環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

誰でも参加したくなる「1999年施行の新公的年金制度」③

2007-07-10 08:09:15 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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1999年春、スウェーデン社会保険庁は新年金制度の周知徹底を図るため、国民の半数以上に当たる約500万人の現役世代(勤労者、学生など)に、オレンジ色の封筒入りの手紙(オレンジレター)を送り、新年金制度の説明と各人が年金受給開始年齢の61歳、65歳、70歳に達したときに受け取る給付額の見通しを示しました。この通知はその後毎年1回、2月に送られてきます。

これは、国民に給付額の目安を知らせ、給付不安を解消すると同時に、自己責任による老後の人生設計を、時間的余裕を持って考える安心感を保障するためでした。

2000年1月から、新年金制度による給付が開始されました。新制度への完全な移行は、20年かけて段階的に実施されます。毎年、旧制度による給付の20分の1を新制度による給付に置き換えて、新規年金受給者が実際に受給する給付額が算出されるので、新制度導入後の最初の20年間、年金受給世代は旧制度の年金と新制度の年金を、それぞれ部分的に受給する形となります。
 
1954年生まれの現役世代が年金受給年齢を迎えたときには、新制度に基づく年金の割合は20分の20、つまり、旧制度に基づく年金の割合はゼロ(20分のゼロ)となるので、新制度が完全に適用されるのは、54年以降に生まれた年金受給世代からということになります。
 
スウェーデンの新年金制度の概要をご理解いただけたでしょうか。
2004年3月25日に放映された「NHKスペシャル――年金③」(再放送)での大澤真理さん(東京大学経済学部教授・社会保障制度の専門家)の説明は、たいへんわかりやすいものでした。ご発言の要点をまとめました。

●スウェーデンの制度は働き方のいかんにかかわりなく、すべての人が同じ条件で同じ一つの制度(収入に応じて保険料を払い、払った保険料の総額に応じて給付を受け取る単純明快な所得比例制度)に参加します。ただし、低所得者のために税金でもってまかなわれる最低保障制度があります。
 
●給付水準は現役の手取りの38%にすぎません。それでも、非常に老後の安心が保障されているのは、医療、介護、住宅保障といったサービス保障が充実しているから現金支給は多くなくてもすむのです。現金給付以外のところで再配分が行なわれていれば、むしろ現金を給付する制度は負担と給付のあり方が非常に単純明快な完全業績主義であるほうが、皆が払って支えようという気になるのではないかと私は思っています。
 
スウェーデン方式は業績主義的で自由主義的制度です。アメリカ型は低所得者に厚いという意味ではじつは社会主義的な制度、日本の制度のあり方も社会主義的制度です。



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