Annabel's Private Cooking Classあなべるお菓子教室 ~ ” こころ豊かな暮らし ”

あなべるお菓子教室はコロナで終了となりましたが、これからも体に良い食べ物を紹介していくつもりです。どうぞご期待ください。

ビスコッティ

2019年05月01日 | 今月のお菓子

 

ビスコッティ 3

 

基本的なカントゥチーニのレシピは、小麦粉、卵、砂糖、アーモンド、まれに松の実が使われています。今ではアニゼット、アマレット、レモン、スパイス、レーズン、ドライフルーツ、そのほかのナッツ、チョコレートなどが使われていますが、カリカリしている、二度焼きで適度に乾燥している、飲み物の中に漬しても乾燥した状態を保つほどの厚みがある・・・・・・ことが基本的な条件です。

 

最初に文字化されたレシピは、現在プラートの国立古文書館に保管されています。18世紀のアマディオ・バルダンツィ(Amadio Baldanzi)の手になるもので、あのアントニオマッテイが店を開いた場所と同じプラートです。アントニオマッテイは保管されていたレシピを発展させたと言われています。

イタリア料理の神様と呼ばれているペッレグリーノ・アルトゥージ( Pellegrino Artusi8/4/18203/30/1911 ) が著した“料理の科学と美食の芸術”( La scienza in cucina e l'arte di mangiar bene )の中にアントニオマッテイのレシピがありますのでここにご紹介しておきます。

     

 Pellegrino Artusi-La scienza in cucina e l'arte di mangiar bene (1891)

 

トスカーナの伝統的アーモンドビスコッティ

 

材料;

トーストして皮を取り、粗切りしたアーモンド   120

グラニュー糖                       130

卵(L)                     2

ベーキングパウダー                ts

塩                        1/4ts

小麦粉                       160

 

作り方;

アーモンドをベーキングシートの上に並べて170℃で810分間きつね色になるまで焼く。冷めたら粗切りしておく。

砂糖と卵を混ぜる。薄黄色になり、リボン状になるまで約5分間混ぜる。

別のボールの中に粉類を篩って入れ、卵を入れて混ぜる。刻んだアーモンドを入れる。 

30 x 9 cmの棒状に形作る。軽く油を塗ったベーキングシートの上にのせて170℃で25分間焼く。

オーブンから取り出して約10分間冷ます。斜めに、厚さ18cmに切る。切った面を下にしてオーブンシートにのせて160℃で約10分間焼く。更にあと片方の面を上にして10分間きつね色になるまで焼く。


何度も「アピキウス」と「プリニウス」を調べた結果;

次のような内容の記述を得ることが出来ました。

 

アピキウスには;

[289] FRESH HAM MUSTEIS [1] PETASONEM [2]

A FRESH HAM IS COOKED WITH 2 POUNDS OF BARLEY AND 25 FIGS. WHEN DONE SKIN, GLAZE THE SURFACE WITH A FIRE SHOVEL FULL OF GLOWING COALS, SPREAD HONEY OVER IT, OR, WHAT’S BETTER: PUT IT IN THE OVEN COVERED WITH HONEY. WHEN IT HAS A NICE COLOR, PUT IN A SAUCE PAN RAISIN WINE, PEPPER, A BUNCH OF RUE AND PURE WINE TO TASTE. WHEN THIS [sauce] IS DONE, POUR HALF OF IT OVER THE HAM AND IN THE OTHER HALF SOAK SPECIALLY MADE GINGER BREAD [3] THE REMNANT OF THE SAUCE AFTER MOST OF IT IS THOROUGHLY SOAKED INTO THE BREAD, ADD TO THE HAM [4].

[1] Musteus, fresh, young, new; vinum mustum, new wine, must. Properly perhaps, Petasonem ex mustaceis; cf. note 3.

[2] Hum. verum petaso coxa cum crure [shank] esse dicitur....

Plainly, we are dealing here with fresh, uncured ham.

[3] A certain biscuit or cake made of must, spices and pepper, perhaps baked on laurel leaves. Mustaceus was a kind of cake, the flour of which had been kneaded with must, cheese, anise, etc., the cake was baked upon laurel leaves.

[4] Tor. continues without interruption. He has the three foregoing formulæ thrown into one.

 

ここに書かれている ”Mustaceus” なるものは他のどこにも、アピキウス、プリニウスの文献の中にも見つけることが出来ません。この文章の中でしか、今のところ、判断できないのですが。

ケーキと言っているわけですから、粉を煉って形作ったのでしょう。「ブドウの汁、チーズ、アニスなどを小麦粉と一緒に煉っておそらく月桂樹の葉の上で焼いた」とあります。発酵前のぶどうジュースに含まれているイーストを使って膨らませたのでしょう。「残ったソースに浸したパンをハムに添えた」と上のレシピの中で食べ方を教えてくれています。

 

プリニウスには;

XXVII. As for bread itself it appears superfluous to give an account of its various kinds—in some places bread called after the dishes eaten with it, such as oyster-bread, in others from its special delicacy, as cake-bread, in others from the short time spent in making it, as hasty-bread, and also from the method of baking, as oven bread or tin loaf or baking-pan bread; while not long ago there was even bread imported from Parthia, called water bread because by means of water it is drawn out into a thin spongy consistency full of holes; others call it just Parthian bread.

 The highest merit depends on the goodness of the wheat and the fineness of the bolter. Some use eggs or milk in kneading the dough, while even butter has been used by races enjoying peace, when attention can be devoted to the varieties of pastry-making. The Ancona country still retains the popularity it won in the invention of bread from using spelt as the material; this bread is steeped for nine days and on the tenth day they knead it up with raisin juice into the shape of a long roll and afterwards put it in earthenware pots and bake it in ovens, the pots breaking in the process. It is not used for food unless it has been soaked, for which chiefly milk or honey-water is employed.

 

パルティアン( Parthian ; 247-224, 古代イランの王朝)ブレッドについての記述があります。「卵又は牛乳で小麦粉を練り、9日間そのままに放置し、10日目にレーズンジュースを練り込み長い棒状に形作って土器のポットの中に入れてオーブンで焼いた。ポットは途中で割り、牛乳又は蜂蜜水に浸けて食べた。」とあります。「パンの質の良さは小麦の出来不出来と篩の細かさにかかっています。」と書かれているのは、時代性と作られるパンの質をあらわしています。

 

どちらのレシピもイーストを使っていることが、深く印象に残りました。

 

 



ビスコッティ

2019年04月30日 | 今月のお菓子

ビスコッティ 2

 

biscottiは複数形、単数はbiscotto。ラテン語で“bis”は“二回”、“coctum”は“焼く”を意味します。「一回焼いて火を通し、二回焼いて乾燥させる。」この食べ物は長旅、特に戦争をするときには不可欠のものとなったはずです。小麦粉とアーモンド、あるいは松の実、ひょっとしたらクルミを使った可能性が考えられます。松の実とクルミは油の回りが早いからアーモンドでしょうか。ローマ帝国は突然に崩壊しますから、文化の継承、発展はありませんでした。ルネッサンスを迎え、トスカーナで地元のワイン、vin santo と一緒に供されるまでは。

ところでイタリアでは“ビスコッティ”とはカリカリした、丸い、四角い、クッキーを指します。北アメリカや日本でいうところのビスコッティはイタリアでは“カントゥチーニ;cantucci ”と言います。

 

アントニオマッテイが1858年にビスケット工場、店舗をプラート(イタリア共和国トスカーナ州北西部の都市)を開きました。

https://www.foodscovery.it/foodheroes-magazine/biscottificio-mattei-prato/ から

 

    

 

プラートで初めてのビスケット工場( Biscottificio Antonio Mattei )で、その看板の下にカントゥチーニの工場( Manufacturers of cantuccini )と書かれていたのです。その結果、cantuccinibiscuitsの名が関連付けられて記憶に残り、名前に混乱が生じました。

 

現在公表されている上の絵では正面、真ん中にカントゥチーニの工場( Fabbricante di Cantucci )とあり、その下にクッキーとその他( Biscotti ed Altri Generi )の文字が見えます。

余計にわからなくなったでしょうか?

 

そうそう、以前ビスコッティ・サヴォイアルディについてお話しましたよね。あれもビスコッティですから。「イタリアではクッキーをビスコッティという」と関連付けて覚えて置いて下さいね。

 

さていよいよカントゥチーニのレシピに取り掛かろうと思います。




ビスコッティ

2019年04月29日 | 今月のお菓子

ビスコッティ 1

ビスコッティと言えば、「甘い、固い、保存食のような、旨味のない」という印象があって、作ろうと思ったことのないお菓子だったのですが。下にあるビスコッティを食べて、気持ちが変わりました。知人が、最近(ペンシルベニア州、ピッツバーグに住む)が買ってきてくれたものですが、特にこの下のものは、牛乳に浸して食べた後の後味が良いんです。正確に表現すると、牛乳と一緒に食べた結果「チョコレートヘーゼルナッツビスコッティ」が本来の味を発揮したということでしょうか。

ビスコッティというものは、「牛乳と食べると美味しいよ。」あるいは、「ヴィンサントと一緒に食べると美味しい。」といったものではなく、一緒に食べて初めて「ビスコッティ」という作品になる、という印象を深く受けました。

   

 

上の絵はBiscotti Brothersのホームページ;https://biscottibrothers.com/ から引用させていただいたものです。

 

のラベルはお土産に貼ってあったもので、左上にカロリーが明記してあります。上の写真では、ヘーゼルナッツが白い粒として見えていますが、お土産は、ヘーゼルナッツが細かい粒状に加工されてその姿はみえなくなっていました。見た目ではなく、味を重視して改良している点がいいですね。

 

ビスコッティについて少し調べてみることにしました。

古代ローマ時代にその起源があることに驚きました。

あのガイウス・プリニウス・セクンドゥス( Pliny the ElderGaius Plinius Secundus, AD 23–79 ) が「この食べ物は数世紀の間食べられることになるだろう」と自慢していたという程の、ローマ軍団の主食であったということなのだが。彼の著述のどこにその記載があるのか?見つからないのです。おそらく探し方が悪いのでしょうが。

アピキウスにそれに関連するであろう内容が見つかりましたので、そのまま引用しておきます。

 

[125] BOILED DINNER SALACATTABIA [2]

PEPPER, FRESH MINT, CELERY, DRY PENNYROYAL, CHEESE [3], PIGNOLIA NUTS, HONEY, VINEGAR, BROTH, YOLKS OF EGG, FRESH WATER,  SOAKED BREAD AND THE LIQUID PRESSED OUT, COW’S CHEESE AND CUCUMBERS ARE ARRANGED IN A DISH, ALTERNATELY, WITH THE NUTS; [also add] FINELY CHOPPED CAPERS [4], CHICKEN LIVERS [5]; COVER COMPLETELY WITH [a lukewarm, congealing] BROTH, PLACE ON ICE [and when congealed unmould and] SERVE UP [6].

 

[1] Read: Pandectes—embracing the whole science.

[2] Read: Salacaccabia—from salsa and caccabus—salt meat boiled in the pot. Sch. Sala cottabia; G.-V. cattabia.

[3] Sch. casiam instead of caseum.

[4] Sch. Copadiis porcinis—small bits of pork; List. cepas aridas puto—“shallots, I believe”; Lan. capparis; Vat., G.-V. id.

 

「絞った飲み物と漬したパン」というフレーズ (青色の箇所) が見つかりました。しかし考えてみると、それほど考えなくても分かることなのでしょうが、この頃のパンは、少なくとも1800年後半までは、パンには小麦の粒が、粉になり切れずに小麦粉の中に混じっていたのが普通ですから、何かに浸して食べるのが普通なんでしょうが。


つづく




クルミと玉ねぎのパン

2019年03月06日 | 今月のお菓子

今月のお菓子

 

クルミと玉ねぎのパン

     

  ドウを4つに分けて、丸くまるめるのが本来の姿ですが、朝食用に切り分けるにはこの方が均等にスライスできるのでこの形にしています

 

今月のお菓子というよりも、「今月のパン」というべきなのでしょうが。

教室でパンをやってほしいという声を以前にも耳にしていたのですが、先月にも伺う機会がありましたので、「クルミと玉ねぎのパン」をその候補の一つにしようと検討を始めました。 

「クルミと玉ねぎのパン」は、パンを作られている方は、「ああっ!あのパンのことかな?」とご存知だろうなと思えるほどに名の知られたパンです。

そう、あのジェーン グリグソン( Jane Grigson )が1971年に出した Good Things の中に収めたクルミのパンです。このパンのレシピはビアードさんのパンの本( Beard on Bread )の根田春子訳で知りました。1984年はこの訳本が出てから実に12刷に当たる年で、いかにこの本が人気があったかがわかります。そして1984年は、私がキッチンでこのパンを作り始めた年でもあります。 

実はこのパンのレシピは、ニュージーランドの料理家、リンディ ハワードが彼女の料理書; Good Enough to Eat1986年刊の中にも取り上げられています。 

このレシピに関心の目を向けたのは、84年以来ですから、実に35年ぶりということになります。このパンを作る際は、本ではなくレシピカードに書き写しておいた内容を見て作っていたので、元の本に戻って見直したことがありませんでした。

本を開き直して少し驚きました。何に驚いたかというと、ジェームズ ビアード、リンディ ハワード、根田春子のクルミパンに関する内容が少しづつ異なっていたことです。

 

彼らの出身国ではそれぞれに異なる度量衡を使っていたのが原因です。翻訳するために重さと量を自国の単位に換算した時に誤差が生じたようです。

アメリカはヤード・ポンド法、ニュージーランドは、1970年代以降メートル法に移行したはずなのですが、いまだに、1824年にイギリスの度量衡法による帝国単位(1824年制定)を使っています。日本は195911日より計量法によりメートル法を使っています。 

リンディ ハワードは上のような理由から自らの料理書の序で、帝国単位、米国慣用単位、メートル法の簡易換算表を入れていますが、計量する対象によって大きくその値が変動します。特に米国慣用単位であるカップ(Cup)はトラブルの元凶です。私もアメリカのレシピを見るときは、各材料毎にメトリックスの換算表を使っています。ところがこの換算表、1カップの小麦粉の重さを一応125gと決めているのですが、110gで作った方がいい味になったり、130gにした方がふっくらとしたパンになったりと決定的な数字では無いのです。皆様も今までにご経験のことでしょう。レシピを書いた方のカップへの粉の詰め方が、しっかりとしていたりふんわりとしていたりと一定では無いのがその原因でしょう。「それがアメリカ料理だよ。」と言われればその通りなのですが。

            

この本は、ペンギンハンドブック;1973年版です。1971年の初版は手に入りませんでした。内容は初版と同じようなのでこれを参考にしてこれから先を述べようと思います。 

本の項目は魚、食用肉と狩猟肉、野菜、フルーツ、デザートとフルーツに分かれています。「クルミパン」はフルーツの中のリンゴとマルメロ、グースベリー、レモン、プルーン、ストロベリー、クルミと分けられたクルミ中にありました。

料理書としては少し変わった分類ですが、本を読み始めるとその理由はすぐにわかりました。 

 

南ブルゴーニュの (材料で作る) クルミパン 

ジェーンは材料の紹介の前に、このレシピの中で使うクルミを次のような記述で紹介しています。 

ジョン・イーヴリン※がフランスに亡命中に心を寄せただあろうクルミの木は、1658年に彼がシルヴァ( Syva )の中で書いているように、ブルゴーニにたくさん植えられていた。又、良質の小麦の産地でもあったブルゴーニュにはクルミの木が60-100フィート毎に植えられており、小麦を寒さから守っていた。木は地面を温かく保ち、そのために地面深く入り込んだ根がすきの動きを妨げることはなかった。ここで紹介するパンはそのような作物で作りたいものだ。(ブルゴーニュ以北ではクルミの木はやせ細り、例えば、トゥーレーヌ( Touraine )では生のクルミはパンと、オーブンで温めて、塩とホワイトワインと一緒に食べている。) 

 

※   ジョン・イーヴリン( John Evelyn, 10/31/1620-2/27/1706、イングランドの作家、造園家、日記作者、同時代のサミュエル・ピープスの日記と共に、貴重な資料を残した。 )は1664年にシルバ( Sylva又は森林と木材の普及論; A Discourse of Forest-Trees and the Propagation of Timber )を刊行。

 

チャールズ1世やオリバー・クロムウェルの死、ペストの大流行、ロンドン大火などを体験している。王党派の軍に参加したため、イングランド内戦への関与を避けるために一時的に海外に避難した。樹木についての知識が豊富で、1664年に出版した Sylva( または A Discourse of Forest-Trees and the Propagation of Timber )では、急成長するイギリス海軍に材木を供給するために植林する地主を激励している。この本はイーヴリンの存命中にも版を重ね( 1670年と1679年 )、第4版( 1706年 )はイーヴリンの亡くなった直後に出版された。

 

         

 

 

材料;

 

強力粉              1 1/2 ポンド 

塩                  1/2 オンス 

砂糖                 1 オンス 

イースト              generous oz. 

温めた牛乳           3/4 パイント 

粗切りのクルミ             4オンス 

みじん切りのタマネギ          6オンス 

クルミオイル1/4 パイント又は溶かして冷ましたバター4オンス  

 

小麦粉、塩、砂糖を篩って温めておいたボールに入れる。イーストを1/4パイントの牛乳で溶いて粉の真ん中に注ぎ入れる。同時にクルミオイル又はバター戸残りの牛乳を入れる、ドウに弾力が出るまで焼く10分間練る。暖かい場所に約2時間(又は冷所に一晩)置く。クルミとタマネギを混ぜ込む。4つに丸めて、アブラを塗ったベーキングトレイの上に45分間休ませる。5番目の190℃で45分間又は、底をたたくと軽い音がするまで焼く。 

 

generous oz.は、そのどこかに数字が付いているはずなのだけれど。付いていない!? 

小麦粉に対する、イーストの量は一般的なパンでは2%までのはずだから。

膨れにくいプンパニッケルは 2%、ひきわりオートを使ったオートミールブレッドでは3.5%です。卵を 22% 使う Challah(ハッラー)で 3%、卵を 50% 使うブリオッシュで5.%です。イギリスではイーストの使用料が多いのか?と調べると、伝統的なイングリッシュクロスバンでも 5% 止まりですから、 generous oz.、、 少し多いけれども “1オンス(283)と少し“ を指すと思われます。 

 

似たような表現が他のレシピにないかと調べてみると、generous 2 oz. double cream という表現がありました。 

ここは1オンスと解して間違いないでしょう。底本以外では4ts14g2袋と記載されているので訳本よりも本当は少し多めの量と言えるでしょう。帝国単位をカップで置き換え、それを更にグラムで更に置き換える作業は少し無理があるようです。 

上のレシピをグラムで置き換えておきましょう。リンディのクルミパンを作る際の参考になさって下さい。  

 

材料;

 

強力粉               680g  

塩                14.1g 

砂糖                28.3g 

イースト              29-30g. 

温めた牛乳            427ml 

粗切りのクルミ            113g 

みじん切りのタマネギ          170g 

クルミオイル142ml又は溶かして冷ましたバター113g 

(イーストを30g使ったとして4.41%ですから無理な量ではないでしょう)





ガレットブレサン

2019年02月11日 | 今月のお菓子

ガレットブレサン 2


ガレットブレサンのためのブリオッシュのレシピを挙げておきます。レシピの種類は多いのですが、ここでは簡単な、時間を取らない方法を、とりあえず引用しておきました。手をかけた方法、味を少しでも良く、と思われる方は別の方法を後日このサイトで取り上げますのでそちらを参考になさって下さい。(サイトの主は "classique" と題していますが簡易方法です)

Brioche classique

https://www.academiedugout.fr/recettes/brioche-classique_6715_4 から

        

 

薄力粉           250 g

卵             2

バター           125 g

砂糖            30 g

塩              5 g

イースト          12 g

卵黄            2

 

方法;

1TBS にイーストを溶かし10分間置く。ボールに小麦粉、塩、砂糖を入れ、イーストを加える。卵を混ぜて、均一になるまで混ぜる。バターを少しづつ混ぜる。

布を被せ、室温で2時間置く。粉を打ったボードの上にドウをおいてガスを抜く。

6つに分けて丸める。バターを塗って粉を打った型の中に入れて湿った布を被せて室温で1時間寝かせる。

卵黄と水を混ぜて表面に塗る。190℃で25分間焼く。

(このサイトでは薄力粉;T45 を使っていますが10% 程度強力粉を入れた方がいいかも知れません )


ブリオッシュの生地を、ピザを作る時のように形作り、室温で1時間寝かせます。クレームエペを入れてその上に砂糖を振りかけます。160℃で30分間、または230℃で8-10分間焼きます。

      

                  https://www.france-voyage.com/gastronomie/galette-bressane-301.htm から

 

 

 

   

 



ガレットブレッサン

2019年02月08日 | 今月のお菓子

ガレットブレッサン 1

        

    

https://www.cookomix.com/recettes/galette-bressane-thermomix/ から 

ガレットブレッサン( Galette bressane )は、フランスの南東のブレス Bresse 地方のガレット Galetteです。ブリオッシュ生地を薄く丸く延ばし、中にクレームエペ( crème épaisse )を流し込み。その上に砂糖を振って焼いたお菓子です。バターと小麦粉とクリームと砂糖だけで作る、素材で食べるお菓子です。

「今月のお菓子」にこのガレットレッサンを入れようと思い、調べ始めました。

 

まづ最初に、Crème fraiche, crème épaisse, crème liquide, crème fleurette, pasteurisée, UHT, etc., comment s’y retrouver ? という疑問を解決しておかないといけません。フランスに住んでいれば誰でも知っていることなのでしょうが。

Crème fraiche は液状の発酵サワークリーム(脂肪分10-45%、ph4.5)を指します。乳酸菌を入れて作った乳製品です。

crème fleurette は乳脂肪分30%以下の、乳酸菌を入れていない、いわゆる生クリームを指します。

crème épaissecrème fermentée は生クリーム(約30%乳脂肪分)の中に乳酸菌を入れて18-24℃で培養したもので crème fermentée の方がやや硬めです。 

以下、殺菌方法については日本とほぼ同じで次のようになっています。

La pasteurisation65 & 85 ° C20 秒間加熱しその後冷ましたもの。

La stérilisation115 ° c20 分間滅菌し、その後冷ましたもの。

La stérilisation UHT150 ° c0.2秒間殺菌しその後冷ましたもの。

 

クリームは新鮮さが命ですから、クレームエペは自分で作るしかないようです。

    

https://culinaryalchemist.blogspot.com/2011/07/fraiche-perspective-creme-fraiche.html に作り方が出ていましたので一部分を引用しておきました。上のサイトを開けば出てきますので活用してください。市販のクリームフレーシュを使った方法ですので念のため。バタークリームにしろクリームフレーシュにしても、要するに乳酸菌を入れるとよいわけで、あまり気にすることはないでしょう。それよりも乳脂肪分に気を配る必要があります。乳脂肪分30%の約1リットルの生クリームの中に45mlのクリームフレーシュを入れて18-24℃で培養すれば出来上がりです。

 

Crème Fraîche 

1 pint pasteurized Heavy Cream (should be over 30% - preferably 36-40%)
3 TB Crème Fraîche
1 Mason Jar
1 lid for the Mason Jar
1 warm spot to let is set and ferment (65-75 degrees)
Patience



つづく


ガレット デ ロア

2019年01月02日 | 今月のお菓子

ガレット デ ロア 1

今月のお菓子は ガレット デ ロア です。

 

   

 上の ガレット デ ロア はフランス流に少し「薄め」です。生徒さんから薄いと言われたので念のため申し添えておきます。


ガレット デ ロアについて述べようとすると、古代ローマにまで遡らなければならないようです。これはほかのお菓子には見られない特異な例です。他のお菓子とは違う特別の理由がありそうです。

 

古代ローマでは、サートゥルヌス神(農耕神、時の神)を祝ったサートゥルナーリア祭(Saturnalia;農神祭は、1217日から1223日まで(ローマ暦およびユリウス暦で)を開催していました。

その期間、紀元300年頃は、大きな、太陽に似せた、金箔を貼ったケーキを作ったそうです。奴隷が一日だけご主人になって食事をすることができたといいます。間違ってはいけないが、このころの奴隷は今の感覚でいうところの奴隷ではないことです。すでにローマ帝国は滅びの時代に入っていて、ちょうど今の時代に似て、ゲイもいれば、性倒錯者もいる。それらの人々が市民権をもって大っぴらに大通りを闊歩している時代です。もちろんローマ市民よりも金持ちの奴隷もいれば、ローマ市民を束ねてこき使っている奴隷もいる。なんでもありの時代です。学校の先生も奴隷ならば、お巡りさんも、辺境の地を守る兵隊さんも奴隷です。お手伝いさんも、料理人も、ローマ市民以外は奴隷です。そんな中でサートゥルナーリア祭の日には、奴隷がご主人になって(正確に言えば、ご主人役になって)、料理を食べたのです。しかしがんとした、社会の底流を流れる決まりは守られていました。奴隷が料理を食べた後には、その頃を見計らってご主人の料理は別に奴隷が用意していたのです。

 

古代ローマ時代に書かれた料理書、アピキウスの中にサートゥルナーリア祭に作ったというケーキが紹介されていますので、ここに引用しておきます。プラセンタという名のケーキです。名前から平たい円盤状の形を思わせます。焼いた石の上で焼いたオムレツ、ホットケーキ様のものという説明がありました。



ガレット デ ロア 2 

マルクス・ポルキウス・カト・ケンソリウス( Marcus Porcius Cato CensoriusBC.234-149,共和政ローマ期の政治家 ) の農業論(Cato: De Agriculture, BC.160 )の中にもサートゥルナーリア祭のことが取り上げられています。「サートゥルナーリア祭とラレースの祭り( Lares Augusti、5/1)の日には一人当たり3 1/2 congii ( 3.4 L ) のワインが支給された。」とありました。 

サートゥルナーリア祭とは、12月末にかけて、年間の農業労働が終わった季節に、一種の収穫祭として祝われ、奴隷とその主人がこの期間だけ表面上役割を入れ替えて振舞ったのです。繰り返しになりますが、ローマ社会では奴隷はいなくてはならない存在で、いなければ社会が成り立たなかったのです。 

この日は、奴隷にとっては一日だけですが、"king of a day" ( 一日限りの王様 )であったわけです。 

ローマ人は太陽のように金色の大きな丸いケーキを作っていたのですが、300年末になると教会はこれらの異教徒の祭りを禁止し、400年になると教会は(16日)のエピファニーの日、即ち公現祭;キリスト教的な祭典(ミルラ、香、金の3つの贈り物を持ってきた三人の賢人、メルキオル、ガスパードとバルタザールの訪問を記念する日)に置き換えたのです。


        


マタイによる福音書から、

2:7 そこで、ヘロデはひそかに博士たちを呼んで、星の現れた時について詳しく聞き、

2:8 彼らをベツレヘムにつかわして言った、「行って、その幼な子のことを詳しく調べ、見つかったらわたしに知らせてくれ。わたしも拝みに行くから」。

2:9 彼らは王の言うことを聞いて出かけると、見よ、彼らが東方で見た星が、彼らより先に進んで、幼な子のいる所まで行き、その上にとどまった。

2:10 彼らはその星を見て、非常な喜びにあふれた。

2:11 そして、家にはいって、母マリヤのそばにいる幼な子に会い、ひれ伏して拝み、また、宝の箱をあけて、黄金・乳香・没薬などの贈り物をささげた。

 

遅くとも紀元85年ごろまでには成立したと考えられている新約聖書のマタイ伝の、上の内容に無理やりサートゥルナーリア祭で食べられてきたお菓子を結びつけようとしたのです。お菓子になんとも腑に落ちない名前(王様のお菓子)が付いているわけです。Galette de Roi Roi とは「誰のことなのか?」という疑問です。

お菓子の中のフェーヴがキリストをあらわしていてこの豆が王なのか、

それとも占星術師でヘロデに使わされた三博士のことを指すのか?

皆様はもうお分かりですよね。ご主人に代わった奴隷であることを。


ガレット デ ロア 3

        

 右手に鎌を持って、冬のマントで頭を覆うサートゥルヌス ( Sāturnus、ローマ神話に登場する農耕神 ) ポンペイのディオスクリの家のフレスコ画から、ナポリ考古学博物館蔵

 

英語名サターンは、土星の守護神とされるローマ神話の農耕神サートゥルヌスに由来しています。農耕が時を刈り取るという意味を持ち、農耕神、時の神として扱われていました。農作物の種を蒔く、草を刈る、収穫するなどの農作業には時を正確に知ることが重要であり、農耕神は時を司る神としても扱われたのでしょう。

 

サートゥルヌスを祭る神殿は、国庫、法文や元老院決議が保管されるなど、政治的にもきわめて重要な神殿で、サートゥルヌスの祝祭はサートゥルナーリア(Sāturnālia)と呼ばれ、毎年1217日から7日間執り行われました。その間は、奴隷にも特別の自由が許され、楽しく陽気に祝ったようです。

 

お話は変わりますが、ミトラス教徒は太陽神ミトラスが冬至に(短くなり続けていた昼の時間が冬至を境に長くなっていくことから)「再び生まれる」という信仰をもち、冬至を祝ったのです。

      

マリノのフレスコ画から;ミトラと生贄の牡牛。流れる牡牛の血は生命、地球を肥やす動物を意味しています。

 

農耕、時間を司るサートゥルヌスは一体何に由来しているのでしょう。ギリシア、ローマ時代を支配したミトラ教に基づくようです。太陽神ミトラスを主神とする密儀宗教(ミトラ教、Mithraism)についてはよく分から無いことばかりです。それは、後にローマ国教となったキリスト教がミトラ教を徹底的に破壊したのが理由のようです。ミトラの記憶が消されたのです。

 

コンスタンティヌス1世がキリスト教を公認し(313年)、死に際してキリスト教の洗礼を受けて以降、ミトラス神殿がキリスト教徒によって襲撃されました。オスティアの神殿、ローマのサンタ・プリスカ教会の地下から発見された大神殿などには破壊の跡が残っています。

 

信仰に対する強制力を待たない、言葉を換えれば、政治性を持たない、自然をあがめることだけで成り立っている宗教は非常に脆いところがあります。世界中のかつてのどの宗教を見てもそう言えるでしょう。今の時代は、ケルト、アイヌ、アメリカインディアン、アボリジニーが心の内に感じていた自然を崇める姿勢を再び、少し形は変えてはいますが、回帰しようとしているように感じます。

 

キリスト教は十二使徒を、十二星座の代わりに夜空に振り分けようとしたのですが、自然、特に星座を頼りに生活をしている人達、農夫、航海士、旅人達に受け入れられることはありませんでした。キリストの誕生を12/25に決め、冬至の日を境に長くなる昼間の意味にその誕生を結びつけようという企みは脆くも崩れたのです。少し言い過ぎかな? しかし支持されなかったことは事実でしょう。夜空にはメソポタミア起源のみずがめ座、ふたご座、しし座などの12星座が輝いています。

サートゥルナーリアを公現節にすることには、かろうじて成功したようですが、Galette de Roiの「王様」とは誰のことなのかまでは説明がつかなかったようです。

言い忘れていましたが、マタイ伝はおおよそ紀元85年ごろに書かれたといわれていますので、キリスト教は250-300年かけてその内容を公に認めさせたということができるでしょう。














ティラミス

2018年12月18日 | 今月のお菓子


ティラミス

      

今月のお菓子は「ティラミス」です。

 

ティラミスは、ヴェネト州、トレヴィーゾにある、リストランテ、アッレ・ベッケリエ(Alle Beccherie)の料理人ロベルト・リングノットと、女主人アーダ・カンペオルが1960年代頃に考案したと言われています。女主人の妊娠中の赤ちゃんに少しでも元気がでるようにと料理人がティラミスを考えだしました。このドルチェを世に広めたのが、その時お腹の中にいたアーダ・カンペオーレです。日本には1990年代に入ってきました。

オリジナルのアッレ・ベッケリエのティラミスは、ふわふわっとしたティラミスではなく、ドッシリとした、しっかりした食感です。

 

アッレ・ベッケリエのオリジナルレシピをご紹介しておきましょう。

https://www.time-to-lose.it/la-marca-trevigiana-treviso-eventi-gioiosa-amorosa/treviso/la-vera-storia-vera-del-tiramisu-e-della-sua-autentica-originale-ricetta.html から 

   

 

卵黄             6個

砂糖             150

マスカルポーネ        500

サヴォイビスケット      30

エスプレッソ        250ml

カカオパウダー        15ts

 

1.卵黄を泡立て、次に砂糖を加えます。マスカルポーネを混ぜ合わせてクリーム状にします。

2.スプーンを使ってサヴォイビスケットにエスプレッソをかけ、ビスケットを並べます。

3.マスカルポーネクリームの半分の量を、ビスケットの上に塗ります。

4.エスプレッソをかけたビスケットをその上に乗せて、残りのクリームで表面を覆います。

5.6℃以下の冷蔵庫で一晩以上冷やします

6.提供する前にカカオパウダーを振りかけます。

 

妊婦のために作ったお菓子ですから、栄養のある刺激の少ないレシピであったはずですが、息子のカンペオーレはモスカート・ダスティ(Moscato d'Asti;アルコール度数4.5-6%、ピエモンテ州、ランゲ地方のワイン)、またはトレヴィニャーノのヴェルドゥッゾ種から作った甘いデザートワインラマンドロ(Ramandolo;完熟したブドウを樹につけたまま、あるいは摘み取った後、グラティッチと呼ばれる棚で乾燥させ、糖度を高めてから560日かけてゆっくり発酵させている。アルコール度数は14度。)を使うことを推奨しています。

商売を重視してのレシピといえるでしょう。本来のレシピではアルコールは入っていなかったでしょうし、砂糖の量ももう少し少なかったのではと思われます。卵黄は、本来は、栄養を考えてのものですが、しっかりと冷蔵庫に保管する事が必要です。

 

イタリアのティラミスのレシピを見ていて気になったことは、イタリアには上とは異なる内容のティラミスがあることです。ザバイオーネを使ったティラミスです。

卵黄、砂糖、アルコールを使ったねっとりとしたデザートと言えば、ザバイオーネを思い浮かべます。マルサラ、ラム、ブランデーなどを混ぜたマスカルポーネクリームもあるので、うっかりすると,もともとティラミスにはアルコールが入っていたのではと思ってしまいます。

本来のティラミスとは言えませんが、ザバイオーネを使ったレシピは中々のものではないかと思っています。

 

それと言うのも、19909月には、液卵内に潜んでいたSalmonella Enteritidis による、広島市を中心に19県に及んだ458名の患者を出したティラミス食中毒事件が起きているからです。

http://idsc.nih.go.jp/iasr/CD-ROM/records/12/13105.htm  参考

80℃で卵黄を加熱するザバイオーネを使っていれば、このような食中毒事件は起こっていなかったはずです。液卵中に潜むサルモネラ菌は70℃以上で加熱すれば10秒以内で死滅します。82℃で固まり出す卵黄をその下の温度である80℃まで加熱すれば安心して食べることができます。

 

余計なおせっかいでしょうが、生クリームや、卵白、卵黄を泡立ててマスカルポーネの中に混ぜ込んで増量したお菓子はティラミスとは似て非なるものです。素晴らしいお菓子にはそれなりの目的があったはずです。ご自分で新たなレシピを生み出すのであれば、本来の意味をくみ取ってレシピを組み立てることが大切です。単に真似ただけのものには発展性もなければ、将来性もありません。単に新しいものを追っただけの、目を引き付けるための、あえて言えばお金儲けだけが目的のお菓子になってしまいます。今回のコメントは少し辛口だったでしょうか?


ザバイオーネのレシピとその応用レシピをご紹介しておきます。参考になさって下さい。

https://www.bbc.com/food/recipes/poached_peaches_with_69782 から 

 

ザバイオーネとモモのポーチ

  

  Zabaglione is an Italian custard, served here in layers with poached peaches and crushed amaretti biscuits. Delizioso!

  

材料;

 モモ             3

 砂糖            3TBS

 レモンバーベナ       ピンチ

 卵黄             5

 マルサラ           30ml

 砂糖             5TBS

 アマレッティビスケット 

 好みのワイン

  

方法;

 モモを煮る;大きなポットに湯を沸かす。 氷水を用意する。モモを湯の中に約1分間入れる。すぐに氷水の中に入れてモモの皮を剥く。種を取り、一口サイズに切る。鍋に入れてそこに水を150ml、砂糖、レモンバーベナを入れる。落し蓋をして、弱火で8-10分間モモが柔らかくなるまで煮る。

 ザバイオーネを作る;卵黄、砂糖、マルサラをボールに入れて混ぜる。湯煎にかけてクリーム状にする。

 ビスケットをクラムにして容器の中に入れ、モモをその上に入れる。クラムを入れる。モモを入れる、その上にザバイオーネを入れる。砕いたビスケットを上に飾る。


ザバイオーネはイタリアとフランス以外の国ではあまり知られていませんが、なかなか応用範囲の広いクリームです。上のレシピではアマレットとモモを使っていますが、ストロベリーやラズベリーをのせたものもよく見かけます。軽い口当たりのビスケットやクッキーとの取り合わせもいいものです。

上のレシピでは、マルサラ酒を、卵黄と砂糖と一緒に入れて加熱していますが、アルコールを気にしない、あるいはちょっとあった方がいいという方は、卵黄に熱が入った後で入れるのも一考です。クリームは冷ましてから入れ物に入れるのですから、その頃にはアルコールは大部分が空気中に飛んでいるはずです。 





ラティスパイ

2018年09月12日 | 今月のお菓子

ラティスパイ

 

9月は「あなべるお菓子教室」の新年です。2か月の休みを終えて、明日から始まります。今月のお菓子はラティスパイです。半年余りをかけてやっと出来上がりました。難しかったのは、やはりクラストです。「焼いても縮まない」しかも「食べておいしい」は、長年の思いでした。サイトで見かける形のいいクラストは実際に焼いて食べてみると、満足のいかないものでした。


  


このパイは改良を加えた「生地」で作ったものです。なんの変哲もないクラストのように見えますが、焼き縮がないことに気づかれることでしょう。このクラストを使って色々な模様をパイの上に張り付けていきます。2日後に新しいパイをお目にかけましょう。(フィリングは夏のこの時期に手に入るプラム、プルーン、ネクタリンなどです)


この画面で後の記事を続けます。


つづく。


今日がその画像をアップする日です。気温が高くてドウがきれいに切れません。又の日に再挑戦することにしました。




 


ラティスパイ

2018年07月18日 | 今月のお菓子

ラティスパイ

   

 

   

 

ラティスパイを作ってみました。上が生の、下が焼いた後の写真です。

素直な感想を言うと、「人真似はやはり駄目ですねえ。」

http://ourdeliciousfood.com/pie-world からのアイデアをいただいて、マネて作ったのですが形はもう一つ、味はお話にならない結果でした。

お菓子を作っていて、気持ちが進まないのが一番の失敗の原因です。楽しくない、作っていて気持ちが滅入ってきました。とりあえず、失敗作を残しておいて、この先どこまで先に進めるのか楽しみです。

明日から、最初からやり直そうと思っています。

 

『マネをしたものは、いかに優れた者が作ったにせよ、先人の80%のものしか受け継ぐことはできない。』とはいつも口に出して言っていたことだったのに。   Really Shame things !!

 

 


クッキーの金型

2017年11月22日 | 今月のお菓子

クッキーの金型作り


   


先日、ラッティスパイの金型作りに困っていたら、口に出して喋ったわけでもないのに『最近はアイシングクッキーが流行っていて、クッキー金型を自分で作るサイトがありますよ。』とお菓子教室の生徒さんが ” 優しく “ 教えてくれました。「教えてくれてありがとーっ!!」

来月のお菓子は、「Zimtkuchen」なので早速作りました。道具と材料、それに方法がわかっていればすぐに、思ったものが作れます。「うれし――いいっ!!!」

凝った形の金型も、これを契機に作れそうです。



次回は ” 凝った金型 " をご紹介できればと思っています。



最近のラティスパイ

2017年11月06日 | 今月のお菓子

最近のラティスパイ 

最近活力をもらったものに「ラティスパイ」があります。SNSで広まっているとか?「あなべるお菓子教室の生徒さん」が情報を下さった。こういう情報は本当に嬉しい!! 久しぶりの目新しい刺激だったので、早速真似て作ってみました。それが下のパイクラストです。星形の?少しいびつな、ラジオペンチで金型を大小2つ作って生地を切り抜きました。

     

これを焼いたのが次の絵です。一回目にしてはまあまあかな。こういうお菓子は見かけだけで味がもう一つなのがよくあるパターンです。「そこをどうするか」が腕のみせどころです。評判が良ければ次回のお菓子教室のクールに入れようかな?と思っています。

    

 

かつては焼くと大きく変形するのが常だったパイペイストもここまで改良されたのですね。

 

 

 


今月のお菓子

2017年04月01日 | 今月のお菓子

フィヤドーネ Fiadone

 

今月のお菓子「フィアドーネ」はコルシカ島で11月中旬から6月中旬にかけて羊又は山羊の乳を材料にしたフレッシュチーズチーズ(ブロッチェ:brocciu)で作るお菓子です。このチーズを日本で手に入れることはできますが、新鮮なチーズの風味を遠く離れた日本で、そのままの状態でお菓子に使うことは難しいようです。今のところブロッチェを使ったフィアドーネをどうしても召し上がりたい方は、コルシカ島へ11-6月の間に行くしかないようです。

舌にまつわりつくような滑らかさで深い味わいのあるお菓子。フィアドーネを何とか再現したくて「今月のお菓子」にしました。それもクリームチーズを使って。

フランスではブロッチェ、卵、砂糖、卸したレモンの皮、レモンジュースを混ぜてフラン型に入れて焼いていますが、イタリアではタルト生地の中に入れて焼いています。ここではフランスのサイトから4レシピを引用させていただきました。

 

 

http://www.supertoinette.com/recette/1840/fiadone-de-corse.html から

 材料:

ブロッチュ ( brocciu or bush:コルシカ島の羊ミルクのフレッシュチーズ )500 g
強力粉          50 g  (flour T65)
レモンの皮          3 g

砂糖           180 g

卵           320 g

塩          0.7 g

バター(型)      15 g

 

方法:

レモンの皮を半分卸す。ボールにチーズを入れる。

 2分間混ぜて卸したレモンの皮。砂糖、塩を加える。 

2分間混ぜる。バターを型に塗って40分間焼く。

冷蔵庫で3日間保存できる。クリーム、ソース、アイスクリーム、フルーツサラダを添えてサーブする。温めても冷えていてもよい。

 

 

http://www.recettes-corses.fr/recipe-items/fiadone-corse-au-citron から

 材料:

ブロッチュ            500g

砂糖               100g

卵                5 個

レモン              半分

liqueur myrtle or classic brandy  2TBS

 

方法:

1. オーブンを180 °Cに用意する。
2. ブロッチュをボールに入れてなめらかになるまで練る。
3. レモンピールを細かく刻んでブロッチュと混ぜる。
4. 卵、砂糖、少量のレモンジュース、ミトルリカーを2TBS入れて混ぜる。
5. レモンの皮を入れて均一に混ぜる。
6. 焼く。 

 

http://www.elle.fr/Elle-a-Table/Recettes-de-cuisine/Fiadone-gateau-corse-1107395# から

 材料:

ブロッチェ                    400 g

卵                         6個

砂糖                       150 g

レモン                       1 個

ギンバイカのリキュール又はベルガモットクリーム   ―


方法:

 1. 1時間前に卵を冷蔵庫から出す。

 2. オーブンを180℃にする。

 3. レモンを洗い、皮を卸してジュースを絞る。

 4. 卵黄をボールに入れて砂糖と一緒に白っぽくなるまで混ぜる。ブロッチェを入れ 

      て、皮、レモンジュースを入れる。Pour 1 or 2 c. Coffee liqueur.


5. 塩を1ピンチ入れて卵白を固く泡立てる。4.と混ぜる。

6. バターを塗ったパン入れて約30分間焼く。きつね色になったらアルミホイルをかぶ

     せる。

7. フィヤドーネを冷ます。

 

 


http://cuisinedamour.unblog.fr/2015/01/02/fiadone-ou-lemblematique-gateau-corse-au-brocciu/ から

 材料(4人分)

卵                      3 個

レモンの皮                  ―

ブロッチュ                  300 g

粉糖                     95 g

型のバター                                                           ―

 

方法:


卵、ブロッチュ、砂糖を混ぜる。レモンの皮を加える。型にバターを塗って170℃で30-35 分間焼く。

 

ブロッチェだからこそ、これらのレシピで作っても滑らかな舌触りが生まれるのでしょう。

砂糖の代わりに粉糖を使う、卵白を泡立てるだけでは、ブロッチェの代わりにクリームチーズを使うことはできません。フィリングをすべて裏ごししてもブロッチェの滑らかさは生まれてこないでしょう。どうしたらいいのでしょう。中々考えがまとまりません。

ここで頭をかすめたのが、イスラム世界での砂糖を扱う術です。1850年頃まで西洋に比べて文化の優位性を保っていたその残像は今でもイタリア、ポルトガル、スペインのレシピの中に残っているはずです。時間がかかりましたが見つけることができました。日本にカステラや鶏卵素麺をもたらしたポルトガルの料理の中に、優れた砂糖のレシピが残っていました。ご満足いただけるとうれしいのですが。

 

 

 


ルバーブ

2016年10月28日 | 今月のお菓子

ルバーブ( Rhubarb

  

下の絵はイギリスのプデイングクラブ ( The Pudding Club ) が出したGreat British Puddngs からの引用;ルバーブハット( Rhubarb Hat ) です。今までにこんなにきれいな、こんなにもルバーブの色を生かしたお菓子を見たことがありません。

 

 ピンク色のルバーブはおそらく試作を何度も繰り返して生まれたに違いありません。

それというのも、ルバーブに火を通すと赤いルバーブはあくまで赤く、緑色のルバーブはあくまで緑色だからです。どちらでもないところを使うと茶色になってしまうからです。

普通緑色のルバーブは夏に、赤いルバーブは冬の初めに収穫されます。夏はかなり酸っぱく、秋はやや酸っぱいルバーブになります。長い間日本では赤いルバーブが手に入りませんでした。ここ2-3年やっと念願の赤いルバーブが手に入るようになりました。

上のようなピンクのプディングが作れるのももうすぐでしょう。写真のあまりのきれいさに、そして「あなべるお菓子教室」では来年は真っ赤なルバーブストロベリークーヘンを予定していることをお伝えしたくてブログを起こしました。今日から二週間はリビングとキッチンをリノベーションするのでしばらくブログはお休みさせていただくことになります。しばらくお待ちください。


シュトレン~ルムトプフ

2016年08月07日 | 今月のお菓子

Rumtopf『今年11月の「あなべるお菓子教室」ではシュトレンを作ろうと思います。』 と、3月にお話をして、ルムトプフについて少しお話をしたと思うのですが、詳しい内容には触れていなかったように記憶しています。そこで今回は画像も入れて、もう少しお話ししておこうと思います。 7, 8 月は例年通り、お休みですのでこの BLG をご覧になっている方もおられるのではと思っています。時間のある時に読んでください。後ろの方にルムトプフの活用例も挙げておきました。

 

http://homegrown-revolution.co.uk/uncategorized/rumtopf-recipe/から引用しました。  

ドイツ北部とデンマークの国境にあるフレンスブルク ( Flensburg ) は18世紀にカリブ海にある小アンティル諸島 ( 当時はデンマーク領 ) とのラム酒貿易で栄えて、ここからヨーロッパ大陸に向けてラム酒が運ばれました。 ( ラム酒について詳しいことは「負の世界遺産~三角貿易」をお調べください。)

そんな理由からドイツ北部では、春の終わりから秋の始まりの間に出回る新鮮な果物をラム酒の中に砂糖と一緒に漬けた保存食、「ルムトプフ」が生まれました。果物を入れた甕の中が常に50数パーセントのアルコール濃度になるように、果物に含まれる水分を考慮しながらラム酒を入れます。私の場合はマイヤーズラム(40%)とロンリコ151(75.5%)を入れています。(銘柄は問いません)。

 

ルムトプフのジャー

アドベント ( Advent ) とは、「キリストの到来」を意味します。クリスマスまでの4週間は週ごとに待降節第一主日、もしくは降臨節第一主日、その後、第二、第三、第四主日と呼んで、イエス・キリストの降誕を待ち望む期間です。第1アドベンド(クリスマスの4週前の日曜日)に開封したルムトプフは、お酒の方は男性に振舞われ、中のフルーツは女性がシュトレンやパウンドケーキなどに使います。アドベントには、ロウソクを4本用意し、第一主日に1本目のろうそくに火をともし、その後、第二、第三、第四と週を追うごとに火を灯すろうそくを増やしていくという習慣があります。また、ドイツでは主日ごとにシュトレンを薄く切り、食べて祝います。このシュトレンの形と、砂糖でおおわれた外見は、幼子イエスが純白のマントでくるまれた姿に由来すると言われています。

下の絵はhttps://commons.wikimedia.org/wiki/Advent_wreath#/media/File:Adventn%C3%BD_veniec_I..jpg から引用しました。

リースに四週目の火が灯されました。クリスマスはもうすぐです。

 下の2つの絵はアドベントを祝うためのカレンダーです。1から24までの小さな靴下は子供のために用意したもので、小さなお楽しみが入っています。

 

 http://www.ebay.de/sch/Adventskalender/156813/bn_817566/i.html から引用しました。

 

キリスト生誕にまつわるお話は、聖ルカ伝1.26-56,2.1-40,マタイによる福音書1.18-23に書かれているので知りたい方は参照してみてください。( Die Weihnachtsgeschichte der Bibel nachlesen in Lukas 1,26-56, Lukas 2,1-40 und Matthäus 1,18-23. )

https://christlicheperlen.wordpress.com/2015/08/25/adventskalender-aus-streichholzschachteln/ から引用しました。 

このカレンダーは今では珍しい、少し宗教色を帯びたカレンダーです。日ごとに聖書の中に書かれた物語が描かれています。24日はもちろんキリストの誕生です。

 

さて、ルムトプフのレシピを紹介します。

 

材料: 

果物1に対して砂糖を1/2 瓶に入れます。

果物が被るようにラム酒を注ぎ入れます。 4月から初めて10月まで、その時々の旬の果物を入れていきます。ただし、柑橘類とリンゴは伝統上入れないことになっています。

バナナなど砕けるもの、スイカなど水分の多いものなどは入れません。本物をご覧になったことはほとんどの方はないでしょうから、壺の中に入れる果物を挙げておきます。

 ストロベリー、ラズベリー、レッドカラント、グースベリー、パイナップル、チェリー、アプリコット、ネクタリン、ピーチ、洋ナシ、プラム、葡萄、ブルーベリー等。

 種、皮,芯をとるものは取って適当な大きさに切って入れます。蓋をして冷暗所に保存します。ビンの中のアルコール濃度に気を付けて、常に50%以上が保てるように気を配ります。

フレンスブルグは、かってはデンマーク領であったと言いました。それならばデンマークのルムトプフのレシピにも触れないわけにはいかないでしょう。

http://www.gamledanskeopskrifter.dk/page94.html から、 

Sønderjysk Rumkrukke ( レェムコシュと私には読めるのですが間違っているかも知れません) 

Opskrift

Rumkrukkeはストロベリーの季節に始まる。特別の美味しいジャムを作るのであればラム酒を1/2瓶用意するとよい。ユトランドではストロベリーの季節になれば4リットルの石甕を用意し、ソーダできれいに中を洗って準備する。

材料:

ストロベリー           1/2kg

ラズベリー           1/4kg

レッドカラント            1/4kg

ブラックカラント           1/4kg

グースベリー            1/4kg

プルーン             1/4kg

ペア               1/4kg

ラム (ふつうのアルコール度の)   1/2瓶

総計1700gの砂糖(果物の3/4)、を用意する。きれいに洗って乾かしたストロベリーと375gの砂糖をジャーの中に入れる。よく混ぜて一晩置く。又混ぜてラムを入れて冷所に置く。果物を入れるたびに果物の3/4の重さの砂糖を入れる。果物を入れるたびに中を混ぜて冷所に保管する。Rumkrukkeが必要となる数週前に果物を入れるのを止める。 

http://www.coolinarika.com/recept/voce-u-rumu-ili-rumtopf/ から、

ボスニアでは;

Sastojci:30 dag voća (jagode, trešnje ,maline,višnje)

kako koje dolazi:

     10 dag šečera  

     2 dcl rum pravi bijeli kubanski ili 

     rum sa većim % alkohola (60-80%)

     tamna posuda a poklopcem ili 

     keramička posuda sa poklopcem

     ili tamna staklenka

     ili staklena boca veća omotana folijom

材料、方法;

ストロベリー、サワーチェリー、ラズベリー、チェリー各30gに対してホワイトラム ( 60-80% ) を56ml、砂糖を10gずつを密閉できるツボに入れます。

レシピによってアルコール度数を高くしたり、砂糖の量を多くしたりと工夫がそれぞれみられます。ルムトプフを実際に作ると「ルムトプフ」を考え出した人達の目的は、ラム酒を消費してもらうためだけではないように思われます。輸入果物と砂糖の消費をもくらんだものではと思えてきます。特に砂糖の消費量は半端ではありません。ただし大量の砂糖と高いアルコール濃度に守られた果物は途方もなく芳醇な香りを放ち、長期の保存が可能になりました。

 食べ方:

中に入れた果物はシュトレンに使うことはもちろんですが、パンケーキにのせたり、フルーツケーキの中に入れて使います。ホイップクリームやアイスクリームにのせていただきます。プディング、チーズケーキ、フランに添えて出します。 鹿、野鳥料理のサイドディッシュとして中の果物を提供します。

 https://mydanishkitchen.com/2013/04/01/rumtopf-romkrukke-rum-pot/img_1825ew/ から

お酒は漉して透明感を演出するのがいいでしょう。ラムトプフだとは気づかれないように新鮮な果物を添えるとクリスマスで来られたお客様を驚かすことができます。

http://www.dessertbycandy.com/2012/10/use-that-rumtopf.html#axzz4GnNAnhzL から

Sticky Rumtopf Cake

 

http://suddenlunch.blogspot.jp/2011/05/how-to-make-rumtopf-aka-rumpot.html から

Superb Icecream

上のサイトの中にレシピは書かれていませんが、写真を見るとアイスクリームの中にルムトプフを入れて固まらせているようです。