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ときに川は橋となる

2020-06-29 01:08:26 | 美術
東京都現代美術館で「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」を見てきました。

ずいぶん前から楽しみにしていた展覧会です・・・もう見られないかと思っていましたが、ありがたいことに会期延長してスタートしました。これから何が起こるかわからないし、早めの方がいいかなと思い、早速、行ってきました。

「日曜美術館」の特集を見たりして、何となく展覧会を見たつもりになっていましたが、やはり生で見ると違いますよね・・・作品が放っているオーラがすーっと体に入ってくるような気がします。会場入ってすぐの「あなたの移ろう氷河の形態学」は氷河の氷で描かれた水彩画。淡い色彩が体に染み入ってくるような心地がします。「クリティカルゾーンの記憶」は二酸化炭素の排出を抑えるため、作品を鉄路で輸送した際の振動で自動的に描かれたドローイング。やることが徹底しています。「太陽の中心への探査」は今回、一番楽しみにしていた作品。虹色に光る大きな多角形のインスタレーションです。いわゆる映える作品ですが、キラキラ光る星の間近に降り立ったような不思議な気分に。これは美術館の中庭にあるソーラーパネルが作り出した電力で動いているのだとか。「あなたに今起きていること、起きたこと、これから起きること」も楽しい作品。鑑賞者の動きに連れてカラフルな影が動きます。ついつい子どもみたいにあれこれやりたくなってしまいます。「サンライト・グラフィティ」は二人一組で鑑賞する作品で、手のひらサイズの花形のライト「リトルサン」を動かすとスクリーンに光の線が描かれます。「ときに川は橋となる」は最新作。暗幕に覆われた空間の中央に大きな水盤があり、上部の12のスクリーンに水の波紋が映し出されます。ときに川は橋となる、という言葉の意味を考えてしまいます。水の生物にとっては、川は橋になるのかも・・・。ところでこの後、不肖わたくし、とんでもないポカをやらかしてしまいました。暗幕からの出口を間違え、よりによって「Beauty」を見逃してしまいました。初期の代表作だというのに、お間抜けさんです・・・仕方ないので、展覧会サイトの動画で、作品を見た気になることにします(涙目)。「溶ける氷河のシリーズ」は、1999年と2019年の氷河の状態を比較した写真シリーズですが、本当に氷河、溶けてきているんだな・・・ということが如実に伝わってきました。

オラファー・エリアソンといえば、2005年の原美術館の展覧会を見に行った記憶があります。当時はひたすら美しい光がうつろう作品の数々、というイメージでしたが、今回の展覧会を見て、明確に環境問題を全面に出すようになったのだなと思いました。コロナで展覧会が延期になった時はがっかりしましたが、今となってはこの時期にこの展覧会が開かれたのはやはり運命だったのかも、と思うようになりました。この状況では否が応でも大量生産・大量消費の見直し、持続可能な世界について考えざるを得ないからです。そういえば、オラファー・エリアソンは日曜美術館のインタビューで「アートの民主化」ということにも言及していました。これもこれからのアートを考えるうえでのキーワードになるのかもしれませんね・・・。
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