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どこの国も利害の対立あるいは利害の異なる国民の共存で成り立っています。利害の対立を越えた国民すべてに共通する環境問題の改善のためには、国民の間に「環境問題に対する共通の認識」がなければなりません。
現在のスウェーデンの環境政策は、「福祉国家」(人間にやさしい社会)から「緑の福祉国家(生態学的に持続可能な社会)」(人間と環境にやさしい社会)に移行することを最終目的にしています。
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そのためには、生態学的な観点はもちろんのことながら、幅広い視野に立った総合的な政策が必要になります。環境政策の目標を実現するためには、①法的対応、②調査、③計画、④教育が重要と考えられ、スウェーデンでは教育が環境政策を支える大きな柱の一つとして認識されています。スウェーデンの学校での環境教育は単に知識を増やすだけではなく、自分の意見を確立し、社会で行動できるよう期待されています。
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ですから、日本の環境教育がめざすところは、“市民の啓蒙”というような消極的な考えではなく、社会の中に「環境問題への共通の認識」を構築することにより、利害の対立する国民や省庁間の壁を低くして、共通の目標に向かって整合性のある行動がとれる社会基盤を築くことを意図するものでなければなりません。
私がいくつかの大学に呼ばれて特別講義で講演した後、学生から送られてきたレポートの多くは「先生の言うことはよくわかる。でも、自分たちが社会の中で力を持つにはあと10年以上かかる。今の社会に力を持つものが環境問題をしっかり考えて、将来が望ましい方向に進んでいてくれなければ困る。先生の話は社会を動かしている政治家や官僚、企業人など大人にも聞いてもらいたい………」と大変現実的です。
意識ある学生は社会を国民の総意によって民主的につくり替えるにはリードタイムが必要であることをよく理解しています。そうであれば、環境教育は学校だけの問題でなく、社会人に対しても、もっと積極的に行われなければなりません。私の考えでは、社会人に対する環境教育は社会の共通問題に対して合意形成を促進する重要な役割を担っていると思います。
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