東京さまよい記

東京をあちこち彷徨う日々を、読書によるこころの彷徨いとともにつづります

質屋坂~白伝坊の坂

2010年05月05日 | 坂道

正午武蔵小金井駅下車。

以前、くらぼね坂念仏坂など国分寺崖線にできた坂を歩いたが、そのときに訪れなかった坂を散策する。

駅前を南に進み前原坂上の交差点を渡る。

この交差点の南西角から下る坂が質屋坂である。

二三回曲がりながら、かなり急に下っている。

中学生らしき集団が自転車で上ってくるのに出くわす。みんな必死になって自転車をこいでいる。

途中で石畳になり、風情のある坂道となっている。

坂の下側に立つ標柱には次の説明がある。

「この坂道は、埼玉県志木から府中へ商人が往来した志木街道の旧道で、この街道では最も険しい坂であった。この坂に沿って、幕末から明治の初めにかけて、当時の下小金井村の星野家が開いていた質屋があったので、質屋坂と呼ばれるようになった。また、坂が鎌の形に似ているところから、かま坂ともいわれている。」

坂の曲がりや傾斜は、むかしながらのものであるらしい。

坂下を進み、1本目を右折し進み、1本目を右折すると、なそり坂の坂下である。

この坂は、岡崎清記「今昔東京の坂」にのっており、坂名の由来は明らかでないとされている。

坂下にある小金井市コミュニティバスの停留所名は「なそい坂」となっている。

坂下側で、少し曲がっているが、それから上はまっすぐに延びている。

手すり付きの歩道が滑り止めの茶褐色となっており、車道と区別されてよく目立つ。

西側(写真左)は幡随院で、その中の緑が濃く、よい彩りとなっている。

坂上を進み、右折し進むと、先ほどの前原坂上の交差点に戻る。ここを渡り東側に進む。

福祉会館の東側を右折し進むと、視界が開けてきて、車止めがある階段の上にでる。

ここが、上記の岡崎によると、大さか坂である。坂名の由来は記載されていない。

坂上から南側方面の眺望がよく、左右に緑がありよい風景である。坂上右側が墓地である。

ここから、はけ下の道にまっすぐに石段が続いているが、途中石段の幅が狭くなっている。

坂下右側に金蔵院の山門があり、左側に「はけの道」の案内標識が立っている。このはけの道を東側に進む。

少し歩くと、はけ下の湿地があり、ここに湧水があるとの説明がある。

さらに進むと、「車屋坂下」というコミュニティバスの停留所がある。

その先の「はけの森」緑地を左折して進むと、上り階段があるが、ここが車屋坂なのであろう。

階段の両側は樹木で鬱蒼としており、特に左側は緑地の森で、暑くなるこれからの季節にはよい散歩道となると想像され、涼しげな感じがしてくる。

この坂は、上記の岡崎の著書にも紹介されておらず、ただ、バス停名にあるだけであるが、上記のなそい坂(なそり坂)と同じく、なんらかの謂われがあるのであろう。

はけの道をさらに進み、左側の道を見ると、古びた階段が見えたので、左折しこの階段を上る。 階段の上を道なりに右に進むと、白伝坊の坂の途中にでる。ここに標柱が立っている。

標柱には次の説明がある。

「万延(1860年ごろ)から明治初めにかけ、この坂の中段、西側にある墓地に「白伝」という僧が住みついていた。農家を托鉢に回ったといわれ、いつしか白伝坊の坂と呼ばれるようになった。昭和15,6年ごろの墓地整理で、炉跡、井戸などが見つかり、小さな白伝の碑もあったといわれる。」

坂上からまっすぐに下っているが、標柱のある辺りから曲がりくねっており、勾配もかなりある。ここにも、手すり付きの歩道が滑り止めの茶褐色となって延びている。子供たちが自転車でブレーキを鳴らしながら下ってくる。

なお、岡崎の著書では、「自伝坊の坂」となっているが、参照すべき他の資料もないので、とりあえず標柱が正しいものとした。

坂下をまっすぐに進むと、樹木によりかなり暗い道になる。右側に小金井神社がある。5月の晴れ上がった日、このような木陰の道が散策にはちょうどよい。

神社を見てから戻り、小金井二中の東側の道を進む。

しだいに上りとなって緩やかにカーブしながら坂上に至る。

途中、右側が美術の森の樹木で鬱蒼としており、左側が石垣となっているところは薄暗くなっている。

ここが上記の岡崎によると、中念坂である。同書では、中念とは、人名であるとも、坊名であるともいわれるが、明らかでないとされている。

中念坂の坂上から美術の森に入り、国分寺崖線の森林を散策するが、湧水らしきところがある。

以上、今回、巡った小金井周辺の坂は、すべて国分寺崖線にできたハケ上とハケ下とを結ぶ坂で、地形的な原因は明白である。他方、バス停名や岡崎の著書によりその坂名を知ったものもあり、その由来が不明な坂が多いことが特徴である。
(続く)

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