酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

即身成仏 おんさんまやさとばん

2010-08-01 06:19:16 | Weblog
 足立区のじいさまは、自ら望んで食事を絶って死んだ。大阪西区の幼児は、マンションに置き去りにされて息絶えた。合掌。

 《東京都足立区千住の民家で28日、白骨化した男性遺体が見つかっていたことが29日、警視庁千住署への取材で分かった。同署は居住者の加藤宗現さんとみて身元の確認を進める。同署などによると、加藤さんは生存していれば111歳だった。

 家族は「三十数年前に自室に閉じこもり、即身成仏したらしい」と話しており、司法解剖して死因を調べる。

 同署によると、遺体は1階寝室で布団の上に横たわっており、一部が白骨化していた。

 区の職員が今月26日、誕生日の記念品を渡すために訪れた際、加藤さんの孫の女性(53)が「祖父は会いたくないと言っている」と断っていた》=時事=。

 《30日午前1時15分ごろ、大阪市西区南堀江1丁目のマンションの一室から異臭がして子どもが亡くなっていると、その部屋を訪れた男性(30)から110番通報があった。府警西署員らが駆けつけたところ、ワンルームの室内から3歳ぐらいの女児と2歳ぐらいの男児の遺体が見つかった。目立った外傷はなく、死後約1カ月たっていたとみられる。府警は死体遺棄事件として捜査している。

 西署によると、この部屋に住んでいるのは風俗店勤務の女性(23)。部屋は店が借りている。女性は少なくとも数日前から帰宅した形跡がないという。約1週間前に出勤が確認されている。府警は女性と関係者を通じて連絡が取れているという。詳しい経緯を知っているとみて女性から事情を聴く方針》=朝日com=。

 大阪の事件は女が逮捕され、ネグレクトの状況が明らかになりつつある。興味が尽きないのは「即身仏」事件である。

 その後の報道では「成仏」した男性の老齢年金やその連れ合いの遺族年金が家族に支払われていたとされる。単に届出をしなかったというような問題なのかどうか。

 それにしても80歳で「即身成仏」を決意して実行したというのが本当なら、大変な覚悟だ。一体どういった人なのだろう。「宗現」という名も気に掛かる。

 でも、この御仁は即身仏にはなれなかった。腐乱し、白骨化していたからだ。即身仏はミイラと同義とされる。日本では高僧などが自ら食を絶ち、「生きながら入定」して仏様となるのが大半である。

 最も新しい即身仏は明治36年に没した新潟県村上市観音寺の仏海上人とするのが一般的だが、必ずしも正確ではない。

 この坊さんは病没した。死ぬ前に「わしはかならず即身仏になる。30年後に墓を掘って確かめてくれ」と言い残していたため、寺や檀家は困ってしまった。法律では墓を暴くと犯罪になるからだ。ようやく墓を掘り返したのはいまから49年前の1961(昭和36)年のことだ。毎日新聞が、早稲田大、新潟大などの研究者からなる「発掘調査団」を組織するほどの大騒ぎになった。

 仏海上人はほぼ死んだときのままの姿で棺に横たわっていたという。ミイラに仕上げるべく新たな処理が施され、現在に至っている。60年近くも土中にあって、腐食しなかったのは奇跡に近い。宗教や信念は、時として常識を覆すことがある。だから信者がいるのだろうが…。

 それにしても、死亡届が出ていない「即身仏」が全国にごろごろいそうだ、などと考えると、気味が悪い。
コメント
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