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杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

今度は愛妻家 ネタバレあり

2011年06月03日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2010年1月16日公開 

北見俊介(豊川悦司)はかつて売れっ子カメラマンとして知られていたが、今は仕事もなく、怠惰な日々を送っていた。女性に甘く、気ままに生きるダメ亭主を支えるのは、大の健康マニアの妻さくら(薬師丸ひろ子)。文句を言いながらも何くれとなく夫の世話を焼いていた。ある日、友達との箱根旅行を間際に控えて準備であたふたするさくらに、軽口を叩く俊介。そんな夫にさくらは、“子供を作る気がないなら、別れて”と悲しそうに告げる。いつもと違う妻の態度に、何とかその場を取り繕う俊介だったが、2人の関係は以前とは微妙に変わっていた。さくらが出掛けた後、オーディション用の写真撮影にやってきた女優志願の蘭子(水川あさみ)といい雰囲気になる俊介。だが、そこへたまたまさくらが戻ってきて、ついに愛想を尽かされてしまう。そのまま旅行から戻ってこないさくら。最初は独身生活を楽しんでいた俊介だったが、次第に妻のいない生活に苛立ちを覚え始める。近所で洋品店を営むユリ(井川遙)を飲みに誘っても、さくらのことが気になり、出掛けられない始末。そんな俊介を心配そうに見守るのは助手の誠(浜田岳)とオカマの文太(石橋蓮司)。さくらを訪ねてきた青年、西田(城田優)のことを気にしていると、突然さくらが帰宅。だが、“一年前から好きな人がいる”と告白、離婚記念の写真を撮って欲しいと言い出す。一年ぶりにカメラを手にとり、写真を撮り始める俊介。“ねえ、写真撮ってよ。”一年前の沖縄旅行で言われた言葉を思い出す俊介。喧嘩もしたが、穏やかで楽しかった夫婦生活は、どこでどうなってしまったのか……?愛して結婚したはずなのに、いつの間にか素直になれなくなっていた生活。いなくなって初めて、さくらの存在の大きさに気付く俊介。戻ってきたさくらに初めて自分の想いを口にする。取り戻せない時間の中、2人は抱きしめ合う……。(goo映画より)


2002年初演の同名舞台劇の映画化とのことで、劇は観たことがありませんが、行定勲監督のこの映画はまさに良質な大人のファンタジックラブストーリーでした。

仕事もせずにぐーたらと日を送る浮気好きなダメ亭主である俊介と、明るくてポンポンものを言う妻さくらとのやりとりが、何だか良いの。
夫のダメぶりをなじっていてさえ、この夫婦の間に本来ある愛の存在が感じられるというのは、演じている豊川さんや薬師丸さんの持つ雰囲気も大いに貢献しているんじゃないかな。

時折見せるさくらの思いつめたような悲しさというか寂しさというか、そういう切ない表情が気になりながらも、若い蘭子や誠のエピやオカマの文ちゃんが賑やかに絡んできて、笑いながら前半は楽しんでいました。 
オカマの文ちゃんと蘭子のあけすけな会話も聞いていて楽しいのですが、この二人、真剣な内容の会話もまた良いんですね~~。意地っ張り同士だから逆にわかりあえるのかも。
ただ、西田のエピはなくても良かったかも。

ところが、次第に何か変だな~という落ち着かない気持ちになってくるのね(^^;
そしてその理由が明らかになる山場であるクリスマスの日、物語は一気に「現実」に登場人物たちが抱える問題を暴き出してしまいます。

あ~~、そうだったのか!とは、実は暗室シーンで気付いてしまうのだけど、文ちゃんと俊介の関係はちょっと意外でした。そういえば確かに前半部で前振りしてましたっけ。

このシーンは映画というより舞台を観ているかのような登場人物たちの長回しのセリフが続きます。一気にそれぞれの感情が爆発する場面で、観てる側もぐっと引き込まれます。

そして俊介が、妻との『夢の中の思い出の揺り籠』から現実に戻っていく過程がとてもファンタスティックに描かれていて、俊介がさくらに心情を告げて抱きしめるシーンは思わず涙が滲んできました☆

俊介は本当に妻のさくらを愛していました。浮気者ではあったけれど、彼の港はいつでもさくらだったのでしょう。けれども、妻の生前には愛や感謝を口にすることなどなかったのでしょう。失って初めてその存在の愛しさ大切さに気付き、立ち直れないまま無為に時を過ごしてきた俊介でしたが、その傍らには自らが作り上げた幻の妻が常に寄り添っていましたから、そんな居心地の良い生活から現実に還るまでにはある程度の時の経過ときっかけが必要だったのですね。

愛情表現が下手で、素直じゃない夫像というのは日本男性の多くにあてはまりそうだし、そんな夫と暮らすうちに、その心の底にある愛情をいつしか信じられなくなってしまう妻もまた多い気がします。喪って初めて気付く想いは美しいけれど悲し過ぎます。そんな夫婦がこの作品を一緒に観て、そうなる前に赤い糸をもう一度固く結び合わせるきっかけに出来れば素敵だね。(でも自分に当てはめたら・・きっと夫と一緒に観ることはないな・・汗)

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