Annabel's Private Cooking Classあなべるお菓子教室 ~ ” こころ豊かな暮らし ”

あなべるお菓子教室はコロナで終了となりましたが、これからも体に良い食べ物を紹介していくつもりです。どうぞご期待ください。

ダマスクローズ 137

2020年10月30日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

ダマスクローズ  ローズ ド レッシュ(Damask rose Rose de Resht)

  

  
          

ダマスクローズ  ローズ ド レッシュ(Damask rose Rose de Resht)

 

この薔薇は全て謎に包まれています。その名前でさえ、ド レッシュ(De Resht)、或いは、ポートランドローズと呼ばれ、或いは、Damaskと分類されています。しかし、カタログからは、一貫して絶妙なその香りからこの薔薇を見つけ出すことができます。

この薔薇の歴史は、第二次世界大戦の終わりにペルシャで成長しているところを発見された、あるいは1800年代初頭にフランスに持ち込まれたという話と、闇に包まれています。

中くらいの大きさの薔薇の花は、二重で、マゼンタ色で、わずかに深紅色をしています。

繰り返し開花し、植物が花を付けない期間は短い。Rosa de Reschtは、高さ約1mの直立した薔薇で、小さな生け垣として使うのに最適です。葉は青みがかった緑色で、害虫がより付きにくいようです。貧弱で乾燥した土壌でもよく育ちます。日光を好みますが、日陰でも問題なく花を付けます。すべての繰り返し開花する薔薇と同様に、色あせた花を取り除くと、新しい花が付きます。

https://johnshortlandwriter.com/2015/06/15/rosa-de-rescht-lost-in-history/

 

ローズ ド レッシュについては、上の説明の通り、幾つかのいわれがその他にも存在します。3つばかり取り上げておます。

 

その1.

Rosa'de Rescht 'は、1945年に英国の庭師ナンシーリンゼイ (Nancy Lindsay) によって紹介されたポートランドダマスクの薔薇です。彼女の著書「The Genus Rosa」の最初の部分で、エレンウィルモット (Ellen Willmott、(19 August 1858 – 27 September 1934)) が、ギラックス(Gilaks)によって「Gul e Reschti」として知られている薔薇について説明していますが、この薔薇はおそらくRose de Reschtと同じものです。

 

その2.

ローズ ド レッシュの歴史は不明であり、その起源は不明です。 WFRS( World Federation of Rose Societies:世界ローズ協会連盟 )の専門保護委員会のメンバーがフランスとイギリスで行ったいくつかの研究によると、薔薇はもともとペルシャの薔薇として「1880年頃」に導入され、いくつかの情報によれば、その起源はフランスにあるようです。イランを起源とするこの薔薇は、1880年にイギリスで、次に1890年にドイツで報告されたようですが、その後忘れられ、1940年から1950年にイランのラシュト ( Rasht ) で再発見されるまでイギリスに再導入されませんでした。

 

その3.
Rosa de Reschtの花は二重、濃いピンクで、非常に香りがよい。中程度の緑色の葉を付け、高さ約90〜120㎝、幅60〜90㎝に成長します。 USDAゾーン4b ※1( -31.7°C、-25°F)での耐寒性があり冬に強い種です。開花時期は晩春~初夏です。繰り返し咲きます。黒い斑点※2、カビ、さびに強く、その土壌pH範囲は5.6から6.5(酸性から弱酸性)です。軟材の削りくず、半硬材の削りくず、広葉樹の削りくずに移植して、或いは発芽させて殖やすことができます。リンゼイ(Lindsay)は、カスピ海の南海岸に沿って位置するイランのギラン州の州都であるラシュト市にちなんで、この品種を「ド レシュト」と名付けました。

 

※1 USDAゾーン4bは下の地図にあります。アメリカはこの地図で植物の栽培適地を判断しています。

                          

次回からは、黒星病、うどんこ病、さび病について詳しく見ていくことになります。

 

 

 

 


ダマスクローズ 136

2020年10月28日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

キャトル セゾン コンティニュー(Damask rose Quatre Saisons Continue)

       

     

キャトル セゾン コンティニュー(Damask rose Quatre Saisons Continue)http://www.rosebook.ru/roses/gallery/damask/quatre-saisons/1/

 

別名、キャトルセゾン(Quatre Saisons)(オータムダマスク(Autumn Damask)、クラスターダマスクローズ(Cluster Damask Rose)、クラスターマンスリーローズ(Cluster Monthly Rose)、フォーシーズンローズ(Four Seasons Rose)、マンスリーローズ(ダマスク)(Monthly Rose (damask)、ペルペチュエルセミダブル(Perpétuelle semi-double)、キャトルセゾンコンティニュー(Quatre Saisons Continue)、キャトルセゾントゥースレモワ(Quatre Saisons Tous-les-Mois)、レッドマンスリィ(Red monthly)、ローザビフェラ(ポワ)(Rosa bifera (Poir.) Persoon)、ローサダマスセナビフェラ(Rosa damascena bifera)、ローサダマスセナパペチュア(Rosa damascena perpetua)、ローサダマスセナポリアントス(Rosa Damascena Polyanthos)、ローサダマスセナセンパーフローレンス(Rosa damascena semperflorens)、ローサイタリカフェラーリ(Rosa italica Ferrari)、ローサメンストリアリス(Rosa menstrualis)、ローサダマスセナ‘ビフェーラ’ (Rosa X damascena 'Bifera')、ローサダマスセナ’キャトルセゾン(Rosa X damascena 'Quatre Saisons'),ローサデカスティール(Rose de Castile)、ロジエールデレスモア(Rosier de Tous les Mois)、ロジエールデスキャトルセゾン(Rosier des Quatre Saisons)、ロジエールドゥカレンディエール(Rosier du Calendrier)、ロイアルフォーシーズン(Royal Four Seasons)、ディミッショオローズ(The Mission Rose)、イヤーラウンドローズ(Year-Round Rose)

 

登録名:Rosa 'Quatre Saisons Continue' 

作出年:1724年以前

 

中国の庚申薔薇との交配により、ブルボン ローズやポートランド ローズなどの新系統を誕生させた品種です。若干自立型の株立ちになり、カザンリク(トリギンテペタラ)より花弁が多いのでジャムなどの加工にも好適です。古代から愛された、芳醇なダマスクの香りに癒されます。

 

薔薇のDNA分析の結果、元のダマスク薔薇が3種の自然な二重交配の結果として進化したことが証明されました。 R. gallicaとR. moschata( "The Musk Rose")を交配して作出された雑種は、R. fedtschenkoanaと再び交配されました。これらの3種の自然の生息地が重複していないため、このハイブリッド化はおそらく中央アジアでの栽培で行われたに違いありません。(これは以前に書いた内容とは異なりますが、このまま翻訳しておきます)

ダマスクローズは、中世初期にダマスカスを介して中東を通ってヨーロッパへもたらされました。それらは特に何世紀にもわたって生産し使用してきた天然油(attar)の生産に預かってきました。                        

ダマスクローズは、16世紀にイタリアで初めて注目され、18世紀に極東産の薔薇がヨーロッパに到着するまで、「オータムダマスク」だけが繰り返しの開花特性を示した薔薇でした。

フランス人はそれを「Quatre Saisons」(フォーシーズンズ)と呼び、イタリア人は「La Rosa di Ogni Mese」(ザマンスリーローズ)と呼んでいました。イギリスでは「オータムダマスク」(Rosa damascena bifera-2回開花)として知られています。ポートランド(ca.1770)とバーボン(ca.1815)の薔薇の親の1つです。

 

 


ダマスクローズ 135

2020年10月26日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

1820年に、ジョン リンドリーが、R. moschataと日本のヤマイバラ(R. sambucina)との関係を指摘したところから始まった、日本のバラのお話は如何だったでしょうか。大騒ぎをしたにもかかわらず“ダマスクローズに関することは”殆ど出てこなかったのは残念でしたが、種の存亡にかかわる現場、その現場に居合わせることが出来たことは、本当に良かったと思っています。こんな風に ”種” というものが消えてゆくのだと目の前に見ることができたからです。R. damascenaもこのように消滅したのだと肌で感じることが出来ました。

 

ここからは、ドイツの文献から今のダマスクローズを眺めます。学名を見ると、実にたくさんのドイツ人が名を連ねていることに気がつかれたことでしょう。違った方向からダマスクローズを見ることも刺激になるでしょうし、今まで読んできた内容を別の方向から眺めることになり、知識の再確認にもなります。記述内容はダマスクローズの呼称から始まり、品種の紹介に移っています。

ゆっくりと時間を掛けてみてゆくことにします。画像は当該文献外から引用しました。

 

今、世界中で栽培されているダマスクローズの学名は ”Rosa damascena Miller“ です。Herkunft http://gernot-katzers-spice-pages.com/germ/Rosa_dam.html から

Rosa damascena Miller
Rosa damascena Mill.

=Rosa belgica Mill.

Rosa calendarum Münchh.

=Rosa calendarum Münchh. ex Borkh.

=Rosa centifolia var. bifera Poir.

=Rosa gallica var. damascena Voss

=Rosa polyanthos R

=Rosa ×bifera (Poir.) Pers.

=Rosa ×damascena var. trigintipetala var. trigintipetala Dieck

=Rosa ×damascena var. variegata var. variegata Keller

Immediate children

Variety

Rosa damascena var. brachyacantha Focke

Rosa damascena var. damascena

Form

Rosa damascena f. damascena

Rosa ×damascena f. trigintipetala f. trigintipetala (Dieck) R.Keller

Rosa ×damascena f. versicolor f. versicolor (Weston) Rehder

 

” Rosa damascena Miller“ は、言語によって次のように呼ばれています。

 

Languages (No. of Names):

Vernacular Names

Arabic (4) :

Gulab, ورد, ورد الاحم , Warda, Ward alaham

English (1) :

damask rose

Hindi (5) :

bussorah, fasti gulab,, gulab-ke-phul, sudburg, गुलाब, गुलाबी रंग

Kannada (4) :

gulabihuvu, panniru, roja, tarana

Malayalam (3) :

paninirpushpam, panniruppu, penimirpushpam

Marathi (2) :

gulab, gulad

Sanskrit (11) :

atimanjula, lakshapushpa, mahakumari, satapatri, shatadala, shatapatri, shatapatrika, soumyagandha, sumana, suoritta, sushita

Tamil (17) :

arakkuroja, ativitakikacceti, ativitakikam, civappuccirramarai, civappuroca, civappuroja, golappu, irosa, kulapi, kulapu, pannir, pannirpu, rajappu, roja, roja mottu, rojappu, rosa

Telugu (7) :

gulaabi poovvu, gulabi, gulabipuvvu, paneer roja, panniru, roja, rojapuvu

Urdu (15) :

arq gulab, arq-i-gulab, gul surkh, gul-e-surkh, gul-e-surkh (ward,gulab), gul-i surkh, gul-i-gaozaban, gul-i-surkh, gul-surkh, gulab ke taze phool, gulqand gulab, gulqand-gulab, roghan gul, ruh gulab, surkh gulab ki pankhriyan

Bulgarisch(6)

Роза, Трендафил, Гюл, Roza, Trendafil, Gyul

Farsi(6)

گلسرخ, گل محمدی, گل ورد, Gol Mohammadi, Golesorkh, Gol Ward

Französisch(1)

Rose de Damas

 

Rose (Rosa damascena Miller)

セルシアーナ(Damask Rose Celsiana)

                

https://www.rosegathering.com/celsianaput.html

    

                    

https://hedgerowrose.com/rose-gardening/2014/03/13/celsiana-damask-rose/

 

上はセルシアーナ(Damask Rose Celsiana)です。画像からも判るように、花は時間が経つとピンクの花色が褪色し、白くなります。その後ティッシュペーパーをしわくちゃにしたようになります。 棘が見あたらないもの特徴です。

 

1732年以前にオランダ作出されたダマスク系の薔薇です。強い耐寒性があります。淡いピンクとロゼットの形の直径7~8 cmの9〜16枚の強い香りの花びら、目に付く黄色の雄しべで構成されています。活発に直立して高さ2~3m、幅120 cm程に成長し、灰色がかった緑の葉を茂らせます。這わせて育てることができ、一季咲きですが、シーズンの終わりにローズヒップを作ります。1970年にパリ時代の有名な庭師M.Fセルス(M.F Cels)にちなんで名付けられました。

 

アボンダンテ(Abondante)、ベルクーローネ(Belle Couronné)、ビフェラコロナタ(Bifera Coronata)、セルス(Cels)、セルスアフルールプレイン(Cels à fleurs pleins)、デセルス(De Cels)、グランデクーローネ(Grande Couronnè)、インカルナタマキシマ(Incarnata Maxima)、ラコケット(La Coquette)、ムタビリス(Mutabilis)、ローザダマセナムタビリス(Rosa damascena Mutabilis)、ヴァンホイサム(Van Huysum)など、多くの名前で知られています。

 

「やっとわかった!!」と思うのは私だけではないでしょう。「本当に、やっとわかったンですよ」。1230-1235年に書かれた「薔薇物語」の口絵(2/28、3/1)に、主人公の背後に描かれた「薔薇の絵」。その薔薇の花が、版によって変化し、白だったり、赤だったり。それもそのはず。薔薇の花は、同じ花が赤から白へと変化するのです。

ダマスクローズの顔は誰も見たことがありません。子供達を見て、親を想像しようというのですから、非常に難しい望みです。一度でも親の顔を見たことがあれば、性質や体格を肉付けすることは出来るのですが・・・・・・・・。

兎も角、花びらが赤から白へと色を変えるということが判りました。ほぼ間違いない事実だろうと思われます。

5/8 のブログに、『次にご紹介する銅版画は、最初見たときは、衝撃でした。』で始まる、絵と文章をご紹介したのを覚えておられるでしょうか。

       

バシリウス・ベスラー( Basilius Besler , 1561-1629、ドイツの薬剤師、植物学者、植物画家)画、 Rosa damascena flore  pleno ( from Hortus Eystettensis ) ca. 1640

 

同じ銅版画を使って、白と赤の花びらを描き、“ダマスクローズ(Rosa Damascena flore)”としているのです。その謎が今、解けたのです。 

 

 


ダマスクローズ 134

2020年10月24日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

円通院は、宮城県宮城郡松島町(日本三景・松島)にある臨済宗妙心寺派の寺院で、通称「薔薇寺」です。伊達政宗の孫で、19歳で早世した伊達光宗の菩提寺、霊廟(三慧殿)があります。三慧殿の厨子には、慶長遣欧使節を率いた支倉常長が西洋から持ち帰ったバラが描かれています。円通院はこのバラを題材にした庭のある「バラ寺」として知られています。
        

    

               

我々日本人が花や木を生ける時、その行為は、古代のアニミズムの流れを汲んでいるようです。植物を立てて神を招くという行為は、“切ってもある程度生命を維持することができる植物”に神霊が依り憑く(よりつく)ことから、生まれたと思われます。又、花や木を生ける行為は、切られても生命を維持する植物に神秘性を感じた常緑樹信仰にも通じます。生け花は、(生ける、「生きる」)と花、「花」)に由来します。仏教が入ってくると、仏壇で花を供えることが一般的になります。神殿への供物として、また先祖の前に使用される供花として、花は扱われるようになります。

この流れの中で、供花に適さない花を考えると、それは次のような花になるでしょう。

棘のある花(アザミ、バラ)、毒のある花(ヒガンバナ、スズラン、スイセン)、ツルのある花(つるバラ、クレマチス)、においが強すぎる花(匂いの強いユリ、梅)。

ご先祖様が戻ってきたときに、ご先祖様に思いやる想いは、『蔓や棘で絡まれるのは、強い匂いで惑わされるのは、毒を盛られるのは、いずれのケースも前世だけの事にしておきたい。』という思いがあります。

薔薇の花が、広範に生活の中に溶け込むことができなかったのは、宗教等の薔薇の花に対する強い下支えがなかったことと、日本人の心にそぐわなかったからでしょう。このことは、今まで見てきた、キリスト教と、イスラム教の薔薇に対する“扱い”を思い起こせば明白です。

もう少しはっきりと言えば、日本人は自然の中に溶け込むような生活様式を取っていたのは300年ほど前までの話で、その実、自然に対して無関心なのが今の現実です。熊本県でツクシイバラを懸命に面倒を見ている姿は、むしろ例外と言っていいでしょう。「今は余裕がない」とは言い訳にすぎません。余裕のある時代って今までの日本にあったでしょうか。日本の薔薇の固有種が日本国内から消えそうな様と、それとは反対に広く外国で日本の固有種が大切に育てられている姿を見ると、残念としか言いようがありません。        

 

 


ダマスクローズ 133

2020年10月22日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

Rosa bracteata J.C.Wendl. カカヤンバラ、別名八重ヤマイバラ

日本の八重山諸島から台湾、中国の東中部から中南部に分布、また現在ではアメリカ南部にも帰化、命名はフィリピンにあるルソン島北部のカガヤン川(Cagayan River)付近に漂着した八丈島の漁民が、この種子を持ち帰ったことに因みます。

Rosa bracteata J.C.Wendl.

=? bracteata H.L.Wendl.

=Ernestella bracteata (H.L.Wendl.) Germ.

=Ernestella bracteata (Wendl.) Germain de Saint Pierre.

=Rosa bracteata var. bracteata

=Rosa bracteata var. scabricaulis Lindl.

=Rosa bracteata var. taiwanensis S.S.Ying

=Rosa lucida Lawrance

=Rosa sinica var. braamiana Regel

Immediate children

Subspecies

Rosa bracteata subsp. bracteata

Subspecies

Rosa bracteata subsp. scabricaulis Wendl.

Variety

Rosa bracteata var. scabricaulis Lindl. ex Koidz.

 

https://ameblo.jp/meruchan-no-mama3962/entry-12368626634.html  

   

                         

       

                   

               

Rosa bracteata J.C.Wendlの特徴、https://www.botanic.jp/plants-ka/kakaya.htm から

樹形   常緑低木、茎は立つか匍匐し、枝には密に縮毛がある、海岸から丘陵に生え、直立または匍匐して長さは数メートルほどになる

花    枝先に1個つき、花弁は5枚、白色で径5~9cm

萼片   全縁、裂片は花時に反り返る、花床筒には綿毛が多く、宿存する
ローズヒップ 球形径3~5cm、橙赤色、薄茶色の綿毛が密にある

花期   4~6月

花    枝先に直径5~8センチの白い花を咲かせる

花弁   先端は浅く2裂する

葉    互生し奇数羽状複葉、小葉は7~9枚、長さ1.5-5cmの楕円形~倒卵形で小葉が3~5対付く

表面はやや光沢があり、縁には波状の低い鋸歯があり、裏面には時に主脈に毛がある

托葉   僅かに葉柄に沿着し、羽状に切れ込む、葉柄基部には1対の下向きの刺がある

 

 


ダマスクローズ 132

2020年10月20日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

Rosa onoei var. oligantha (Franch. & Sav.) H.Ohba アズマイバラ、別名ヤマテリハノイバラ(山照葉野茨)、オオフジイバラ(大富士茨)

本州の豊川市以北に分布し、東三河地域が南限であり、愛知県寄りの静岡県にも多い

日本原種

Rosa onoei var. oligantha (Franch. & Sav.) H.Ohba

Rosa luciae var. oligantha Franch. & Sav.

=Rosa luciae var. yokoscensis Franch. & Sav.

=Rosa oligantha (Franch. & Sav.) Koidz.

=Rosa yokoscensis (Franch. & Sav.) Koidz.

 

https://mirusiru.jp/nature/flower/azumaibara から詳細なデータを引用させていただきました。

Rosa onoei var. oligantha (Franch. & Sav.) H.Ohbaの特徴

樹形  全体はミヤコイバラに似て、茎が直立又は斜上し、テリハノイバラのように地上を這うことは少ない

花   直径2~3㎝、花柄には腺毛はない

花期  ミヤコイバラと同時期(6月~7月)に開花する

小葉  テリハノイバラほどではないが、やや厚く、葉表にやや光沢がある、葉裏は淡緑色~やや白色を帯びる、小葉が鋭尖頭、頂小葉が側小葉より大きい、ただし、葉形には変化がある

托葉  ミヤコイバラに似て、幅が狭い、萼片は縁や内面に毛があり、小裂片もあるが、腺毛はほとんどつかない

棘   茎に対してほぼ垂直にぴんとまっすぐ尖る、ノイバラの(やや古い)棘は、根元の方に向かって先端がやや曲がって逆刺になっている”烏帽子岩 ”形、ノイバラの生えたばかりの若い棘も直立するので注意

托葉  ノイバラの托葉には蜜腺のような赤色の短い毛がたくさん生えており托葉全体がけばけばした印象、アズマイバラの托葉にはそのような毛が生えていないのでつるっとした印象

 

★ アズマイバラの托葉は細くて小さいものが多く、様子を確認するのが困難な場合が多い。また樹勢が悪くなる秋から翌春にかけては尚更托葉の判別は困難を極める。冬場は棘の違いで当たりを付けることしかできない。アズマイバラ探しは夏のうちに行いたい。

★ アズマイバラは知名度が低い上にぱっと見の姿はノイバラ(野茨)と瓜二つなため、ノイバラと混同されているケースが非常に多い

            

https://blog.goo.ne.jp/herb-mint_2006/e/373016dceca639b1ae59f44dfd403ec2 

       

  

  

 イザヨイバラとサンショウバラは共にサンショウバラ亜属のSect.Micropylla ( ミクロフィラ節 ) に入り、原産地は東アジア~日本です。

                                

 

 


ダマスクローズ 131

2020年10月18日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

 Rosa onoei var. onoei ヤブイバラ、別名ニオイイバラ,イヌニオイイバラ,ヤクシマイバラ。日本原産、本州関東西部以西,四国,九州に生育し,藪や林縁などに生える。

ヤブイバラの変種としてアズマイバラ(Rosa onoei var. oligantha (Franch. & Sav.) H.Ohba)、モリイバラ(Rosa onoei var. hakonensis (Franch. & Sav.) H.Ohba)があります。

Rosa onoei Makino 

=Rosa onoei var. onoei 

http://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/yakusodb/detail/003699.php

      

  

      

      

  

       

Rosa onoei Makinoの特徴

花   枝先に数個ずつ集まってつき、白色で径約1.5㎝少数付く、芳香がある、花序軸、花柄、萼に伏毛がある、花弁は5個。花序の軸や花柄には腺毛と伏毛がある。雄しべは多数

花序  小さく細長く花序、小花柄、がくに伏毛があり

花柄  長さ5~10 mm

花期  5~6月

葉   互生し、長さ3~5㎝の奇数羽状複葉、5~7小葉かならなり,薄く,裏面の主脈上と羽軸に伏毛があり,表面は黄緑色

頂小葉 側小葉より大きく,卵状披針形ないし披針形で,長さ1.5~4 cm,先は次第に尖り,基部は鈍形または円形、葉縁には鋭い鋸歯がある

小葉  2~3対。頂小葉は側小葉より大きい、薄く、表面は黄緑色でやや光沢があり無毛。裏面は主脈と葉軸に伏毛がある

樹形  高さ2m程度の落葉低木、幹は他のものに寄りかかって上に伸びるが、寄りかかるもののない場合は横に広がり、藪状になる、蛇紋岩帯にはえる落葉低木

托葉  葉柄と合着し、縁には腺毛がある。
ローズヒップ ほぼ球形で長さ4~6mm、10~11月に赤く熟す


★ 類似種:<モリイバラ>は、葉や花序、萼の外面が無毛で、花はふつう1個ずつつく。

 

都道府県名

上位分類群

科名

和名/学名

RDBカテゴリ名

統一カテゴリ

兵庫県

離弁花類

バラ

ヤブイバラ
  Rosa onoei

Bランク

 

絶滅危惧Ⅱ類

 

 

 

 

 

 


ダマスクローズ 131

2020年10月16日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

Rosa nipponensis Crép タカネバラ 

本州の尾瀬から中部地方の高山、、四国の剣山、東赤石山に分布し、高山帯や亜高山帯の草地や岩石地の日当たりのよい所に生育する落葉低木 日本原産。

Rosa nipponensis Crép.

=Rosa acicularis var. glauca

Rosa acicularis var. nipponensis (Crep.) Koehne

Rosa suavis var. nipponensis (Crep.) Sugimoto

                     

   

 

https://commons.wikimedia.org/w/index.php?title=Rosa_acicularis_var._nipponensis&uselang=ja 

                       

   
Rosa nipponensis Crépの特徴

 

小葉   3-4対、長楕円形から楕円形になり、縁には刺状にとがった鋸歯がある

樹形   樹高は1-2mになり、枝はよく分枝する、小枝は細長く紅紫色を帯び、白色を帯びた細い刺が多生し、のちに脱落する

托葉   幅広く、膜質で、なかほどまで葉柄に合着し、耳片の先端はとがり、縁に先端が小さな腺になった鋸歯がある

葉   奇数羽状複葉で、7-9個の小葉からなる。小葉は、長さ2-3cm、幅1-1.7cmの長楕円形から楕円形になり、短い小葉柄があり、縁には刺状にとがった鋸歯がある。小葉は薄く、表面は緑色、裏面は白色を帯び、裏面の主脈上にやわらかな伏毛がある、葉柄や葉軸とともに細い刺や腺毛がまばらに生える

花期   6-7月、小枝の先端に1-2個の花をつける

小花柄  細く長さ3-5cm、やや長い腺毛が密生または疎生する

花   3.5-4cm、紅紫色の5弁花

萼   暗紅紫色で、萼筒は長さ6-7mmの狭紡錘形になり、萼裂片は長さ2-3cmの狭披針形で細長く伸び、花時には平開し、内面全体と背面の縁に白い綿毛が密生する

花弁  長さ2cmの広倒卵状で、ほとんど水平に開出し、基部はくさび状に狭まる

雄蕊  長さ6-7mm、黄色で多数ある

雌蕊  白毛が密生し、花柱は花の喉部をふさぐ

ローズヒップ 長さ1.5-2cmの倒卵状狭紡錘形、8-9月に黄赤色に熟し、先端に萼片を残す

 

都道府県名

上位分類群

科名

和名/学名

RDBカテゴリ名

統一カテゴリ

栃木県

離弁花類

バラ

タカネイバラ
  Rosa nipponensis

絶滅危惧Ⅱ類(Bランク)

絶滅危惧Ⅱ類

新潟県

離弁花類

バラ

タカネイバラ
  Rosa nipponensis

絶滅危惧Ⅱ類(VU)

絶滅危惧Ⅱ類

福井県

離弁花類

バラ

タカネイバラ
  Rosa nipponensis

県域絶滅危惧Ⅱ類

絶滅危惧Ⅱ類

愛媛県

離弁花類

バラ

タカネイバラ
  Rosa nipponensis

絶滅危惧Ⅱ類(VU)

絶滅危惧Ⅱ類

 

 

 

                                


ダマスクローズ 130

2020年10月14日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

Rosa uchiyamana (Makino) Makino サクライバラ、別名、海棠薔薇(カイドウバラ)

中国の四川省や雲南省に分布する庚申薔薇(コウシンバラ:Rosa chinensis)と野茨(ノイバラ:Rosa multiflora)との自然交雑種だと推定されています。

Rosa uchiyamana (Makino) Makino

=Rosa multiflora var. uchiyamana Makino

    

https://www.pinterest.jp/pin/21955116920503539

    

   

 

   

   

   

http://tokitsukaze.sblo.jp/article/83892522.html

 

Rosa uchiyamana (Makino) Makinoの特徴
樹高   1~3メートル
葉    奇数羽状複葉、互生、小葉は細長い楕円形、先は尖り、縁に粗鋸歯がある

小葉   先が尖った長楕円形で、鋸歯がある開花時期 4~5月
花    5弁花、花弁は細長くややねじれ外側が明るいピンクの白花。
花の大きさ 4~5センチ、花びらのつけ根は色が薄く、グラデーションが美しい。

 

 


ダマスクローズ 129

2020年10月12日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

Rosa acicularis Lindl. オオタカネバラ

日本では、北海道、本州中北部の日本海側に分布し、高山帯、亜高山帯や冷気が吹き出す風穴地に生育する。アジアでは、樺太、朝鮮北部、中国東北部、シベリア、カムチャツカに分布する

Rosa acicularis Lindl.

=Rosa suavis Nakai 

  

https://worldoffloweringplants.com/rosa-acicularis-prickly-wild-rose/

  

https://sakata-tsushin.com/yomimono/rensai/standard/eastasiaplants/20170620_005611.html

      

   

 http://www.alaskawildflowers.us/Kingdom/Plantae/Magnoliophyta/Magnoliopsida/Rosaceae/Rosa_acicularis/Acicularis_12.html

 

Rosa acicularis Lindl. の特徴

樹形   樹高は1-1.5mになり、はよく分枝する。枝には帯白色の刺針が多生する

花    紅紫色で、小枝の先端に1(-2)個の花をつける、花の径は4-5cm、紅紫色の5弁花で多数の黄色い雄蕊がある

花柄   長さ3~5cmで腺毛がある

花期   6-7月

小花柄  長さ約3cmあり、細い刺が疎生する

托葉   幅広く、耳片の先端は尖る

葉    奇数羽状複葉で、5-7個の小葉からなる

小葉   2~3対あり、長さ約6.5cm、幅約3.5cmと大きく、小柄をもち、長楕円形から楕円形になる、頂小葉の先端は鋭頭

側小葉  下のものほど小さくなり、やや鈍頭で、縁にはややあらい鋸歯があり、葉の羽軸に腺と小刺がある

ローズヒップ 花のあと萼筒はふくれて肉質の偽果となり、なかに多数のそう果を包む。偽果は長さ2cmの紡錘形で赤く熟し、先端に萼片が残る、果実は長さ2cmの倒卵状狭紡錘形になり、黄赤色に熟す。

 

オオタカネバラとタカネバラの違い

             

オオタカネバラ
小葉は2-3対、頂小葉の先端は鋭頭、側小葉はやや鈍頭になり、縁にはややあらい鋸歯がある。

              

 

都道府県名

上位分類群

科名

和名/学名

RDBカテゴリ名

統一カテゴリ

青森県

離弁花類

バラ

オオタカネイバラ
  Rosa acicularis

重要希少野生生物(Bランク)

絶滅危惧種Ⅱ類

岩手県

離弁花類

バラ

オオタカネイバラ
  Rosa acicularis

Bランク

絶滅危惧種Ⅱ類

福島県

離弁花類

バラ

オオタカネイバラ
  Rosa acicularis

絶滅危惧種Ⅱ類(VU)

絶滅危惧種Ⅱ類

 

 

 

 


ダマスクローズ 128

2020年10月10日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

Rosa davurica Pall. カラフトイバラ、別名ヤマハマナス
北海道・本州の長野・群馬県の寒冷地や高山に生育する落葉低木、偽果に刺が無いカラフトイバラ、タカネバラ、オオタカネバラとともに(Sect. Cinnamomeae, ハマナス節)に分類されています、萼片は花後開出して脱落します。 

Rosa davurica Pall.

=Rosa amblyotis C.A.Mey.

日本(北海道、長野県(山地)、群馬県)、樺太、中国北部、シベリア東部サハリンに自生

  

http://hhossy3887.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-e778.html

    

ハマナスの花は直径6~8センチだが、カラフトイバラは直径3~4センチとやや小さく、ハマナスよりも薄い色、茎に疎らに刺がある程度で、ハマナスのように多くはない、全体に優しい印象

  

https://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=32118002691

    

       

http://potato50.blog93.fc2.com/blog-entry-288.html

    

 

Rosa davurica Pall.の特徴

樹高  1m程になる。主幹は根元近くで径1cm程。刺が多い

花   3~4cmの紫紅色の花びら、小枝の先に1-3個つき、小花柄は無毛

花期  6-7月

萼筒  球形。花柄は普通無毛
雌しべ 多数あり、綿毛が密生する花柱はノイバラの仲間のように合着することはなく、離生して、喉部をふさぐように萼筒の外に出る茎、枝 無毛、徒長した枝には刺が多い。古い刺は脱落する

葉柄  基部に一対の刺がある葉   互生し、6~8枚の小葉からなる長さ6-11cmの奇数羽状複葉で葉軸には軟毛が密生し、小さな刺が混じる

小葉  薄質で、長さ3~4.5cmの長楕円形で、縁に鋸歯があるが、基部近くでは疎らになる、裏面はやや灰白色で、脈上に軟毛があり、ときに黄色の腺が混じる

托葉  全縁で縁には腺毛と毛がある、、柄の基部に沿着する

ローズヒップ(萼筒)径1.2cmほどの球形または卵形で、8~9月に熟す、中に長さ3~4mmの痩果が入っている、赤く熟す

 

★ 近縁のタカネバラやオオタカネバラは小花柄に長い柄のある腺が生え、細い刺が疎らに生えている

★ ★ ハマナスは海岸近くに生えるが、カラフトイバラは山地に生える。

 

都道府県名

上位分類群

科名

和名/学名

RDBカテゴリ名

統一カテゴリ

長野県

離弁花類

バラ

カラフトイバラ
  Rosa davurica

絶滅危惧Ⅱ類(VU)

絶滅危惧Ⅱ類

 

 

 


ダマスクローズ 127

2020年10月08日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

Rosa rugosa Thunb. ハマナシ

分布  東アジアの温帯、冷帯にかけて分布、サハリン、千島列島、日本では北海道に多く、太平洋側は茨城県、日本海側は島根県を南限として浜辺に分布。

Rosa rugosa Thunb.

=Rosa andreae Lange

=Rosa cinnamomea Ledeb.

Rosa coruscans Waitz

=Rosa coruscans Waitz ex Link

Rosa fastuosa hort.

=Rosa fastuosa hort. ex K.Koch

=Rosa ferox Ait.

=Rosa ferox Lawrance

=Rosa ferox Sol.

=Rosa kamtchatica Vent.

=Rosa kamtchatica var. ferox Van Geel

=Rosa kamtchatica var. nitens Lindl.

=Rosa kamtschatica Vent.

=Rosa maikwai Hara

=Rosa pubescens Baker

=Rosa regeliana Linden & Andre

=Rosa rugosa C.P.Thunb. ex A.Murray

=Rosa rugosa f. alba Rehder

=Rosa rugosa f. plena (Regel) Bijh.

=Rosa rugosa var. alba Rehder

=Rosa rugosa var. albiflora Koidz.

=Rosa rugosa var. amurensis Debeaux

=Rosa rugosa var. chamissoniana C.A.Mey.

=Rosa rugosa var. coruscans (Waitz) Koehne

=Rosa rugosa var. kamtchatica (Vent.) Regel

=Rosa rugosa var. kamtschatica (Vent.) Regel

=Rosa rugosa var. lindlana C.A.Mey.

=Rosa rugosa var. plena Regel

=Rosa rugosa var. regeliana Wittm.

=Rosa rugosa var. rubra Rehder

=Rosa rugosa var. rubroplena Rehder

=Rosa rugosa var. subinermis C.A.Mey.

=Rosa rugosa var. thunbergiana C.A.Mey.

=Rosa rugosa var. ventenatiana C.A.Mey.

=Rubus nitens (Lindeb.) Neuman

Immediate children

Variety

Rosa rugosa var. alba Rob.

Rosa rugosa var. rugosa

Form

Rosa rugosa f. alboplena (Rehder) Rehder

Rosa rugosa f. rosea (Rehder) Rehder

Form

Rosa rugosa f. rugosa

  

    

    http://www.komatsugarden-online.com/shopdetail/000000000368/

       

             

Rosa rugosa Thunb.の特徴

花   夏に赤い花(まれに白花)を咲かせる、枝先に散房花序をつけ、径6~9cmの5弁花を1~3個つける、花びらの先端に少し凹みがあり、野生のバラとしては大輪で、2 - 3日で枯れる

花柄は長さ1~3cmで太く、刺があります。
香り  香りが強く、香水の原料にする

花期  初夏から6 - 8月頃

茎   よく枝分かれし、枝には扁平な太い刺と細い針のような刺が密にはえる
互生する長さ5~13cmの奇数羽状複葉で、小葉は7~9枚ある
小葉  長さ1.5~4.5cm、幅1~2.5cmの楕円形で、表面は葉脈に沿ってくぼんでしわになり、光沢がある、葉の裏面と葉の軸には白い軟毛が密にはえ、葉の縁には鋸歯がある

葉柄  半ば合着した大きな托葉がある

ローズヒップ 8 - 10月に結実し、径2~2.5cmの扁球形で、橙色~赤色に熟す

通常は無毛でまれに小さな刺があり、弱い甘みと酸味がある、果実の中には、種子が多く含まれている

冬芽は互生し、茎の棘の間について赤く目立ち、頂芽は円錐型で大きく、側芽は卵形で、5 - 7枚の芽鱗に覆われている、落葉後の葉痕は、上を向いた浅いU字形で、維管束痕が3個みえる

利用  根は染料、花はお茶、果実は食用になる、日本では庭に使われることはほとんどないが、ヨーロッパでは生け垣に使われている

ローズヒップ ビタミンCを豊富に含み、色素のもとになっているカロテン、ピロガロール、タンニンを含む、薬用酒、ジャム、お茶、のど飴などに利用する

中国茶には、花のつぼみを乾燥させてお茶として飲む瑰茶もある。

咲いた花を摘み取り、風通しのよいところで陰干ししたものは生薬になり、瑰(まいかい)と称される。漢方では6 - 8月に採取して天日乾燥した花蕾は瑰花(まいかいか、メイグイファ)と呼ばれ、八重咲きの花蕾も通常のハマナスと成分が同じで、同様に取り扱われている。瑰花には、イライラを鎮めたり、気の流れや血の流れを良くする作用があると言われる。ストレスによる胃痛や下痢、月経不順に良く使われ、通常は熱湯を注いでお茶として飲まれる。民間療法では、矯味、矯臭、抗炎症薬として月経不順、リウマチ、打撲にお茶にして飲んだり、完熟前の橙黄色の果実を使って35度の焼酎に3か月漬けて果実酒にして、暑気あたり、低血圧、不眠症、滋養保険、疲労回復、冷え症などに、就寝前に盃1杯程度を飲用に用いられる。アイヌの間では腎臓の薬として知られ、むくみの解消に根や実を煎じたものを飲んでいた。、花に精油を含み、主な成分はゲラニオールで、その他シトロネロール、ノニルアルデヒド、シトラール、リナロール、フェニルエチルアルコールなどを含む、これらの精油は、延髄を刺激して、血流を促し、血管拡張などの作用があるといわれている

 

都道府県名

上位分類群

科名

和名/学名

RDBカテゴリ名

統一カテゴリ

宮城県

離弁花類

バラ

ハマナス
  Rosa rugosa

準絶滅危惧(NT)

準絶滅危惧種

千葉県

離弁花類

バラ

ハマナス
  Rosa rugosa

一般保護生物(D)

準絶滅危惧種

石川県

離弁花類

バラ

ハマナス
  Rosa rugosa

準絶滅危惧(NT)

準絶滅危惧種

京都府

離弁花類

バラ

ハマナス
  Rosa rugosa

準絶滅危惧種

準絶滅危惧種

  

 

 

 

 


ダマスクローズ 126

2020年10月06日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

Rosa hirtula Nakai サンショウバラ 絶滅危惧種Ⅱ類

帰化種 中国原産の園芸種。日本固有種。本州の神奈川県、山梨県および静岡県にまたがる富士箱根地区にのみ自生。富士山の不老山にあるサンショウバラの丘が名所です。 葉の形や幹枝の棘が山椒に似ていることから名付けられました。

Rosa hirtula Nakai

=Rosa microphylla var. hirtula Regel

=Rosa roxburghii var. hirtula (Regel) Rehd. & Wils.

    

花の色は淡紅色、咲き始めはピンクが濃く、次第に白に近くなる

     

https://himenobaraen.jp/item/rosa_roxburghii_hirtula

                     

葉は奇数羽状複葉で、9-19個の小葉からなり、長楕円形で、先端は尖り、縁には細かい鋸歯がある、葉の羽軸と小葉の裏面の主脈に軟毛がある

http://ikbird.sakura.ne.jp/2sa/sansyoubara/sansyoubara.htm

       

の両面が細かな毛で覆われ、裏には棘がある

               

         

     

   

枝はよく分枝し、稲妻形に屈曲し、扁平な強い刺がある

     

https://www.uekipedia.jp/

萼筒は棘があり、実になるにつれて目立ってくる

   

ローズヒップは、径2cmの扁球状で、全体に蕾の時から生える硬い刺が残る

 

Rosa hirtula Nakaiの特徴

花期   5月~7月

花    一重、5弁花、咲いたその日に散っていく

花の大きさ 5-6cm

花の色  淡紅色、咲き始めはピンクが濃く、次第に白に近くなる

萼筒   棘があり、実になるにつれて目立ってくる

葉    奇数羽状複葉で、9-19個の小葉からなり、長楕円形で、先端は尖り、縁には細かい鋸歯がある、葉の羽軸と小葉の裏面の主脈に軟毛がある、サンショウよりもはるかに大きく、両面が細かな毛で覆われている

幹    太く、高さは5mになる

枝    よく分枝し、稲妻形に屈曲し、扁平な強い刺がある

ローズヒップ 径2cmの扁球状、全体に蕾の時から生える硬い刺が残る

 

都道府県名

上位分類群

科名

和名/学名

RDBカテゴリ名

統一カテゴリ

環境省RDB

離弁花類

バラ

サンショウバラ
  Rosa hirtula

絶滅危惧Ⅱ類(VU)

絶滅危惧Ⅱ類

山梨県

離弁花類

バラ

サンショウバラ
  Rosa hirtula

絶滅危惧Ⅱ類(VU)

絶滅危惧Ⅱ類

静岡県

離弁花類

バラ

サンショウバラ
  Rosa hirtula

準絶滅危惧(NT)

準絶滅危惧

 

 

   

 

 


ダマスクローズ 125

2020年10月04日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

Rosa roxburghii Tratt. イザヨイバラ

サンショウバラとコウシンバラ の交雑種といわれています、中国中南部の湖南、広西省から貴州省、四川省、雲南省原産。

 

原産種は一重。和名は花弁の一部が欠け、十六夜の月に見えることから。別名で、中国名の訓読みで「とげなし(刺梨)」とも呼ばれます。貝原益軒の『花譜』(1694, 中巻)にヲランダイバラ(繅絲花)、1709刊の『大和本草』(大和本草巻之十二 木之下)にはラザイバラ(いざよいばら)、1695の花壇地錦抄には12種のバラが掲載され、山桝荊(サンショウイバラ)や「らうざ」などがその中にあり、花譜の繅絲花(をらんだいばら)は中国名の繅絲花と一致し、イザヨイバラであろうとされている。これらからイザヨイバラは江戸時代頃に渡来したと推定されています。

Rosa roxburghii Tratt.

=Juzepczukia microphylla (Roxb.) Chrshan.

Juzepczukia roxburghii (Tratt.) Chrshan.

=Platyrhodon macrophyllum Hurst

=Platyrhodon microphyllum (Roxb.) Hurst

=Rosa centifolia Lour.

=Rosa forrestii Focke

=Rosa microphylla Pamp.

=Rosa microphylla Roxb.

=Rosa microphylla Roxb. ex Lindl.

=Rosa microphylla var. glabra Regel

=Rosa roxbourgii Tratt.

=Rosa roxburghii f. esetosa T.C.Ku

=Rosa roxburghii f. normalis Rehd. & E.H.Wilson

=Rosa roxburghii f. roxburghii

=Rosa roxburghii var. plena Rehder

=Saintpierrea microphylla (Roxb. ex Lindl.) Germ.

=Saintpierrea microphylla (Roxb.) Germain de Saint Pierre

https://www.ootk.net/shiki/

    

        

花弁は5枚、芳香があり、ピンク色~ローズ紫色~帯赤色、倒卵形

    

花柱は離生、突き出ず、雄しべより短く、有毛

        

花托筒は扁球形、剛毛が密生する、咢片は5枚、広卵形、外面は密に刺があり、内側は綿毛があり、羽状に分裂し、先は尖鋭形

     

葉は羽状複葉、楕円形から卵状長楕円形の小葉がつき、縁には鋭い鋸歯がある、

葉柄を含めて長さ5~11㎝、小葉は9~15枚、長さ1~2㎝×幅0.6~1.2㎝、無毛、下面は脈が目立ち、網脈も明瞭、基部は広楔形、縁は鋭い単鋸歯、先は鋭形又は円状鈍形

http://mikawanoyasou.org/data/izayoibara.htm

       

托葉はほとんど葉柄につき、分離した部分は錐形、縁に腺のある毛をもつ

         

         

        

ローズヒップは黄色く熟し、扁球形、直径1.5~2㎝、刺が密にあり、直立した咢片が残る    

https://fineartamerica.com/featured/chestnut-rose-rosa-roxburghii-anthony-cooperscience-photo-library.html

 

Rosa roxburghii Tratt.の特徴

樹形  山野に生え、よく分枝して高さは2mほどになる

樹皮  灰褐色、小枝は斜上~広がり、紫褐色、円柱形、縁に対の小刺がある

小刺  ほぼ真っすぐ、やや平たく、急に狭くなり、基部が広い

花   8cmほどのピンク色の花を咲かせ、単生、又は枝先に2~3個、束生し、直径4~6㎝、花柄は短い

花弁  5枚、芳香があり、ピンク色~ローズ紫色~帯赤色、倒卵形

花柱  離生、突き出ず、雄しべより短く、有毛

花期  3~7月、枝先に直径で、萼片や花柄には強い棘がある

苞   2又は3個つき、小さく、縁には腺毛がある

花托筒 扁球形、剛毛が密生する

咢片  5枚、広卵形、外面は密に刺があり、内側は綿毛があり、羽状に分裂し、先は尖鋭形

心皮  花托筒の基部の広がった円環面の上にある

葉   奇数羽状複葉、楕円形から卵状長楕円形の小葉がつき、縁には鋭い鋸歯がある、

葉柄を含めて長さ5~11㎝

小葉  9~15枚、楕円形又は長楕円形、まれに倒卵形、長さ1~2㎝×幅0.6~1.2㎝、無毛、下面は脈が目立ち、網脈も明瞭、基部は広楔形、縁は鋭い単鋸歯、先は鋭形又は円状鈍形

托葉  ほとんど葉柄につき、分離した部分は錐形、縁に腺のある毛をもち、葉軸や葉柄は小さな刺が散在する

ローズヒップ 黄色く熟し、扁球形、直径1.5~2㎝、刺が密にあり、直立した咢片が残る、ビタミンCが多く含まれサプリメントや果実酒などに利用、果期は8~10月


 貝原益軒の『花譜』(1694, 中巻)にはヲランダイバラ(繅絲花)、宝永6年(1709年)刊の『大和本草』(大和本草巻之十二 木之下)ラザイバラ(いざよいばら)、元禄8(1695年)の花壇地錦抄には12種のバラが掲載され、山桝荊(サンショウイバラ)や「らうざ」などその中にある。花譜の繅絲花(をらんだいばら)は中国名の缫丝花と一致し、イザヨイバラであろうとされている。これらからイザヨイバラは江戸時代頃に渡来したと推定されている。Flora of China やGRINでは日本も原産地としています。

 

 


ダマスクローズ 124

2020年10月02日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

Rosa paniculigera Makino ex Momiyama ミヤコイバラ(都茨)

九州北部、四国北部、本州太平洋側は静岡県以西、日本海側は新潟県以西、日本原種

Rosa paniculigera Makino ex Momiyama

Rosa franchetii var. paniculigera Makino

=Rosa franchetii var. paniculigera Makino ex Koidz.

Rosa paniculigera Makino

=Rosa paniculigera f. rosiflora S.Horino

   

https://zukan.com/rose/internal7859

   

http://mikawanoyasou.org/data/miyakoibara.htm から

  

托葉は葉柄に合着し、托葉上部には鋸歯があるが、歯状の切れ込みはない  

  

           

                    

小葉は長さが2㎝~3㎝の倒卵形、長楕円形、頂小葉は少し細長く、その他の小葉は丸みがある、葉の縁には鋭い鋸歯がある、葉の表面、裏面に毛はなく、裏面は白っぽい

    

葉は互生し奇数羽状複葉で、長さは5㎝~12㎝、小葉は2対~4対、葉軸には小さな刺と線毛がある

  

       

https://www.city.inabe.mie.jp/kyoiku/shizen/shizen/1001040/1001045.html

 

Rosa paniculigera Makino ex Momiyamaの特徴

 

樹形  低山、丘陵で見られる落葉低木、主幹が直立する

開花期 6月~7月

花   枝先から円錐花序を伸ばし、直径2㎝~3㎝の白い花を多数つける

花弁  5枚、雄蕊は多数あり、雌蕊の花柱は合着する

花柄  短く長さ1.5cmほどで、やや湾曲して上向く

萼筒  卵状紡錘形、萼裂片は狭卵形、内面全体とふちには綿毛が密生する

葉   互生し奇数羽状複葉で、長さは5㎝~12㎝、小葉は2対~4対、葉軸には小さな刺と線毛がある

小葉  長さが2㎝~3㎝の倒卵形、長楕円形、頂小葉は少し細長く、その他の小葉は丸みがある、葉の縁には鋭い鋸歯がある、葉の表面は深緑色で光沢が少なく、裏面は淡緑色となり、毛はなく白っぽい

托葉  葉柄に合着し、托葉上部には鋸歯があるが、歯状の切れ込みはない

枝   かぎ状のとげのほか、腺毛が散生する

ローズヒップ 扁球形で直径6~7mm、晩秋に赤く熟す

 

★ 葉が厚く、葉裏がほとんど白色にならないものはテリハノイバラとの交雑種の可能性もあり、簡単には判別できない。三河地域にはミヤコイバラも多く、湿った場所にも見られる。葉形に変異があり、アズマイバラの見られる地域に近いところでは判別が難しいものもあります。

 

都道府県名

上位分類群

科名

和名/学名

RDBカテゴリ名

統一カテゴリ

徳島県

離弁花類

バラ

ミヤコイバラ
  Rosa paniculigera

絶滅危惧Ⅱ類(VU)

絶滅危惧Ⅱ類