Annabel's Private Cooking Classあなべるお菓子教室 ~ ” こころ豊かな暮らし ”

あなべるお菓子教室はコロナで終了となりましたが、これからも体に良い食べ物を紹介していくつもりです。どうぞご期待ください。

ロイテリヨーグルト

2018年07月09日 | ヨーグルト

ロイテリヨーグルト 1

 

唐突ですが、自家継代しているヨーグルト(ロイテリヨーグルト)の味が少し酸味を帯びてきたようです。今朝食べたときに舌の先に今までとは違った酸味を感じたのです。( L. reuteriL. bulgaricusSt. thermophiles 3種類のヨーグルト菌を使った ) 今までに使っていたヨーグルト( R-1 ) ではなく、ロイテリヨーグルトの種を6/19日に継ぎ始めて今朝のヨーグルトが4回目のものになります。

St. thermophilus が出すギ酸のせいだろうか?この間どこかで読んだ、ギ酸の文字が頭の中を過ぎります。舌の先に酸味を覚えたときに、子供の頃、咬んだアリの味が蘇りました。

 

( ロイテリヨーグルトはL. reuteri DSM17938, L. reuteri PTA 5289株、ブルガリア、サーモフィルス菌を入れて作ったヨーグルトです。乳酸菌以外にはゼラチン、キシリトールなどが入っています。) 

                    

ヨーグルト菌、ラクトバシラスに関してこの際、頭の中を整理しておこうと思いました。疑問に思うことが乳酸菌に関して以前からあったからです。

 

フィルミクテス門( Firmicutes,グラム陽性細菌門)の下位に当たるラクトバシラス目( Lactobacillales ) の中にラクトバシラス属 ( Lactobacillus ) があります。

この中には他に、エンテロコッカス属 ( Enterococcus )、ラクトコッカス属 ( Lactococcus )、ペディオコッカス属 ( Pediococcus )、リューコノストック属 ( Leuconostoc )、ストレプトコッカス属(レンサ球菌属) ( Streptococcus )、ビフィドバクテリウム属 ( Bifidobacterium ) があり、生物活性で分類すると、次の性質があります。

 

グラム陽性

桿菌・球菌

芽胞を作らない

運動性はない

消費ブドウ糖に対して50%以上の乳酸を生成する

ナイアシン(B3)を必須要求する

 

ヨーグルト菌が作り出す産生物で分類すると、乳酸のみを作るホモ乳酸菌と、ビタミンC、アルコール、酢酸、ギ酸、葉酸など乳酸以外のものを乳酸と一緒に産生するヘテロ乳酸菌に分類します。

 

ストレプトコッカス属、ペディオコッカス属はホモで、ラクトバシラス属にはホモとヘテロが混在しています。( 環境によって双方の性質をもつことがあります。)

L. bulgaricusは通性ヘテロ乳酸発酵をしてペプチド、アミノ酸をSt. thermophilusに、thermophilusはギ酸をbulgaricusに供与しあって共に生きていく、いわゆる共生関係があります。

 

(以下は2015. Japan Society for Lactic Acid Bacteria から引用させていただきました。)をご覧いただくと興味深いことが解ります。

              

説明にあるように、共生とは言っても、二つの菌を同じ条件下で牛乳の中に入れるとSt. thermophilusの数がbulgaricusに比べ、急速に伸びています。

 

共生関係にある二つの菌を、もう少し観察時間を延長した、別の角度でながめた文献を次にご紹介しておきましょう。  

 

Microbes Specific to Yogurt;https://microbewiki.kenyon.edu/index.php/Yogurtから 

Microbial Interactions


  

 Fig 3. L. bulgaricus and S. thermophilus 間における相対密度関係 

 

L. bulgaricusと S. thermophilus間における抗生、共生関係を理解することはヨーグルトを作るうえで重要です。(抗生と共生は正反対の関係です。)二つの菌を一緒に培養するとそうでないときに比べ、香りと乳酸がたくさん作られます。( 図2.(A)の単菌培養のグラフでも明らかです。) 

赤線で示されたL. bulgaricusはS. thermophilusよりもタンパク質分解が高い一方、S. thermophilusは、特にアミノ酸のない牛乳の中ではタンパク質分解能が低いのですが、L. bulgaricusは少量のペプチドとアミノ酸(主としてヴァリン)をS. thermophilusのために提供し、その代わりに、S. thermophilusはL. bulgaricusの成長に必要なギ酸を提供する。このような共生関係によって単体で作るよりも早く乳酸を作り出すことになるのです。 

抗生現象は酸度がある一定水準を超えたときに起こります。S. thermophilusの成長が止まったときがその時です。L. bulgaricusは酸に対する感受性が低く、成長を続けるのです。培養3時間を超えたとき成長曲線は交差している( fig.3 ) 

‎ S. thermophilusはpHが4.2-4.4の間で成長が阻害される一方、 L. bulgaricus はpH3.5-3.8であっても耐性があるからです。( fig.3 )で示された成長曲線の理由がここにあります。培養温度と時間はコントロール下に置かれるべきであり、一定の結果が得られた生産物は速やかに冷却し反応を停止すべきです。 

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/chikusan1924/53/3/53_3_161/_pdfでは

 

 L. bulgaricusとS. thermophilusの共生関係が必ずしもあるとは言えないことを示す、貴重な意見が述べられています。いかに引用しておきます。

  

タンパク分解力が強ければ遊離アミノ酸が多量に蓄積され、S. thermophilusの代謝活性が高められ、したがって乳酸生産量、ギ酸生産量も増加し、ギ酸を必要とするL. bulgaricusの生育も好都合となる理屈であるが、 S. thermophilus 510タイプのS. thermophilusに対してはむしろ阻害的に働く可能性がある。実際、S. thermophilus 510はL.bulgaricus B5b ( 畜産試株 ) あるいはL, helveticus B-1との組み合わせでヨーグルトスターターに使用されているがが、独特の粘性で良好なテクスチャーをもたらす。この510の性質を生かすにはL. bulgaricus AY のようなタンパク分解力の強いL. bulgaricusよりもL.bulgaricus B5b のようなタンパク分解両区の弱い菌種との組み合わせが適していると考えられる。

  

このような事象はヨーグルトメーカーでは自明の理として当然扱われていることでしょうから、我々が四の五の言うことではないのですが、知っておいても無駄ではないでしょう。


ヨーグルト~タンドリーチキン

2016年07月16日 | ヨーグルト

ヨーグルト乳酸菌と効果、商品名 

 

http://おすすめ乳酸菌.com/%E7%A8%AE%E9%A1%9E/から絵を引用させていただきました。サイトを開くと楽しい絵の入った解説があります。

 

現在日本ではたくさんの種類のヨーグルトが市場にあります。世界中を見渡しても稀な国だと思います。「あなべるお菓子教室」では、売られているヨーグルトを使って簡単に家庭で作る方法をすでにお話してきましたが、この数年の間に5-6種類のヨーグルトが又新しく誕生しました。ネットで調べればすぐにわかることですが、各メーカー間の効果が比較しやすいように新製品を追加して一覧表にしました。マーケットで新しくヨーグルトを選択する際の参考にしてください。

 

            乳酸菌名                    効果                     商品名 

 

 

 

          ガゼリ菌 SP株                     内臓、皮下脂肪                        ナチュレ恵

 

          LB 81 乳酸菌                     皮膚機能の改善                   ブルガリアヨーグルト

 

          BB 536                                  花粉症                             森永ビヒダス

 

          カゼインシロタ株                       発がんリスク                       ヤクルトソフィール

 

          ガゼリLG 21                                     ピロリ菌                     明治プロピオヨーグルト

 

          ラムノーザス LGG                 便秘、インフルエンザ                   タカナシ LGG

 

          ビフィドバクテリウム HN019    抗アレルギー       ルナバニラヨーグルト

 

          ビフィドバクテリウム BE 80           便秘                                    ダノンビオ

 

          L-55                                     整腸作用                              オハヨー乳業

 

          ビフィズス菌 LKM 512           アトピー、腸の老化                          メイトー

 

          ビフィズス菌 Bb-12                       便秘                    十勝プレーンヨーグルト 四つ葉, 小岩井

 

         OLL 1073R-1                            インフルエンザ                            明治R-1

 

       クレモリス菌FC株                            コレステロール                    フジッコカスピ海ヨーグルト

 

         乳酸菌PA-3 株                               痛風                               明治PA-3ヨーグルト

 

         プロバイオティクス乳酸菌                     便秘                              グリコ ヨーグルト健康

 

         ラクトバチルス ブルビスemsp;       便秘          カゴメ植物性乳酸菌ブルビス      

 

 

 

カスピ海ヨーグルト、ラクトバチルス ブルビスなど植物由来の乳酸菌 ( 植物性乳酸菌ではありません ) はほかの乳酸菌 ( 動物由来の乳酸菌 ) とは違って増殖のための最適温度が20-30℃と低めです。培養時の温度設定を従来の設定温度よりも10-20℃低めにすると安定したヨーグルトができます。

 

ヨーグルトを使ったレシピを一つご紹介しておきます。長年私が使ってきたもので、教室で何回かご紹介したので、お家で作られている方もあるかもしれませんが取りあげておきました。絵は次のサイトから引用させていただきました。  http://www.yummytummyaarthi.com/2014/10/tandoori-chicken-recipe.html
レシピの内容は上のサイトから引用したものではなく、30数年前にインドの友人から譲り受けたものです。 Tandoori Murgha(タンドールで焼いたニワトリ肉)という料理で、北インドの料理です。内容を少し自分用に変えて使ってきました。 4-5人分 ニワトリ              1.3kg 塩                 1/2ts タマネギ (卸したもの)      1個 ショウガ (卸したもの)      親指大 ガーリック (卸したもの)     2個 コリアンダーシード(挽いたもの)  1TBS チリパウダー            1/2ts ターメリック            2ts※ ヨーグルト             500g レモンジュース           1個分 ブラックペッパー          適量 ※Tandoori Murghaにターメリックを使うなんてみたことがないと言われるかもしれない。しかし私はこのレシピが一番だと思っている。ショウガは非常に細かく刻んだ方がいいが、中途半端に刻むのであれば卸しても良い。 全てをボールに入れて4-5時間~一晩冷蔵庫で寝かせる。グリル又はオーブンで焼きます。本当はタンドールで焼くのですが、インドの家庭にタンドールを備えた家庭は少ないので、時々、スパイスの混合液をつけながら焼いてゆきます。このレシピのいいところは、レモンジュースとコリアンダーでレモン味とレモンの香りをニワトリに付け、且つ、レモンの酸味でヨーグルトの酸味を深めているところです。( 使うヨーグルトは酸味のある、香りのついていないものを選びます )フランスパリの下町を歩くと、コーニッシュにイングリッシュマスタードソース※を付けて焼くいい匂いが通りを流れてきます。(イングリッシュマスタードに入っているワインヴィネガーとヨーグルトに含まれる酸は同じ酢酸です)酸っぱい調味料とニワトリは良い取り合わせです。ヨーグルトは多すぎるように思われるかもしれませんが、一晩ニワトリを漬けておくことでニワトリの肉を柔らかくし、鉄板で、あるいはオーブンでニワトリを焼くとヨーグルトがニワトリの肉の方に吸い寄せられるようにくっ付き、ヨーグルトが余るということがありません。 サフランライスの上に焼いたトリをのせその上にオニオンリングとレモンスライスで飾ります。ナンとスライスしたトマトサラダを添えてサーブすると「タンドーリ ムルガ」の完成です。 ※イングリッシュマスタードは非常に簡単に手作りすることができます。 イングリッシュマスタードの絵とレシピはhttp://www.davidlebovitz.com/2013/03/homemade-mustard-recipe-joe-beef/から引用しました(レシピの一部分を手直ししています)。 マスタードシード55gを一晩ホワイトワインヴィネガー80gに漬けておきます。そして次の材料をすべて一緒にブレンダ―に入れて攪拌します。ビンに入れて出来上がり。 材料;カイエンペッパーひとつまみ、ターメリック1/2ts、塩1/2ts、蜂蜜又はメープルシロップ1TBS。ホワイトワイン又は水80g。絵からわかるように出来上がりは少し粘度があります。水又はヴィネガーで酸味と固さ調整します。 できるだけ上のレシピ(タンドリー ムルガ)に近い画像をhttps://za.pinterest.com/pin/304626362267661235/ から引用しました。口頭だけでお伝えしていたのを(お菓子とは関連がないので)ここに書置きしておきます。




上はタンドールです。比較的小さなもので、大きなものはもっと深く、中に入れた炭が見えないほどの深さがあります。https://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g43732-d6154497-Reviews-Tandoori_Oven-Columbus_Mississippi.html から引用しました。

それから、以前から気になってのですが詳しくお伝えしていなかったタンドリーチキンに使われている「赤色色素」について述べておこうと思います。

タンドリーチキンに使われている「赤色色素」はいずれも通常使用量による反復投与毒性試験、発がん性試験、変異原性試験で毒性のないことが確認されてはいますが、日本以外の国では禁止されている物も多く、少なくとも食べて体にとって有益であるとは言えません。日本で使われている(許可されている)赤色色素には次の物があります。 石油から作る合成着色料(タール色素);赤色2号、3号、40号、102号、105号、106号。 植物を原料とした天然着色料;アカネ色素等 動物を原料とした天然色素;カイガラムシ由来のコチニール等 がありますが「天然色素」の名前に惑わされて害がないと思ったら大変です。一つ一つについて言及はしませんが、最近はインド人の友人もタンドリーチキンには色素を使わないことが多いです。どうしても「赤色」にこだわる、お年寄りのお客様にはパプリカの粉を使っているようです。許可された色素や添加物であっても年間「キログラム」の単位で摂取すれば何らかの障害が起きるのは当然でしょう。

ヨーグルトをたくさん使う、ラッシー、フローズンヨーグルト、ケバブのソースなどについては又の機会にしましょう。