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環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

緑の福祉国家49 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入⑬ 電気・電子機器に対する製造者責任制度② 

2007-05-19 10:22:16 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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今日から、2001年4月施行の「日本の家電リサイクル法」より3ケ月遅れて2001年7月から施行された「スウェーデンの電気・電子機器に対する製造者責任制度」について、概観します。

この制度では、建物に固定されていない電動機器のほとんどすべて、具体的には、次の図に示す10の製品グループに属する製品が対象となります。
 
自治体と製造者の役割分担は次の図のようになります。

これは次の図が示す2003年2月13日に発効されたEU指令「WEEE(電気・電子機器の廃棄)」(Waste Electrical and Electronic Equipment)のスウェーデン・バージョンと考えてもよいのですが、もう少し正確に言えば、2001年7月1日の「スウェーデンの電気・電子機器に対する製造者責任制度」が2003年2月13日発効のEU指令「WEEE」の考えのもとになっていると考えた方が適切だと思います。

2003年2月13日発効のEU指令は発効18ヶ月後の2004年8月13日までに加盟国が指令に沿った国内法を整備・施行することを求めています。

この場合と同じような関係が、5月6日のブログで紹介したEUの新しい化学物質政策である「RoHS」「REACH」 にも認められます。

2001年4月に施行された「日本の家電リサイクル法」の対象が、冷蔵庫、洗濯機、エアコンおよびテレビの4品目であることを考えると、日本とEUの対象品目の相違、更に言えば、日本とスウェーデンの電気・電子機器廃棄物に対する考え方の広さ、深さの相違を実感していただくことができるでしょう。

日本とEU、あるいはスウェーデンの間に大きな技術的な相違があるわけではないことを考えますと、この大きな落差は技術的な問題ではなく、日本の基本認識に問題があると思われます。



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緑の福祉国家48 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入⑫ 電気・電子機器に対する製造者責任制度①

2007-05-18 08:51:51 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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1994年の「包装・古紙・タイヤ」から始まったスウェーデンの製造者責任制度は、98年の「自動車」を経て、2001年の「電気・電子機器」にまで発展してきました。

スウェーデンの電子機器の販売量は92年に対して99年は重量ベース(トン)で3倍以上となりました。電気・電子機器は人や環境に有害な多くの化学物質を含んでいます。スウェーデンのエコサイクル委員会は94年に、この制度の検討段階で調査されたスウェーデン製の電気・電子製品に含まれる有害物質の結果を公表しました。

スウェーデンでは臭素化難燃材(例えばPBDEs)が注目されています。PCBsの母乳中濃度は減少していますが、PBDEsの母乳中濃度は過去5年間に2倍となりました。ある電子機器の解体工場の作業員の血液サンプルからPBDEsの濃度上昇が認められています。


明日から数回にわたって、「電気・電子機器に対する製造者責任制度」の概要を紹介します。



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緑の福祉国家47 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入⑪  自動車に対する製造者責任制度

2007-05-17 22:27:23 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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さらに、1998年1月1日から、「自動車に対する製造者責任に関する政令」が施行され、すべての自動車メーカーと輸入業者は、新車の登録時に自社の廃車を引き取る義務を負うことになりました。

スウェーデンの車両廃棄システムは諸外国より、進んでいると考えられています。1975年、放置自動車の処理処分のために「車両廃棄法および同法施行令」が制定され、同年6月から施行されました。その後、修正が加えられました。98年に「自動車に対する製造者責任に関する政令」が施行されると、旧法は廃止されました。

75年の「車両廃棄法および同法施行令」のもとでは、金属、鋼材、アルミの回収に焦点が当てられ、車両重量のおよそ75%が回収され、素材として再利用されてきました。しかし、乗用車1台が廃車になりますと、およそ300キログラム(残りの25%に相当)のいわゆるシュレッダーダスト(プラスチック、ゴム、ガラス、タイヤなど)が排出され、これらの素材は埋め立てられてきました。

廃タイヤについては1994年10月に製造者の責任による回収システムが作られました。埋め立ている残りの25%のリサイクリングをめざして、1994年5月に、自動車メーカーのボルボ社、解体業者、素材供給会社などが出資して、廃車のリサイクル化プロジェクト「ECRIS(スカンジナビア環境適合自動車リサイクルの略)」をスタートさせました。イェンショーピン市にそのプラントがあります。

ちなみに、日本の自動車リサイクル法が施行されたのは、スウェーデンから遅れること7年、2005年1月1日のことでした。



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 緑の福祉国家46 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入⑩ アルミ缶のリサイクル 

2007-05-16 07:26:46 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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昨日のブログで、 「清涼飲料用アルミ缶」「ペットボトル」は、1994年の製造者責任制度の指定から外されていると説明しました。両者には、94年の製造者責任制度の導入以前から「デポジット制度」が適用されていたからです。

今日はアルミ缶の回収システムについて説明します。

1982年、国会で飲料用アルミ缶の回収が決定されました。この決定により、85年までに少なくとも75%の回収率の達成が求められました。この目的のためにデポジット・システムが検討され、アルミ缶回収の目的で、清涼飲料生産会社、販売会社、包装会社がリトゥールパック社(Returpack AB)を設立しました。

アルミ缶デポジット・システムは84年3月1日に導入されましたが、85年の回収率は66%でした。82年の国会の決定にしたがって、少なくとも75%の回収率を達成するために、スウェーデン農業市場庁とリトゥールパック社は消費者に経済的なインセンティブ(刺激策)を与えるために、アルミ缶一個につき0.50クローナ(およそ12円相当)まで預かり金を引き上げることに合意しました。その結果、現在の回収率は90%以上に達しています。昨日の「デポジット制度による容器の回収率」の図をご覧ください。

アルミ缶回収システムの流れを図に示しました。

現在、リトゥールパック社はアルミ缶だけでなく、リターナブル(再使用可能)なペットボトルのデポジット制度も運営しています。また、アルミ缶回収システムの導入に合わせて、スウェーデンではスチール缶は使われなくなりました。



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緑の福祉国家45 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入⑨  包装に対する製造者責任制度の成果

2007-05-15 23:00:16 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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この制度が実際にどのくらい普及したのかを、環境保護庁の調査から見てみましょう。
 
たとえば、「包装に対する製造者責任に関する政令」では、1997年1月1日以前に使用されていた包装材8種に、「再使用」あるいは「リサイクル」することが義務づけられました。

目標年月日である1997年1月1日現在の目標達成状況の調査報告によると、「製造者が築いた新しい回収システムは、導入段階としては評価できるが、環境に配慮して、もう少し住宅近くに回収ステーションを設置する必要がある。製造者と自治体の協力はよくなっているが、製品と廃棄物の輸送手段を環境に配慮した方法に切り替える必要がある」と、改善の余地を指摘しています。
 
包装材8種のうち、目標値に達しなかったのは「飲料用アルミ缶以外のアルミ製容器」の19%(目標値は50%)と「ワインおよびアルコール飲料用ガラスびん」の80%(目標値は90%)の2品目だけでした。

なお、製造者責任制度で指定されている包装材のうち、二種「ビールおよびソフトドリンク用の規格びん」と「スウェーデンで充てんされたワイン、アルコール飲料用ガラスびん」には、デポジット制度が適用されています。

また、1994年の製造者責任制度の指定から外されている清涼飲料用アルミ缶ペットボトルには、製造者責任制度の導入以前からデポジット制度が適用されています。デポジット制度による容器の回収率、回収された古紙の利用率およびタイヤの非埋め立て処分率の成績は次のようです。

スウェーデン環境保護庁は、1997年1月1日現在の調査結果に基づいて、新たに包装材について2001年の目標を設定しました。

製造業者が構築した回収システムに対する市民の反応は次の通りです。




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緑の福祉国家44  廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入⑧  まずは、包装、古紙そしてタイヤから

2007-05-14 07:09:54 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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今日から、スウェーデンの廃棄物に対する製造者責任制度の概要を紹介します。次の図をご覧ください。


1994年10月1日から、まず、「包装」、「古紙」および「タイヤ」の製造者に対する「製造者責任に関する政令」が施行されました。「包装」と「古紙」はどちらも、OECDの基準で、「製造者責任制度になじみやすい製品」とされています。いずれの場合にも、次のような目標年度と数値目標が定められました。




これに対応して、製造者は対象品目ごとに、それぞれの廃棄物に対して、専門の回収・処理会社を設立しました。この制度の導入によって、これまで地方自治体が行なってきた清掃業務のうち、これらの製品廃棄物の処理・処分業務に対する義務はなくなりました。


製造者責任制度にかかる費用は製品価格に含まれるので、スウェーデンの場合、各家庭は、年間22,000円程度の費用を支払っている計算になります。自治体のごみ処理はすでに70年代から有料化されていますので、各家庭はこのほか、製造者責任制度で規定されていない「その他のごみ」の回収費用として、自治体に年間15、000円程度を支払っていることになります。



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緑の福祉国家43 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入⑦ 導入までの流れのまとめ、基本的な考え方

2007-05-13 07:48:55 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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「生産活動」と「消費活動」を続ける限り、必ず廃棄物が出ます。ですから、適切な廃棄物の処分方法を社会に確立しなければなりません。スウェーデンでは、1994年10月から、廃棄物に対する製造者責任制度が導入されました。

5月7日から始めた「廃棄物に対する製造者責任制度の導入①」から、昨日までの状況「廃棄物に対する製造者責任制度の導入⑥」をまとめると、次の図のような流れになります。


そして、廃棄物に対する製造者責任制度という先進的な制度を考え出したスウェーデン政府のエコサイクル委員会の基本的な考えは、次のようなものです。

この考えは普遍性が高い考えですので、国の規模や文化の相違を超えてどの先進国でも実施可能なものだと思います。要は廃棄物の重要性を認識し、やる気の問題です。 



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緑の福祉国家42 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入⑥  政府の購買、法の改正、循環政策など

2007-05-12 07:47:47 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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今日は「1990年代の廃棄物政策」の最後の3項目を説明します。

⑫政府の購買
⑬79年の「清掃法」の改正
⑭85年の化学製品法」の改正






★「循環政策」(1992年6月)

92年6月、ブラジルのリオデジャネイロで国連の2回目の環境会議「国連環境開発会議(UNCED)」(一般に地球サミットと呼ばれています)が開催されました。まさに、この時、スウェーデンでは政府の「循環政策案」が国会で承認されました。

前述した「1990年代の廃棄物政策」とこの「循環政策」が94年から導入された「廃棄物に対する製造者責任制度」の根拠となっているのです。明日から、スウェーデンの製造者責任制度を検証します。



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緑の福祉国家41 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入⑤  発生源での分別など

2007-05-11 07:00:17 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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今日は次の項目を説明します。

⑨発生源での分別
⑩消化汚泥の浄化
⑪包装課徴金の検討







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緑の福祉国家40 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入④ 使い捨てペットボトルの使用中止など  

2007-05-10 06:06:17 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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今日の項目は次のとおりです。

      ⑤使い捨てPETボトルの使用中止
      ⑥包装材料から消える塩ビ
      ⑦生産工程からの有害物質の削減
      ⑧有害物質の段階的除去計画






 

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緑の福祉国家39 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入③   1990年代の廃棄物政策の概要など 

2007-05-09 07:54:04 | 市民連続講座:緑の福祉国家
 

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昨日紹介しました「90年代の廃棄物政策」は、1994年に導入された「製造者責任制度」の基礎となる重要な政策ですので、昨日掲載の図の番号に沿って簡単に説明を加えます。

今日は次の4項目です。

      ①1990年代の廃棄物政策:概要
      ②その要点
      ③製造者の責任
      ④自治体の責任






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 緑の福祉国家38 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入② 1990年代の廃棄物政策 

2007-05-08 08:36:57 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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国際的に製造者責任の議論が始まったのは1994年、OECDの「拡大生産者責任(EPR)に関する検討委員会)が発足したときです。この年に、スウェーデンでは「廃棄物に対する製造者責任制度」が導入されました。


★廃棄物に対する製造者責任制度

製造者責任とは、「製品の製造者がその製品の廃棄についても責任を負う」という考え方で、この制度のもとでは、製品の廃棄後にかかるすべてのコストを製造者が負担することになります。生産だけでなく、回収・リサイクルの仕組みづくりまでが製造者の責任とされるのです。回収・リサイクルのコストは製品価格に上乗せされますから、実質的に負担するのは製造者だけでなく、流通にかかわる事業者と消費者ということになります。

これまで、都市廃棄物(都市ゴミ、日本の法律では「一般廃棄物」)は日本でもスウェーデンでも地方自治体が回収・処理してきました。しかし、製造者責任制度の導入によって対象となる製品は、製造者が回収・処理を行うことになるため、地方自治体はそれらの製品の回収・処理の義務が免除されます。

製造者が生産から廃棄まで責任を持つことになると、製造者は自然に、廃棄物がなるべく出ないような工夫、あるいは有害な化学物質をなるべく使わない工夫、再利用が容易な製品の開発などの努力をするようになるはずです。
 

国際的な動きに先駆けて、1990年5月にスウェーデンの「1990年代の廃棄物政策」が正式決定されました。この政策と1992年6月成立の「循環政策」のもとで、「廃棄物の収集・処分に関する法律(1979年)」が改正され、廃棄物に対する製造者責任制度が導入されました。この法律は、後に99年1月1日施行の「環境法典」に統合され、環境法典の「第15章 廃棄物と製造者責任」に位置づけられています。
 

★1990年代の廃棄物政策

「1990年代の廃棄物政策」はスウェーデンの廃棄物政策に製造者責任制度を導入するきっかけとなった重要な政策ですので、明日から数回に分けて概要を説明します。

この政策は廃棄物の処分に関する中央の行政機関を環境保護庁に一元化し、284の自治体の権限を拡大して、製造者、国・地方の行政機関、消費者の責任分担を明らかにした、廃棄物処分の包括的なプログラムです。 





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緑の福祉国家37 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入①  今日の製品は、明日の廃棄物

2007-05-07 04:45:06 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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すでに述べたように、今日の市場経済システムでは、消費者は市場にあふれる、企業が生産した製品や提供するサービスのなかから、必要や欲求に応じて必要なものを選択して購入し、日々の生活を維持しています。購入の決定は消費者の意思によるものですが、現実には、生産者や販売者側(共に企業)のマーケティングの影響を大きく受けています。

企業が生産活動を続けるかぎり、次の図のように、かならず生産工程から、「製品」とともに「廃棄物(産業廃棄物)」が排出されます。加えて製品もまた、生産者から流通業者(販売業者)を経て、消費者にわたり、消費活動の結果として、「廃棄物(一般廃棄物)」となるのは自明の理です。建設構造物も廃棄物の例外ではありません。
つまり、人工構造物はすべて将来廃棄物になるのです。 

スウェーデンの廃棄物政策のキー・ワードは「今日の製品は、明日の廃棄物」という言葉に凝縮されていることをすでに、1月2日のブログでお話しました。

このことが理解できれば、今日の市場経済システムでは、製品の製造者(主として企業)は「廃棄物の製造者」でもあることが、容易に理解できるでしょう。


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緑の福祉国家36 新しい化学物質政策の策定⑤ スウェーデン発の政策がEUを通して日本へ 

2007-05-06 08:15:39 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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ここ数年、スウェーデンのこの試みが、国際的に実を結ぶことになりました。2001年2月に欧州委員会が公表した「今後の化学品管理政策のための戦略」で提案された「REACH」という化学物質管理システムや、2003年5月の「RoHS指令」として知られる有害物質規制指令の源は1月26日のブログ「環境問題への対応、輸入概念でよいのか!」で示したように、スウェーデン発の政策です。 

「REACH」は、化学物質の「登録・評価・認可」による管理システムで、企業は使用する化学物質についての情報を事前にヨーロッパ化学品庁に届け出ること、使用する化学物質について、求められたら必要な試験を行なわなければならないこと、発がん性や蓄積性など毒性の疑われる物質については、使用前に許可を得る必要があること、が定められています。じつに多くの物質を対象としているため、導入されれば、化学物質による健康被害や環境汚染が低減されることでしょう。
 
もう一つ「RoHS指令」というのは、生活用品に使われる化学物質が環境や健康に与える影響を最小限に抑えるため、化学物質の安全規制の強化に乗り出したもので、2006年以降に発売する電子機器での「有害物質6種」(水銀、鉛、六価クロム、カドミウム、PCBおよびポリ臭化ジフェニールエーテル)の使用禁止を加盟国に義務づけた指令です。

日本の家電メーカーはさっそく、EUの動きに反応しました。2003年6月20日付の朝日新聞によると、松下電器産業は2005年4月までに、EUの指定した6種の有害物質の使用をやめる、と発表しました。東芝や富士通などの電子機器メーカーも、この動きに追従しました。


これは、日本の家電メーカーが、日本の規制を超えた世界の最先端の動向をフォローしたことを意味しています。スウェーデンの考え方がEUの決定を通して、国際社会で実現した具体例です。



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緑の福祉国家35 新しい化学物質政策の策定④ 化学物質政策ガイドライン  

2007-05-05 06:51:34 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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1999年4月28日に国会で承認された「環境の質に関する15の政策目標」に掲げられた「有害物質のない環境」という政策目標を達成するためのガイドラインには、昨日紹介した「長期的な目標」に加えて、当面の「特定有害物質の段階的規制や禁止の目標」も盛られています。



繰り返しますが、このガイドラインは国内外の企業活動や研究活動を規制することが目的ではなく、すでに明らかとなっている有害物質の情報を十分に踏まえた上で、新しい基準を提示して、化学工業が「持続可能な化学工業」に転換するための指針です。産業界への挑戦ではなく、産業界との協調をめざしているのです。

ジョン・P マイヤーズが言うように、目標と時間を与えれば、企業は基準に合う製品をつくることができること、いまの科学技術水準では、かならずしもすべての毒性メカニズムを解明できるわけではないことを前提としたこのガイドラインは、これまでの(20世紀の)リスク評価とは異なり、予防原則に基づく新しい試みです。 

ここにも、5月2日のブログ「技術に対する考え方に大きな落差」 で紹介したスウェーデンと日本の「20世紀社会における考え方の相違」に加えて、21世紀社会の化学工業に対する考え方の相違の一端を垣間見ることができます。



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