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6月23日から始まった「少子・高齢化問題」への対応(特に高齢化問題への対応としての年金問題) を、今日でひとまず終了します。
私は、6月30日のブログ「保険料と給付のバランス」 の最後に、次のように書きました。
●2004年6月5日、年金改革関連法案は自民党、公明党が強行採決を行ない、賛成多数で大混乱のうちに可決、成立しました。成立した年金改革法は、政府・与党が「100年持つ制度」といっていた内容とはほど遠いものでした。日本の年金制度が将来、国民に安心感をもたらすか、さらに国民を不安に陥らせるかは 日本の国民の意識と現在の政治的決定にかかっています。
あれから3年経ったにもかかわらず、私が懸念していたように、日本が抱える「年金制度」の課題が何一つ解決されないまま、現在に至っています。しかも、事態は3年前よりもさらに悪化しています。今年2月には、“宙に浮いた年金記録問題”が発覚しました。6月30日の毎日新聞がこれまでの事情の推移をよくまとめています。
そして、この記事の最後のところで、いつものように、スウェーデンが登場します。
●年金改革の成功例として、スウェーデンが挙げられる。そのポイントは内容ばかりでなく、与野党が8年かけ、意見の違いを超え改革を遂げた点にある。日本は3年の歳月を空費し、団塊の世代が次々に定年を迎えている。北欧の「先人」に学び、抜本改革に向け、与野党は利害を切り離した論議を始める時ではないか。
さて、このところマスメディアの報道は、7月29日(日)の参院選挙を意識して再び「年金問題」に焦点を合わせています。こうした中で、7月6日の朝日新聞が「年金、自助か、最低保障か」と題して、たいへんわかりやすい図を掲げています。
この記事の解説を要約すると、次のようになります。
●カナダはA案のような税による老齢所得保障をしているが、受給には10年以上の居住、満額受給には40年居住と条件があり、所得調査もある。スウェーデンは年金が一定水準に満たない場合に差額分を補うB案のやり方で、所得調査などはない。
●自民、公明両党は今の社会保険方式を堅持する立場、これに対し、民主、共産、社民の各党が提唱するのが、税金を使った「最低保障年金」の制度で、老後の最低限の生活費用は公的年金でまかなえるようにしようという考え方だ。
●ただ、同じ最低保障でも、すべての国民に一律に支給する考え方(A案)から納めた保険料に応じた年金を基本にしながら、それでも年金額が少なくなる人に不足分を補う考え方(B案)まで幅がある。
●共産、社民はA案の考え方だが、民主党は全国民が同じ所得比例年金に加入して、所得に応じてきちんと保険料を納めることとセットで、年金額の少ない人を中心に最低保障をするB案に近い考えをとりつつ、A案のような「基礎部分は税でまかなう」という主張も選挙公約に掲げていて、あいまいさが残る。
この記事に掲げられて図を見ると、「現行」から、将来は「A案」あるいは「B案」のどちらかを選択するかのような図式となっていますが、それでよいのでしょうか。 「現行」よりは「A案」のほうが一歩前進なのかもしれませんが、「A案」はスウェーデンの旧公的年金制度とほぼ同じで、スウェーデンが「21世紀の年金制度としてふさわしくない」と判断したものです。 「B案」はスウェーデンの新公的年金制度です。
参院選挙後、ずさんな年金記録問題とは別に、もう一度真剣に日本の年金制度を議論する必要があるのではないでしょうか。
今日の朝日新聞の朝刊に、年金問題の専門家で一橋大学教授であられる高山憲之さんのインタビュー記事が載っていました。高齢化問題の最終回にふさわしい記事ですので、紹介します。
●5千万件もの年金記録が宙に浮いてしまった。年金の歴史の中で経験したことがない最大の危機だ。どんなにきれいな制度をつくっても、実務がついていけなければ、絵に描いた餅になる。
●いずれにせよ、大事なことは職員がやる気を持って組織が説明責任を果たし、法令を守るようにすること。年金の制度以前の問題で火を噴いているのだから、制度論は2番手のテーマということになる。
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