Annabel's Private Cooking Classあなべるお菓子教室 ~ ” こころ豊かな暮らし ”

あなべるお菓子教室はコロナで終了となりましたが、これからも体に良い食べ物を紹介していくつもりです。どうぞご期待ください。

ティラミス

2018年12月18日 | 今月のお菓子


ティラミス

      

今月のお菓子は「ティラミス」です。

 

ティラミスは、ヴェネト州、トレヴィーゾにある、リストランテ、アッレ・ベッケリエ(Alle Beccherie)の料理人ロベルト・リングノットと、女主人アーダ・カンペオルが1960年代頃に考案したと言われています。女主人の妊娠中の赤ちゃんに少しでも元気がでるようにと料理人がティラミスを考えだしました。このドルチェを世に広めたのが、その時お腹の中にいたアーダ・カンペオーレです。日本には1990年代に入ってきました。

オリジナルのアッレ・ベッケリエのティラミスは、ふわふわっとしたティラミスではなく、ドッシリとした、しっかりした食感です。

 

アッレ・ベッケリエのオリジナルレシピをご紹介しておきましょう。

https://www.time-to-lose.it/la-marca-trevigiana-treviso-eventi-gioiosa-amorosa/treviso/la-vera-storia-vera-del-tiramisu-e-della-sua-autentica-originale-ricetta.html から 

   

 

卵黄             6個

砂糖             150

マスカルポーネ        500

サヴォイビスケット      30

エスプレッソ        250ml

カカオパウダー        15ts

 

1.卵黄を泡立て、次に砂糖を加えます。マスカルポーネを混ぜ合わせてクリーム状にします。

2.スプーンを使ってサヴォイビスケットにエスプレッソをかけ、ビスケットを並べます。

3.マスカルポーネクリームの半分の量を、ビスケットの上に塗ります。

4.エスプレッソをかけたビスケットをその上に乗せて、残りのクリームで表面を覆います。

5.6℃以下の冷蔵庫で一晩以上冷やします

6.提供する前にカカオパウダーを振りかけます。

 

妊婦のために作ったお菓子ですから、栄養のある刺激の少ないレシピであったはずですが、息子のカンペオーレはモスカート・ダスティ(Moscato d'Asti;アルコール度数4.5-6%、ピエモンテ州、ランゲ地方のワイン)、またはトレヴィニャーノのヴェルドゥッゾ種から作った甘いデザートワインラマンドロ(Ramandolo;完熟したブドウを樹につけたまま、あるいは摘み取った後、グラティッチと呼ばれる棚で乾燥させ、糖度を高めてから560日かけてゆっくり発酵させている。アルコール度数は14度。)を使うことを推奨しています。

商売を重視してのレシピといえるでしょう。本来のレシピではアルコールは入っていなかったでしょうし、砂糖の量ももう少し少なかったのではと思われます。卵黄は、本来は、栄養を考えてのものですが、しっかりと冷蔵庫に保管する事が必要です。

 

イタリアのティラミスのレシピを見ていて気になったことは、イタリアには上とは異なる内容のティラミスがあることです。ザバイオーネを使ったティラミスです。

卵黄、砂糖、アルコールを使ったねっとりとしたデザートと言えば、ザバイオーネを思い浮かべます。マルサラ、ラム、ブランデーなどを混ぜたマスカルポーネクリームもあるので、うっかりすると,もともとティラミスにはアルコールが入っていたのではと思ってしまいます。

本来のティラミスとは言えませんが、ザバイオーネを使ったレシピは中々のものではないかと思っています。

 

それと言うのも、19909月には、液卵内に潜んでいたSalmonella Enteritidis による、広島市を中心に19県に及んだ458名の患者を出したティラミス食中毒事件が起きているからです。

http://idsc.nih.go.jp/iasr/CD-ROM/records/12/13105.htm  参考

80℃で卵黄を加熱するザバイオーネを使っていれば、このような食中毒事件は起こっていなかったはずです。液卵中に潜むサルモネラ菌は70℃以上で加熱すれば10秒以内で死滅します。82℃で固まり出す卵黄をその下の温度である80℃まで加熱すれば安心して食べることができます。

 

余計なおせっかいでしょうが、生クリームや、卵白、卵黄を泡立ててマスカルポーネの中に混ぜ込んで増量したお菓子はティラミスとは似て非なるものです。素晴らしいお菓子にはそれなりの目的があったはずです。ご自分で新たなレシピを生み出すのであれば、本来の意味をくみ取ってレシピを組み立てることが大切です。単に真似ただけのものには発展性もなければ、将来性もありません。単に新しいものを追っただけの、目を引き付けるための、あえて言えばお金儲けだけが目的のお菓子になってしまいます。今回のコメントは少し辛口だったでしょうか?


ザバイオーネのレシピとその応用レシピをご紹介しておきます。参考になさって下さい。

https://www.bbc.com/food/recipes/poached_peaches_with_69782 から 

 

ザバイオーネとモモのポーチ

  

  Zabaglione is an Italian custard, served here in layers with poached peaches and crushed amaretti biscuits. Delizioso!

  

材料;

 モモ             3

 砂糖            3TBS

 レモンバーベナ       ピンチ

 卵黄             5

 マルサラ           30ml

 砂糖             5TBS

 アマレッティビスケット 

 好みのワイン

  

方法;

 モモを煮る;大きなポットに湯を沸かす。 氷水を用意する。モモを湯の中に約1分間入れる。すぐに氷水の中に入れてモモの皮を剥く。種を取り、一口サイズに切る。鍋に入れてそこに水を150ml、砂糖、レモンバーベナを入れる。落し蓋をして、弱火で8-10分間モモが柔らかくなるまで煮る。

 ザバイオーネを作る;卵黄、砂糖、マルサラをボールに入れて混ぜる。湯煎にかけてクリーム状にする。

 ビスケットをクラムにして容器の中に入れ、モモをその上に入れる。クラムを入れる。モモを入れる、その上にザバイオーネを入れる。砕いたビスケットを上に飾る。


ザバイオーネはイタリアとフランス以外の国ではあまり知られていませんが、なかなか応用範囲の広いクリームです。上のレシピではアマレットとモモを使っていますが、ストロベリーやラズベリーをのせたものもよく見かけます。軽い口当たりのビスケットやクッキーとの取り合わせもいいものです。

上のレシピでは、マルサラ酒を、卵黄と砂糖と一緒に入れて加熱していますが、アルコールを気にしない、あるいはちょっとあった方がいいという方は、卵黄に熱が入った後で入れるのも一考です。クリームは冷ましてから入れ物に入れるのですから、その頃にはアルコールは大部分が空気中に飛んでいるはずです。 





冬の季節に

2018年12月04日 | ローズマリー

今日は少し暖かいですが、外の景色はすっかり変わり、今週の週末からは冬のモードに突入のようです。あなたの庭の「ローズマリー」の様子はどんなでしょうか?

少し前のことになりますが、「庭にはローズマリーがあるのだけれど、どんな風に使ったらいいのでしょうか。ブログを参考にさせていただきます。」というコメントをいただいたことを思い出しました。

私のところでは「お菓子教室」をしているので、12月になれば少しばかりそれらしい雰囲気にしています。ほんの少しですよ。いつものように雪だるまを飾って、今年は「ローズマリー」をボールに入れてみました。」松かさを上に置いて。

それだけで周りの空気が変わりました。ロースマリーの抗酸化作用は凄いです。何かの拍子に空気が動くと凛とした香りがスーッと鼻の奥をくすぐります。

 

 

 

夏は竹籠の底に和紙を敷いて、その上にハーブを。ローズマリーもいいですが、私は夏はイングリッシュラヴェンダーを入れています。枯れてくると上から少し押さえるようにすると香りが立ちます。

ご参考になりましたでしょうか?