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私は1993年5月13日の「環境基本法案等に関する衆議院環境委員会公聴会(中央公聴会)」に出席を求められ、公述人の一人としてこの法案に意見を述べる機会を与えられました。
なお、この中央公聴会の議論のすべてをインターネットで見ることができます。
関連資料
第126回国会 環境委員会公聴会 第1号

当時の私の意見の要旨は次のようでした。

もう少し、説明を加えましょう。
●これらの法案はきわめて不十分である。内閣提出の「環境基本法案」も社会党提出の「環境基本法案」もそのベースとなる「環境問題に対する基本認識」が極めて乏しいため、この法の制定により、環境問題が改善の方向に向かうとは到底考えられない。
●ここに提示された両環境基本法案の最大の欠陥は、他省庁がかかえる既存の開発志向型の法律群(例えば、リゾート法、都市計画法など)にほとんど影響を及ぼさない点にある。今日の環境問題を招いているのは「数多くの開発志向型の法律に基づく経済活動の拡大」であることは自明の理である。
●環境基本法が成立した場合、環境基本法が「公害対策基本法」に置き換わるが、公害対策基本法の下で制定された大気汚染防止法、水質汚濁防止法など既存の法律がそのまま残るので、行政の許認可の根拠法は実質的には変わらない。 公害対策基本法の下で制定された既存の法律がそのまま施行されるのであれば、経済活動の拡大に伴って 、環境は悪化することはあっても改善されることはないであろう。
●今日の環境問題を招いているのは、数多くの開発志向型の法律に基づく経済活動の拡大であるから、両法案とも“審議の上、速やかに可決されることを期待する”とあるが、私は反対である。
日本で「環境基本法」が制定されたのは1993年で、1992年の「地球サミット」(国連環境開発会議、UNCED)、同年の国連環境計画(UNEP)の「世界環境報告」発表の翌年の1993年でした。それから10年後の2003年9月12日付の朝日新聞は、「鈴木環境相は12日の閣議後記者会見で、公害対策を中心とした環境基本法を、積極的な環境の再生と改善のための枠組みに転換することを視野に入れた検討を開始する考えを明らかにした」と報じています。この後どのような進展があったのか、今のところ明らかではありません。

このことは14年前に、私がスウェーデンの環境政策の専門家として、衆議院環境委員会中央公聴会に公述人として招かれたときに指摘したとおり、日本の環境基本法が1969年の「公害対策基本法」の域を抜け切れず、現実の変化に対応できていない不十分な法律であったことを示唆するものだと思います。
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つまり、厳しい言い方をすれば、不十分な環境基本法の下で多額の予算を費やし、多くの国民を巻き込んだ日本の14年の行動が図らずも実を結ばなかったばかりでなく、相対的には環境の改善にはつながらなかった、事態は“1993年以前より悪化した”と言えるのではないでしょうか。

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