杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

まほろばの王たち

2014年05月02日 | 
仁木英之(著) 講談社(刊)

家を焼かれた物部の姫・広足(ひろたり)は、験者(げんじゃ)の集団である賀茂の一族の長・大蔵(おおくら)に弟子入りすることになった。蘇我氏への反乱を企む鎌足に雇われた大蔵は、蘇我の神を討ち滅ぼし、宮中に残っていた妖を殲滅していく。一方的に相手を痛めつける大蔵を見て、妖に治癒の呪を唱えてしまう広足。形勢が逆転し瀕死の大蔵が助けを求めたのは、賀茂の行者・小角だった。青い光をまとい現れた青年は、広足に問う。「娘よ。何故、古き者を助けた」答えられない広足に対し、小角は大蔵を助けてほしいなら、広足自身を捧げろと言う。広足が頷いたのを見て、小角は天竺の術を使って妖と対話し、飛鳥の宮から離れるよう願った。そして妖が退き、宮殿に鎌足と中大兄王子が駆け込んできたとき、さきほどまでいたはずの小角の姿は消えていた。そして五年後、広足のもとに一本の木簡が届く。「約束の時は至れり」かくして賀茂役小角と物部の末裔・広足、そして山の神々との冒険が始まる。


飛鳥時代といえば聖徳太子を思い浮かべるのですが、物語はもう少し後の世ですね
広足は蘇我に滅ぼされた物部の末裔で、多少の呪術の心得はあるけれど特に優れた能力の持ち主というわけではないようです。しかし彼女の才能は何と言っても飯炊きにあります。どんなに優れた人でも、神でさえもお腹は空くわけで、どうせ食べるなら美味しくて力が出るものが食べたいわけで、彼女の真の才能がその料理の腕にあるわけそうだよね~~胃袋を握るものが男を制するってのは普遍だぁね

鎌足と中大兄王子が大和に留まらず日本を統べることを念頭に「道」を作っているのに対し、古き者たちはその生活をそのままに平穏に暮らしたいと望みます。大蔵が己の野望のために両者を対立に持ち込もうとする企みを阻止するために小角と広足、古き神たちが活躍します。
古代神話に近い時代設定ですから大海人皇子の従者・蹴早が人狼だったり、山の神様たちや鬼まで登場しても違和感ありません。「もののけ姫」や「千と千尋~」に登場する古き神々を思い浮かべてしまうなぁ 讃良は4~5歳の設定ですが、あまりにも大人びていてとても幼児は思えない描写です。彼女に比べたら大海人皇子(彼女より数歳上)は気の強い年相応の男の子に見えました。
(歴史的には大海人皇子の方が実は年上だったとかの説もあるようですが・・

国造りのためでも、平和に暮らしている者を脅かすのはいけませんぞ

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