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白夜の炎

原発の問題・世界の出来事・本・映画

1月27日の放射線量

2016-01-27 14:04:02 | 放射能
長岡市内、窓締め切り、室内、天気は曇り、エアコン・オン。

0.07μSv/h。

気温も高くなり-7度-道路も正常復帰。

昨日はからだったコンビニのお弁当類も復活。

ほっと一安心。

日韓関係の遠近法 /浅羽祐樹 ・比較政治学より

2016-01-27 13:06:17 | アジア

「「基本的価値を共有していない」というのは本当か

2015年、日韓両国は1965年に国交を正常化してから50周年を迎えた。「共に開こう 新たな未来を」と謳われたが、「史上最悪の関係」という評価が一般的だった。首脳会談だけでなく外相会談も開催できないという異常な事態が続き、相手に対する感情も下げとどまっていた(内閣府「外交に関する世論調査」)。さらに、その原因を互いに「反日」「右傾化」に帰せ、自らを省みようという姿勢に乏しい(言論NPO「第3回日韓共同世論調査結果」)。

そんな中、安倍晋三首相と朴槿恵大統領は、3年半ぶりの日韓首脳会談を行った。日中韓サミットの脇でようやく実現し、昼食すら一緒にしないという略式のものだったが、慰安婦問題の「早期妥結」に向けて交渉を加速させることで一致するなど、少なくとも政府間関係はある程度「正常化」した。

40周年のときは、韓流・日流ブームの真っただ中で、日韓関係は今後、「体制共有」から「意識共有」へと進化していくと期待されていた(小此木政夫編『韓国における市民意識の動態』慶應義塾大学出版会、2005年)。しかし、「10年経つと山河も変わる」という韓国のことわざのように、自由民主主義や市場経済など政治経済システムや、米国との同盟を主軸とする外交安保政策など、「体制をめぐる意識の離反」が顕著である。

産経新聞前ソウル支局長に対する刑事告訴は、「基本的価値の共有」という日韓関係に関する規定が外交白書などから削除される引き金になった。しかし、ソウル中央地裁は、「韓国も民主主義体制である以上、言論の自由は広く保障されるべきであり、公人に対する場合は、悪意や極めて軽率な攻撃で顕著に相当性を失っていない限り、名誉棄損における違法性が阻却される」という大法院(韓国最高裁)の先例どおり、無罪を言い渡した。

もちろん、そもそも検察による告訴自体に無理があり、「マイナスがゼロに戻っただけ」という評価もある。慰安婦問題で支援団体とは異なる「第3の声」を伝えようとした朴裕河教授(『帝国の慰安婦―植民地支配と記憶の闘い』朝日新聞出版、2014年)も名誉棄損の嫌疑で刑事告訴され、初公判を控えている状況には何も変わりがない。

「言論・出版の自由」(第21条第1項)や「学問の自由」は(第22条第1項)、当然、韓国憲法でも保障されている。異論の許容や多様性の保障は、単に選挙が定期的に行われているだけではなく、実質的な競争、ひいては人権が保障されるという自由民主主義体制の根幹を成している。もちろん、日本においても全く同じことが当てはまる。

日韓それぞれにおける自由と民主主義の程度について、国境なき記者団、フリーダムハウス、ワールド・ジャスティス・プロジェクトなど国際スタンダードに基づいて比較すると、ほぼ同じ水準である。日本政府による規定とは別に、フェアに評価する姿勢が重要である。たとえば、報道の自由は、国境なき記者団の指標では、両国とも「顕著な問題(noticeable problems)がある」と指摘されていて、日本(61位)は韓国(60位)よりも順位が低い。

この「自由なき民主主義(illiberal democracy)」という問題は、特に新興民主主義国の韓国(崔章集(磯崎典世ほか訳)『民主化以後の韓国民主主義―起源と危機』岩波書店、2012年)において、「権威主義体制への転換」には到らないまでも、「民主主義体制の後退」として理解されている。

日本でも、「民主主義の再生」が問われる中、「民主主義ってなんだ?」に対して「これだ!」と断定する傾向が一部で見られる。しかし、そもそも民主主義には様々なパターン(アレンド・レイプハルト(粕谷祐子・菊池啓一訳)『民主主義対民主主義―多数決型とコンセンサス型の36カ国比較研究[原著第2版]』ミネルヴァ書房、2014年)があるし、さらに、民主主義だけで十分なのか、という疑問がある。むしろコール(叫ぶ/要求)すべきなのは、「あれもこれも!」だし、「民主主義も自由主義も!」であるはずだ。

民主主義だけでなく自由主義も、代議制民主主義体制に欠かせない基本的価値である。いくら民意を反映して権力を創出したとしても、権力相互間で牽制させることで均衡が保たれない限り、「多数派の専制」によって少数派の人権が侵害されかねない(待鳥聡史『代議制民主主義―「民意」と「政治家」を問い直す』中公新書、2015年)。日韓それぞれでいま問題になっているのは、明らかに、後者である。

民主主義と自由主義、政治と法、議会と司法の関係は、国や時代によって異なるが、基本的には憲法で規定されている。日本の場合、最高裁判所は国会の立法裁量を広く認め、法令の違憲審査に消極的であるが、「憲法の予定している司法権と立法権との関係」(最高裁「選挙無効請求事件/最大判平27.11.25」)は決して静態的なものではない。

このダイナミズムは、韓国を理解する上で、躓きの石になっている。産経新聞前ソウル支局長の件でも、そもそも検察は大統領(府)の意向を汲んで刑事告訴を行い、外交部も裁判所に対して善処を求めるなど、「行政からの司法の独立」が疑問視された。韓国憲政史においては、過去清算のためにはときに遡及法も厭わないが、これも、まずはどういうロジックになっているのか、内在的に理解する必要がある。


どのように慰安婦問題で「妥結」するか

安倍首相と朴大統領は日韓首脳会談で、慰安婦問題の「早期妥結」に向けて交渉を加速させることで一致した。安倍首相としては、国交正常化時に日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決された」(第2条第1項)という従前の立場を堅持しつつ、「戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去」(首相官邸「戦後70年総理談話」)について、アジア女性基金と同じように、「人道的見地」からは何らかの措置を改めてとることを表明したことになる。

他方、就任以来、「慰安婦問題の進展」を日韓首脳会談の条件にしてきた朴大統領にとって、「解決」ではなく「妥結」というかたちに応じたのは画期的である。「法的責任」「国家賠償」を求める支援団体が厳に存在し、世論を圧倒する中で、国内外で合意が可能なウィンセットは歴代韓国政府としても限られていた。

今回、程度はともかく、日韓双方が譲歩したということである。問題は、こちらがさらに譲歩すれば相手も同じように報いるという確証を互いに持てるか、である。「何度も蒸し返された」という不満がある日本は、「今度こそ最後だ」という保証を求めている。在韓日本大使館の前に支援団体が設置した少女像を撤去するのは、そのための方法の一つだが、韓国政府が国内調整に主体的に動いてはじめて可能になる。

逆に、日本政府も、韓国政府だけでなく、広く韓国国民から「心と精神」の両方を勝ち取る手立てを工夫する必要がある(渡辺靖『文化と外交―パブリック・ディプロマシーの時代』中公新書、2012年)。その際、「謝罪する国家」という英文専門書の表紙がワルシャワ・ゲットーで跪くブラント独首相の写真であることに留意したい。

もっとも、たとえ慰安婦問題が「妥結」したとして、「日韓歴史認識問題」(木村幹著、ミネルヴァ書房、2014年)の火種はなお残る。

朴大統領は2017年3月からの新年度に向けて、「正しい歴史教科書」という国定の歴史教科書の編纂に着手した。「正しい歴史認識」はこれまで日本に対して要求してきたが、韓国内でも「正史」を通じた「正しい国家観」を確立することを目指すというのである。賛否は真っ二つに割れていて、保守層や高齢層ほど賛成が高い(世論調査機関「リアルメーター」による「世論調査結果」2015年10月22日)。

日韓間で争点になりうるのは、「日帝強占期」の評価である。「日本という帝国主義によって強制的に占領されていた期間」という意味で、1910年の韓国併合条約や、父である朴正煕大統領による日韓国交正常化に対する法的評価と直結する。日本は「正当性はともかく、合法・有効」、韓国は「そもそも不当・不法・無効」をそれぞれ主張したが、最終的には「もはや無効(already null and void)」(日韓基本条約第2条)というかたちで双方「妥結」した。

他にも、国際的には法的主体として扱われたことがない「3・1運動によって建立された大韓民国臨時政府」(大韓民国憲法前文)の実態についてどのように描かれるのかも焦点である。1919年の時点で「建国」ということになると、1948年8月15日は「政府樹立」にすぎず、現在の憲法の「法統」(大韓民国憲法前文)、さらには「法源」は、この「抗日」の歴史に由来することになる。

それでなくても、大法院(韓国最高裁)は、この憲法前文に裁判規範性を認め、「日帝強占と直結する私人の不法行為」に関しては個人請求権が日韓請求権協定で消滅していないという法的立場を示し、それに基づいて下級審が複数の日本企業に対して賠償を命じる判決を下している。いずれも控訴・上告されていて、うち3件は大法院に係留中であるが、日本企業の敗訴はほぼ確実である。他方、憲法裁判所は、日韓請求権協定そのものが合憲かどうか争われた件で、「却下」決定を下すことで、日韓関係を成立させ、50年間持続させてきた枠組みが根底から覆されるという最悪の事態は回避した(憲法裁「2009憲バ317」「2011憲バ55」2015年12月23日)。

そもそも「1965年体制」は、50年前の条約や協定だけで成り立っているのではない。その後、総理談話や共同声明など日韓両国による外交実践が積み重ねられてきている。日韓請求権協定も、「完全かつ最終的に解決された」で結ばれているではなく、「解決されたこととなることを確認する」と続いている。この「確認」の積み重ねを双方思い起こしたい。

そうでないと、「最初から何もしていない」という批判や、「もう何もする必要はない」という強弁だけがまかり通ってしまうことになる。いずれも、日韓50年の歩みを全体として理解できておらず、つり合いが悪い。診断を誤ると、当然、処方も効かず、症状を悪化させかねない。

1965年体制は依然として日韓関係を支える枠組みとして有効であり、それを前提にして諸課題に対処していくのが現実的である。1945年以前に対する歴史認識だけでなく、1965年の国交正常化以降、特に1990年代における取り組みに対する歴史認識の食い違いも顕著である。河野談話、村山談話、アジア女性基金など、それなりに「確認」を重ねてきたことをいま一度「確認」するべきである。「慰安婦問題を巡る日韓間のやりとりの経緯」に関する検証は、「河野談話作成からアジア女性基金まで」を対象にしたが、アジア女性基金というかたちで韓国政府も当時「妥結」していた点が浮き彫りになっている。

問題はむしろ戦略的利害を共有してるかだ

歴史認識問題で韓国が国際世論に訴求する姿勢に対して、日本では「告げ口外交」「ジャパン・ディスカウント」として理解する傾向がある。しかし、より深刻なのは「逆告げ口外交」で、「韓国は中国に傾斜している」という日本の認識と、「日本がそのように米国に喧伝している」「中国傾斜論は日本による米韓離間策にすぎない」という韓国の認識との間のギャップである。

韓国の中国傾斜(論)をどのように評価するか。

中国の抗日戦勝70周年軍事パレードに朴大統領が「西側」の首脳として唯一参加したことで、「レッドラインを越えた」という評価(たとえば鈴置高史・木村幹の対談「ルビコン河で溺れ、中国側に流れ着いた韓国」日経ビジネスオンライン)が一気に広まった。朴大統領は、人民解放軍の「空母キラー」を習近平国家主席と一緒に観閲する反面、在韓米軍によるTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)の配置には同意していない。THAADは本来、北朝鮮のミサイルから韓国を防衛するためのものだが、中国は「黄海の奥深く、北京まで射程にとらえる」として反対し、韓国に対して受け入れないように露骨に圧力をかけている。

韓国政府は米韓首脳会談で「中国傾斜論を払拭できた」と自負している。しかし、オバマ大統領から「声を上げろ」(ホワイトハウス「米韓首脳会談後の共同記者会見」)とはっきりと要求された南シナ海問題で依然として中国を名指しせず、「航行の自由」と「紛争の平和的解決」という原則を繰り返すだけである。後者は、環礁の埋め立てがすでに完了している中では、「力による一方的な現状変更」を黙認することになりかねない。

問題は、法と規範に基づくリベラルな国際秩序を守護しようとするのか、それとも、挑戦を容認するのか、ということである。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉の妥結を受け、オバマ大統領は「中国のような国にグローバル経済のルールを決めさせない」と断言した(ホワイトハウス「TPPに関する大統領声明」)。韓国は、日米とは異なり、中国が主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)にも加わった。

中国の台頭というグローバルな構造変化に対して、世界各国が対応を迫られている。日韓関係の変容もその中で生じていて、「もはや米中関係の従属変数にすぎなくなった」という見方さえある。そこまで極端ではなくても、「日韓」関係は単独の二国間関係としてはもはや捉えきれず、「日米」「日中」、「米韓」「中韓」、何より「米中」という他の二国間関係や、「日米韓」「日中韓」「韓米中」などマルチの関係との中に位置付けなければ何も分からないことだけは明らかである。つまり、「一次方程式」ではなく、「高次連立方程式」として問いを立ててはじめて、解くことができるし、解いても意味があるというわけである。

こうした中、日本は米国との同盟を強化し、抑止力を強めることで対応しようとしている。他方、韓国は米国との同盟を堅持しつつも、中国との関係を多方面で深めている。この「韓米中」「安米経中(安保は米国、経済は中国)」という路線は、ここ3年間の朴政権下で一層鮮明になっていて、「安中(安保も中国)」「韓中米」に変わるのではないかというシミュレーションすら行われている(鈴置高史『朝鮮半島201Z年』日本経済新聞出版社、2010年;Sue Mi Terry, Unified Korea and the Future of the U.S.-South Korea Alliance, A CFR discussion paper, December 2015, Council on Foreign Relations)。

「韓米中」の中では「日米韓」というより「米日韓」が後退するのはむしろ当然である。「中国傾斜」は「日米韓に対する裏切り」として非難したり落胆したりするのではなく、グローバルな構造変化に対する日韓それぞれの認識や対応の相違として冷静に理解するべきである。その上で、それを所与の条件として、日韓関係を再定立すればいい。「日米韓」において「日韓」はかつて「擬似同盟(quasi-alliance)」や「事実上の同盟(virtual alliance)」とも評価されたが(ヴィクター・D・チャ(船橋洋一監訳・倉田秀也訳)『米日韓 反目を超えた提携』有斐閣、2003年;Ralph Cossa, “U.S.-Japan-Korea: Creating a Virtual Alliance,” PacNet, 47, 1999)、今や日本にとって「準同盟」はオーストラリアと言われている。

3年半ぶりの日韓首脳会談が開催されたのも、日中韓サミットというマルチ会合の場だった。次回は安倍首相がホストすることになっているが、2016年5月には伊勢志摩サミットも予定されている。バイ(二国間関係)を動かすには、他のバイやマルチとの連動がより有効な場合がある。

日中韓サミットの開催を確実にすれば、朴大統領の初来日と2度目の日韓首脳会談はおのずと織り込み済みになる。韓国がそうであったように、日本も、中国との関係を進めることで「日中韓」や「日韓」を動かそうとするのは間違いない。

「日中韓」はマルチの枠組みの中で制度化が低く(大庭三枝『重層的地域としてのアジア―対立と共存の構図』有斐閣、2014年)、「北朝鮮の核問題」についても一つの声を上げることができない。今のところ、「日中韓」はPM2.5の対策など機能的協力くらいでしか有効でないかもしれないが、バイの会談を進めるモメンタムにはなっている。

「日米韓」も、中国をめぐっては齟齬が目立つが、少なくとも北朝鮮の核問題に関しては、一致した立場をとることができる。「日韓」では霧散したGSOMIA(軍事情報包括保護協定)も、対北朝鮮に限定して、米国を介在するというかたちでは実現した。

このように、日韓関係の変容は、基本的価値を共有しなくなったから(だけ)でも、歴史認識問題が決着していないから(だけ)でもない。むしろ、グローバルな構造変化に対する認識に日韓間でギャップがあり、政策的対応に違いが生じているからで(も)ある。つまり、問題なのは、日韓両国が基本的価値というよりも戦略的利害を共有しているのか、ということである。

たとえ慰安婦問題が「妥結」したとしても、この戦略的齟齬はそのまま残る。むしろこれまで「カバー(擬装)」されていて見えなかったことが誰の目にも明らかになる。その意味では、「中韓歴史共闘」や「韓国の中国傾斜」も、中国による「対『米日韓』離間策」やその結果として理解すべきかもしれない。

いずれにせよ、これが日韓国交正常化50周年を迎えた日韓関係における「新常態(new normal)」である。ようやく首脳会談が開催され、長年のしこりが解消されたとしても、「日韓友好」という「正常」に戻るというわけではない。変わりゆく遠近感をそのまま描く方法や受けとめる姿勢が問われている。

知のネットワーク – S Y N O D O S -」

http://synodos.jp/international/15834

1月26日の放射線量

2016-01-26 10:02:22 | 放射能
長岡市内、窓締め切り、室内、天気は快晴、エアコン・オン。

0.06-0.07μSv/h。

気温は1から2度(車の外気温計)。

昨日の雪は大変だった。特に帰りはついいつもの癖がでて、バイパス経由でトンカツでも食べていこうと思ったのが大間違い。

バイパスが全く動かない。

車内のテレビで「しくじり先生」をフルで見てしまった。二時間以上。

自分の判断の方が大しくじりである。

<宜野湾市長選>民意どこに? 辺野古言及なかった佐喜真氏/毎日より

2016-01-25 17:18:54 | 軍事
「 米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市の市長選が24日投開票され、普天間飛行場の名護市辺野古への県内移設計画を推進する政府・与党が推す現職の佐喜真淳(さきま・あつし)氏(51)が、移設に反対する沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事が全面支援した新人の元県幹部、志村恵一郎氏(63)を大差で破って再選を果たした。

          ◇

 佐喜真氏が宜野湾市長選を制したのは、政府の支援を受けて地域振興の政策を打ち出す作戦が奏功した形だ。しかし一方で普天間飛行場の移設問題について佐喜真氏側が「辺野古移設」に言及しなかったのは、明らかな争点隠しだった。この勝利で政府が「移設問題で民意を得た」とするならば、それは誤りだ。政府が辺野古移設を強行すれば、沖縄の強い反発を生み出すだけだ。

 市の真ん中に位置する普天間飛行場は約481ヘクタールで市の4分の1を占める。頭上を飛び交う米軍機の墜落の恐怖や絶え間ない騒音に市民は日常的に悩まされている。選挙戦では、佐喜真氏が辺野古に触れなかった以外は、両者の主張はほとんど同じだった。ともに危険性の除去に向けた一日も早い返還実現を繰り返し訴えた。

 移設問題がかすむ中、佐喜真氏はディズニーリゾート誘致構想など経済振興策を強調。「選挙では移設問題でなく、宜野湾市民の生活の問題が問われるべきだ」と語る有権者は少なくなかった。

 普天間飛行場は早くなくなってほしい→でも同じ県内に移すのは「危険のたらい回し」ではないのか→それでは普天間は固定化されるのでは--。多くの市民はそう悩んでいる。毎日新聞の出口調査によると、政府の辺野古移設推進姿勢を「支持しない」とした人のうちの約3割が佐喜真氏に投票したとしている。この市民の葛藤をを理解せずに、勝ち負けだけを見て「市民も辺野古移設を望んでいる」とするのであれば乱暴すぎないか。

 沖縄知事や県民が反対している限り、移設計画の行方は不透明だ。政府の強硬姿勢は県民を分断しかねない。対決姿勢でなく、沖縄の声に耳を傾けるべきだ。【佐藤敬一】」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160124-00000080-mai-pol

原油価格の諸問題(上)冷静に原油市場について理解する/THE PAGE より

2016-01-25 16:30:19 | 経済
「 原油価格が下げ止まりません。20日の原油相場は1バレル=26ドル55セントとなり、2003年以来の低水準で取引を終えました。市場ではまだ下がるという観測も根強く、原油価格の下落が経済全体に悪影響を及ぼすとの懸念も高まっています。

冷静に原油市場について理解する


原油安で5カ月ぶり安値となったNY株(2016年1月20日、ロイター/アフロ)
 しかし、原油価格がどのようにして決まり、それが経済にどう影響を与えるのかについては、実はよく知られていません。「原油価格が下がったから大変だ」という声が大きいので、不安心理が先行している状況ですが、このような時こそ、冷静に原油市場について理解する必要があるでしょう。

 原油価格は2014年の半ばまでは1バレル=100ドル前後で取引されていました。2014年の後半から価格下落が進み、4分の1近くまで下がってしまったわけですから、これはまさに暴落といってよいレベルです。しかし長期的に見ると、原油の価格はそれほど高い水準で推移してきたわけではありません。

 戦後の約30年間にわたって原油価格は1バレル=1ドル台での推移が続いていました。当時の貨幣価値と現在の価値は異なりますが、インフレ率を考慮に入れても1バレル=10ドル台となります。こうした状況を一変させたのが1973年と1979年の二度にわたるオイルショックです。

長期的に見れば、特に驚くような数字ではない?


戦後における原油価格の長期的推移
 石油輸出国機構(OPEC)の主要加盟国が突然大幅な値上げを実施したことから、市場価格が高騰、最終的には40ドル台まで上昇しました。これは現在の価値に置き換えると100ドル前後となります。オイルショック発生直後の日本ではパニックを起こしてトイレットペーパーの買い占めをする人たちも現れました。しかし、市場は落ち着き、1980年代に入ると原油価格は20ドル台(現在の価値では30ドル台)で安定するようになります。

 この状況が再び変化したのが2000年代の価格高騰です。中国など新興国経済の驚異的な成長によって、需給が逼迫するとの観測が高まり、原油価格が再び100ドルに上昇しました。その影響が2014年まで続いていたわけです。再生可能エネルギーの議論がこの時期に高まってきたのも、価格高騰が大きな要因の一つになっています。

 戦後70年間を平均してみると、原油価格は現在の価値で約40ドルです。オイルショックや需給逼迫など、特殊要因があると100ドルに上昇し、そこがピークになるというパターンが見られます。原油価格が相対的に高かった最近の状況と比較すると暴落ということになりますが、長期的に見れば、最低水準を下回っていませんから、特に驚くような数字ではないという解釈も成立するわけです。」

http://thepage.jp/detail/20160121-00000008-wordleaf?pattern=2&utm_expid=90592221-53.dkK4v0nLS7muTT6u23GJVg.2&utm_referrer=http%3A%2F%2Fthepage.jp%2F

『「強欲な企業」と「人間」との戦い 』/田中優より

2016-01-25 16:23:39 | 国際
「『「強欲な企業」と「人間」との戦い 』

■パリ協定の真実

 昨年末の最後の大きなニュースといえば、地球温暖化をめぐる「パリ協定」成立
ではないだろうか。それまで何度も国際会議が開かれたものの、どの会議も法的拘
束力を持つ条約にはならず、毎回物別れに終わってきたからだ。ところが今回は法
的拘束力を持つ協定が、先進国だけでなく途上国も巻き込んで決まった。ここまで
できたことに各国のNGOは浮かれ、それを実現したフランス政府に称賛の声が送
られた。


 ところがさすがフランスというべきか、よく見てみると、この協定は二重底になっ
ているのだ。法的拘束力のある「合意」と、法的拘束力のない「決定」だ。その二
重底の中に対立をうまく隠したというのが正しい評価かもしれない。

 たとえば今回、「5年毎の約束草案の提出・改訂や会議前の目標提出・事前レビュ
ー」など、各国目標の上方修正を定期的に促す仕組みが取り入れられた。これを高
く評価する声は大きい。しかし、パリ協定では各国目標の通知は法的拘束力があるも
のの、達成は拘束力がないのだ。だから口だけで何もしないとしても、義務は達成で
きてしまう。

 一方、温暖化を進めたのは圧倒的に先進国側だが、米国の要求で『責任や補償と
いう議論をこれから一切やらない』という文言が「決定」に入り「合意」の方にも
ひもづけられた。破壊は先進国で、被害は途上国に大きいのに、その責任や損害賠
償はしないと『決定』され、法的拘束力のある『合意』にひもづけられているのだ。

 もし今回の協定の『決定』だけでも拘束力はあると考えたとすれば、この不平等
な『決定』にも従わなければならない。加えて温暖化の被害を防止するための資金
ですら、毎年1000億ドル支援というのもまた拘束力のない『決定』に書かれている。


 「パリ協定」最大の問題は、これが発効するためには、「55ヵ国及び世界の排出
量合計の55%を超える国の批准」が必要とされていることだ。これは実質的に「米
中ロシア」に発効の拒否権を与える。そうなると各国は「米中ロシア」の様子を伺
い、対策の先延ばしするだろう。恥ずかしてことに、これを強く主張したのは日本
政府だった。

 この二重底を徹底的に利用した場合、先進国はCO2削減計画を策定するが、それ
を達成しなくていい。しかも温暖化による損害の賠償もせず、資金援助すらしない。
資金援助は政治的に利用され、先進国に従わなければ支払いすらされない。そして
「米中ロシア」に批判が高まるなら、「パリ協定から離脱する」と言えば協定は発
効すらしなくなるのだ。



■地球温暖化を進める大事故


 アメリカ・カリフォルニアでは、廃坑になった地下深くの油田跡を天然ガスの貯
蔵施設として利用していた。ところがそのガスが周囲に漏れたのだ。天然ガスの本
体である「メタンガス」自体は無色・無臭で有害でもないが、ガス漏れに気づくよ
うに混ぜられた臭い成分で気分の悪くなった人が発生して問題になった。


 メタンガスが問題なのは、爆発性以外にそれが二酸化炭素の20倍以上に地球温暖
化を進めてしまうことだ。漏れ始めたのは10月23日だから、すでに2カ月以上経っ
ている。その二か月の間に漏れたメタンガスは7.3万トンで、温暖化の程度を二酸
化炭素で計算するとほぼ600万トンが排出されたのと同じで、それは実に毎日700万
台の車の排ガスに相当する。

 これが騒がれ始めたのは、アメリカのNGOが写真に写らないメタンガスを、赤
外線カメラで可視化して見せてからだ。その映像では真っ黒な煙が貯蔵施設の山か
ら火事のように立ちのぼっている。これは「赤外線カメラ」で撮っている。


 実は地球温暖化の原理は地球への熱の出入り量の違いによる。地球に届く紫外線
の熱量は変わらないのに、地球から出ていく赤外線の熱が温室ガスによって妨げら
れることで暖められてしまうのだ。入力量が変わらないのに出力量が減るのだから
温暖化する。もし地球に届く熱の入出力量が同じなだけなら、地球はマイナス15℃
の氷の惑星になっていた。温室ガスが出ていく赤外線の出力を遅らせているおかげ
で、今のように平均15℃の生命の宿れる惑星となっている。しかし温室効果ガスが
多くなりすぎれば、地球は温暖化を起こしてしまう。

 画面に映っていた禍々しい黒い煙は、正にメタンガスが赤外線を妨げるからこそ、
赤外線カメラでたなびく形で映すことができたのだ。



■「どん底への競争」へ

 こんな事故を起こしても、「パリ協定」で罰することはできない。これでは悪い
ことのし放題になってしまう。今、各国が「二酸化炭素の地下貯蔵」を良い方法だ
として進めている。石炭の豊富なオーストラリアは二酸化炭素を貯留することで問
題なしにしようと年間500万トンを貯留しようとしているし、すでにノルウェーや
アルジェリアでは2000万トンも貯留している。しかもされらは「天然ガス随伴」方
式で、今回の事故と同じなのだ。それが漏れたらどうなるのか。


 そう、今回と同じく罰せられない。「予想外の事故だから」と排出計画を守れな
くなった締結国は言い訳するだろう。それだけだ。しかし地球温暖化は加速され、
極地や高山での気温上昇が進んで現地に深刻な被害をもたらすだろう。今溶け方が
加速しているグリーンランドだけでも、溶けたら全世界の海水面を7メートル上昇
させる。私たちもタダではすまないのだ。


 関連する企業は「大丈夫」と、福島原発事故前までの電力会社みたいに言うだけ
だ。想定外だったと言うだけだ。パリ協定は「生存を守るために2℃以下に、でき
れば1.5℃未満に抑える」と口では言うが、その仕組みは上に述べた通り保障されな
い。

 これに「予想外の漏出」を加えたらどうなるのか。今回の事故だけで「700万台
の車」が毎日走る分の温室効果ガスを排出させた。問題なのは利益を優先して生
存を優先させない経済原理にある。私たちの敵は世界的な巨大企業なのだ。それ
らの利益のための競争によって、人間が滅ぼされる状態だ。地球は巨大企業による
「どん底への競争」の舞台となってしまった。

( 川崎市職員労働組合様へ寄稿したものを、好意を得て転載しています。) 」

田中優氏のメルマガより転載

加速する韓国籍離れ /統一日報より

2016-01-25 14:12:34 | アジア

 日本国籍への帰化を選択する在日韓国人の増加が止まらない。在日韓国・朝鮮人の数は2015年(6月末時点)に50万人を下回った。子どものため、民族意識の低下など帰化の理由はさまざまだ。帰化により在日韓国人社会を離れる人も後を絶たない。民団は対策として帰化者の囲い込みや、「同胞の社会教育」を掲げている。(康敬瓚)

 法務省の発表によると、2015年6月末時点で、韓国・朝鮮籍の人数は50万人を割り、49万7707人と集計された。近年、年間約6000人以上の在日韓国・朝鮮人が日本国籍を取得しているのが現状だ。
 千葉県在住の在日韓国人2世Kさんは2015年5月に家族5人で日本国籍を取得した。帰化の話を切り出したのは子どもだったという。
 「日本で生まれて育ち日本の学校に通っているのに、なぜ韓国人なのか」。今年高校を卒業する長男の言葉に、Kさんは反論できなかったという。ほかにも海外旅行に行った際に、友人と別の入国手続きゲートになったことで居心地の悪さを感じた子どもから国籍変更を提案され、一家全員で帰化したケースもある。
 子どもの都合、あるいはお願いで。これが国籍変更の動機で最多だという。
 帰化した側の心情は複雑だ。日本国籍を取得したことで、在日韓国人社会とは距離を置かなければならないと考える人も多い。それはどこかに「裏切った」という後ろめたさがあることと無関係ではない。
 日本国籍を取得した東京都在住の60代男性は帰化後、民団や韓国関連の活動から一切手を引いたという。自分だけではなく、子どもたちも含めてだ。「帰化したことを同胞に知られることが恥ずかしい」と胸の内を明かした。在日韓国人社会への思いはあるものの、堂々と参加しづらい気持ちが先に立つ。
 国籍を変えたことで、韓国人コミュニティーとの紐帯が途切れたと感じる人も多い。在日韓国人は、若い世代になればなるほど韓国語ができない人が増える。韓国についてほとんど知らない人もいる。国籍だけが韓国人としてのアイデンティティーを維持する動機だという人は意外にも多いのだ。その人たちが日本国籍を取得した結果、自然とコミュニティーとは距離をおいていたのだ。
 在日韓国人を代表する団体の民団は、帰化者の増加をどのように見ているのか。民団がいう「在日同胞」の中には、帰化した人も含まれている。民団はそのような「日本国籍を取得したが、民団の活動に協力的、あるいは関心がある」帰化者の囲い込み活動を展開している。訪問活動の際に、帰化者の家を優先的に回っているのもその一環だ。
 民団がそれ以上に重視するのが「同胞の社会教育」だ。各地域のコミュニティーで在日韓国人の子どもたちに韓国を体験させ、同じ韓国籍の子どもたちとの触れ合いを推進するものだ。
 民団中央本部の河政男事務総長は「子どもの時に韓国を見せ、韓国を感じてもらうことが大切だ」と語る。子どもの時に体験を積ませ、韓国人としての意識をもってもらえれば、将来帰化をしても在日韓国人社会への関心や協力を得られると捉えている。
 東京都在住の30代の在日韓国人の男性は、高校生の頃に道民会の韓国訪問活動に参加した。在日韓国人と触れ合う初めての機会だった。その後在日韓国人とは無縁の生活を送っていたが、20代後半になって在日同胞の関連団体に転職。高校生の頃の体験が頭の片隅に残っていたからだ。
 選択肢が増え、価値観が多様化する中で、帰化への流れは加速すると見られている。さらに門戸を広げるとともに、韓国国籍を持つ「メリット」を提示していくことも民団には求められる。」

http://news.onekoreanews.net/detail.php?number=80002&thread=04

見えてきた日本の新たな姿/田中宇より

2016-01-25 12:50:35 | アジア
「日本はこれまで、対米従属以外の戦略を全く持たない国だった。私が知る限り、日本政府が対米従属以外(対米自立)の戦略をわずかでも持った(検討した)のは、1970年代に米国が覇権構造の多極化をめざした時に米国の勧めで日本政府が作った防衛の対米自立策「中曽根ドクトリン」と、2009ー10年の鳩山政権が米中と等距離外交をめざし、結局は官僚機構につぶされた時の2つだけだ。その後、現在の安倍政権にいたる自民党政権は、官僚機構(外務省と財務省)の傀儡で、対米従属一本槍に戻った。

 だが昨年の後半から、安倍政権は、従来の対米従属の国是から微妙に外れる新しい戦略を、目立たない形ながら、次々ととり始めている。それらは(1)日豪での潜水艦技術の共有化、(2)従軍慰安婦問題の解決によって交渉が再開された日韓防衛協定や北朝鮮核6カ国協議、(3)安部首相が新年の会見や先日のFT(日経)のインタビューで明らかにした日露関係改善の試み、(4)中国の脅威を口実とした東シナ海から南シナ海に向けた自衛隊の諜報活動(日本の軍事影響圏)の拡大、などである。 (Japan's Abe calls for Putin to be brought in from the cold) (日韓和解なぜ今?)

 (1)については、昨年11月に配信した記事「日豪は太平洋の第3極になるか」で詳しく書いた。この記事は、有料記事(田中宇プラス)として配信したが、日本国民の全体にとって非常に重要な事項なので、例外的にこのたび無料記事としてウェブで公開した。まだ読んでいない方は、まずこの記事を読んでいただきたい。 (日豪は太平洋の第3極になるか)

 上記の記事の後ろの方に書いた、11月末に日本政府が南氷洋での調査捕鯨を再開して豪州を激怒させた件は、その後、豪州政府が日本政府に、捕鯨再開は潜水艦の発注先を決める際の判断要素にならないと知らせてきた。豪州が、日本と潜水艦技術を共有する気になっていることをうかがわせる。12月中旬には、豪州のターンブル首相が急きょ、日帰りで日本を訪問し、安倍首相と会っている。この訪日も、日豪が潜水艦技術を共有して接近しそうな感じを漂わせている。 (Japan's whaling `separate' from submarine bid) (Malcolm Turnbull's flying visit to Japan to include 'special time' with Shinzo Abe)

 豪州の通信社電によると、米政府の高官は、豪州が潜水艦を独仏でなく日本に発注することを望んでいる。その理由として米高官は、日本の潜水艦の技術の高さを挙げているという。だが私から見ると、より大きな要点は「技術」でなく「国際政治(地政学)」だ。日豪が米国を介さずに軍事協調を強めていくという、米国勢(軍産複合体でなく多極主義者)が昔から希求してきたことが、豪州の潜水艦の日本への発注によって実現していく点だ。豪州の関係者も、日本に発注されそうだと言っている。発注先は半年以内に正式決定される。 (Japan subs 'superior' US believe: adviser) (Japan bid favorite as Canberra mulls decision)

 (2)の日韓関係については、1月4日に無料記事として配信した「日韓和解なぜ今?」に詳しく書いた。慰安婦問題の解決は、日韓安保協定の締結と、北朝鮮核廃棄(棚上げ)に向けた6カ国協議の再開という、2つの動きへの布石となっている。日韓安保協定は、日韓が別々に対米従属してきた従来の状況を、日米・日韓・米韓が等距離の協調関係を持つかたちに転換していく流れであり、日韓の対米自立のはしりとなる(この流れを止めるため、日韓の対米従属派が慰安婦問題で日韓対立を扇動した)。 (日韓和解なぜ今?)

 6カ国協議が達成されると、米朝、南北(韓国と北朝鮮)、日朝の和解につながり、日本と韓国の対米従属を終わらせる。日韓が慰安婦問題を解決した直後から、中国と韓国が6カ国協議の準備を進めていることが報じられる一方、きたるべき協議での自国の立場をあらかじめ強化するかのように、年明けに北朝鮮が「水爆実験」と称する核実験を挙行した。1月11日には、韓国政府の6カ国協議担当者が、日米や中国の担当者と相次いで会合する予定と報じられている。 (北朝鮮に核保有を許す米中) (South Korea says chief nuclear envoy to meet U.S., Japan, China counterparts)

 1月11日に配信した「北朝鮮に核保有を許す米中」で「北朝鮮に核の完全廃絶を迫るのでなく、北がこれ以上の核開発を棚上げすることを協議の目標とすべき」という米国のペリー提案が採用されていくのでないかと書いた。ペリー案と同期するかのように、1月15日には北朝鮮の国営通信社が「(米国が)朝鮮戦争を終わらせる和平条約を(北と)締結するなら、見返りとして、もう核実験をしない」とする北の政府の声明文を報道した。北は「ペリー案をやるなら乗るよ」と言っているわけだ。 (North Korea Would End Nuclear Testing for Peace Treaty, End to US Military Drills)

 しかしペリー案は結局、試案の域を出ないかもしれない。北が核を棚上げ(隠匿)するだけで廃棄しない状態を6カ国協議の「成功」として受け入れることを、米国や日本は拒否すると予測されるからだ。代わりの案として打ち出された観があるのが、韓国が1月22日に選択肢として提起した、北朝鮮抜きの「5カ国協議」だ。 (SKorea calls for 'six-party talks minus NKorea')

 これは一見すると「中国を巻き込んで北に厳しく制裁し、困窮させて核を廃棄させる」という無謀な強硬策だが、もう少し考えると「北に核を廃棄させ、米朝や南北・日朝が和解して、冷戦型(対米従属諸国vs反米諸国)の東アジアの国際政治関係を、多極型の等距離な協調関係に転換する」という6カ国協議の順番を逆転し「先に5カ国の関係を冷戦型から多極型に転換していき、その間に北の核問題を解決し、最終的に米朝・南北・日朝が和解して北を多極型システムに取り込む」という新シナリオの提案に見えてくる。

 北朝鮮以外の5カ国(米中露日韓)の中で、関係が悪いのは、日韓と日露、米露と米中だ。だが、米中露は国連安保理の常任理事国であり、報じられる印象と裏腹に、世界運営上の相互連絡は十分にとっている。米露と米中は「大人の関係」といえる。逆に、現状が「子供の関係」でしかなく、今後の協調関係をゼロから構築していかねばならないのが、日露と日韓だ。6カ国または5カ国の協議によって東アジアの国際政治システムが冷戦型から多極型に転換していく際に、早く開始せねばならないのが、日韓と日露の関係改善であり、だからこそ、昨年末に日韓が慰安婦問題を解決したり、(3)の安倍政権による対露関係改善の模索が行われているのだと考えられる。

 安倍首相は1月17日に報じられたFT(日経)のインタビューで「G7は中東問題の解決にロシアの協力が不可欠だ。(ウクライナ危機以降、G7諸国とロシアの関係が悪化し、G7+ロシアとして作られたG8は事実上解散しているが)G7の議長として自分がモスクワを訪問するか、東京に招待する形でプーチンと会いたい」という趣旨の表明をしている。G7議長とか中東問題といった目くらましをかましているが、要するに、日本国内の合意形成が困難な北方領土問題を迂回して、日露の協調関係を手早く構築したい、という意志表明だ。 (Japan's Abe calls for Putin to be brought in from the cold)

 安倍は、ロシアを評価する一方で、中国の領海的な野心を非難している。だが、中国政府の経済政策は賞賛しており、対立点を軍事安保面に限定している。安倍はまた、アジア太平洋地域の将来像を米国と中国の2大国だけで決めるのはダメだとも述べている。要するに、米中だけでなく日本も、アジア太平洋の地政学的な将来像の決定過程に入れてくれ、と言っている。これは、従来の対米従属の日本の姿勢から、かなり逸脱している。 (Shinzo Abe aims his next arrow at the global stage)

 この点において、今回の(4)の日中対決と(1)の日豪亜同盟の話がつながってくる。安倍の「米中だけでアジア太平洋のことを決めるな、日本も入れろ」という要求は「第1列島線以西は中国、第2列島線以東は米国、その間は日本の影響圏だ」という日豪亜同盟の考え方と一致している。 (日豪は太平洋の第3極になるか)

 そして安倍政権は、2つの列島線の間に日本の影響圏を作っていく具体策として、米国の依頼を受けて南シナ海での中国の動きを監視する自衛隊の軍事偵察網を作ることや、中国包囲網の一環としてフィリピンとの軍事関係を強化することを通じて、東シナ海から南シナ海にかけての2つの列島線の間の海域に、日本の軍事諜報システムを拡大しようとしている。 (Japan PM Abe's cabinet approves largest defence budget)

 日本政府は軍事予算を急増しているが、主な増加分は、中国敵視を口実とした、2つの列島線の間の海域での軍事的な影響圏の構築に使われている。日本にとって、中国との対立は、きたるべき多極型世界において自国の影響圏を創設するための口実として使われている。日本に挑発され、中国が最近、尖閣沖に武装船をさかんに送り込んできている。だが、日中が戦争することはない。中国は、日本が2つの列島線の間を占めることを黙認するだろう。日本の影響圏がある程度構築されたら、日中は再び和解するだろう。 (Japan's far-flung island defense plan seeks to turn tables on China) (Japan says armed Chinese coastguard ship seen near disputed islands) (China steps up incursions around disputed Senkaku Islands)

 国民的には「平和憲法を持つ日本には、領土と領海を超えた地域での軍事的な影響圏の拡大など要らない」と考える人が多いかもしれない。それが政府の政策になるなら、2つの列島線の間の地域は、日本でなく、中国の軍事影響圏になっていく。いずれ米国は第2列島線、つまりグアム以東へと軍事撤退し、その後の空白をぜんぶ中国が埋めることになる。日本は明治以前の、小さな孤立した島国に戻る。2つの列島線の間の地域は、今のところ、米中で将来像を決めていない「空白地域」だ。安倍政権は「空いている地域で、日本がもらって良いものなのだから、もらって当然だ」という考え方なのだろう。

 この件での国家的な意志決定が、今後、国民的な議論や選挙のテーマになることは、多分ない。民意と関係なく、国家の上層部だけでひそかに決められていき、報じられることもないだろう。私の「日本は、2つの列島線の間を、日豪亜同盟として影響圏にするだろう」という予測は、今後もずっと陰謀論扱いされそうだ。とくに日本の左翼リベラルの人々は、私がこの話をするたびに、聞きたくないという感じで何もコメントせず無視する。

 今回の記事の(1)から(4)は、いずれも米国から依頼されて日本が動いている感じだ。しかし、日本がこれらのことを進めていくと、対米従属の体制からどんどん外れていく。米国の戦略は、隠れ多極主義的だ。

 日本が豪州や韓国、ロシアと協調関係を強め、2つの列島線の間が日本の影響圏になっていくと、北朝鮮をめぐる状況が今のままでも、在日米軍の海兵隊がグアムに撤退する話が再燃するだろう。日本が、国際的な影響圏を持つような大国になるなら、防衛を米軍に依存し続けることはできない。沖縄の基地問題は、従来のような「左」からの解決でなく、日本が影響圏を持つことで在日米軍が出ていくという「右」からの解決になるかもしれない。」

http://www.tanakanews.com/160123japan.htm

移民問題とドイツ、そして世界/ハフポトより

2016-01-25 11:12:34 | EU
「「多文化主義は完全に失敗した」。メルケル首相はこう発言し、評論家などから批判を集めた。

しかしこれは最近の発言ではない。2010年10月の発言だ(首相2期目)。また、2004年にも「多文化主義は見事に失敗した」と発言している。

一方で、今は積極的に難民を受け入れている。

この意味を理解するために、ドイツがどう移民を受け入れてきたのか見ていきたい。

戦後積極的に受け入れた移民政策

ドイツは戦後急速に移民の受け入れを行い、1950年代後半から1970年代にかけて200万人以上、トルコや南欧から移民を受け入れてきた。また、旧ユーゴスラビアなどからも大量の難民を受け入れている。

その後は、1973年のオイルショックで経済が低迷したこともあり、一時的に受け入れを制限。ドイツ政府としてはこれらの移民はいずれ祖国に帰るものだと考え、暫定的な住民として扱った。

タブー視される移民

しかし、オイルショックによって大量の失業者が生まれ、社会保障費が拡大、財政赤字も拡大。その頃から移民に対する忌避感が強まり、厳しい市民権取得条件が設けられた。

90年代で既に人口の9%まで移民が流入していたが、当時のヘルムート・コール首相はドイツにおける移民の役割は大きくないと、正面から移民を受け入れようとはしなかった(59年から98年までの40年間に約3000万人が流入し、約2100万人が流出)。

これは最近になっても変わらず、2010年にはドイツ中央銀行の幹部が、イスラム諸国からの移民が最も多く社会福祉を申請し、犯罪に結びついていると発言して、辞職するまで非難を集めている。

再び積極的に受け入れられた2000年代

90年代にはベルリンの壁が崩壊し、冷戦終結も伴い、多くの難民が再び流入するように。また、少子化やIT業界が発展しつつあった90年代後半から労働力不足になり、移民を受け入れるべきだという声が再び高まる。

そして、2000年に当時のシュレーダー首相がグリーンカード制度を導入、発展途上国から技術者の受け入れを進めた。

その後、2001年には移民委員会が設置され、2005年には新移民法が制定、これにより、外国人は必修でドイツ語やドイツ文化を学ぶコース(統合コース)を受講するなど、本格的に移民受け入れが進められるようになっていった。

場当たり的であった移民政策

1960年代の移民政策は、戦後復興による労働力不足を補うためにトルコなどから期間限定で外国人労働者を受け入れようとしたものだったが、外国人労働者はそのままドイツに定住することになった。本来、一定期間働いたら祖国に帰し、他の労働者を採用する制度(ローテーション原則)であったが、一度経験を積んだ労働者を企業側も離さず、結果的にそのまま定住し、家族を祖国からドイツに移住させた。

このローテーション原則は1973年に終了したが、一度帰国してしまえばもうドイツに住めなくなるため、かえって移民がそのまま定住することに。

うまく"統合"できなかった移民

しかし、これらの定住した移民は、ドイツ語が話せないなど社会に溶け込めず、失業率の高さなどが社会問題となった。2009年には外国人の失業率は12.4%とドイツ人の2倍、中途退学率も13.3%とこれもドイツ人の2倍となっている。

こうした現状に対し、メルケル首相は「多文化主義は完全に失敗した」と発言し、そのために「(多文化社会をつくり移民を"放置"するのではなく)移民が社会に溶け込み、社会が彼ら/彼女らを受け入れる状況を生み出すために、ドイツはもっと努力しなければいけない」と国民に呼びかけたわけである。

これは、移民政策に反対する、という意味ではない。この時「ドイツ語が下手な人を門前払いするようなことはすべきではない」とも発言している。ドイツ社会と移民が互いに受け入れ合うべきだというのが本音だ。

しかし、この発言から現在まで、メルケル首相は欧州危機や外交問題に注力し、国内も経済的に成功して移民に対する国民の不満が弱まったこともあり、うまく統合は進んでいない。生活保護受給者の割合は移民が40%近くを占め、犯罪率も高い。

今後も移民受け入れは避けられない

ドイツは少子高齢化の先進国で、このままいけば2050年に約6000万人にまで減少するとされ、人口を維持するためには2050年までに約1600万人の移民が必要と言われている。2013年には123万人の移民がドイツに入国している(流出は79.8万人)。

現在の人口約8100万人のうち約1600万人が外国人か移民の家族、つまり5人に1人は外国人もしくは外国系という状況だ。

今後、この外国人の比率はさらに高まる。今までもやってきたが、今後さらに移民政策だけではなく統合政策も必要だ。2005年にできた統合コースも十分に機能しておらず、不参加や途中離脱などの問題を抱えている。

難民受け入れに難色を示していたメルケル首相

ドイツは最近になって急に難民を受け入れたわけではなく、戦後からずっと受け入れてきた。例えば、95年、ユーゴ内戦を逃れて国外に出た難民は約74万人で、その半数をドイツが受け入れている。

だが、メルケル首相は移民でさえうまく「統合」が進んでいない状況から、難民受け入れにはあまり積極的ではなかった(それでも2014年に約20万人の難民が入国)。

しかし、メルケル首相の政策を大きく転換させた一つの出来事がある。

2015年7月15日、市民との対話集会で、パレスチナ出身の難民少女(14)が、「将来大学で勉強したいが、滞在許可が下りず、国外退去されるのではないかと不安を感じながら生きている」と訴えた。それを聞いたメルケル首相は、「あなたの事情は良く分かる」と述べた後、「ドイツには世界から多くの難民が殺到している。彼らを全て受け入れることは出来ない。重要な点は難民審査手続きを迅速化することだ。祖国に帰ってもらわなければいけない人もいる」と、正論を展開。

だが、それを聞いていた少女が急に泣き出し、メルケル首相は「私は彼女を撫でてあげたい」と困惑した表情を浮かべた。

この一連のやりとりはネット上で瞬く間に拡散され、「メルケル首相は冷酷だ」と国民から非難が集中した。

これを受けて、もちろんこれだけではないが、2015年9月5日、メルケル首相は、隣国オーストリアとともに、ハンガリーで足止めを食っていたシリアやアフガニスタンなどからの難民を入国させる方針を発表した。

メルケル首相は、原発に関しても、元々物理学者で原発推進派であったにも関わらず、日本の原発事故を見て2020年までに原発を全廃すると決めるなど、自分の考えが誤っていたと判断すれば、政策を大きく転換することも辞さない。

難民受け入れを止めることはできない

ドイツは戦後、難民も受け入れてきたが、それには人道的な理由と憲法上の理由がある。

ドイツの憲法である基本法には、「政治的に迫害される者は庇護権を享有する」と明記されている。ドイツの憲法は、亡命権を人間の基本的権利の一つと規定しており、これはナチス時代の反省からきている(ナチス時代に他国に亡命させてもらった恩)。そしてその上限は明記されていない。

メルケル首相は、ドイツの隣国であるオーストリアが決定した難民受け入れの上限を決める「キャップ制度」導入は、EUにとっての解決策にはならないと断言し、ドイツが上限を設けることも拒否している。上限を設けるためには、憲法を改正しなければならない(上記でメルケル首相が発言した「全て受け入れることは出来ない」は全員を難民認定することはできないという意味で、最近述べた上限は設けられないという発言とは矛盾しない)。

仮に、上限を決めるよう憲法を改正しても、全く難民を受け入れないということはないだろう。また、ドイツは外国人がいなければ成り立たないぐらい既に移民や難民が多く流入しており、今後も共存していかなければならない。

異文化とどう共存していくかは21世紀最大のテーマ

ドイツ、そしてヨーロッパは今、異文化との共存問題に直面している。これはヨーロッパに限った話ではなく、世界各国で移民政策反対を掲げる政党の勢いが増している。移民大国アメリカでも共和党大統領候補トランプ氏の移民排斥が支持を集めており、世界中が異文化との拒否反応を示しつつある。

単純な解決策は閉じこもり、トランプ氏がメキシコとの間に壁を作ると言っているように、異文化との"壁"を高くすることだろう。しかし、その解決策を取ることで失われる可能性があることも忘れてはならない。

無限に受け入れるというのは非現実的だが、一切を拒否する排外主義というのも非現実的だ。

ここまで難民の流入数が増えたのは初めてだが、今困難にあるのは経済的な問題ではなく、社会文化的な問題だ。そして、それは今までドイツ国民(そして世界中)が直視することを避けてきたツケでもある。移民を単に労働力として扱うだけでは、必ず社会が二分されてしまう。

ヨーロッパから約4000人がISに参加しているが、社会にうまく統合されず、帰属意識を持てなかったのが参加の大きな理由の一つだ。

今後、グローバル化がさらに進む中で、国家アイデンティティが希薄化していくだろう。しかし、そこに不安を感じる層からは強い抵抗が生まれる。EUという国家の統合を目指す一大プロジェクトを進めるヨーロッパが最も進んでおり、その抵抗が表面化している。同様のことがいずれ世界中で起きるだろう。

異文化との共存には受け入れる側の姿勢が重要

現在の移民政策のベースとなっている、2001年の移民委員会による報告書は、「移民」のドイツ社会への統合ばかりを問題視し、移民にドイツ語やドイツ文化を学習させるなどの統合政策を提案した。

しかし、本当の問題は「ドイツ人」の移民に対する受け入れ姿勢ではないだろうか。いくら「統合コース」を受講しても、単一文化になることはない。異文化とどう共存していくか、というのは21世紀最大のテーマといっても過言ではない。今後さらに世界は"小さく"なり、異文化と触れ合うことは避けられない。

そして、この異文化との共存を克服しなければ、今後もテロや衝突がなくなることはないだろう。今回の過度な難民流入も、今後1000万人以上移民を受け入れる必要性を考えれば、いずれ直面しなければいけない問題が早く起きているだけとも言える。

メルケル首相は、国民に向けた新年の演説で、シリアなどからの難民の流入とドイツ社会への統合は「将来のチャンスになる」として、難民への寛容な姿勢を呼び掛けた。この時、難民の統合を成功させるには過去の過ちから学ぶべきだとも指摘している。

難民の急激な流入を防ぐために、欧州委員会が提案しているような域外との国境管理や難民の負担分配はしなければならない。

しかし、本当に重要なのは、ドイツ国民がどう異文化を受け入れるかだ。「受け入れるべきだ」と盲目的に言っても意味はないし、メルケル首相を責めても解決はしない。動物の本能でいえば、異なるものには拒否反応を示す。しかし、理性によって、異文化をどこまで許容できるのか、ドイツ、そして世界中が直面している。ここから目を背けても何も解決しないだろう。

(2016年1月24日「Platnews」より転載)」

http://www.huffingtonpost.jp/yuki-murohashi/merkel_b_9063112.html

難民問題はもやは欧州だけの問題ではない/P.サザーランド・国連事務総長代行

2016-01-24 20:06:13 | 国際
「地中海の移民問題は、2つの重要な教訓をもたらした。第1に、欧州および国際社会は、立場の弱い移住者を保護する十分なシステムを有していない。第2に、そうしたシステムの欠如に際して、ポピュリスト指導者が民衆の恐怖に付け入り、70年を費やして作り上げられたリベラルで寛容な社会を弱体化させてしまうだろうということだ。

このため、今年は、欧州及び世界的なレベルでの精力的な活動が求められる。9月に国連の潘基文事務総長は、難民や立場の弱い移住者を保護する公平なグローバル体制の構築に向けた特別会合を招集する予定だが、各国には実効的かつ永続的なコミットメントを整えるよう期待したい。

昨年はこうしたコミットメントが非常に欠けていた。国際社会は約400万人のシリア難民を受け入れた隣国のトルコ、レバノン、ヨルダンに100億ユーロ(約1兆3000億円)程度の支援をしさえすれば、これら3カ国が難民への食料や住居、教育を担い、欧州への流入を減らすことができたはずだった。しかし、そうした支援をしなかった結果、ドイツ1国だけで今後数年にわたり、年間210億ユーロものコストが必要になったのだ。

昨年だけで4000人が落命

しかし、この危機がもたらした人的・政治的なコストに比べれば、資金面での話などまったくかすんでしまう。昨年だけで100万人以上が命懸けで地中海を渡り、約4000人が命を落とした。生き延びた人々も欧州の多くで入国を拒否された。

冷笑的な政治的指導者たちは、移住者が経験したうそ偽りのない体験を無視するか、それらを歪曲させてしまう醜悪なナショナリストのビジョンを掲げることで、大衆の不安な思いに容赦なく付け込んでいる。

過激派勢力は、いくつかの欧州の国々で政権をほとんど掌握するに至っている。ハンガリーとポーランドでは、反移民を掲げる政党が権力の座にあり、主流政党が反移民政策を取らざるをえなくなっている。

難民の対応に当たる欧州連合(EU)のプログラムは、たった190人を「移住させる」ことしかできていない。EUは愛国主義に過ぎ、そして無能であるように見える。

安全かつ合法的に難民が移住する手段の創出が最優先事項である。EUは入国を許可する移住者の人数について、もっと寛大になるべきであり、彼らの入国を手助けするための組織立った手段を講じるべきだ。

強固なグローバル体制構築を

また、国際社会は難民とその他の立場の弱い移住者を保護するための強固なグローバル体制を構築すべきだ。

先進国はその手段が再定住の支援であれ、人道的ビザ、学生ビザ、就労ビザなどの発給であれ、先進国で年間100万人弱の難民を受け入れられる合意に達すべきである。カナダ1国だけでも、5万人のシリア難民を今年再定住させると述べているが、この目標が達成可能なのは明らかだ。

同時に、国際社会もトルコ、ケニア、レバノン、ヨルダンなどの主要な受け入れ国における難民の地域統合を支援しなければならない。

移住者を保護するシステムを構築するために、気候変動のための対策と同じような国際的な行動を16年に起こさなければならない。2000万人の難民と、立場の弱い数百万人の移住者の生死を分ける問題であり、全世界の民主主義社会の健全さを問う深刻な試練でもあるのだ。」

http://toyokeizai.net/articles/-/101256

移民だけが“ヘル朝鮮”の脱出口に見える理由/ハンギョレより

2016-01-24 16:14:34 | 政治
 以下の韓国の状況は韓国だけのことではなく、日本にも、特に日本の若者によく当てはまることだと思います。いかがでしょうか。

「朴露子(パクノジャ)の韓国、内と外

イラストレーション キム・デジュン //ハンギョレ新聞社

 外国へ移住するという若者たちと深層的対話をしてみれば、彼らにとって北欧ないしは欧米地域の相対的高賃金や高福祉が移民欲求をかきたてたとばかりは言えないことが知れる。 彼らの移民志望動機は、第一が民主化の失敗であり、第二は朴槿恵(パククネ)政権の“労働との戦争”だ。

 ところが移民しようが資本主義世界の一般的問題である搾取や疎外、差別などを避けられるわけではない。 結局“労働者”としての自覚を持って、国内でも労働者が人間らしく生きられる世の中を作るために共に闘うことこそがより良い方法ではないかと思う。

 私は今年でノルウェーに来て16年になる。 その間全く変わらないことが一つある。 この16年間、私には多いときは週に数件ずつ、少ない時でも月に数件は「北欧にどうにかして移民できないだろうか」のような類の問い合わせが韓国から届いている。 移民問題と何の関係もない一介の教員労働者である私にそのような問い合わせが来るのは、それだけ韓国に北欧との接点が少なくて、関連する専門家が少ないためだと思う。 最近になってそのような問い合わせが急速に増えたことも確かだ。 それだけ輸出と不動産市場、マルチ商法に依存する韓国経済が、最近大きな危機を予感して多くの人が“脱南”(?)を考え始めたのではないかと考えられる。 電子メールでの問い合わせだけでなく、韓国の青年、学生たちと対話をするたびにいつもリフレインのように「ヨーロッパのようなところに移民して暮らしたい」という言葉が聞こえてくる。 青年たちのこの“脱南ラッシュ”(?)をどのように理解すべきだろうか?

 私は北欧移民とは何の職業的関係もないと言ったが、“移民”問題それ自体は私にとっては“自分の問題”でもある。 私自身が一種の移住移民者だからだ。 初めはソ連の廃虚から韓国に行き、それから韓国のある私立大学で3年間非正規教員として仕事をした後にノルウェーに就職移民に行ったからだ。 私の場合、移民の動機を説明するのは極めて簡単だ。 最初の移民は単純にひもじかったからだった。 1990年代中盤のモスクワでは、特に家賃を払って住宅を借りなければならなかった私のような場合には、一つの大学で契約専任講師として韓国語を教えると同時に、別の三つの大学で時間講師として講義をしても、とうてい飢えを凌ぐことはできなかったために、非正規教員(正確には3年契約の講義専任講師)の賃金で一応生活できたソウルに行ったのだ。 二回目の移民は契約期間が満了したので行ったのだが、その他に自分は基本的に外部者であり韓国学界の構成員にはなれないことを実感したことが大きな動機だった。 同じ“胎生的韓国人”でさえも一部の専攻では特定大学の特定学科を卒業していなければ生涯を“庶子”として生きることを余儀なくされる状況なのに、貧困国出身の外部者に韓国学界への編入が容易なはずがあろうか? ところで、私に向って「どうしても外国へ移住したい」意向を明らかにした韓国の青年の大多数は、ひもじくて言っているわけではなかった。 高卒の青年もいたが、相当数は“名門大”出身であり、少数だが彼らの中にはすでに正社員として就職できた幸運児もいた。 差別にさらされがちなアジア系外部者として、慣れない北欧に行って生涯をそこで社会編入問題と取り組む覚悟をしてまでも、経済大国である大韓民国の若く賢い人材が移民熱を燃やす理由は果たして何なのか?

 もちろん、一義的には多くの若者が資本主義世界の労働者として当然にも自分たちの労働をより有利な条件で売ろうと思うことから移民を望む。 韓国の保守マスコミは異口同音に「高費用低効率」と恨んでいるが、統計的に見れば韓国は高賃金社会では全くない。 勤労者平均年俸(約3千万ウォン)は日本の約80%、ドイツやフランスの60%、アメリカやカナダの50%に過ぎない。 そのうえ高学歴者の就職競争は一層激しく、労働時間ははるかに長く、労働強度もはるかに高く、老齢年金や無償医療・教育サービスとして提供される社会的賃金も質的にも量的にも北欧のそれとは比較にならない。 簡単に言えば、“社会貴族”と言われるごく少数の職群・職種(“名門大”の専任教授、医師、高級公務員や財閥の役員など)以外の場合には“より良い社会”に行ける労働者であれば韓国で仕事をすることは“損害”と言える。 資本家にはるかに多くの時間とエネルギーを奪われていながら、得られる報酬ははるかに少ないためだ。 “ヘル(地獄)朝鮮”の別名は“企業天国労働地獄”なので、まだ“脱出”可能性が多少なりともある若い労働者、ないしは労働者候補生がそんな地獄を抜け出したいと思うのは当然のことではないだろうか? それでも疑問は残る。 特に住宅の賃貸ないし購入費用と子供の育児費用まで考慮するならば、韓国は多くの韓国人にとって薄給の国であるが、果たして賃金だけで疎外と差別に露出しかねない慣れない地域に行って、残った一生を生きる決心がつくだろうか? 1950~70年代とは違い韓国の労働者の賃金は飢餓賃金とまでは言えないのに。

 しかし、外国に移住したいという若者たちと深層的対話をしてみれば、彼らにとって北欧ないし欧米地域の相対的高賃金や高福祉が移民欲求を呼び起こしたとばかりは言えないことを簡単に知ることが出来る。 彼らが言う移民志望動機は、大きく二つに分けられる。

 第一は、“民主化の失敗”と括れる巨大な問題群だ。 もちろん私と話し合った若者たちは、韓国にまだ一部の自由民主主義的制度が残存すること自体を否定はしなかった。 たとえ現在の大統領と執権官僚層が熱心に破壊してはいるものの、まだ制限的ではあっても反対の声を上げて政治・市民団体が現執権者らと合法的闘争を行うことができる。 ところがこのような可能性もますます少なくなっている上に、政治ではなく社会が全く民主化されなくて、むしろ最近では一層再び権威主義化しているということが若者たちを最も苦しめている。 一昨年、“ナッツリターン”事件が話題になったが、事実その事件が外国の空港で、複数の目撃者の前で起きたのでそれなりに知らされて司法処理につながったのだろう、このような“企業における強者の横暴”は韓国企業では常習的であり、減るどころかかえって増えている印象を与える。 会社の中での上司と部下の関係や、大型マートなどサービス業種での顧客と感情労働者間の関係は、民主化・平等化されるどころか一層序列化・暴力化されている。 公開的に維新時期を懐かしむ朴槿恵勢力による国政掌握が韓国政治の後退・再権威主義化の象徴になったが、同じような後退は社会の随所で進行している。 韓国で生きることを“運命”として受け入れた過去の世代の場合には、権威主義的社会関係の強者・上司の暴言や暴力を“妻子のため”になんとか堪えもした。 ところが海外研修が普遍化して、一時は少数の専有物だった外国語駆使力も一般化されたおかげで、若い世代は民主・平等とは逆行している韓国の“ヘル”での人生をもはや宿命として受け入れようとはしない。 かつて多くの女性が無条件に「我慢が肝心」と自らに言い聞かせた家庭内暴力が、この頃では離婚請求理由になり離婚率急増の理由になるのと一脈通じる論理なのに、個人の尊厳と精神の健康を守るために外国に視線を転じる青年たちに果たして石を投げることができようか?

 第二は、朴槿恵政権が行っている“労働との戦争”を、若い労働者や将来労働者になる青年たちが韓国を脱出してでも避けようとしているということだ。 新自由主義は世界のどこでも労働者に残酷だが、朴槿恵時代の韓国ほどに労働者を構造的に絞り取り組織的に無力化させる社会は世界のどこにも見られないほどだ。 例えば、使用者が職場内の恐怖支配に利用することが明らかな韓国雇用労働部の最近出した「低成果者解雇指針」のような文書をノルウェーの労働者が読むならば、19世紀末の搾取工場の話と誤認することが明らかだ。 全国単位の労働者組織の代表を数千名の警察官を動員し逮捕する国家を、果たして韓国以外に挙げられるだろうか? こんなところで労働者として生きることを、運命として受け入れろと言うほうが無理だろう。


朴露子(パクノジャ)ノルウェーオスロ大教授・韓国学 //ハンギョレ新聞社
 “ヘル朝鮮”から出て行きたい気持ちはよく分かる。 しかし、皆が皆できるわけでもなく、出たとしても程度の差こそあれ資本主義世界の一般的問題である搾取や疎外、差別などは避けられないだろう。 結局“労働者”としての自覚を持って、韓国でも労働者が人間らしく生きられる世の中を作るため共に闘争することこそがより良い方法ではないかと思う。

朴露子(パクノジャ)ノルウェーオスロ大教授・韓国学

韓国語原文入力:2016-01-19 21:37
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/726900.html 訳J.S(3770字)」

http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/23142.html

中国第4世代原発、世界に向け一歩前進 2016年 1月21日

2016-01-24 15:31:47 | 中東
「 中国核工業建設集団公司が発表した最新の情報によると、同社の王寿君董事長(会長)とサウジアラビア「原子力・再生可能エネルギー都市」の代表者は、習近平国家主席のサウジアラビア訪問中に「サウジアラビア高温ガス冷却炉プロジェクトの業務提携覚書」に調印した。これは両国が「1ベルト、1ロード」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)を実行に移すための重要な措置であり、中国の第4世代原発技術・高温ガス冷却炉の海外進出実現の重大な進展となった。科技日報が伝えた。

 同社によると、高温ガス冷却炉は中国が完全に独自の知的財産権を持つ第4世代先進原発技術であり、固有安全性、さまざまな用途、モジュール化建造といった特長とメリットを持つ。いかなる状況下でも、メルトダウンや大量の放射性物質の漏えいといった事故が生じることはなく、人類の健康や環境に影響をおよぼすこともない。

 同社は国内の福建省、広東省、江西省、湖南省などの各地で、60万kW高温ガス冷却炉の準備作業を順調に進めているほか、海外のサウジアラビア、アラブ首長国連邦のドバイ、南アフリカなどの国と地域で、高温ガス冷却炉の業務提携に関する覚書に調印している。今回のサウジアラビア「原子力・再生可能エネルギー都市」との提携の実質的な進展により、高温ガス冷却炉の固有安全性を確保するほか、その多用途性で現地の電力供給、海水淡水化、石油化学工業の需要を満たすことができる。その柔軟なモジュール化設計により、異なる電力網の需要に適応できる。特にサウジアラビアなど「1ベルト、1ロード」沿線国の電力網に適しており、関連産業をけん引することができる。」

http://www.spc.jst.go.jp/news/160103/topic_4_04.html

漢代の皇帝陵から世界最古の茶葉

2016-01-24 15:29:56 | アジア
「漢代の皇帝陵から世界最古の茶葉

2016年01月21日
 中国・陝西省にある前漢の景帝(在位:紀元前156年~同141年)の墓、陽陵の副葬品の中にあった茶葉が現存する世界最古のものであることがこのほど確認された。この成果は英科学専門誌「ネイチャー」系の電子科学誌「Scientific Reports」で発表された。

 チャイナ・ウオッチが21日、西安発新華社=共同電で報じた。陜西省考古研究院の専門家の楊武站氏によると、同省考古研究院が中国科学院に調査を依頼した結果、判明したという。陽陵の封土の東側にある外蔵坑からはこれまでに、陶製の動物俑のほか、腐食した木箱に入った多数の小さな銅印、イネ、アワの種子などが見つかっている。このため、陜西省考古研究院は2008年末、腐食・炭化し、肉眼での識別が困難になった有機物を中国科学院に渡し、分析を依頼した。

 中国科学院はこれを受け、質量分析法で木箱の中の有機物の表面の絨毛の間にある小さな結晶を調べた。すると、これらが茶葉であり、すべて新芽で、最高級品だったと判明したという。」

http://www.spc.jst.go.jp/spcdaily/201601.html_71192263.html#13