環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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8月15日のブログのコメントへの返信

2007-08-19 21:09:04 | 原発/エネルギー/資源

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8月15日のブログ「進化してきた福祉国家① 『世界の最貧国』から『世界で最も豊かな福祉国家』へ」に関連して、ヨウスケさんという方から原発関連のご質問をいただきました。ご質問には同ブログのコメント欄ですでにお答えしましたが、関連の図がありますので、掲載します。図をみるとさらに理解が深まるでしょう。図はいずれもスウェーデン・エネルギー庁が作成したものです。

③ヨウスケさんが参考にした2つ目の資料の中にある「しかし不足した電力を、ヨーロッパ域内からの輸入電力に依るという政策を取らざるを得ず、その輸入電力の中にはドイツやフランスなど原子力に依っている国からの電力も入っている。そのため、国民の間からは原子力を一基廃止した替わりに原子力による電力を輸入するという政策のちぐはぐさが批判されたという」というような記述を読み、日本の発想で考えると事態を見誤ると思います。

電気に色が付いていないので、スウェーデンが輸入する電力のどれほどがドイツやフランスなど原子力に依っている国からの電力かわかりませんが、スウェーデンの電力の輸出入の大部分は北欧諸国内で行われております。一部分ポーランドとドイツの間でも行われています。スウェーデンは電力の輸入だけでなく、電力の輸出もしているのですよ。

この図は2004年1月から2005年12月までのスウェーデンの電力輸出入を5週間ごとにまとめて表しています。上半分は電力の輸入で、下半分が電力の輸出です。2005年の輸入はほとんどノルウェー(水色)からの輸入です。ノルウェーからの電力はすべて水力発電による電気です。この図は詳細すぎて極めてわかりづらいのですが、次の図をご覧ください。


こちらの図は1970年から2005年までのスウェーデンの電力の輸出入を表しています。図の上半分は輸入電力で、下半分が輸出電力です。2004年、2005年は年間ベースでは電力が輸出されていることを示しています。

④「なぜ環境に熱心な国であるスウェーデンがプラス4%かといえば、それは原子力発電所の閉鎖を前提にして当面は火力発電に依存せざるをえないという事情からだという。しかし、このプラス4%は、あくまで京都議定書上のEU域内でのスウェーデンの法的責務であり、国内の政策目標としてはマイナス4%を目指している。そして現状ではおおむね、プラスマイナス0ということで、京都議定書上の目標責務は達成できそうだが、国内目標の達成は微妙な状況である。」

この記述も2007年の今日の段階で検証すれば、誤りと言ってよいでしょう。スウェーデン政府が2007年1月4日に公表した資料「Sweden and the Challenge of Climate Change」によりますと、スウェーデンは1990年と2005年を比較すると、温室効果ガスを7%減少させ、この間36%の経済成長を遂げたそうです。そして、スウェーデンは、長期目標を達成するために、すべての部門で化石燃料を再生可能エネルギーに転換していかなければならないとしています。

この図は1980年と90年から2005年までの部門別CO2排出量を示したものです。 日本の部門別排出量の図と比較すると民生・業務部門(水色)と運輸部門(肌色)で大きな相違があることがわかります。日本は民生・業務部門と運輸部門が年々増加しています。スウェーデンでは民生・業務部門が年々減少し、運輸部門が微増しています。



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