よく聞かれるんですよ、「あんなに色々な賞を総なめにするレシピをいったいどうやって編み出したんですか?」ってね。今日はそんなところから始めましょうか。
今から30年以上も前の1991年、僕はビジネスパートナーと一緒に、ウエストシアトルに小さなレストランを開いたんだ。それが人気を呼んで、たった125席しかないところに1週間で4500人ものお客が足を運んでくれるようになった。
この店をオープンした時に、僕たちは「Soup of the Day」をメニューに加えようと思った。金曜日はもちろん「ニューイングランドクラムチャウダー」さ。
僕は僕で、絶対に行けるレシピを持っていた。
シェフはシェフで、僕のよりいい!と言うレシピを持っていた。
コックはコックで、お袋さんがいつも金曜日に作ってくれたというレシピを持っていた。
そこで僕らはお客さんに決めてもらうことにしたのさ。
金曜日ごとに、それぞれのクラムチャウダーを順番に出していってね。
結果は明らかだった。
一番人気があったのは、僕のでもない、シェフのでもない。
船乗りの叔父さんに教えられ、何代ものおばあちゃんたちに受け継がれてきたという
コックのお袋さんのチャウダーだったのさ。
以来、僕らはそんなチャウダーを作り続けてきた。
シアトル中から、並ぶのも厭わずに客が食べに来てくれた。
もちろんパイクプレースマーケットの野菜やスパイスのおかげで
味はどんどん改善されて来たけれど
基本的には最初のあのチャウダーと変わりはないさ。
そして、、、、
「たしかに我々のチャウダーは人気がありますよ。
でも、もっと大きなチャレンジをしてみませんか?」
と言うコックの言葉に触発されて、僕たちはいくつかのコンテストに出ることになったんだ。その結果、いくつもの賞を取ることになった。でも誰かが言った。
「そう言ったって、おたくら、東海岸で賞を取ったことがないでしょうが。
アメリカで最高のチャウダーと言ったらやっぱり東海岸だよ。」
その通りかもしれないと思った。
けれども、僕は仲間たちに言った。
「東海岸まで3500マイル(5600キロ)も旅をするのはコストがかかり過ぎる。ぼくらはしょせんは小さなカフェに過ぎないのだから。」
けれども、彼らはひるまなかった。
「もしも何千ドルも稼いだらどうします?」
絶対に不可能だとは思ったけれど、そう言われて僕は決心した。
「わかった、できるかどうかやってみるか!」
するとみんなどうしたと思う?
勇みこんで車を洗い、ケーキとクッキーを焼き、ガレージセールで寄付金を集め始めたんだ。みんなこのクレージーな冒険に夢中だったよ。
僕たちは無謀にもロードアイランド州のニューポートの大会に出場した。
ニューポートと言えば、世界中から毎年2万人ものチャウダー愛好家が集まる世界随一のコンテストさ。しかも20年間、ニューイングランド(東海岸東部6州の総称)以外のレストランは賞を取ったことがないというのにさ。
BUT, WE DID!
でもやったんだ!
3年も続いて「Nation’s Best Chowder」(アメリカ最高のチャウダー)の栄誉を抱いたんだ。4年目には、もう十分と思ってコンテストに出るのは止めた。
そして2003年、シアトルで世界的に知れたパイクプレースマーケットにこの店を開いたというわけさ。
(以上は、「Pike Place Chowder」のサイト(http://www.pikeplacechowder.com/
)に掲載されている、創業者、Larry Mellum氏の言葉です。写真ともどもお店におことわりしてメイ流の和訳でご紹介させていただきました。)
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