東京さまよい記

東京をあちこち彷徨う日々を、読書によるこころの彷徨いとともにつづります

五味坂下~無名坂

2011年08月03日 | 坂道

五味坂上西側 五味坂上 五味坂下 五味坂下 前回の正和新坂下を右折し、谷道をちょっと歩き、次を左折すると、南法眼坂下である。ここは、すでに今回記事にしたので進む。坂上を右折するが、直進すると、行人坂上に至る。

東へちょっと歩くと、五味坂方面が遠くに見えてくる。左の写真に写っている信号が五味坂上であり、かつ、袖摺坂上(信号の交差点を右折すると下りとなる)である。信号を左折して北へ行けば、御厩谷坂である。

五味坂は前回記事にした。坂を下ると、3,4枚目の写真のように、最初の信号のところでほぼ平坦になっており、このあたりが坂下と思ってしまう。しかし、五味坂は、内堀通りから西南に上るかなり長い坂とする解説(石川)がある。前回来たとき、内堀通りまでは行っていないので、今回、ふたたび訪ねたのである。

五味坂近くの無名坂下 五味坂近くの無名坂下 五味坂近くの無名坂下 坂下の信号の交差点から南側(右)を見ると、まっすぐに上る坂が見えるので、そちらへ行ってみる。すると、坂下の交差点の東から延びてくる道は、先ほどまで歩いていた谷道である。

この坂は無名坂であるが、ちょっと勾配があり、南へとまっすぐに上っている。ちょうど英国大使館の東に当たる位置である。大使館側の塀には、石垣などがあって風情のある坂道となっている。坂上まで歩かなかったが、坂上を直進すると、新宿通りで、半蔵門のすぐ近くである。ここは岡崎が五味坂のところで無名坂として紹介している。

この無名坂は、永井坂とほぼ平行で、そのちょうど東となりに位置する。坂上は、善国寺坂下から続く谷道の南側にあたる台地であり、この大使館のあたりがこの台地の東端であろう。また、谷道の北側にあたる台地は、五味坂上あたりが東端で、このあたりから堀端へと下る。

尾張屋板江戸切絵図を見ると、ゴミ坂を下り、下側で右折すると、この道があり、五番丁とあるが、坂マークはない。近江屋板には、この坂道と思われるところに、坂マーク△があるが、面白いことに、ゴミ坂(ハキダメ坂)を右折し、その無名坂下までの間にも、坂マーク△がある。△の向きが無名坂と同じ向きであるが、これがちょっとよくわからない。

一方、ゴミ坂(ハキダメ坂)を左折した道(北側)にも、坂マーク△があり、その先にも△がある。近江屋板は、坂マークの表記が尾張屋板よりも正確であるので、そのまま正しいとし、ゴミ坂下が谷と考えると一応つじつまが合うようであるが、無名坂の方はどうなるのであろうか。ゴミ坂の方からいったん上り、そこから下ってから無名坂が上っていたのであろうか。そうすると、そのいったん下ったところにも別の坂マーク△があるべきだが。

五味坂下 五味坂下 五味坂下 五味坂下(内堀通り近く) 無名坂から五味坂下の交差点まで引き返し、内堀通り方面(東)を撮ったのが1,2枚目の写真である。五味坂よりも広く平坦な道が内堀通りへと延びている。

山野は、五味坂について、「堀端から勾配があったが、今は道の整備で緩やかになっている。」としている。
(続く)

参考文献
横関英一「江戸の坂 東京の坂(全)」(ちくま学芸文庫)
山野勝「江戸の坂 東京・歴史散歩ガイド」(朝日新聞社)
岡崎清記「今昔 東京の坂」(日本交通公社)
石川悌二「江戸東京坂道辞典」(新人物往来社)
「嘉永・慶応 江戸切絵図(尾張屋清七板)」(人文社)
市古夏生 鈴木健一 編「江戸切絵図 新訂 江戸名所図会 別巻1」(ちくま学芸文庫)

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