Annabel's Private Cooking Classあなべるお菓子教室 ~ ” こころ豊かな暮らし ”

あなべるお菓子教室はコロナで終了となりましたが、これからも体に良い食べ物を紹介していくつもりです。どうぞご期待ください。

プラムとレーズンのシュトゥルーデル

2016年12月24日 | パン

プラムについて調べようと思ったのはもう一つの理由からです。

このページの写真( 1991年8月のGourmet誌から )の美しさに見とれたからです。ほんの少しグレイに着色された紙面を背負ったプラムはことのほか映えた色彩を演出していました。この姿を見て、一体このプラムは何という名前なのだろうと思うのは私一人では無いでしょう。

  

 

( 左から )グリーンゲージ、サンタロザ、イタリアンプルーン、イエローゲージ、チェリープラム、バーガンディプラムであろうと思われます。“アメリカ国内で調達できるプラム”という条件で、プラムの名前を挙げると上のようになりました。切り口が分かればもっと自信を持って答えられたのですが。間違っているかもしれません。

今の日本ではここまでの種類をキッチンにそろえることはできませんが、それでもこの中のいくつかのプラムは手に入れることができます。数年、といっても20-30ほど前には考えられなかったことです。それだけ作ることのできる料理-お菓子のレパートリーが広がったと言うことで、嬉しい限りです。

さて本題のプラムのシュトゥルーデルに移るとしましょう。

 

 

 これが次のページ載っていたシュトゥルーデルです。大きく崩れた表面のクラストからシュトゥルーデル生地の代わりにフィロペイストリィを使っていることがわかります。このあたりが20数年前のレシピの限界だったのでしょう。しかも、添えられたナイフは刀身が厚くシュトゥルーデルを切るには適していません。今はほとんどのアメリカのレシピではシュトゥルーデル生地を使っています( 解凍したパフペイストリィを使っているレシピもありますが )。

 

レシピを紹介しておきましょう。

 

プラムとレーズンのシュトゥルーデル

材料:

42.5 cmx30 cm大きさのフィロペイストリィ       4枚

溶かしバター                     56g

ブレッドクラム                    56g

イタリアンプルーンプラム(スライス)        120g

レーズン                      120g

アーモンド(挽いた)                 56g

グラニュー糖                     60g

コニャック                     1 TBS

粉糖                         -

 

方法:

キッチンタオルの上にフィロペイストリィをのせて溶かしバターを塗る。

他の3枚にもバターを塗る。ペイストリィの上にブレッドクラムを、縁の部分5 cm を除いて、のせる。

クラムの上にプラム、レーズンアーモンド、グラニュー糖、シナモンコニャックをのせて、タオルを使って固く巻いていく。縁を折り込んで巻く。表面に残りのバターを塗り、204℃ で25-30分間、きつね色になるまで焼く。熱いうちに粉糖を振る。

 

表面に塗ったはずのバターがその役目を果たしていません。ペイストリィが薄くて粉糖を受け止めるのに必要なだけの十分なバターがのらなかったからでしょう。粉糖は吹けば飛ぶような形で生地の上にのっています。

そのほかにも改良すべき点が散見できてとても参考になる記事と写真です。

 

レシピの中のイタリアンプルーンプラム(下)は;

小さくて濃い紫色をしていて、熟れると甘香りのするプラムです。熱を加えると赤紫色に変わります。

 

 

 

 

これに似たプラムにダムソン(下)があります。ダムソンは:大きなチェリー位の大きさで濃いブルーをしています。皮はピリッとするような渋みがあります。果肉は酸味があり生食には適していません。

 

 

 

 

ブログは来年まで少しの期間お休みさせていただきます。

皆様よいお年をお迎え下さい。

 

 

 

 


プラム

2016年12月22日 | プラム

 

プラム ( 以下の参考資料のほとんどはWikipediaから引用させていただきました ) が近年日本でも手に入りやすくなったのを契機に、今まで何もかもプラムと呼んでいたのを改めて、少し系統立てて、とまでも行かなくても、整理して頭の中に入れておこうと思いました。

先日シュトレンのために作った「ルムトプフ」の中に果物を3種『 ”アプリコット”、“プラム”、”プルーン“を入れました。』と説明したことが頭の隅に残っていて、判然としない説明に後悔しきりだからです。

 

アプリコットを検索すれば日本国内だけでも数種の品種があることにすぐに気がつくと思います。wikipediaには 「主な栽培種には次の6種がある。」とありますが、サクラ属の中のスモモ亜属に属するプラムは変種が生まれやすく数多くの種類があります。取りあえずwikipediaで取りあげられていた6種を下に引用することから説明を始めようと思います。

 

ダムソン;ムラサキの皮、緑色の果肉、種離れが悪い果肉、渋い。

 

グリーンゲージ; 固い果肉、緑色の果肉と皮。原産国はフランスで、1724年にトーマス・ゲイジ(Thomas Gage、10 March 1718/19– 2 April 1787 ) がフランスから英国へ持ち込んだものです。

 

 ミラベル; 濃い黄色、フランスより北東に生育しています。

 

薩摩プラム; 固くて赤い果肉、赤い皮。

 

 ヴィクトリア; 黄色い果肉、赤い又は赤い斑点のある皮。 

 

イエローゲイジ、ゴールデンプラム; グリーンゲージに似ているが黄色い。 

バラ目、バラ科、サクラ属の下に属するスモモ亜属 ( Subgenus Prunus )を正確に分類することには時間がかかりそうで、とりあえず今は次のように分類されています。

 

 

 

 

又は、スモモ亜属 Subgenus Prunus を5つにわけて、

1. プルーン(ヨーロッパスモモ、セイヨウスモモ)Prunus domesticaと表記しますが、種間雑種であるとして Prunus × domesticaとも表記します。英語圏でプラム(plum)として知られる様々な果樹が本種に属しています。しかし、、グリーンゲージ、インシチチアスモモは本種の亜種になります。

 

2. ウメ Prunus mume ( ウメ亜属 Subg. Armeniaca とする説も )

3. スモモ Prunus salicina、代表的な品種としては「大石早生」、「ソルダム」、「サンタローザ」、「メスレー」、「太陽」、「ケルシー」、「紫峰」、「月光」、「貴陽」、「秋姫」、「いくみ」などがあります。

4. スピノサスモモ Prunus spinosa、スピノサスモモ はスモモ属の低木、または小高木で、ヨーロッパ、西アジア、北アフリカに自生し、blackthornという英名は黒い樹皮とトゲ に由来します。

5. アンズ(アプリコット、Prunus armeniaca

東洋系:平和、新潟大実、信州大実、広島大実、山形3号、八助、鏡台丸、信月、信山丸、さつき、昭和、西洋系:ハーコット、ゴールドコット、プリンがあります。

 

となっています。なんだかはっきりとしないでしょうが、プルーンは西洋スモモの総称であり、プラムはスモモ亜属の総称であることは納得していただけたでしょうか? 現在日本の市場にあるプラムがどこに属するのかも分かっていただけたのでは?と思っています。

 

 

この項、あと一つ続きます。

プラムを使った “シュトゥルーデル” を1991年のアメリカのレシピからご紹介しましょう。

 

 

 

 

 


1980年代をみてみよう ・・・・・其の三の1

2016年12月20日 | 1980年代をみてみよう

次に取り上げた料理は今から30年ほど前のものです。ブロッコリを他の野菜にすれば料理のレパートリーの増える便利な料理でした。その下の「ブロッコリとハムのキャセロール」は今の料理ですがさほど変化していないようです。

 

ブロッコリのグラタン

 

バター         3/4 ステック

小麦粉         1/4 カップ

ミルク          2カップ

パルメザンチーズ    1/2カップ

スイスチーズ      1/2 カップ

ブロッコリ        450g

ハム          110g

ブレッドクラム      1カップ

 

ソースパンにバターを60g 溶かして小麦粉、を中火で3分間クックする。

ミルクを加えて5分間混ぜる。パルメザンチーズ、スイスチーズを入れて溶かし

塩、ペッパーを入れて味を付ける。バターを塗った35cm の大きさのグラタン皿に

ブロッコリ、ハムを入れて上にソースをかける。ブレッドクラムを振って残しておいた

バター30g を散らす。190℃で30分間オーブンに入れて焼く。

 

 

 

 

http://pocketchangegourmet.com/broccoli-and-ham-casserole/ から

 

ブロッコリとハムのキャセロール  

材料:

ハム(クックしてダイス大に切った)       2 カップ

ブロッコリ(クックした)            2 カップ

ポテト(クックした)             2 カップ

タマネギ(ダイスに切った)        ¼ カップ

バター                     30g

ブラックペッパー            ⅛ ts

小麦粉               1/3 カップ

ミルク                225—170ml

クリームチーズ             224g

繊切りのチーズ             1/2 カップ

 

方法:

  1. キャセロール皿又は 22.5 x 32.5 cm の平皿にバターを塗る。
  2. ポテト、ブロッコリ、ハムを入れる。
  3. ソースパンの中にバター、タマネギを入れてタマネギが軟らかく透明になるまで3-5分間ソテーする。小麦粉とペッパーを入れて混ぜる。
  4. ミルクを入れてボイルする。火をゆるめてクリームチーズを入れる。よく混ぜる。
  5. キャセロールの上に注いで混ぜる。
  6. 繊切りのチーズを振って176℃で 30-35 分間周りが泡立つまで焼く。
 

ポテトの代わりに茹でたパスタを使うと目先が変わって食事に変化が出ます。お気に召せば試してみてください。二つのレシピのいいところを取れば更に美味しい料理になりそうです。

 

 

 

 

 


1980年代をみてみよう ・・・・・其の三

2016年12月05日 | 1980年代をみてみよう

以下の絵とレシピは1985年12月の Gourmet 誌、” Gastronomie sans argent “ のコーナーから引用したものです。

“ お金のない美食家 ; Gastronomie sans argent “ と題するこのセクションには毎月、鶏肉やサツマイモ、ポテトにビートや米、ズッキーニ、イワシにタマネギと豆、豚バラ肉等・・・身近な食材が取りあげられています。今回はブロッコリですが、みごとに盛り付けられていることに驚きました。


お皿は色と形からヘレンドと思われます。上下、左右のブロッコリがお皿と一体化していて、飾り付けられたブロッコリがまるでお皿の一部分のように見えます。この料理はレシピもさることながら、 ” 料理は、半分は器でいただくもの ” との認識を思い起こさせてくれました。

 

 

  

タラのブロッコリクリームソース和え(4人分)

 

材料:

ブロッコリ          170g

ブロッコリの花          30g

ベルペッパー(赤)         1個

バター           30g

タラの切り身(170g)        4切れ

タマネギ(ミンス)          60g

ホワイトワイン        220g

生クリーム          50g

 

作り方:

塩水でブロッコリを茹でる。冷水に漬けて取り出す。煮汁を3カップ取っておく。

鍋にバターを1TBS、ミンスしたベルペッパーを入れて弱火で炒める。

鍋にタマネギ、ワイン、ブロッコリの煮汁3カップを入れて10分間煮る。そこにタラを入れて8-10分間煮る。途中で一回ひっくり返す。穴の開いたスパチュラでタラを平皿に移す。冷えない様にカバーをする。

煮汁を1/2カップ漉してブレンダーに入れる。ブロッコリ、生クリーム、塩、ペッパーを入れてピュレにする。できたソースを鍋に入れて弱火で煮る。     

鍋に塩水を沸かしてブロッコリの花を1分間煮る。水気を切ってバター1TBS、塩、ペッパーで味を付ける。平皿のカバーを取りソースを入れて、タラを並べる。ブロッコリの花2TBSを一緒に飾る。

残りのベルペッパーを残りのソースの中に入れてタラと一緒にサーブする。

 

ブロッコリは濃い緑色の花の部分と茎を分けて茹で、茎はサラダに、花はスープやパイに、スフレやパスタにするなど、重宝な野菜です。このコーナーでは一年中手に入るブロッコリが様々な姿で登場しています。

” Sans Argent “ 氏のお手並みを一緒に拝見するとしましょう。今回は“タラのブロッコリクリームソース和え” を取り上げました。 タラの美味しい季節になりました。一度挑戦してはいかがですか?

 

 

次回はブロッコリのグラタンです。

この項少し続きます。

 

 

 


ボルシチ

2016年12月01日 | 料理

ボルシチ  Борщ с говядиной

http://russianfood.com/recipes/recipe.php?rid=107392 

http://photoretsept.ru/supyi/borshh-klassicheskiy

http://www.edimdoma.ru/retsepty/32473-borsch-po-retseptu-prababushki-so-sposobom-prigotovleniya-myasnogo-bulona

http://russianfood.com/recipes/recipe.php?rid=56092

http://gotovim-doma.ru/view.php?r=683-recept-Borshch-ukrainskii

 

ボルシチはウクライナの料理なのだけれど、手軽に作れそう?なのでロシアはもとより、ヨーロッパにも、そして日本にも広く知れ渡っています。寒くなってきたせいか「教室」の生徒さんからも「ボルシチ」の作り方のリクエストがありました。数回しか、しかもいつ作ったかも忘れるほどに昔のことなので今回ロシアの「ボルシチ」のサイトを、ユーチューブも含めて総ざらえしました。上に上げたサイトをも参考にしながら次のレシピをたたき台にして「ボルシチ」の本筋に迫ろうと思います。

 

Как приготовить вкусный борщ с говядиной 美味しいビーフスープの作り方

 

https://kitchenmag.ru/recipes/2075-kak-prigotovit-vkusnyy-borshch-s-govyadinoy から

このサイトはご覧の通りきれいなお姉さんが主役なので取り付きやすかったことと、書かれているレシピの内容が単純なのでコメントを差し入れやすかったことで引用させていただきました。上のレシピにはスープと書かれていますが内容はボルシチです。

 

 

材料(4人分)

チョップした肉        200 g
水              3L
タマネギ           1個
ガーリック          2 片
トマトペースト        2
ビート            2個
ニンジン           1 個
ジャガイモ          6個
キャベツ           150 g
ベイリーフ           2枚
塩                -
ペッパー                                 -
サワークリーム                       -
ディル                                    -

 

 

方法:
ベースになる肉のブロスを作る。水3Lに肉を入れてボイルする。アクを取り中火で煮る。

 

ガーリック、ベイリーフを入れて80-90分間煮る。

 

スープが出来上がる20分前にジャガイモの皮を剥いて小さく角切りにする。キャベツをチョップしてジャガイモと一緒に入れる。
ブロスができたら肉、キャベツ、ジャガイモを入れる。ボイルして火を中火にして更に15分間煮る。

クックしたらニンジンとビートをおろす。

 

タマネギを細かくチョップしてニンジンとビートを加える。

 

フライパンに油を熱し、タマネギ、ニンジン、ビートを中火で15分間フライする。

野菜が柔らかくなったら鍋に肉を入れ、トマトペースト、塩を加え中火で20分間クックする。

 

スープができたらハーブとサワークリームを添えてサーブする。

 

彼女のレシピはこれで終わりですが、ウクライナのボルシチの 「特徴」 をあげておこうと思います。

 

1.スープが澄んでいること。

2.ビートが赤く仕上がっていること。

3.野菜が煮くずれていないこと。

4.ハーブにはディルとベイリーフを使うこと。

等があげられます。

何せいろんな処で、いろんな人たちが作っているので 「ボルシチの作り方はこうだ!」 と断言するのは難しいのですが。ボルシチ発祥の地のウクライナの人たちは1~4.に気を配って 「ボルシチ」 を作っているようです。

そのためには次のようなことに気を付けてボルシチを作る必要がありそうです。

※ スープ ( ブロス ) が澄んでいるためには肉を煮たブロスをしっかりとチーズクロス或いはキッチンペイパーを使って漉す必要があります。

※ ビートを赤く仕上げるにはビートに熱を加える前にヴィネガーなどの酸に触れさせる必要があります。

※ 野菜が煮くずれないようにするには、軟らかい野菜はボルシチができあがる少し前に入れる必要があります。

※ ディルは北方系の料理には不可欠なハーブです。日本では栽培が難しいですが、春先に種を蒔いて梅雨に入る前に収穫して冷凍する手があります。

「 ボルシチ 」 も他のスープ料理と同じように、翌日に召し上がるのが美味しくいただく秘訣です。

 

忘れていましたが、ウクライナの人たちはトマトペーストではなく、トマトを使い、肉は骨付き牛肉とマトンの脛肉を使います。 ( 豚肉を使う人もいます ) 水の中にペッパー、塩、ガーリック、ベイリーフを入れて肉を90分ほど煮た後、肉を骨から外して一口大に切っておきます。野菜は肉を煮たブロスを一部分取って、これで煮ます。ニンジンとビートの切り方は、このレシピでは触れていませんが、いずれも細長く3-4mm の幅にシュレッダーで切るのが本式です。シュレッダーで切ることで野菜の切り口が鈍くなり、味が沁み易くなります。そして中火ですべてを入れて煮た後、少量のラードとニンニクを一緒にすりつぶし入れ、ディルを入れて火を止めるのです。