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アートネタなど日々のあれこれ

桃山

2020-11-04 00:41:12 | 美術
東京国立博物館で「桃山-天下人の100年-」を見てきました。

桃山時代の名品を紹介する展覧会ですが、それはそれは豪華絢爛な展覧会でした。政治的には安土桃山時代は1573~1603年の30年間、ほぼ平成時代と同じくらいだったんですね。この展覧会では前後含めて約100年間、約230点の作品を展示しています(展示替えあり。ちなみに私が見たのは前期です)。

展覧会は「桃山の精髄」から始まりますが、まずは「洛中洛外図屏風」の揃い踏みに眼を奪われます。何年か前の洛中洛外図の展覧会の時に会期の関係で上杉家本を見逃したのがずっと心残りだったのですが、ようやくリベンジできました。狩野永徳というと、とかく豪放なイメージですが、この作品は非常に緻密かつ華麗。そして、永徳「檜図屏風」と等伯「松林図屏風」「観図壁貼付」が横並びという、とんでもない場面にも出くわします。かと思うと、国宝の「観楓図屏風」や「花下遊楽図屏風」も。屏風といえば岩佐又兵衛の「豊国祭礼図屏風」もコテコテの細密描写で見応えがありました。屏風のみならず襖絵も豪華。狩野山楽・山雪などの襖絵が、どーんと展示されています。豪壮な「松鷹図襖」や艶やかな「紅梅図襖」や「牡丹図襖」。茶道具も贅沢な展示で、国宝の「卯花墻」や、重文の「油滴天目」やらが、さりげなく置かれていたりも。また、この時代らしく、武具もまた華やかというか派手。本当にこんなんかぶって戦ができるのか?というような兜もありましたね。太刀も国宝・重文級がぞろぞろ、でした。その他にも見事なものがたくさん出ているのですが、とにかく圧倒的な物量なので、とてもじゃないけど書ききれません。いまだに思い出すだけでクラクラしそうです・・・というわけで、2400円という比較的強気な入場料の設定も十分納得できてしまうラインアップでした。(ちなみに国博のメンバースプレミアムパスを買うと5000円で特別展を4回見られるので、こちらを買って行きました)。

ここで既に満腹を通り越していたのですが、せっかくここまで来たのだし、ということで表慶館の「工藝2020」も見てきました。82名の作家による、近年の工芸作品82点を紹介する展覧会です。工藝と自然の関係性を探るというこの展覧会では、作品を金と銀、黒と白、赤と黄、青と緑の色分けで展示しています。陶磁、染織、漆工、金工、木竹工、人形などの作品が出ていましたが、とりわけ漆工の「柏葉蒔絵螺鈿六角合子」や「赤富士」に眼を惹かれました。この展覧会は会場構成を伊藤豊雄氏が担っていて、スタイリッシュな展示空間が出現しています。

その後、さらに欲張って、国立西洋美術館の「内藤コレクション展Ⅲ 写本彩飾の精華」も見てきました。コレクション展の最終回となる今回の展示は、フィナーレにふさわしい華麗なものでした。今回は聖歌集に由来するもの、教会法令集に由来するものが中心になっていましたが、特に聖歌集由来のものが音符も含めて一つの絵のようでした。装飾アルファベットの細工も楽しい。これで内藤コレクション展もコンプリートしました。国立西洋美術館もこの後、しばし長期休館に入るようですね・・・しばしのお別れですが、その前にいいものを見せていただいて感謝です・・・。
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