酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

『大河ドラマ」と自治体

2012-01-15 06:25:00 | Weblog
 昨今、大阪の橋下市長ら首長の発言に注目が集まっているが、こんなのはどうだろう。

 ≪兵庫県の井戸敏三知事がNHK大河ドラマ「平清盛」について「画面が汚い」と発言したのに対し、批判する電話やメールが多数寄せられたことを11日、県が明らかにした。
 県の広報担当者は「メールには返信するが、その他の対応は予定してない」としている。
 県によると寄せられたのは312件。「映像は効果的だった。いいかげんな批判をすべきではない」「知事がテレビ番組に介入する発言をすべきでなく、立場をわきまえてほしい」など、ほとんどが批判的な内容だった。
 井戸知事は10日の記者会見で、ドラマの初回視聴率が過去3番目の低さだったことについて「鮮やかさのない画面ではチャンネルを回す気にならない。番組の人気で観光も影響を受ける」などと発言した≫=12日共同=。

 井戸の発言が番組介入に当たるかどうかは別にして、おバカな批判であることは間違いない。1回だけの放映でくさすのも、器量の小ささを表しているようだ。

 なぜ井戸はこんな発言をしたのか。観光を地域活性化の起爆剤と頼む地方自治体にとって、「大河」は神風だということだ。

 何年か前、「風林火山」が放映された際に山梨県北杜市は1億7千万円も投じて撮影用の戦国館を出現させた。食事や土産物の販売効果を考えれば、元は十分取れる、のだそうだ。

 2年前の「天地人」。米沢市や新潟県六日町(現南魚沼市)などが10年がかりでNHKに陳情を繰り返して実現させたものだ。そこでどのような「工作」が行われたか知る由もないが…。

 「大河」の舞台になれば60万~100万人の集客が期待できる。経済波及効果は数百億円という試算もある。この不況下、観光以外に地域を元気にする手だてがない自治体が、「大河」にすがる気持ちはよく分かる。でも、大河は大河、水の流れのごとく、あるいはその流れに浮かぶうたかたのごとく、効果はすぐ消える。03年、「武蔵」ブームに沸き80万人が訪れた岡山県大原町(現美作市)、05年に訪れた人は9万人という。

 兵庫県ほどの大県の知事が、「大河ドラマの画面が汚い」と苛立っているところに自治体危機の深刻さが表れている。溺れる県は大河にすがるか。
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