東京さまよい記

東京をあちこち彷徨う日々を、読書によるこころの彷徨いとともにつづります

勢揃坂(2016)

2016年07月20日 | 坂道

熊野神社のわき 旧渋谷川の原宿橋跡で右折し東へ進み、外苑西通りを横断し、熊野神社の手前角を左折する(現代地図)。


 

勢揃坂上 勢揃坂上 勢揃坂上 勢揃坂標識 勢揃坂上




熊野神社を右にして、細い道が住宅街の中をほぼまっすぐに北へ延びている。ちょっと進むと勢揃坂の坂上である。中程度の勾配でまっすぐに下っている。渋谷区神宮前二丁目2番と3番の間を北へ下る。

坂上側に立っている渋谷区教育委員会の標識の説明によれば、後三年の役(1083)のとき源義家がここで軍勢を揃えて出陣したという故事が坂名の由来であるが、東京にしてはかなり古い(以前の記事)。別名がその故事から源氏坂。

勢揃坂上 勢揃坂龍厳寺門前 東都青山絵図(安政四年(1857)) 御江戸大絵図(天保十四年(1843)) 青山・長者丸辺之図(嘉永四年(1851))




坂をちょっと下ると、龍厳寺門前であるが、この寺は、三枚目の尾張屋清七板の東都青山絵図(安政四年(1857))、四枚目の御江戸大絵図(天保十四年(1843))、五枚目の近江屋板の青山・長者丸辺之図(嘉永四年(1851))のいずれにもみえ、裏手には渋谷川が流れている。坂上側には熊野神社(熊野権現)がある。

近江屋板の青山・長者丸辺之図(嘉永四年(1851))には、龍岩寺前に、△里俗源氏坂、とある。

勢揃坂中腹 勢揃坂中腹 勢揃坂中腹 勢揃坂中腹 勢揃坂中腹




この坂は、人通りがほとんどなく、人のあふれんばかりの表参道からきたので、その違いに驚いてしまうほどであるが、私的にはこういった静かな雰囲気の方が好きである。静寂な散歩が楽しめる。

龍厳寺門前の坂下側に國學院高校の通用門があるが、そこにはり付けてある金属プレートによれば、勢揃坂門という。よい門名である。

勢揃坂下 勢揃坂下 勢揃坂下 勢揃坂下




坂下側はかなり緩やかな勾配となって、ちょっと右に曲がってからはほぼ平坦である。突き当たりは、右折する道が霞ヶ丘団地の中に続いていたようであるが、いまは封鎖されているため、L字形となっていて、左折すると、外苑西通りである(現代地図)。

おもしろいことに、この道の形状は、上記の江戸期の地図と同じで、そのころは左折すると、渋谷川にかかる橋があった。

参考文献
横関英一「江戸の坂 東京の坂(全)」(ちくま学芸文庫)
山野勝「江戸の坂 東京・歴史散歩ガイド」(朝日新聞社)
岡崎清記「今昔 東京の坂」(日本交通公社)
石川悌二「江戸東京坂道辞典」(新人物往来社)
デジタル古地図シリーズ第一集【復刻】江戸切絵図(人文社)
デジタル古地図シリーズ第二集【復刻】三都 江戸・京・大坂(人文社)
「嘉永・慶応 江戸切絵図(尾張屋清七板)」(人文社)
市古夏生 鈴木健一 編「江戸切絵図集 新訂 江戸名所図会 別巻1」(ちくま学芸文庫)
「大江戸地図帳」(人文社)
「東京人 特集 東京は坂の町」④april 2007 no.238(都市出版)

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