世紀初め、「チャンドルベンイ」と呼ばれる褓負商(ほふしょう、行商人)の組織に、中国・日本の商人も加入していたことが確認された。韓国学中央研究院(韓中研)のチョ・ヨンジュン、シム・ジェウ、チョン・ギョンモク教授と韓神大学のヤン・ソンア研究員が共同で出版した『チャンドルベンイの組織と記録』(韓中研出版部)で明らかにされた研究結果だ。研究チームは、忠清南道礼山・唐津一帯の褓負商組織「礼徳商務社」の組織員リストと規定をハングルに翻訳し、解説を加えた。礼徳商務社は、1851年から6・25戦争(朝鮮戦争)直後の1954年にかけて、およそ110件の資料を残した。

 今回出版された『チャンドルベンイの組織と記録』で注目されるのは、1906年から07年の組織員リストだ。このリストには、中国商人の華商・王文魁と日本人商人の上野為吉が、礼徳商務社の幹部に当たる「副接長」として登場する。外国商人と韓国商人については対立関係ばかりで見がちだが、協力・協調も同時進行していたというわけだ。チョ・ヨンジュン教授は「外国商人まで参加することで、組織の性格も、当初の『行商人の同業組合』から『地域の商人連合』あるいは『地域共同体』へと拡大・変化したと見ることができる」と語った。

 1860年代以降は両班(ヤンバン=朝鮮王朝時代の貴族階級)や僧侶も褓負商の組織に参加した、という事実も興味深い。平安道竜川郡守を務めた鄭俊鎔(チョン・ジュンヨン)は、1905年から06年にかけて、礼徳商務社のリーダーに当たる「領位」を務めていた。五衛将を務めた元官僚も参加していた。1889-90年のリストには、忠清南道唐津にある霊塔寺の僧侶の名前も載っている。1898年にソウルで褓負商を中心に「皇国協会」が結成されたことから考えると、当時の中央・地方権力が、商人を動員するため積極的に抱き込みに乗り出した、という解釈も可能だ。チョ教授は「純粋な商人組織というよりも、商業を名目としつつ、同時に政治を含むさまざまな目的で組織を運営した可能性がある」と語った。

 礼徳商務社は、6・25戦争直後の1954年の時点でも、およそ50人の組織員を確保するほどしっかりした組織を維持していた。褓負商組織が、植民地時代や光復(日本の植民地支配からの解放)、戦争を経ながらも命脈を保つことができたのは、相互扶助や自律など、厳格な規律を強調していたからだ。1850-60年代の組織規律には「市場で押し売りした者、むち打ち30発」「同僚に手荒なことをした者、むち打ち30発」「弔問をしない者、むち打ち15発、罰金5銭」などといった内容が盛り込まれている。また1883年の規律には、多数決による接長選出という「民主的選挙手続き」も含まれている。

 チョ教授は「褓負商が1970-80年代まで五日市などで命脈を保つことができた原動力を、組織規律からも読み取ることができる」と語った。

キム・ソンヒョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版」

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/01/23/2016012300449.html

中国爆買いの灯は消えるのか/ロイターより

2016-01-24 15:11:11 | 経済
「[上海 20日 ロイター] - 世界経済の先行きにとって、さらに悪いニュースかもしれない。「爆買い」で昨年の経済成長を支える主役だった中国の消費者が、今年は支出を切り詰める可能性が高まっている。

外食の頻度を減らし、スマートフォンの機種交換を先送りし、衝動買いを減らしていくという。

世界第2位の経済大国である中国の政策当局にとっては、ただでさえ株式市場の動揺と賃金成長の伸び悩みに苦慮しているというのに、これもまた気を揉む材料だ。

中国経済は昨年、この四半世紀で最も低い経済成長率を記録したが、少なくとも政府が掲げた目標に近い成長率を維持できたのは消費需要のおかげだったと、アナリストは見ている。

エコノミスト・インテリジェンス・ユニットの北京在勤アナリスト、トム・ラファティ氏は、「2015年に経済を救ったのは中国の消費者だ」と語る。「彼らの消費支出が、これまで中国経済のけん引役だった産業や投資の不振を相殺することに貢献した」と言う。

だが、今年も消費者が同じように動いてくれるという保証はない。

オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)が20日発表した調査によれば、中国の消費者信頼感は今月記録的な低さとなった。米調査会社チャイナ・ベージュ・ブックの調査では、第4・四半期の雇用成長・賃金成長は過去4年間で最低となっている。

これらの調査を裏付けるように、ロイターが上海で取材した消費者も、今後支出には気を配り、抑制していく可能性が高いと語っている。

<爆買い頻度も減少>

男性のZhouさんは、昨年ガールフレンドとともに外食で約7万元(約125万円)、衣類とアクセサリーに4万元を使ったという。だが、今年は経済状況に鑑みて約3分の1近く支出を切り詰める予定だ。「自炊を増やす。携帯電話などのエレクトロニクス製品の買い替え頻度も減らすかもしれない」と言う。

ある店舗でマグカップやベッド用のシーツを物色していた30歳の女性Zhengさんは、「物価上昇に収入が追いつかないようだ」と不安を口にする。「こういうものは必要ない。もう少し自制して、買い物にも頻繁に行かないようしなければ」と語った。

さらに厳しい打撃を受けるのは、中国で増大しつつある高齢者層かもしれない。医療費が可処分所得に食い込みつつあるからだ。

すでに退職した55歳の女性は、ロイターの取材に対し、自分のお金の大半は都市部の大気汚染対策用のエアフィルターに使わざるを得なかったと語る。「病気になって病院に行く必要が生じたときのために、貯金しておきたいのだけど」と言う。

中国国内に多数存在する小規模な小売店経営者は、彼ら自身も消費者だが、完全に国内需要に依存して生計を立てているだけに、厳しい状況に置かれている。

上海で携帯電話ショップを経営するDongさんは、昨年下半期に売上が急激に落ちたという。「奇妙な話で、理由は分からない。株式市場が暴落したからかもしれない。2016年はもっと悪くなると思う」と話す。

<逆風>

エコノミストは、今年、賃金が伸びず失業率が上昇すれば、消費者の支出は低下すると警告するが、そうなる可能性は高そうだ。

また、最近の人民元安によって中国で販売されている多くの輸入品価格にその影響が及んでおり、中国人の購買力が内外で低下することも考えられる。

「賃金上昇が緩やかになることで、今年は消費支出の伸びが抑えられると予想している。さらに、産業の不振が消費に及ぼす悪影響が強まるリスクも残っている」と、オックスフォード・エコノミクスのアジア経済担当責任者ルイス・クイジス氏(香港在勤)は分析する。

中国の国家統計局によれば、GDP成長に対する消費の貢献比率は、昨年15ポイント上昇して3分の2を超え、巨大な製造部門の減速を相殺することに貢献した。もっとも、そのうち民間消費ではなく政府支出によるものがどの程度あるのか、公式の内訳は発表されていない。

中国の内閣に相当する国務院は昨年11月、民間消費を加速させる試みとして、小売、医療、旅行やスポーツなど「ライフスタイル関連ビジネス」に対する融資提供において、金融機関がこれまで以上に多様な担保を受け入れることを奨励していくと発表した。

<強靱さの兆候も>

とはいえ、消費財の小売販売額は前年比で11%以上増大し4000億ドルを超え、オンラインショッピングサイトのタオバオでは、11月の販促イベント期間中、たった1時間で約40億ドルの売上高を稼いでいる。

こうした消費の強靱さを示す兆候は続いている。

ANZの消費者信頼感調査からは、「今こそ高額商品を購入すべき時期だ」と考える回答者が増えていることが分かる。昨年の新車販売台数は4.7%増と伸び悩んだが、中国自動車製造者協会によれば、今年は6%増が見込まれている。

それでも、上海の婦人服店の経営者は「この1年間、商売は不振だったし、上向きになるとは考えられない」と懸念する。「富裕層が高級品を買うとしても、貧困層は節約に走るだろう」と語った。

(Pete Sweeney記者)

(翻訳:エァクレーレン)」

http://jp.reuters.com/article/china-economy-consumers-idJPKCN0V200H?sp=true

ロシア連邦国家安全保障戦略(第1章・第2章・第3章)/小泉悠氏より

2016-01-22 17:12:59 | 軍事
「ロシア連邦国家安全保障戦略

第1章 総則

本戦略は、ロシア連邦の国益及び戦略上の国家的優先課題、ロシア連邦の国家安全保障を強化し長期的将来にわたって国家の安定的成長を確保するための対内政策及び対外政策上の目的、課題及び施策を規定する戦略的計画の基本文書である。

本戦略の法的基礎を構成するのは、ロシア連邦憲法、2010年12月28日連邦法第390号「安全保障について」、2014年6月28日連邦法第172号「ロシア連邦における戦略的計画について」、その他の連邦法、ロシア連邦大統領の発出する法規犯的アクトである。

本戦略は、ロシア連邦政府機関、その他の政府機関及びロシア連邦構成主体の政府機関(以下、「政府機関」という。)、地方自治体の機関、市民社会の組織の努力を糾合し、ロシア連邦の国益及び戦略上の国家的優先課題を実現する上で好適な対内的・対外的環境を実現することを目的とする。

本戦略は、ロシア連邦の国家安全保障の確保に関する国家的政策を策定し、実現する際の基礎となる。
本戦略は、ロシア連邦の国家安全保障と国家の社会・経済的発展との間の分かち難い相互作用及び相互依存性を基礎とする。
本戦略で用いる基礎的な用語は次の通りである。

ロシア連邦の国家安全保障(以下、「国家安全保障」という。)とは、個人、社会及び国家が、内部及び外部の脅威から保護されている状態をいう。この際、ロシア連邦市民(以下、「市民」という。)が有する憲法上の権利及び自由の実現、その生活の十分な質及び水準、主権、独立、国家的及び地域的な領土的一体性、ロシア連邦の安定的な社会・経済的発展が確保されていなければならない。国家安全保障には、国防に加え、ロシア連邦憲法及びロシア連邦の法令が規定するあらゆる種類の安全保障が含まれる。特に、国家、社会、情報、環境、経済、輸送、エネルギー、人間の安全保障が中心的となる。

ロシア連邦の国益(以下、「国益」という。)とは、人、社会及び国家が保護され、安定的に発展するために、客観的な必要性が極めて高いものをいう。

国家安全保障上の脅威とは、国益に障害をもたらす直接または間接の能力を形成する条件及び要因の総体をいう。

国家安全保障の確保とは、政府機関及び地方自治体の機関が市民社会の組織と連携し、政治的、軍事的、組織的、社会・経済的、情報、法、その他の分野において国家安全保障公の脅威に対抗し、国益を充足するための施策を実現することをいう。

ロシア連邦の戦略上の国家的優先課題(以下、「戦略上の国家的優先課題」という。)とは、国家安全保障の確保に関する最重要の分野をいう。

国家安全保障の確保のためのシステムとは、国家安全保障の確保の分野において国家政策を実施する政府機関、地方自治体の機関及びそれらの付属機関の集合体をいう。

第2章 現代の世界におけるロシア

国家安全保障の確保及びロシア連邦の社会・経済的発展の分野における国家政策は、戦略上の国家的優先課題の実現及び国益の効率的な保護を可能とする。現在、ロシア連邦には、経済的、軍事的及び精神的ポテンシャルをさらに強化し、形成されつつある多極世界においてそのその役割を高めるための安定的な基礎ができている。

ロシアは主権、独立、国家的及び地域的な領土的一体性、在外同胞の権利保護を行う能力を実証した。最重要の国際問題の解決、軍事紛争の規制並びに戦略的安定性及び国際関係における国際法の支配の確保におけるロシア連邦の役割が高まった。

ロシア経済は、世界の不安定な経済状況及び隣国がロシアに対して導入した経済制裁の中にあって、そのポテンシャルを保持・強化する能力を示した。

国民の健康増進に関する課題の解決については、肯定的な傾向が見られる。人口が自然増に転じ、平均寿命が増加した。
伝統的なロシアの精神的・道徳的価値観が復活しつつある。新たな世代の人々の間には、ロシアの歴史に対する正しい態度が生まれている。ロシアの自由と独立、人道主義、人種間の平和と協調、ロシア連邦の多民族的文化の統合、家族的・宗教的伝統の尊重、愛国心など、国家体制の基礎を成す一般的価値を中心として、市民社会の結束が起こっている。

ロシアの強化は、複合的な相互作用の性格を有する、国家安全保障上の新たな脅威を前にして進んでいるものである。ロシア連邦が自律的な対内的・対外的政策を進めることにより、世界情勢における自らの支配を保持せんとする米国及びその同盟国との対立が生じている。彼らが進めているロシア抑止政策は、政治的、経済的、軍事的及び情報上の圧力をかけることを想定したものである。

世界秩序の新たな多極モデルの形成プロセスは、グローバル及び地域的な不安定性の増大を伴っている。世界の発展の不均衡、諸国間における富の水準の格差拡大、資源を巡る争い、資源市場へのアクセス、主要輸送ルートのコントロールに関する対立が先鋭化している。

国家間の競合はいずれも、社会的発展の価値及びモデルに関する部分が多くを占める。この過程においては、世界の海洋及び北極における資源開発の主導権が大きな重要性を有している。国際的アリーナにおける影響力を巡る争いにおいては、政治的、社会・経済的、情報に関する全スペクトルの手段が動員される。特殊機関のポテンシャルがこれまでになく活発に活用されるようになっている。

国際関係においては、力のファクターが持つ役割は低下していない。攻撃兵器の強化及び近代化並びにその新型を開発及び配備しようとする意図は、グローバル安全保障システム及び軍備管理の領域における条約及び合意のシステムを弱体化させている。欧州・大西洋地域、ユーラシア地域、アジア太平洋地域においては、対等かつ不可分の安全保障原則は見られない。ロシアに隣接する地域では、軍事化と軍備競争の過程が発生している。

北大西洋条約機構(NATO)が軍事的ポテンシャルを強化し、国際法の規範に違反する形でそのグローバルな機能を拡大すること、同ブロック加盟国の軍事的活動の活発化、同盟のさらなる拡大、ロシアの国境に向けたその軍事的インフエアの接近は、国家安全保障上の脅威となっている。 欧州、アジア太平洋地域及び中東に米国のミサイル防衛システムのコンポーネントが配備されていること、「グローバル攻撃」概念が実際に実現されていること、精密誘導兵器による非核戦略システムが配備されていること、グローバル及び地域的安定性を助長しうる可能性は実質的に低下している。宇宙空間に兵器が配備される場合も同様である。

国際問題の解決に際して残っているブロック的なアプローチでは、現代における事象及び脅威のすべてのスペクトルに対抗することはできない。アフリカ及び中東諸国から欧州への難民流入の活発化は、欧州・大西洋地域においてNATO及び欧州連合を基礎として形成された地域的安全保障システムの無力さを示している。

ユーラシア地域における統合過程に反対し、緊張の火種をつくる西側の立場は、ロシアの国益を実現するうえで否定的な影響力を示している。ウクライナにおける反憲法的な政権転覆に対する米国及び欧州連合の支援は、ウクライナ社会の深い分裂と武力紛争の勃発をもたらした。極右ナショナリストのイデオロギー強化、明らかな目的をもってウクライナ国民の中に作り出されたロシアに対する敵愾心、政府内の対立を力で解決することへのあからさまな期待、深刻な社会・経済危機は、ウクライナを欧州及びロシア国境における長期的な不安定の火種へと変えてしまった。

政府内の不安定性及び紛争によって引き起こされる正統な政治体制の転覆という先例は、より広範な領域に適用しうる。近東、中東、アフリア、南アジア、朝鮮半島に残る緊張の火種に加え、新たな「ホットスポット」が出現しつつあり、いかなる国家にも統制されていない地域が拡大している。紛争地域はテロリズム、国際犯罪、宗教対立、その他の過激主義の拡大の温床となっている。「イスラム国」と自称するテロ組織の出現及びその影響力の拡大は、若干の国々がテロとの戦いの領域で堅持している二重基準政策の結果である。

核保有国の増加、化学兵器の拡散及び使用、諸外国による生物兵器の保有の事実に関する不確定性及びそれらの兵器の開発及び製造ポテンシャルの獲得のリスクが残存している。ロシアの隣接国家において米国の軍事生物研究ネットワークが拡大している。

特に内政状態が不安定な国における危険な物質及び材料の物理的な保管体制の危機的な状態及び制御されていない通常兵器の拡散により、それらがテロリストに入手される可能性が高まっている。

社会の認識を操作することや歴史を歪曲することを含めて、情報通信技術を地政学的な目的を達成するために用いようとする若干の国々の意図により、グローバルな情報空間において強まる敵対が、これまでになく国際情勢の性質に影響を与えるようになっている。

情報通信技術及びハイテク技術の使用を含めて、非合法活動の新たな形態が出現している。制御されない移民及び非合法移民、人身売買、麻薬流通及びその他の国境を越える組織犯罪に関する新たな脅威がさらに深刻化している。

世界の人口状況、環境問題、食料安全保障問題が複雑化している。真水の不足及び気候変動の影響がまずます顕在化している。多くは従来は知られていなかったウイルスによる新型伝染病が拡散している。

経済プロセスにおける政治的要因の影響が拡大しており、個別の国家的な経済的措置、金融手段、通商・投資・技術的政策を自らの地政学的課題を達成するために適用する企みが国際的な経済関係のシステムを弱体化させている。世界の経済及び金融システムの不均衡な構造、増大する国家債務、エネルギーの市場価格の変動により、大規模な金融・経済危機が再来する高度のリスクが残存している。

国際的な不安定性に対応するために国家はますます自らの域内における事象に責任を持つようになっている。地域的・サブ地域的な貿易その他の経済的合意が、危機的な減少から自国を保護する最重要の手段の一つとなっている。地域通貨の利用に対する関心が高まっている。

ロシア連邦の国家安全保障上の脅威を防止するために、ロシア社会の体内的な結束の強化、社会的安定の確保、民族間の合意及び宗教的寛容、経済における不均衡な構造の解消及びその近代化、国防力の向上が焦点となっている。

ロシアの国益を保護するため、代償を伴う対立(新たな軍拡競争を含む)を排したオープンで合理的かつプラグマティックな対外政策が実施されている。

ロシア連邦は、国際法の原則、諸国間の望ましく対等な関係の確保及び諸国民の相互尊重並びにその文化、伝統及び利益の多様性の保存の原則に基づいた国際関係を推進する。

国際安全保障の領域において、ロシアは第一義的に政治的・法的制度及び外交・平和維持メカニズムの利用に依拠する姿勢を維持する。国益の保護のための軍事力使用は、用いられた全ての非攻撃的な性質の手段が効果を発揮しない場合に限られる。

第3章 国益及び戦略上の国家的優先課題

長期的な将来における国益は以下のとおりである。
国防の強化並びにロシアの憲法体制、主権、独立、ロシア連邦の国家的及び地域的な領土の一体性の不可侵性
国民の結束及び政治的・社会的安定性の強化、民主的制度の発展、国家と市民社会の相互作用メカニズムの改善
生活水準の向上、国民の健康増進、安定的な人口発展の確保
文化、ロシアの伝統的な精神的・道徳的な価値観の発展の維持

国民経済の競争力向上
多極世界において戦略的安定性と相互のパートナー関係を助長するために活動する、指導的立場を有する世界的大国としてのロシアの地位の確立
国益の確保は、以下に掲げる戦略上の国家的優先課題の実現を通して実施される。
国防
国家的・社会的安全保障
ロシア国民の生活水準の向上
経済成長
科学技術及び教育
保健
文化
生態系のエコロジー及び合理的な資源利用
戦略的安定及び対等な戦略的パートナーシップ」

http://wsintell.org/top/2016/01/nss2015-1/

【ケルン集団暴行事件】毅然とした対応を取らないのは左派の自滅行為だ/ハフポトより

2016-01-22 16:23:09 | 政治
「ロンドン―― シリアのアサド政権軍に包囲され、補給路を絶たれたマダヤの町の衰弱した人たちの写真を見て、どれほど多くの人が息を飲んだだろうか? シリアの人道的危機は相変わらず絶望的な状況にあるが、ドイツ・ケルンで大晦日に難民とみられる集団による性的暴行事件が起きてからは、ヨーロッパ全土は右派の大衆主義者による「難民を歓迎しない」感情が勢いを得ているようだ。

1月11日には、スウェーデンのストックホルムで起きた集団による性的暴行が、右派の反発を恐れたスウェーデン警察によって隠ぺいされた疑惑が持ち上がった。ニュースのグローバル化がどんどん進むれている現在に於いては、特にドイツのようなヨーロッパ連合(EU)の国のこととなると、「彼ら」の問題はドイツ国内の問題だけでなく、「私たちの」問題にもなりえる。ヨーロッパのどこであっても、「偏見をもっている」と右派を糾弾するだけでは人々の高まる恐怖心を鎮めることも、議論に勝つこともできない。リベラル派は鏡に向かい、自分を見つめる必要がある。そして、ある程度の妥協をしなければならない。

ケルンの事件が1週間近く経ってから報道されたことで、警察や政府が事件を隠ぺいしたとする非難が、陰謀論のような最悪の様相で広がってしまった。残念ながら、それが何故なのかを理解するのは難しいことではない。女性や10代の少女たちが、大勢の「アラブや北アフリカ出身のような外見」の男たちによって組織的な攻撃をうけたと証言した。女性たちを集団でとり囲み、掴んだり激しくまさぐり、彼女たちの体にはアザが残った。

しかし、当初の報道発表で警察は、その晩は「何事も無く過ぎていった」と主張した。その後、事件が発覚。亡命希望者が関わったという証拠は何もないと繰り返される日々が続き、ケルン市長のヘンリエッテ・レーカー氏は、難民が関わっていることをほのめかすことは「容認できない」とさえ言い切った。

7日に発表された国際警察の報告書の情報を入手したとするドイツの週刊誌「シュピーゲル」は、暴行犯の一部が自分たちはシリア難民であると断言したことが報告書に暴露されていると報じた。一人は警官に向かってこう言ったという。「丁重に扱ってくれよ。メルケルさんが俺を招待してくれたんだからな」。別の男は居住許可証を警官の目の前で引き裂き、「お前らは俺に何もできないぞ。明日また新しいのが貰えるんだから」と挑発するように叫んだ。

私たちは事実に向き合わなくてはならない。事実とは例えば、危険で好ましくない人々が、きちんとした保護を受けるべき難民たちに交じってEUに入る道を見つけてしまうだろうということなどだ。
ケルン事件がドイツで明るみに出た後、イギリスでは右派のメディアだけが、嫌々ながら報道を始めた。警察報告が信憑性を与えたように見えたからだろう。

私たちリベラル派はよく、こういう「無実の難民の中に、腐ったりんごが混じっている」という話を、無視したがる。一部では、さらに日がたってようやく、「移民が関わっているかどうか、本当は誰も知らない」という調子に終始した、左寄りの記事が見られた。多分これは、外国人嫌いが飛びつきそうな類のことだからという理由で、左派の多くは触れたがらなかったためだろう。しかしこれは、少数派や、あるいは、ワンパターンで政治的な同族意識へ、配慮したからなのだろうか?

普段は意見を述べることを恐れない人々が、政治的正しさという理由から警察に情報を提供するの恐れると、健全性が置き去りにされてしまうことを私たちは知っている。こういった曖昧さは、非常に危険だ。真犯人を見つけることを難しくしてしまうだけでなく、分別のある人々を左派から離れさせ、結果、彼らは右派の大衆迎合主義の腕の中へ落ちてしまう。

現在、ドイツ警察はこれまで取り調べを行った人々の半分以上が難民であると公表し、右派は勝利のダンスを踊っている。コメント欄をスクロールしていくと、増え続ける「EUから退去しろ」という要求の中で、「好ましからざる人物」として左派を意味する「Libtards(リベラルと称する間抜け)」や「the left(左)」の言葉が見つかるだろう。

そしてアメリカの読者はこれがまさしく、トランプとその取り巻き連中が付け入るような、「ヨーロッパが脅される」という意見に持ってこいな話だ。9日にケルンで抗議を行っていた反人種差別主義者の言葉で言えば、「チャレンジにオープンであって欲しい。私たちを『保護しても』意味がないんです、それでは人種差別がさらに悪化するだけです」ということだ。

率直に言って、左派の私たちは目を覚まし、世界をありのままに言い表そうとしなければならない。事実に向き合うと、例えば危険で好ましくない人々が、きちんとした保護されるべき難民に混じってEUに入る道を本当にみつけてしまうだろう。そうではないにしても、近い将来、移民反対派の言い分を煽ろうとする右派だけでなく、私たちの公共サービスを張り切って解体するような人々に支配される可能性に直面するかもしれない。

右派の大衆迎合主義は、リベラル派の原則のために立ち上がることにすらしょっちゅう失敗している曖昧なリベラル派を、イデオロギー上のおあつらえ向きのサンドバッグと考えている。ケルンの件では、被害者批判とでも呼ぶべきものさえ目撃した。ケルン市長のレーカー氏は女性に、男性から「腕の長さ以上、離れていること」を含む、公共の祝祭イベントの場での「行動基準 」をアドバイス。「お祝いムード」でいることにさえ警告した。イギリスの民放「チャンネル4」が放送したインタビューでは、あるチュニジア人難民が真面目くさった顔で、「難民のせいじゃありませんよ。そこにいた難民の中の数人が犯人だっかもしれません。合法的な仕事を見つけるまで半年や1年待てなんて言う、ドイツの法と官僚のせいです」と答えていた。おいおい、ちょっと待ってという感じだ。

右派の大衆迎合主義は、リベラル派の原則のために立ち上がることにすらしょっちゅう失敗している曖昧なリベラル派を、イデオロギー上のおあつらえ向きのサンドバッグと考えている。
最近、私の知人の2人の活動家が「少しだが、ドイツは国境を閉じた方がいいのではないかと考えさせられた」と認めた。彼らは、移民関連の仕事から戻ってきたばかりだったが、前線で時間を過ごしたことで、そう感じたのだという。彼らが見たほとんどの移民は、本当の難民ではなかったと彼らは言った。そして私を見ながら、私が彼らのことをナチスだと糾弾するのではないかと思っているようだった。

これは驚くことも無い話だ。ニュアンスや実際的な考え方が、このデジタル時代のイデオロギーの塹壕では、ますます厄介になっている。ツイートやインターネット上のコメント欄で常に簡潔さが求められるがために、認識違いが生じるのはよくあることだ。「あなたはこう考えているのだから、それならああいう風にも考えているに違いない」。この現象は、抑制された討論や左派の中での意見の相違、デジタル時代の反共産主義のようなものを含んでいる。

こういうものが公共サービスや民主的権利を守る非常に政治的な団体から、人々を遠ざけてしまう。例えばあなたが「性的暴行を行う亡命希望者は、国外退去にすべき」と提案したとすると、すぐさまヒトラーと比べられ、為す術も無く非難の的にされるだろう。個人的には私は絶対に政治的中心地の左にいて、反難民感情への危惧を共有しているが(「えり好みおばさん」と呼んでくれてかまわない)、私たちの故郷のイギリスにトーストとお茶を楽しみに入ってくる性犯罪者には、私は線引きをして歓迎しない。

先週、女性と子供を含む4万人のシリア人がアサド政権の戦争によりマダヤに足止めされ、飢餓で死んでしまうので最後の手段として草を食べていると報じられた。しかしここで疑問が湧く。罪のない何千人という難民希望者たちは、余りにいき過ぎたリベラル派のアポロジズム(「言い訳」主義)に対する右派の連続攻撃さえ差し迫っていなければ安息の地を与えられるのに、その難民を救おうとしているヨーロッパの規範や法律を愉快そうに馬鹿する気満々の若者をどう隠すのか?

例えば、性的暴力で有罪となった難民の国外退去を命じられるようメルケルが権限強化を図ろうとすると、左派の一部は「大衆迎合主義の圧力に頭を下げた」と認識した。しかしメルケルは正当ではないのか? 私たちが、移民が恐ろしいケルンの襲撃事件に関わったとするこの痛ましい、しかし信用できる報道に正面から向き合うことに消極的だったために、難民に安らげる場所を与えることを全否定した人々を、私たちは知らず知らずのうちに支持してしまったのだ。」

http://www.huffingtonpost.jp/bonny-brooks/cologne-assault-populism_b_9034114.html?utm_hp_ref=japan

1月22日の放射線量

2016-01-22 15:07:32 | 放射能
長岡市内、窓締め切り、室内、天気は曇り・雪、エアコン・オン。

0.06μSv/h。

放射線量の値が低ければそれでいい。

雪は数日すれば穏やかになる。どんな大雪でも春になれば解ける。

放射能汚染は事実上、永遠に浄化されない。

EUの運命/東洋経済より

2016-01-22 15:06:06 | EU
「新しい年を迎えようとする欧州連合(EU)は、累積する政治課題という破滅的な状況に直面している。これまでの戦略は一連の苦難を混乱させたに過ぎず、もはや十分でないかもしれないのだ。

無論、EUに危機管理経験がないわけではない。たとえばユーロ危機は連合を破壊すると広く考えられたが、数年間にわたる厳しい首脳会談を経て、多かれ少なかれ問題への対処がなされた。ギリシャの状態は良くないままだが、EUとユーロ圏への加盟は維持された。そしてEUの経済政策強調の仕組みはより強化された。

「戦火の環」

しかし、今日の問題はEUがこれまで直面した中で最も厳しい。EUのリーダーたちがかつて夢見た「友情の環」どころか、欧州の近隣地域は、一連のイスラム過激派によるテロリズムとロシアのウクライナ東部侵略を主因に「戦火の環」と化した。

中東、特にシリアの紛争に端を発する難民危機の深刻化が、こうした課題のひとつである。確かに、現在EU圏内へ入ろうと試みている人々は祖国を追われた人々のほんの一部で、今年到着すると予想される難民100万人はEU人口の0.2%にすぎない。だが、これほどの大人数がたった数カ国にかくも短期間で到着したために、EUの処理能力は限界に達し、シェンゲン域内でのいくつかの国境で検問が再開された。

2016年にEU各国は、国境管理のための主要な施策と移民受け入れ負担の公平化に向けて合意することで、喫緊の課題にめどをつけられるだろう。しかし、難民を欧州社会へ融合させ、外国人排斥的な政党の興隆に対抗するという長期的な課題への対処は、いっそう困難になるだろう。

難民危機とその余波を抜きにしても、EUの直面する課題は手強いものだ。環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)とデジタル単一市場の進展はいずれも、EUのグローバルな競争力にとって重要であり、計画されている資本市場同盟の創設もまた同様である。こうした動きに留まらず、より楽観的であった2003年に作成された「グローバル外交・安全保障戦略」の新たなバージョンが、6月に発表される予定だ。

この困難な課題を遂行するためにEUは、各国が同時かつ効果的にさまざまな局面で協力し合って最善を尽くさねばならない。英国がEU離脱をちらつかせている現在、そうした姿勢はこの上なく困難になるだろう。キャメロン英首相が欧州首脳と2月までに合意に達する可能性は高まっているように見えるが、同首相が2017年実施を公約したその後の国民投票で英国の有権者が合意を支持する可能性はおそらく、良くて五分五分であろう。

もちろん、国民投票とは本質的に予測不能なものだ。12月3日にデンマークで、司法内務分野でのEUとの連携拡大に関する国民投票が行われた。反対を予想したものはほとんどいなかった。そして、53%の反対票という激しい拒絶を予測したものはさらに少なかったであろう。

明らかに、難民の急増が結果に影響を及ぼした。同様に、これから英国の国民投票までに起こる新たな危機的状況はどんなものであれ、投票に近い時期であればあるほど、結果に影響しうる。

英国民投票の結果が10年後を左右

英国民投票の結果がEU残留反対となれば、欧州の基本秩序に対し最悪の事態が予想される。地政学的なEUの影響力は大きく損なわれ、他の加盟国内での反EU勢力の攻勢が強まるだろう。半世紀以上にわたって拡大してきたEUは、突然縮小し始めるだろう。

ひとつ確かなのは、今後1、2年の間にEUの姿が大きく変わるだろうということだ。英国の脱退に刺激され、崩壊の可能性に気もそぞろで、直面する他のあらゆる問題に揺れ動くばらばらの連合となるかもしれない。あるいは、英国が離脱せず、難民、国境、亡命といった問題に着実に対処し、TTIPとデジタル単一市場の確立に向かう強い連合になるかもしれない。

こうした意味で、来たる年が欧州にとって良いものとなるか否かが、今後10年を占う上で非常に重要だと言えよう。欧州と、米国を始めとする関係各国にとって。」

http://toyokeizai.net/articles/-/100348

イギリスが建造中の新航空母艦、クイーン・エリザベス

2016-01-20 18:27:30 | 軍事
 イギリスが建造中の新航空母艦、クイーン・エリザベス

 スキージャンプタイプのデッキに、F35を搭載予定。

 空母の歴史に関する簡単な映像付き紹介もある。

 → https://www.youtube.com/watch?v=Oiym1S0G68w

書籍紹介『私は中国人民解放軍の兵士だった』明石書店

2016-01-20 15:34:11 | 
小林節子氏による『私は中国人民解放軍の兵士だった』(明石書店 2000円)を紹介したい。

 サブタイトルに、「山辺悠喜子の終わりなき旅」とある通リ、中国人民解放軍に看護師として従軍した山辺悠喜子の人生と活動を振り返った一冊である。山辺の一家は戦時中父親の仕事に伴って旧満州に移り、敗戦をそこで迎える。そしていわば生きるために人民解放軍の看護師となるのであるが、そこで初めて人間らしい生き方、きちんとした医療の勉強等を、今日から見れば過酷とも思える環境の中で成し遂げていく。

 何より日本との、そして国境の戦争で荒れ果てた中、中国の人たちが示した人間的な姿勢がすばらしい。行軍の途中の次のようなエピソードが山辺本人によって次のように語られている。

 「またあるとき、行軍の途中小さな村に立ち寄りました。村の人は皆路上にでて歓迎してくれました。私は年齢も幼く背も低く、その上足には肉刺(まめ)もできていて杖をつき、足を引きずりながら一番後ろについて歩いていました。・・・思うように前に進めません。ですから地面を見てゆっくり進むしかありませんでした。
 その時私の方に一人のおばあさんが近づいてきました。顔もはっきりみえないうちに、私の手のひらに何か暖かいものが感じられました。見るとそれは煮たばかりの卵でした。「こんなに小さいのに軍隊に入って、こんなに遠くまで歩いて、さぞやたいへんだったことでしょう。早くこれを」と言ったのです。私はあわてて辞退しながらいいました。「私はいただけません。私たちには規則があります。」しかしおばあさんは私の手のひらにその卵を握らせたのです。」

 当時農村は食料が欠乏し、容易ではなかったと思われる。しかしこの老婆は若かった山辺氏に卵を握らせ、その記憶は今日まで鮮明である。それは単なる親切をこえて、山辺悠喜子という人を作る一つの支えになったように思われる。

 山辺氏はその後日本に帰ってからの地も、日中の友好のため、あるいはかつての日本軍の戦争犯罪糾明のため、献身的な活動を続け今日に至っている。

 ぜひ一読を勧めたい。

2016年:原子力政策の矛盾が激化する/原子力資料情報室より

2016-01-20 15:16:02 | 放射能
「2016年:原子力政策の矛盾が激化する   2015/12/27 『通信』より原子力政策
                                    『原子力資料情報室通信』第499号(2016/1/1)より

 2016年を総じて予見すれば、強引な原子力推進の矛盾がより鮮明になってきて、それゆえ対立が激化していく年になるだろう。以下、焦点となる諸問題を列記した。これらの諸問題に情報室としても的確に取り組んでいきたい。

避難解除と住民の抵抗

 福島第一原発の原発震災から5年が過ぎようとしている。16年3月には全国各地でさまざまな催しが企画されている。焦点は政府が方針としている避難解除への抵抗だろう。例えば、飯舘村では、菅野典雄村長は17年4月から学校の再開を打ち出している。直近の広報『いいたて』15年12月号は再開を明確に示し、「遅れれば遅れるほど通学する子どもの数が少なくなる可能性が高い」と回答している。住民が村内に戻るまではバス通学も考えているようだ。除染してもなお高い村内の放射線レベルを考えればとても戻れる状況にない。
 復興庁の12年11月実施の住民意向調査によれば、飯舘村での未就学児・就学児童のいる271世帯のうち、戻りたい割合は12.0%に対して戻らないと決めている割合は40.6%。
 避難指定解除の次には支援策の打ち切りが待っている。これでは帰還の強制であり、批判の声がいっそう強まるに違いない。
 さらに、15年10月に結成された「避難の権利」を求める全国避難者の会が政府への働きかけを強めていくことは必然である。

健康影響をめぐる攻防

 福島県の県民健康影響調査結果によれば、第2順目の182,547名中39名に「悪性または悪性の疑い」がもたれた。うち37名は先行調査でA判定(のう胞20mm以下または結節5mm以下)。また、手術を受けた人は39名中15名で、すべて甲状腺ガンであった。先行調査を合わせておよそ36万人の中に150名に「悪性または悪性の疑い」が発見され、うち手術で甲状腺ガンが確定した人数は113名になる。福島県の検討委員会は甲状腺ガンの明らかな多発を認めつつも、放射線被ばくとの因果関係を認めていない。この背景には復興・帰還政策を進める政治的な意図が強く作用していると考えらえる。しかし、2巡目調査が終了した時点で、被ばく原因説が明らかにされるだろう。

指定廃棄物の中間貯蔵

 福島では、知事と地元自治体が指定廃棄物の中間貯蔵計画に合意したと報じているが、地権者の合意を得ることは困難を極めるだろう。県外の指定廃棄物の最終処分に関しては宮城県、栃木県などで強固な反対運動が展開されている。政府は現行の政策を見直し、合理的とされる高汚染地域での集中管理へと話し合いを進めるべきだ。いずれにせよ、強引な国策の押しつけは許されないことだ。
 原子力資料情報室は、福島原発事故からの5年間を総括的にまとめた書籍を刊行する計画だ。

再稼働の強行と住民の抵抗

 伊方3号機の再稼働が来春にも予定されている。稼働すれば、川内に続く3基目となる。伊方町は再稼働に合意したが、隣接する八幡浜市では住民投票を求める直接請求が、有権者約3万人のうち1万を超える署名で成立した。今後、市議会で審議される。審議結果は見通せないが、直接請求が成立したことは画期的なことで、再稼働を止める運動がよりいっそう強くなっていることを示している。地域ごとに抱える課題や取組はさまざまであるが、直接請求が他地域へ波及していく可能性に期待したい。
 高浜原発の再稼働を認めないとする仮処分決定への異議審の行方も注目される。審尋は終了して決定待ちとなっている。ぜひとも前決定を維持してもらいたい。それにしても大飯・高浜原発の運転差し止め裁判・仮処分での勝訴(第1審)の意義は非常に大きい。
 沸騰水型炉では柏崎刈羽原発の審査を先行しておこなうと原子力規制委員会は決定して、審議が始まっている。しかし、福島原発事故の原因究明が第一という泉田知事の姿勢を崩すことはできないに違いない。
 このような状況からみると、再稼働が今後とも順調に続くとはとうてい考えられない。

顕在化する核燃料サイクル政策の破たん

 15年11月13日、原子力規制委員会は「もんじゅ」の運転を日本原子力研究開発機構(機構)に任せられないとして、新たな実施主体を半年の間に探すように、それができない場合には「もんじゅ」の抜本的な見直しを文部科学大臣に勧告した。「もんじゅ」を設計、建設し維持してきた機構が否定されたのだから、事実上の「もんじゅ」廃炉宣告である。しかし、廃炉という当然の判断を機構や文科省ができるとも思えない。「もんじゅ」に特有の規制基準は未定で、適合性審査には5年程度を要すると考えられるが、これを見据えたその場しのぎでお茶を濁すに違いない。最善の選択肢は廃炉でこれ以外にない。
 電力の自由化が進展すると、再処理を維持できない電力会社が出て、日本原燃が経営破綻し、六ヶ所再処理工場は閉鎖となる。政府はそれでも再処理を継続するための画策をおこなっている。再処理に加え、MOX燃料加工、六ヶ所では再処理されない使用済み燃料まで含めて総括的に取り組む民間の認可法人を設立し、同時にこれまでの積立金に代えて、MOX加工やその廃棄物まで含めた拠出金に変更する方向を決めた。春には法改正案が示されることになる。
 しかし、認可法人なら再処理が進展するとも考えられない。48トン近い余剰プルトニウムを保有する中で、余剰を持たない国際公約を守ることへの圧力が内外で高まっている。他方、福島事故によってプルサーマルへの合意は従来のようにはいかない。これらの点から再処理できる状況にない。新制度も当面の取り繕いでしかなく、破綻は避けられない。
 関連して、日米原子力協力協定の期限が18年7月末に切れる。改定に向けてサイクル政策転換の声がますます高まるだろう。
 高レベル放射性廃棄物の処分問題では、16年中には「科学的有望地」を政府が図示するとみられる。この時期は極めて政治的に決まってくると考えられる。図示された地域では、処分地拒否の運動が巻き起こるに違いない。再稼働を進めながらの処分地選定では、合意が得られようもない。

原子力産業と日印原子力協定

 原発メーカーは再稼働への追加安全対策でいまは収益を得ているが、この事態が一段落すれば、事業環境が一段と厳しくなる。そこで、狭まる国内市場から海外に活路を求めている。しかし、福島原発事故の影響は大きく、東芝の不正会計処理問題も原発建設が進まないことが背景にある。仏アレバ社も経営危機に直面していると報じられている。
 このような背景から、政府は従来の核不拡散政策をかなぐり捨て、日印原子力協力協定の基本合意をおこなった(15年12月12日)。しかし、インドは核兵器開発を進める政策を堅持しており、原子力施設や機器の輸出はインドの核兵器開発を幇助することになる。何としても締結させないようにはたらきかけていく必要がある。

 最後に、16年4月から電力の完全自由化が実施される。自然エネルギーに対する潜在需要は大きいが、供給が追いついていない状況の中で、混乱も予想される。しかし、着実に再エネを育てていき、この市場を原子力市場よりも大きなものにしていくことで脱原発への道はいっそう着実なものになるだろう。

(伴英幸)」

http://www.cnic.jp/6817

秦の都確認/人民日報

2016-01-20 15:11:38 | アジア
「2世代にわたる努力が実り、考古学者が秦漢櫟陽城遺跡(陕西省西安市)で初めてはっきりと「櫟陽」の文字が刻まれた陶器が出土しただけでなく、法家思想を基に秦の国政改革を進めた「商鞅変法」の発生地で有名な「秦の都」の櫟陽を発見したことを確認した。これらは秦の都の発展史や秦漢時代の社会、歴史、文化などを研究するための重要な資料となる。写真は秦漢櫟陽城遺跡で発掘作業を行なう考古学者(携帯電話で2015年12月29日に撮影)。新華網が伝えた。(編集JK)

「人民網日本語版」2016年1月19日」

→(写真あり) http://j.people.com.cn/n3/2016/0119/c94660-9006081.html?urlpage=0

日本経済再生に移民政策は不可避=ケネス・ロゴフ氏/ロイター

2016-01-20 10:25:16 | 社会
「[東京 21日] - 世界で最速の部類に入る人口減少速度と世界最大の過剰公的債務問題の組み合わせは、日本経済にとって極めて有害だと、ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は指摘する。人口問題解決には移民問題への取り組みが不可避であり、経済再生にケインズ主義的な刺激策が役立つと考えるのは「ナンセンスだ」と説く。

同氏の見解は以下の通り。

<人口問題解決なくして構造問題解決なし>

人口動態は宿命だ。人口減少問題に取り組むことなしに、日本が長期の構造問題を解決することは不可能である。

日本は、欧州に比べれば、非常に大きなアドバンテージを持っている。フランスの前期高齢者(young old、65―74歳)は引退を望んでいるが、日本のその年齢層は働く意欲がある。ただ、これだけでは、大きな助けにはなるが、十分とは言えない。

日本は、働いている母親たちの環境を良くするために、大きく前進する必要がある。例えば、ジョブシェアリングの制度を整えたり、テレコミューティングなど在宅勤務の選択肢を改善したりすることなどが考えられる。

さらに、移民問題に取り組むことは不可避だ。日本は最近、就労目的の在留期間を最長5年に延長することなどによって、例えば外国人の建設労働者に(事実上)門戸を開いた。大阪などの一部地域では、家族ごと受け入れる実験的試みも行われている。しかし、やるべきことはもっとたくさんある。医療や介護の現場などでは、外国人労働者に対するさらに大きなニーズがある。

私は、人口動態をめぐる問題が、とてもデリケートな社会問題を包含していることは理解している。日本は、自国の強みのすべてを残しつつ、人口を増加させる諸方策を見つけることが重要だ。

<ケインズ主義的刺激策はナンセンス>

日本はまた、長期にわたって財政の脆弱性にも対処しなければならない。世界最大の公的債務(国民所得に対する比率)と世界で最も速い部類に入る人口減少速度の組み合わせは、極めて有害なものだ。ケインズ主義的な刺激策が、抜本的な構造改革よりも、日本経済を再び成長させるカギだと信じている人もいるようだが、それはまったくナンセンスだ。

日本は、過剰な公的債務が低成長としばしば関連している「パブリック・デット・オーバーハング」の典型例だ。巨大な赤字は時間的猶予を与えてくれるかもしれない。しかし、それは長期的な問題解決策ではない。

*ケネス・ロゴフ氏は、ハーバード大学教授(経済学、公共政策)。ニューヨーク連銀経済諮問委員。2001年から03年まで国際通貨基金(IMF)のチーフ・エコノミスト兼調査局長。10代からチェスの名人として世界的に知られ、国際チェス連盟から国際グランドマスター(最上位のタイトル)を授与されている。カーメン・ラインハート氏との共著に「国家は破綻する 金融危機の800年」(日経BP社刊、原題はThis Time Is Different)

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「2016年の視点」に掲載されたものです。

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。」

http://jp.reuters.com/article/view-kenneth-rogoff-idJPKBN0U309Q20151221?sp=true