Annabel's Private Cooking Classあなべるお菓子教室 ~ ” こころ豊かな暮らし ”

あなべるお菓子教室はコロナで終了となりましたが、これからも体に良い食べ物を紹介していくつもりです。どうぞご期待ください。

ハーブ

2017年08月31日 | レモンバーム

レモンバーム 7

DGld - Dufour's gland
HGld - head salivary glands
HfGld - hypopharyngeal glands
KGld - Koschevnikov glands
MdGld - mandibular glands
NGld - Nasonov gland
ThGld - thoracic salivary glands
VGld - venom gland
WxGld - wax glands

  

ナサノフ腺(Nasonov gland からは次の物質が出されますが、その量は働き蜂の歳、季節(春、冬)によって変化します。 

(Z)-citral,  (E)- citral,  nerol,  geraniol,  nerolic acid,  geranic acid,

 (E-E)-farnesol

 

7つの揮発性物質は幾つかの異なった状況下で使われます。巣の入り口、群れの中、蜜源のマーキングなどが主なものです。ナサノフ腺から出る成分は、いづれもバラやレモングラス、シトロネラの精油に含まれ、芳香をもたらす物質です。 

お話をゲラニオールに戻します。

ゲラニオールは今ではあらゆる商品に使われています。香水、ローション,クリーム、ソープ、洗剤、化粧品、たばこ、アルコール飲料、ノンアルコール飲料、キャンディ、アイスクリーム、焼き菓子(ケーキ、パンの類)、変わったところではカブトムシを捕まえる餌等。いずれも香りづけが主な使用目的ですが、気を付けなければならないことがあります。( 日本では医薬部外品の添加物リストの中に記載されています。連番773

ゲラニオールは不安定なアレルギー起因物質ですが、高濃度で使われることが多いのです。化粧品では9.5%の濃度で使われていて、これは生体がアレルギー反応を起こす量です。しかも、この化粧品はオーガニック化粧品と銘打った中に使われているのです。かつてオーガニック色素として食料品の食紅として導入されたものの中にアレルギーショックをもたらすものがありましたが、「オーガニック」の名前に騙されて中身を検討することを忘れては大変な結果を招くことになります。カブトムシ以下の扱いに、怒りを覚えるのは私だけではないでしょう。



つづく。


 

 


ハーブ

2017年08月30日 | レモンバーム

レモンバーム 6

 

Mrs. M. Grieveのハーブ書からの引用を続けます。

「優れた数々の徳(資質)がこの植物にあると言われていました。ゲラルドは『ミツバチを飼う場所に植えるとよい。巣が葉に触れているとミツバチが集まってくる。』と述べ、又、プリニウスは、『ミツバチが道に迷ったときバームで帰り道を知る。又、バームの優れた徳によって、それを剣に結びつけておけば血を止めてくれる。』と述べています。」 

ミツバチはニオイ腺で合成したゲラニオールを使って蜜を持っている花とミツバチの巣の入口を標識することが知られています。レモンバームにはゲラニオールが含まれています。ミツバチを引き寄せる物質を、レモンバーム自身が作り出していることに驚きますがそれ以上にミツバチがそれを利用していることに吃驚します。

ミツバチが尾端にあるナサノフ腺から出すゲラニオールの量は0-0.5μgで、蜜を探し始めるとその量は1.0μgにまで増えることが知られています。

 

   

 

働き蜂の腺について調べると、9つの腺があることがわかりました。


 

つづく。

 

 

 


ハーブ

2017年08月29日 | レモンバーム

レモンバーム 5


http://www.botanical.com/botanical/mgmh/b/balm--02.html#his から

1931年に第一刷が世に出たMrs. M. Grieveの手になるハーブ書は、いつも参考にさせてもらっている本の一つです。もう10数年も前に書かれたけれど、これ以上のものを知らない。ここからレモンバームの歴史について書いた一節を引用しましょう。 

歴史--- バーム ( balm ) はバルサム ( balsam ) の省略で、甘く香るオイルの主成分である。パラケルススが人をよみがえらせる力があると重要視した蜂蜜の甘さに由来する。神経の不調によって起こる病に対して大いに効果がある。The London Dispensary  ( 1696 ) で、「バームのエッセンスをキャナリーワインに入れて毎朝飲めば若返る、脳を活性化する、萎えた気持ちを追い払う、禿になるのを防ぐ」とジョン・イーヴリン John Evelyn, 10/31/1620-2/27-1706、イングランドの作家、造園家、日記作者)が書いています。また、「バームは脳の特効薬である、記憶力を高め、鬱と悲しみを追い払う。」と述べています。かつてはバームのスピリットをレモンピール、ナツメグ、アンジェリカルートを一緒にして神経性の頭痛、神経痛性病に対して効果があるとカーメライトウオーターの名でもてはやしたことがあります。

                                         ジョン・イーヴリン by Sir Godfrey Kneller 1687

1600年後半から1700年にかけてのレモンバームに関する知識ですが、現在のそれと比較してそれほど的外れではないようです。レモンバームの主な効能はロズマリン酸によるもので、パーキンソン病は、脳神経細胞内のタンパク質が線維化することが原因のひとつではないかと言われています。ロズマリン酸や他のポリフェノール(クルクミン、ミリセチンなど)が、この線維構造を分解する働きをもつことが確認されました。また、アルツハイマー型認知症では、脳内でアミロイドβと呼ばれるタンパク質が凝集・蓄積して線維化し、神経細胞を死滅させることで発症するのですが,ロズマリン酸などのポリフェノールは、このアミロイドβの凝集・蓄積・線維化を抑制し、神経細胞の死滅を防ぐ作用があることが、試験管内実験や動物実験で明らかとなっています。

神経性の病が何に起因するのかジョン・イーヴリン述べていませんが、全く根も葉もない内容ではありません。またバームに含まれているハルミンは, 2010年、Journal of Photochemistry and Photobiology B 誌で、ハルミンなどのβ-カルボリン類(MAO阻害剤)がDNAに結合し、抗腫瘍活性を示すことが示されていますし、プロトカテク酸は腫瘍の成長を減退もしくは増進させることが今でははっきりとわかっています。


つづく。


 


ハーブ

2017年08月27日 | レモンバーム

レモンバーム 4

    

Dioscorides Material Medicaを元にしたSomuel Daleによる1693年のテキスト  “ Pharmacology sen Manuductio ad Materiam Medicum " からキャラウエイ ( Karve ) 左と毒ニンジン ( Giftkjeks ) 右。

 

Dioscorides Material Medica AD 50-60 から

 

3-118. MELISSOPHULLON

参照 : Melissophyllum verum, Melissen [Fuchs],

Lamium montanum melissae folio [Bauhin],

Melittis melissophyllum [Linnaeus※※] — Bastard Balm,

Balm Melittis, Honey Balm

Melissophyllum adulterinum [Fuchs], Melissophyllum vulgare

[Brunfels], Melissa hortensis [Bauhin], Melissa officinalis

[Linnaeus], Apiastrum, Citrago — Lemon Balm, Bee Balm,

Balm Leaf

 

ギャスパール・ポアン Gaspard BauhinCaspar Bauhin1/1/1560-12/5/1624

※※カール・フォン・リンネ Carl von Linné5/23/1707-1/10/1778

 

メリッサ ( Melissophyllum some call melittena ) ミツバチが好きなのでこの名がついている。葉と茎はballotaに似ているがそれよりも大きく、薄いが粗くはなく、レモンの匂いがする。サソリに触れた時、クモや犬に咬まれたとき、葉を煎じてワインと一緒に飲む、あるいはその場所に塗るとよい。同じ目的で温湿布するものもよい。夫人はこれでお尻を浸すと月経の経過がよいし、口をゆすぐと歯痛に効く。下痢をした時の浣腸又は座薬として使う。葉を煎じて(硝酸カリウムと一緒に飲む)ときのこ中毒、腹痛に効く。

呼吸困難な時、喉痛み止めのシロップとして、塩と一緒に飲んで腺病腫瘍を溶かして潰瘍部分をきれいにする。塗ると痛風の痛みを和らげてくれる。

そのものはmelitteon, meliphyllon, erythra, temele ; ローマ人はapiastrum,

citrago と呼び、ガリアではmerisimorionと呼ぶ。



つづく。



ハーブ

2017年08月26日 | レモンバーム

レモンバーム 3

 

PLINY'S NATURAL HISTORY、Dioscorides Material Medica にメリッサの記載があるというので一部引用しました。( 古代ローマの知識が今の時代にどれほど生かされているか、あるいはどの程度引きずっているかを見てみたいのです )

プリニウス、デイオスコリデスの著述は8~9世紀、12世紀に、キリスト教にどっぷり染まった世の中で、その内容は信憑性のないものもありましたが、ルネサンス期をも通して唯一外に開かれた情報源でした。別の見方をすれば、絶対の力を持ったキリスト教組織をもってしても、構築された自然科学の世界は切り崩せなかったということができます。

PLINY'S NATURAL HISTORY AD 77 から、

LXXXVI. 蜂の巣がメリッサ ( melissophyllum : balm ) の上にかかっていることがあるので、melittaenaと呼ばれることもあり、どの花よりも安息が得られるのであろうそこから離れようとはしない。ミツバチ、蜂、同様の昆虫、例えば、クモ、サソリなどに刺されたときによく効く。ソーダを加えると胸やけ?、ワインの中に入れると鼓腸に効果がある。葉は塩と一緒に投与すると、肛門部分に感染した腺病の痛みに効く。ボイルした汁は月経を促進し、炎症と痛みを取る。関節の痛み、犬の咬み傷を和らげる。慢性の下痢、腹部、喘息、脾臓、胸部にある潰瘍に効果がある。汁を蜂蜜と混ぜた軟膏は目の治療に特に効果がある。

 

             

Naturalis Historia, 1669 edition, title page. The title at the top reads: "Volume I of the Natural History of Gaius Plinius Secundus".

 

 

つづく。

 

 

 


ハーブ

2017年08月24日 | レモンバーム

レモンバーム 2


レモンのバーム(メリッサ)の利用は歴史があり、どこから手を付けたものかと思い悩みましたが、「カーメライトウオーター」から始めようと思います。

「オー・ド・メリッサ・デ・カルム ( L'Eau de mélisse des Carmes )」の名前を聞いたことはないでしょうか。http://wikivisually.com/lang-fr/wiki/Eau_de_m%C3%A9lisse から一部分を引用させていただきました。

1611年パリに、マリー・ド・メディシスの後ろ盾を得て、カルメル修道会がヴォージラール通り70番地に修道院を建設し、レモンバームをベースとした、薬草14種類、スパイス9種を80度のアルコールに加えたオー・ド・メリッサの製造を始めました。消化不良や、疲労回復、乗り物酔いに効果があるとうたわれています。ドイツでは、レモンバームの葉は生薬扱いになっています。

日本の生薬一覧はこちら;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E8%96%AC%E4%B8%80%E8%A6%A7

 

                 

       Melissa from Mount Carmel, Israel, in bloom.

 

 

つづく。

 


ハーブ

2017年08月22日 | レモンバーム

 レモンバーム 1

         

レモンバームに白い花がついて種ができ始めました。

レモンバーム Lemon balm, メリッサMelissa officinalis )は、南ヨーロッパ原産でシソ科の多年生です。日光がちらちら入る日陰でよく育ち寒さにも強く、日本でも育てやすいハーブです。

葉はシトラールを含み、ティーとして広く飲まれ、慢性の気管支炎や熱、頭痛にも効くと言われています。また、入浴剤としても使用され、肌をなめらかにする効果があります。精油には抗うつ、鎮静、血圧降下、抗菌、抗ウイルス作用があります。

メリッサmelissa)は、ギリシア語でミツバチの意で蜜源植物です。

 

M. officinalisの品種

 

M. officinalis 'Citronella'

M. officinalis 'Lemonella'

M. officinalis 'Quedlinburger'

M. officinalis 'Lime'

M. officinalis ‘Variegata’

M. officinalis ‘Aurea’

M. officinalis ‘Quedlinburger Niederliegende’ is an improved variety bred for high essential oil content 通常のレモンバームよりもオイルの含量が多い変種。



つづく。




ハーブ

2017年08月15日 | トゥルシー

 

 

     

5/31に蒔いたトゥルシーの種から芽が出て花が咲きました。ラクシュミー・トゥルシー ( Lakshmi tulsi 、लक्ष्मी तुलसी ) 別名、ラーマ・トゥルシー ( Rama Tulsi ) のようです。 

トゥルシー ( カミメボウキ, 神目箒、Ocimum tenuiflorum, Syn.O. sanctum )は二種類あり、葉が紫色ものはクリシュナ・トゥルシー ( Krishna tulsi 、कृष्ण तुलसी ) です。

学名の、Ocimum tenuiflorum, Syn.O. sanctumは、Ocimum sanctumがシノニム※であることを示しています。 

シソ科の植物で、最近になってハーブティーでも使われるようになってきました。バジルの仲間だとは思えない爽やかな芳香があり、ミントやローズと合わせて使うと穏やかな香りになります。 

ヒンディー語でトゥルシー ( tulsi, तुलसी) 、英語でホーリーバジル ( holy basil ) と呼ばれています。ヒンドゥ教の神の名であるラクシュミーとクリシュナが付けられていることから、原産地はインドでヒンドゥ教のヴィシュヌ神崇拝のしきたりで、帰依者たちはトゥルシーの植物体や葉を使って礼拝を行うなどヒンドゥ教と密接に結びついています。

        

            Krishna Tulsi

 

トゥルシーカバブ

http://www.supermarketguru.com/recipes/steal-this-recipe%C2%AE-tulsi-kebabs.html から

     

  

材料(4人分);
皮なし骨なしのチキンの胸肉          900g

ヨーグルト                   60g

ガーリック(ミンス)              4個

トゥルシー                1/2 カップ

コリアンダー(挽いた)          1 1/2TBS

クミン(挽いた)               2 ts

ターメリック                 1 ts

ジンジャー(挽いた)             1/8 ts

塩                      1/2 ts

レモンジュース               1/4カップ

溶かしバター                 2TBS

オリーブオイル                2 TBS

 

方法;

チキンの胸肉を2.5㎝の厚さにスライスする。

レモンジュース、オリーブオイル、塩をボールに入れて混ぜる。30分間寝かせる。

別のボールにヨーグルト、ガーリック、コリアンダー、クミン、ターメリック、トゥルシー、肉を入れて混ぜる。冷蔵庫に3時間寝かせる。

肉を串にさし、バターを塗ってグリルで約6-8分間焼く。

バスマティライスと一緒にサーブする。

 

トゥルシーとミントを摘んで洗ってポットに入れます。沸かしておいた熱湯を注ぎ入れて、ふたをして3-5分(人によっては25分以上置かないといけないという人もいますが、香り( 揮発成分 )が逃げてしまう気がして今は3-5分にしています。飲み始めて今日で5日経ちました。効果はまだありません。出てきたらご報告をしようと思っています。10年後かもしれませんが。

  

トゥルシーの主な化学成分はオレアノール酸、ウルソール酸、ロズマリン酸、オイゲノール、カルバクロール、リナロール、β-カリオフィレンで、血糖値を減少させる効果、総コレステロール値の減少など、アダプトゲン( 内分泌性ホルモンや免疫システムのバランスを保ち、体のホメオスタシスを維持する )の働きをするハーブです。強い芳香と収斂作用があります。地中海原産のハーブとは働きが異なります。

ラクシュミー・トゥルシーに似たものにバーナ・トゥルシー ( Vana Tulsi ; Ocimum gratissimum ) があります。別名クローブバジル、アフリカンバジル、ワイルドバジルといい、カミメボウキ属ですがアフリカ、マダガスカル、南アジア、ビスマルク諸島が原産地で、植生がポリネシア、ハワイ、メキシコ、パナマ、西インド諸島、ブラジル、ボリビアに広がっています。

ラクシュミー・トゥルシーと異なり、気候が合えば枝を張り、3mの高さにまで大きく成長します。

 

     

                    Ocimum gratissimum

 

※  異名、シノニムには以下のものがあり、同物異名とされていますが、バジルの類は土地柄、気候によって形態を変えるので、全く同じだとは一概には言えません。少し形態の異なる、同じ植物と考えた方がいいかもしれません。

Geniosporum tenuiflorum (L.) Merr.

Lumnitzera tenuiflora (L.) Spreng.

Moschosma tenuiflorum (L.) Heynh.

Ocimum anisodorum F.Muell.

Ocimum caryophyllinum F.Muell.

Ocimum hirsutum Benth.

Ocimum inodorum Burm.f.

Ocimum monachorum L.

Ocimum sanctum L.

Ocimum scutellarioides Willd. ex Benth.

Ocimum subserratum B.Heyne ex Hook.f.

Ocimum tomentosum Lam.

Ocimum villosum Roxb. nom. illeg.

Plectranthus monachorum (L.) Spreng.

 

生のトゥルシーが手に入るのは今だけです。生のトゥルシーを使った料理を3つ取り上げました。

 

トゥルシーの蜂蜜ラッシー

              

     https://www.whiskaffair.com/tulsi-honey-lassi-video-recipe/ から

 

材料;

カード                         400ml

クリームミルク                  200g

蜂蜜                   45-60ml

トゥルシーの葉              10-12枚

 

アーモンド、ピスタチオのスライス     飾り

 

方法;

1.    材料をすべてブレンダーにかける。

2.    1分間ブレンドする。

3.    グラスに注ぐ。

4.    アーモンドとピスタチオのスライス、トゥルシーの若芽を飾る。

 

クリームミルクは日本では手に入らないので、ヨーグルトを使うとあっさりしたラッシーになります。カードは、チーズを作った時でないとないので、水を入れましょうか。少し違ったものができますが、日本人の口には会うかもしれません。

 

トゥルシーカバブ

http://www.supermarketguru.com/recipes/steal-this-recipe%C2%AE-tulsi-kebabs.html から

     

  

材料(4人分);
皮なし骨なしのチキンの胸肉          900g

ヨーグルト                   60g

ガーリック(ミンス)              4個

トゥルシー                1/2 カップ

コリアンダー(挽いた)          1 1/2TBS

クミン(挽いた)               2 ts

ターメリック                 1 ts

ジンジャー(挽いた)             1/8 ts

塩                      1/2 ts

レモンジュース               1/4カップ

溶かしバター                 2TBS

オリーブオイル                2 TBS

 

方法;

チキンの胸肉を2.5㎝の厚さにスライスする。

レモンジュース、オリーブオイル、塩をボールに入れて混ぜる。30分間寝かせる。

別のボールにヨーグルト、ガーリック、コリアンダー、クミン、ターメリック、トゥルシー、肉を入れて混ぜる。冷蔵庫に3時間寝かせる。

肉を串にさし、バターを塗ってグリルで約6-8分間焼く。

バスマティライスと一緒にサーブする。

 

チキンとトゥルシーのティカ

         

材料 ( 1 人分 ):

カード                20g

チキンの脚              200g

ティッカミックス※            20g

トゥルシーの葉             10g

塩                     -

 

方法:

1. チキンを切る。
2. 材料をすべて混ぜる。
3. チキンにまぶして2-3時間置く。
4. 串に刺してタンドールでクックする。
5.熱いうちにサーブする。

マサラとライムのカットを添えてサーブする。

 

※ティカミックス(自作)は好みにより内容にバリエーションがありますが、次のものをお勧めます。

 

コリアンダー              15 ml

クミン                  8 ml

カルダモン              2.5 ml

カイエン               2.5 ml

ジンジャー(生)           15 ml

ガーリック              10 ml

レモンジュース            10 ml

 

レモンジュースは多いとタンドリーチキン風味になるので、少量入れることをお勧めします。入れると味が引き締まります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ハーブ

2017年08月14日 | ヴァイパー(毒蛇)ワイン

ヒュー・プラット ( Hugh Plat ) のディライト・フォー・レディズ ( Delightes for Ladies ※、レディのお気に入り. 1602 ) からの引用です。

 

※ ディライト・フォア・レディズは、容姿、テーブル、私室、化粧用蒸留装置、供宴、香水、化粧水と多岐にわたる。この中にはアルコール飲料など400年経った今も使われているものがある。著者のヒュー・プラット卿 ( Hugh Plat, 1552–1608 ) は農業、発明に関する著述を残しており、他にジュエルハウス・オブ・アート( Jewell House of Art and Nature、1594 ) 、ガーデニング・フローラス・パラダイス( Gardening Floraes Paradise、1608 ) があります。 

 

14.(鉱物性)顔料
木のモルタルとペストルで火口周辺の昇華鉱床(ほとんどが硫黄でできている)4オンス、6-8時間(労力をこれに多く投入できないだろうから)費やして作った粗水銀1オンスをガラス瓶に入れて数回冷水を取り替えながら洗浄する。少なくとも一日に二回水を取り替えて昇華鉱床から出てくる塩を取り出す。7-8日すると(長い方がよい)甘いものが得られる。完成したものを白ケシのオイルと混ぜる。

 

(甘汞を作っているようです。白色の粉末で。水に溶けにくく、水銀に赤土・食塩などを水でこねたものを約600度で四時間程熱してつくります。甘汞 ( 塩化第一水銀 ) は光に当たると塩化水銀 (II) と金属水銀に分解します。水銀は中枢神経・内分泌器・腎臓などの器官に障害をもたらし、口腔・歯茎・歯にも損傷を与えます。低濃度であっても長時間水銀の蒸気にさらされると、脳に障害を受け、最終的には死に至ります。水銀およびその化合物は、特に胎児や幼児に対して有毒で、妊娠した女性が水銀に被曝した場合、発生障害を持った子供が生まれることがあり、毒物および劇物取締法で劇物に指定されています。Wiki. より)

 

ベネティアの若い頃の絵と亡くなってから3日経った彼女の顔をもう一度眺めてください。白くおしろいを塗った上に紅をさしているのがわかります。16歳頃から33歳までずーっとおしろいを塗っていると、水銀中毒になってもおかしくありません。亡くなってから長時間たってもまだ紅をさしていなければならなかった彼女に「突然の死」をなんと説明したらいいでしょう。

毒蛇を右手に持ち、右足で幼子を踏みつけているベネティアの姿を、ヴァン・ダイクはどの程度理解して描いたのでしょう。4人生まれた子供のうち3人は存命で一人は亡くなったことを示しているようですが。

  

ヴァン・ダイク画   1633-1634

 

 

 


ハーブ

2017年08月13日 | ヴァイパー(毒蛇)ワイン

ケネルンのレシピは時代を先取りした、料理人が書いた料理書とは比べものにならない興味溢れる内容です。彼は料理書に259のレシピを載せています。その内メセグリン ( ワインの中にスパイス、ハーブ、ベリー等を入れた飲み物 )とミードのレシピが117あります。ワインの中に蛇毒,サソリ毒を入れた強化ワインは一つも見あたりません。この時代は以前にも少し触れたように、精力を増強させるためにワインの中に蛇毒、蛇の臓物を入れることが流行っていました。何故そのレシピがないのでしょうか。

彼がディグビィを殺した根拠はこの一点に係っています。「料理書の半分を占めるメセグリンのレシピ」そのこと自体不自然ですが、その中に一つも「ヴァイパーワイン」のレシピが入っていないことは更に不自然だと思うのです。

 

彼のひととなりをあらわすレシピと、当時女性が凝っていた化粧品のレシピを( Delightes for Ladies ; レディのお気に入り ) からご紹介して「ヴァイパーワイン」を終えようと思います。

 

「ディグビィ卿の戸棚が開いた」から;

 

追加II. 共感の粉

共感の粉は、毎年ケネルン・ディグビィ卿の研究室で用意しているが、これから作ろうと思う。

1ポンド2ペンスで買える良質のイングランドでとれる金属硫酸塩を温かい湯に溶かし、飽和溶液を作る。底に溜まった不溶解物は濾して捨てる。印刷に使うグレイペイパーを漏斗に入れて濾す。濾したら釉を塗った入れ物に入れて表面に薄いスカムができるまでボイルする。中に何も入らないように緩く蓋をして冷たい地下室で23日保管する。上澄みを捨てると底と横に大きくてきれいな緑色のエメラルドのようなクリスタルが見える。

水気をすっかり切って乾かす。大きな平たい土器の上に広げて盛夏の時期に直射日光にさらす。夜は取り込んで昼間は雨に気を付けて外に出す。太陽の光で白くなる。潰して粉にする。再び日光にさらしてかき混ぜ、細かくて白い粉にする。篩って細かくしてさらに数日間日にさらす。白い粉が得られる。これが“共感の粉”です。グラスに入れて栓をする。翌年の盛夏の時期にまだ粉が残っていたらもう一度広げて日光にさらして美徳の効き目を得る。( 日光に晒すことで神の徳を授かることが出来ると考えているらしい )

傷を治すには布の上に血を取って粉を適量血の上にのせる。きれいな布で傷口をきれいにする。熱と寒の間の気質の状態にして血を布で巻く。それをポケット又は箱に入れておくと軟膏や貼り薬を使わずしかも痛みもなく傷は癒える。

傷が古く、熱があり、炎症を起こしているときはこの粉をお椀又は鉢に入れて冷水を満たす。この中には何も入れない。血が付いた傷にも何もつけない。痛みと炎症がなくなる。

血が出るのを止める又は傷口から又は鼻からの出血を止めるには、血を布の上に少量取って粉を適量のせる、または鉢にきれいな水を入れて粉を適量入れる。ハートマン ( Hartman ) によればこれを鼻の穴に塗ると健康を保つことができるそうだ。

 

 

 つづく。


ハーブ

2017年08月12日 | ヴァイパー(毒蛇)ワイン

あと一つケネルンのレシピをご紹介します。

卵を入れたお茶;TEA WITH EGGS

ジェスート( Jesuite ) が1664年に中国から伝えたものをウオーラー氏が語ったもので中国では次の方法で作る。卵黄2個と砂糖をよく混ぜてお茶の中に注ぎ入れる。よく混ぜて熱いうちに飲む。

外から仕事を終えて帰って来た時や非常にお腹の空いたときに、食事がすぐに摂れないときに間に合う。空っぽの胃袋に満足感を与え、体中の血管内に力がみなぎる、そして食べるまでの間しばらく保存することができる。

卵の効果を発見したウオーラー氏から聞いた話によると、熱湯にお茶を入れてそのままにしておくと, ミゼレーレ※をゆっくりと唱える間にそのハーブの土の成分が抽出される。それを砂糖または砂糖と卵に注ぐとお茶の霊的な、浸透性、親和性のある自然な成分を得ることができる。水1パイントに対して1オンスのお茶を入れると3杯できる。

 

※  時間を表現する中世からの表記方法です。ミゼレーレ(羅: Miserere、神よ、我を憐れみたまえ)は、イタリアの作曲家グレゴリオ・アレグリが旧約聖書詩篇第51篇をもとに作曲した作品で、1630年代に作曲されました。

 

お茶が初めてイングランドに入ったのは1615年に、東インド会社のリチャード・ウイックハム ( Richard Wickham ) がマカオに最上級のお茶を一壺注文した旨の手紙が残っているのが最初の記録です。

貿易商,旅行者のPeter Mundy (1600 – 1667)は旅行記Itinerarium Mundi の中で1637年に茶を福建で味わったと記録していますし、1657年にはロンドンのチェンジ・アリーのコーヒーハウスでお茶が出されました。コーヒー、チョコレート等teeと呼ばれて街通り毎に売られていました。お茶は上流階級、商人階級の人達が好んで飲んでいたようです。下の絵はアタナシウス・キルヒャー(Athanasii Kircheri, 5/2/1601-11/27/1680, 17世紀のドイツ出身の学者、イエズス会司祭。東洋研究、地質学、医学で業績を残した)が描いたお茶の木。

 

     

    China Monumentis, qua sacris qua profanis, 1667. Tea Plant.

 

アタナシウス・キルヒャーの絵はこの時代を反映しています。不安と進歩を抱えながら前を向って歩を進める人間の姿が見えます。数枚引用しておきます。興味のある方は

https://books.google.co.jp/books/about/Athanasii_Kircheri_China_monumentis.html?id=-VKNZ4SAXqYC&redir_esc=y で見ることができます。

 

 

 

 

 

 

 

つづく。

 

 

 


ハーブ

2017年08月11日 | ヴァイパー(毒蛇)ワイン

その他の脚のハシュ

脚の肉を細かくミンスしてホワイトワイン、バター、カラント、レーズン、骨髄、砂糖、プルーン、デイツ、シナモン、メイス、ジンジャー、ペッパーと一緒に煮る。フライしたマンシェットの上にサーヴする。時には卵黄を入れる。

 

素晴らしいクリームを作る

クリームを1クォート用意する。大きなメイスを1-2入れてボイルする。ボイルしている間に薄いシペットを切ってディッシュに並べる。ローズウオーターで濾して卵黄を7-8個準備してその上に砂糖を振る。火からクリームを下ろして卵の中に入れる。一緒に混ぜる。マンチットのスライスの上にのせる。冷めたら砂糖を上に削ってサーヴする。

 

トーストの作り方

三番目の方法

マンチットをトーストする。塩と混ぜてフライした卵をのせる。バターとフライしたパセリを上に振りかける。

 

丸くスペイン風に詰め物を作る

マトンの脚をウシの脂と一緒にミンスする。骨髄を四角いダイスに切る。そこに卵黄、塩、ナツメグを入れてテニスボール大の詰め物を作る。濃いブロスで2時間煮てきれいなマンチェットのトーストの上にサーヴする。Palestのボールと一緒にサーヴする。

 

メイの4つレシピはどれも、これまで中世ヨーロッパで作られてきた料理を継承したものです。マンチットの上に料理をのせる方法は、パンをお皿代わりに使っていたいわゆる“トランショワール”の延長上にあります。目新しいと言える料理ではありません。

 

         

         ステファン・フリドリン( Stephan Fridolin, 1430-8/17/1498 )作,

        ミヒャエル・ヴォルゲムート ( Michael Wolgemut,  1434 –11/30/1519 ) 印刷

 

この絵はトランショワール又は、トレンチャーブレッドと言われる、料理を受ける “ お皿 “ のお話が出るたびに引用される絵です。もともと食事風景を絵に残すことが少なく、はっきりとそれとわかる形に描かれることがないので、この絵はそういった意味で貴重なものです。

中央にこの宴会の主(領主)が後ろに招かれたお客様20名が座っています。前方左に、パンター(パン切役の召使)が、焼いてから少し(普通2-3日)経ったパンを切っています。お客様には一枚づつ、領主様には、ご覧のように、まづ2枚、その上に1枚をのせます。(少し差をつけるわけです)料理はトランショワールの上にサーブされ、料理の汁で湿ってきたら(ふにゃふにゃ)になったら慈善箱の中に入れて取り替えます。箱の中のパンは城の門の外で宴会の終わるのを待っている、下々に下げられるのです。

 

 

つづく。

 

 


ハーブ

2017年08月10日 | ヴァイパー(毒蛇)ワイン

ディグビィの料理書の中から“ホワイトポット”を選びました。

 

ホワイトポット;TO MAKE A WHITE-POT

クリームを3クォート用意して、そこに卵黄を12個、卵白を4個入れる。砂糖3/4ポンドとよくかき混ぜ、挽いたナツメグ2個、塩少量、洗っておいたレーズン1/2ポンドを入れる。乾かしたマンチット(白パン)を薄くスライスする。皿に入れて火の上で乾かす。それをクリームの上にのせる。パンの上に骨髄をのせて焼く。

 

我々が知っているレシピで言うと、トロトロのオムレツの上に薄切りのパンをのせてその上に(フォアグラのように脂っぽくて軟らかし)骨髄をのせて焼いた料理です。

かなり特殊な、この時代のイングランドにはない、どちらかというとスパニッシュっぽい料理です。

 

ロバート・メイ(Robert May, 1588-1664)はイングランド内戦(1642-1651)の間に合計13の貴族家庭でシェフを勤め、1660年にThe Accomplisht Cook を著しました。中世からの料理方法を継承しつつ他のヨーロッパのレシピを数多く取り入れています。1665年には彼自身の手になる最後の版を出し、1685年には461ページからなる第五版が出版されました。

    

1685年に出た第五版の料理書を使いました。

この中からディグビィのレシピと似たものを探してみました。

 

 

つづく。

 

 

 

 


ハーブ

2017年08月09日 | ヴァイパー(毒蛇)ワイン

「ケネルンがディグビィを殺した」と言うからには、明白な証拠を示さねばなりません。実は彼は料理書も書いているのです。料理書からその証拠を引っ張り出してみようと思います。

出版したのは、彼の屋敷で働いていた執事とその息子です。戸棚の中にあった料理に関するメモを、彼の死後発見して、本にしたのです。出版までに数年経っているのは、本を出版するだけのお金を案出するのに時間がかかったからです。是非とも世に出さねばと思って本にしたようです。

「ディグビィ卿の戸棚が開いた;THE CLOSET OF SIR KENELM DIGBY KNIGHT OPENED」という表題がついています。

 

この中から2レシピ無作為に選び出しました。このレシピと同じもしくは、よく似たレシピを同時代の料理人のレシピと比較するつもりです。なぜかというと、いかにディグビィの料理に関する知識が優れているかを示したいからです。料理人の名前はロバート・メイ。料理書の名は;「 料理の技術と奥義;The Accomplisyt Cook, or The Art & Mystery of Cookery 」です。彼は料理書の緒言の中に、かって料理人として働いていた貴族たちの名前を書いています。その中にケネルン・ディグビィの名もあるのです。さあ、どちらの料理の腕前が上?なのか、見るのが楽しみです。

 

       

        The Closet of Sir Kenelm Digby Knight Opened
            by Kenelm Digby 1669

 絵の下には ”ウインザー城にあったヴァン・ダイクのコレクションの中から取った” と書かれています。

ところで料理書の、この肖像画はまだご紹介していませんでしたよねえ。

 

 

つづく。

 

 

 

 


ハーブ

2017年08月08日 | ヴァイパー(毒蛇)ワイン

ケネルン・ディグビィについて調べていて、あることに気が付きました。肖像がやたらと多いのです。気の付いた範囲内で集めてみました。
 
     
 
             Sir Kenelm Digby, 1603-65 (BHC2658)
 
    
 
    Anthony van Dyck CreditNational Maritime Museum:915 x 710 mm
          Kenelm Digby, wearing a suit of armour
 
    
 
   Portrait of Sir Kenelm Digby (1603-1665) 1650s
Henry Stone, attributed to after Sir Anthony van Dyck 1616 - 1653
 
      
 
          Sir Kenelm Digby
   by Richard Gaywood, after Sir Anthony van Dyck
etching, 1654. 4 1/4 in.x 3 1/4 in. (107 mm x 83 mm) paper size
 
      
 
      Digby, Kenelm (1603 - 1665)
        Anthony Van Dyck,
 Graphic: 9.8 x 7.4 c / Sheet: 17.9 x 11.5 cm
 
      
 
     Digby, Kenelm (1603 - 1665)
        Print ; R. Cooper
    Anthony Van Dyck, 1599-1641 
 Graphic: 11.3 x 8.6 cm / Sheet: 25.3 x 17.1 cm
 
      

      Digby, Kenelm (1603 - 1665)
    Print; Jacobus Houbraken, 1698-1780
      Anthony Van Dyck, 1599-1641 
 Graphic: 37.1 x 23.4 cm / Sheet: 38.5 x 24.5 cm
 
      
 
      Digby, Kenelm (1603 - 1665)
        Print; P. Lightfoot
     Anthony Van Dyck, 1599-1641
Graphic: 12.7 x 9.7 cm / Sheet: 22.6 x 16.8 cm
 
      
 
      Digby, Kenelm (1603 - 1665)
     Print; Burnet Reading, fl. 1777-1822
       Anthony Van Dyck, 1599-1641 
  Graphic: 13.5 x 10.7 cm / Sheet: 21.7 x 13.4 cm
 
ヴァン・ダイクによる、印刷物に使う肖像画がほとんどですが、こんなに多くの肖像画がどこに必要だったのだろうと思うのは私だけではないでしょう。
 
 
 
つづく。