酔眼独語 

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小沢出馬

2010-08-27 05:44:39 | Weblog
 9月1日に告示される民主党代表選に小沢一郎が立候補すると表明した。「あれこれ言っているが、結局は立てない」と見ていただけに、意外である。何が小沢の背を押したのか。


 毎日新聞はその背景についてこういう。

 《再選を目指す菅直人首相(63)と、小沢一郎前幹事長(68)の対決構図が固まった民主党代表選(9月1日告示、14日投開票)は26日、両陣営の多数派工作が本格化した。政権交代から1年を迎えようとする中でぼっ発した「争乱劇」。小沢氏の出馬決断の背景には、「脱小沢」を曲げない菅首相との激しい権力闘争があった。

 「名誉顧問にどうか」。25日夕、首相官邸で会談した鳩山由紀夫前首相に菅首相が新設ポストを用意して小沢氏を処遇する意向を漏らした。鳩山氏は不快感を隠さず、「名誉職的なものではダメだ」と即座に退けた。小沢氏をむしろ「実権」から遠ざける案で、鳩山氏は首相が小沢氏に譲歩する気がないことを確信した。

 前日の24日夜。国会近くのホテルニューオータニのバーに小沢氏が「これから会いたい」と急きょ、鳩山氏を呼び出した。この場で首相の「脱小沢」の政権運営に強い不満を漏らす。「出馬するんですか」と問う鳩山氏に、小沢氏は「その声はいっぱい上がってくるんだ。近く結論を出す」と、「脱小沢」路線を転換しない限り、出馬する姿勢を見せた。

 側近によると、小沢氏は、「仙谷由人官房長官の菅首相」か「小沢、鳩山とのトロイカの菅首相」かの決断を首相に迫ろうとしていた、という。仙谷氏は「反小沢」の急先鋒(せんぽう)で、菅政権の「陰の司令塔」ともいわれる。

 仙谷氏は、同じく「反小沢」の枝野幸男幹事長とともに、官房機密費と政党助成金を押さえ、これを奪還しようと菅首相に路線転換を迫る小沢氏とせめぎ合うという構図が、権力闘争の実相といえた。仙谷氏は26日、小沢氏出馬表明について一切コメントせず、自身が標的になるのを避けるかのようだった。

 小沢氏が、「菅・仙谷」ラインに対抗するため仕掛けたのが、約3カ月前に「ダブル辞任」した鳩山氏との連携だった。「小鳩体制」復活を誘い水に菅首相支持を公言していた鳩山氏をつなぎとめ、翻意させた。

 小沢氏は26日、「菅首相に挙党一致を受け入れられず、出馬を決意した」とギリギリでの決断を演出したが、側近は25日にすでに「小沢氏は出馬する。既定路線通りに進んでいる」と周辺に漏らし、鳩山氏も周辺に「立候補する人を止めるような失礼なことはできない」と語っていた》。

 要するに「小沢外し」は我慢ならぬ、ということだ。小沢自身がかかわった昨年の衆院選マニフェストへのこだわりもあるだろうが、何よりも権力を握っていたいのだ。なぜか。

 おそらくは恐怖心である。小沢の師、田中角栄が総理辞任後も勢力拡大を続け、闇将軍として君臨したのと同じ心理だ。金による懐柔、誘惑、力での恫喝、利益誘導…、あらゆる手管を使って権力の保持を図った。権力を失えば、そのとたんに過去の「悪行」が問題となる。これが怖いのだ。

 田中や金丸(信)のようにはなりたくない。小沢が二人の師匠の末路と自分自身を重ね合わせているのは間違いない。

 小沢の出馬は確定したと見られているが、15%(何の根拠もない!)の確率で立候補しない可能性があるのではないか。まだ告示まで5日間ある。勝っても負けても、小沢の前途には雷雲が立ちはだかるからだ。

 「読売」の社説を興味深く読んだ。

 「日本の針路を競う代表選に」との見出しを掲げ、「あるべき日本の針路を論じ合って雌雄を決してほしい」と呼びかける。小沢出馬歓迎であり、「政界再編ありうべし」というトーンだ。

 福田康夫首相時代、小沢との間で大連立話が持ち上がったのは記憶に新しい。それを仲介したのは読売主筆のナベツネ・渡辺恒雄であった。

 小沢出馬の本当の理由はこの「大連立」ないし「ガラガラポン」にあるのかもしれない。

 円高株安の進行で、日本経済が沈没の瀬戸際にあるとき、政界再編ごっこに興じる余裕などないはずなのだが…。
コメント
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