W杯初戦、日本は何とかカメルーンに勝った。遅ればせながら、おめでとう。
それにしても、岡田ジャパンに対する評価の乱高下は極端だ。直前までは4連敗のふがいなさを嘆き、システム変更を泥縄だと酷評していたメディアは、「岡田采配的中」の手のひら返しである。
《シュート力とキープ力を併せ持つ本田のワントップ起用は、まさに勝負手。ほとんど経験がなかったポジションを大舞台で任せた。
本田だけではない。阿部を中盤の底に陣取らせ、相手の攻撃をつぶさせる。両サイドには、突破力のある大久保と松井を置き、ドリブルで相手の守りを乱す。そしてGKには、反応の鋭い川島。ゲーム主将を長谷部に委ねたことを含め、そのどれもが、5月末からのスイス合宿が始まりだった。このため、不動のレギュラーと見られていたMF中村俊(横浜M)や、GK楢崎(名古屋)らは、ベンチを温めることになった。
W杯イヤーを迎えてから、岡田ジャパンは苦しみ抜いた。監督自身の「進退伺」騒動もあった。W杯登録メンバー入りを控えた選手たちの腰の引けた姿勢もあり、アジアの戦いでは押し通せた前線から厳しくボールに寄せていく戦術が、W杯レベルのチームには通用しなかったことが主な原因だった。
そこで岡田監督はすっぱりと切り替えた。細かくパスを回して人数をかけて攻め込む形は見られなくなった。必要とあれば美学を捨てられるのが、この指揮官の強さだ。
急きょ手を着けた「突貫工事」。試合前日の記者会見で「間に合ったのか?」と問われた岡田監督は、充実した表情で答えていた。「チームは非常にいい状態で、手応えを感じている」。1―0の逃げ切りは前日に予想した通り。選手たちは最後まで集中力を失わず、組織として動き、監督の期待に応えた。歴史的な1勝だ》=15日読売=。
勝てば官軍だね。
サッカーは偶然が支配する要素の多い競技だから、いろんなことが起こる。強くて速くてタフで、ゲームを支配しきっていたチームが勝つとは限らない。そこが面白い。
でも、岡田が「世界を驚かせる覚悟がある」と言っていたのは、カメルーン戦のような勝ちを重ねることなのだろうか。
66年前に北朝鮮がイタリアを破るなどして8強入りしたとき、確かに世界は驚き「赤い稲妻」の称号を送った。アフリカ勢の圧倒的な速さとしなやかさも驚異の的となった。
侍ジャパンは耐えしのいで世界を驚かせるつもりなのか。この戦法はいかにも日本人のメンタリティーに訴える。相撲で言えば先代の貴乃花。「がまん重ねた90番」なんてフレーズもありました。
中村と遠藤を起点にした素早いパス回しと速さで相手を撹乱すること。これが岡田の狙いだったはずだ。直前の強化試合でそれが通用しないと分かった。端的に言えばこの2年半何をやってきたのか、ということになる。
「必要とあれば美学を捨てられるのが、この指揮官の強さ」か。
美学は哲学でもある。それを欠いたサッカーでは世界は驚かない。
それにしても、岡田ジャパンに対する評価の乱高下は極端だ。直前までは4連敗のふがいなさを嘆き、システム変更を泥縄だと酷評していたメディアは、「岡田采配的中」の手のひら返しである。
《シュート力とキープ力を併せ持つ本田のワントップ起用は、まさに勝負手。ほとんど経験がなかったポジションを大舞台で任せた。
本田だけではない。阿部を中盤の底に陣取らせ、相手の攻撃をつぶさせる。両サイドには、突破力のある大久保と松井を置き、ドリブルで相手の守りを乱す。そしてGKには、反応の鋭い川島。ゲーム主将を長谷部に委ねたことを含め、そのどれもが、5月末からのスイス合宿が始まりだった。このため、不動のレギュラーと見られていたMF中村俊(横浜M)や、GK楢崎(名古屋)らは、ベンチを温めることになった。
W杯イヤーを迎えてから、岡田ジャパンは苦しみ抜いた。監督自身の「進退伺」騒動もあった。W杯登録メンバー入りを控えた選手たちの腰の引けた姿勢もあり、アジアの戦いでは押し通せた前線から厳しくボールに寄せていく戦術が、W杯レベルのチームには通用しなかったことが主な原因だった。
そこで岡田監督はすっぱりと切り替えた。細かくパスを回して人数をかけて攻め込む形は見られなくなった。必要とあれば美学を捨てられるのが、この指揮官の強さだ。
急きょ手を着けた「突貫工事」。試合前日の記者会見で「間に合ったのか?」と問われた岡田監督は、充実した表情で答えていた。「チームは非常にいい状態で、手応えを感じている」。1―0の逃げ切りは前日に予想した通り。選手たちは最後まで集中力を失わず、組織として動き、監督の期待に応えた。歴史的な1勝だ》=15日読売=。
勝てば官軍だね。
サッカーは偶然が支配する要素の多い競技だから、いろんなことが起こる。強くて速くてタフで、ゲームを支配しきっていたチームが勝つとは限らない。そこが面白い。
でも、岡田が「世界を驚かせる覚悟がある」と言っていたのは、カメルーン戦のような勝ちを重ねることなのだろうか。
66年前に北朝鮮がイタリアを破るなどして8強入りしたとき、確かに世界は驚き「赤い稲妻」の称号を送った。アフリカ勢の圧倒的な速さとしなやかさも驚異の的となった。
侍ジャパンは耐えしのいで世界を驚かせるつもりなのか。この戦法はいかにも日本人のメンタリティーに訴える。相撲で言えば先代の貴乃花。「がまん重ねた90番」なんてフレーズもありました。
中村と遠藤を起点にした素早いパス回しと速さで相手を撹乱すること。これが岡田の狙いだったはずだ。直前の強化試合でそれが通用しないと分かった。端的に言えばこの2年半何をやってきたのか、ということになる。
「必要とあれば美学を捨てられるのが、この指揮官の強さ」か。
美学は哲学でもある。それを欠いたサッカーでは世界は驚かない。
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